2019プレーオフ マジックvsラプターズ

アウェイで1勝はマジックには良い結果

デローザンの現相棒であるデリック・ホワイトがプレーオフでステップアップする中で、恋人のラウリーが酷いシューティングで落とした第1戦とカムバックした第2戦。そのラウリーがフォーニエに肘を食らってスタートする第3戦。

◉ジョナサン・アイザック

試合は早々にラプターズが8点のリードを奪います。だけど、それはディフェンスではなくオフェンスの問題。そういえば、第1戦だってオーガスティンがタフショット決めまくって何とかしたわけで、そもそもマジックオフェンスはラプターズを攻略できていませんでした。

全く得点がとれず困ってしまうマジック。得意のフォーニエ&ブセビッチはパターンを止められ、苦しい展開の中でオーガスティンはタフショットを決めるけど、そもそもボールを持たせてもらえず。

困ったから空きがちなアイザックが3Pを打っていき、1Qだけで3本をヒットし、どうにかバランスを保ちます。

一方のディフェンスもそのアイザック。レナードの個人突破を止め、ゴール下に抜けてきたのを後ろからブロックし、シアカムのポストアップもシャットアウト。あぁ素晴らしき2017年ドラフト組。

第1戦ではシアカムドフリー作戦でアイザックがヘルプポジションをとっていましたが、この試合は狙ってか致し方なくか、レナード相手が多くなっています。それすらも止めてしまうから、インサイドを攻略できないラプターズ。

止められまくったレナードは、次第にコーナーへのパスアウトにしてグリーンの3Pを導きます。実はこれポジティブなようでネガティブな話。だってもうゲーム3なんだよ。インサイドの強引さが通用しないし、ヘルプが厳しいのは理解しているでしょ。初めからキックアウトしなよ。

キング移籍後のイーストを引っ張りそうなレナードですが、そのショートレンジの上手さは脅威でありつつ、ワンマンプレーをさせるには不足要素があるのか。厄介なマジックのゴードン&アイザックを相手にしたことで、評価が揺れ始めています。

結局1Qはラプターズがリードこそするものの、アイザックが個人技でレナードを上回るスタートを切れたことで大きなリードを得ることは出来ませんでした。アイザックもまたサイズのあるウイングで、ディフェンダーという状況からキャリアをスタートさせたわけで、どのように変化していくのか。

◉スピードでロス

2Qになるとトランジションで再度リードを得たラプターズが、またもゴール下で潰されてはキックアウトをしますが、不十分なパスが多くて3Pに結びつきません。かといって3Pの思い切りも悪い。

でもやっぱりマジックのオフェンスはラプターズを全く攻略できないので、たまにスティールから速攻に持っていく形でギリギリたもっている形のロースコアゲームが続きます。

またラウリー周辺で攻守にファールコールされていきます。ところで何でラウリーってブーイングされているの?

マジックの狙いどころはガソルのスピードと連携の悪さなのですが、この試合は全く狙ってきません。ガソルがブセビッチのアウトサイドまで追いかけてくることもありますが、どうもスピードで振り切れていない様子。

またスピード勝負からキックアウトを狙ってはスティールされていきます。ここはラプターズの方が大きく修正を聞かせている模様。ディフェンスは修正しているんだよね。

困ったときはテレンス・ロスの個人技ってのもマジックのパターンです。ロスだけはしっかりとスピードで振り切ってキックアウトしています。加えて動きなおしての3Pも打てるから厄介なベンチプレイヤーです。

少しずつ崩され始めたラプターズ。マジックは良いシュートチャンスを掴んでいくのですが、全くシュートが決まりません。本当にもったいないくらい外していくマジック。

ラプターズはレナードが急ブレーキになっていますが、他の選手はそこそこしっかりと。まぁレナードが機能しないとグリーンは消えているのですが。シアカムとガソルがそれぞれ決めていったことでリードを得ていったラプターズ。

しかし、ラストプレーもまたレナードがボールロストし、ロスが残り時間が無くなる中でハーフコートを超えたところで打ったシュートが決まり48-45とマジックの3点ビハインドの前半でした。

ロスのスピードが違いをもたらしたマジックと、レナードの個人技だけがブレーキになったラプターズ。ある意味、ラプターズの方が強いのに、またもロースコアになってしまったと捉えることも。

◉ガソルがいなくなると

久しぶりにvsフォーニエが出来たのでポストアップしたレナードは、ダブルチームになったので冷静にキックアウトするのですが、シアカムは思い切りよく打てずパスミスに。うーん、こういうところ変わんないんだよな。

本日良いディフェンスになっているガソルですが、こちらもファールがかさんできます。これで早々にイバカが登場し、ラプターズの様相が変化し始めます。

ブセビッチには良いディフェンスをするけど、それ以外はヘルプ狙いばかりのガソルなので、ある意味ルーズなのですが、スイッチを厭わないイバカになったことでブセビッチがミスマッチを増やしてショートレンジを決め始めます。調子が出てきたブセビッチは3Pもヒットし、マジックが反撃に成功します。3P連発で逆転。

オフェンスではアウトサイドに張り出すと、合わせのインサイドがないガソルと比べると、遥かに動いてくれるイバカ。大切なのは動くことでディフェンスも反応することです。ここまで素晴らしいローテディフェンスをしていたマジックですが、耐え切れなくなります。

シュートがそこそこしか決まらなかったので目立たなかったものの、明らかにオフェンスが改善していたラプターズ。シンプルなドライブ&パスアウトでチャンスを作れるようになったのは、全員がオフボールで動くようになったから。レナードも潰されなくなります。

イバカがポストの位置で中継するパターンは、シアカムのエンドライン際のカットプレーも生み出します。そういえば、これってバランチューナスとアヌノビーがコンビでやっていたイメージ。

一旦は逆転したマジックですが、3Pが決まらなくなるとあっさりと10点ビハインドにされます。それくらいオフェンスが改善したラプターズ。メンバー的にはガソルがいなくなっただけだし、目立ったのはシアカムのエンドライン際だけど、きっかけが違う気がします。

調子に乗ってきたシアカムはハイポストからグリーンのカットにパスを合わせ、ポストアップでは&ワン。これで大量リードを得たラプターズ。なお、困ったらアイザックにマークさせたマジック。アイザックは見事に止めた上に、豪快なプットバックダンクで何とか11点差にして3Qが終わるのでした。

◉シアカムが得点したこと

ラウリー、ヴァンフリート、パウエル、シアカム、イバカとスパーズではないメンバーで揃えたラプターズは、トランジションを強めていきます。前を走るのはパウエルかシアカムなのだけど、ワンパスが出てきてはトランジションオフェンスに。

これがラプターズペースになることは第1戦から出ている傾向です。マジックは「トランジションをさせないチーム」なので、テンポアップに弱い。かといってハーフコートで攻めることが出来ていないから、どこかで避けられない展開です。

ラプターズからすると、わかりやすく走る選手を揃えました。するとラウリーがタフなステップバック3Pもヒットし、点差は広がる一方です。

たまらずスターターを戻すマジック。オーガスティンとゴードン、そしてロスが少しずつ取り返していくと、時間が経過し、ラプターズもガソルが戻ってきます。

今度はブセビッチ。ラウリーのミドルをブロックし、インサイドでボールを貰うとワンタッチでフォーニエへキックアウトし3Pに。ついさっきまでイバカがやっていたようなプレー。フォーニエはこの試合初めてのFG成功らしい。7点差に。

さらにレナードがトラベリングすると、ロスが3P。レナードのキックアウトはやっぱりシュートを打ってもらえず、カウンターでロスがレイアップ。残り2分で4点差まで追いついたマジック。

苦しい中でラプターズはシアカムがコーナーからドライブでねじ込みます。レナードではなくシアカムを使うレナード。その理由はマッチアップがフォーニエだから。オフェンスを考えてロスを起用したいのでアイザックをベンチに座らせていることがディフェンスでデメリットになっています。

残り1分でレナードがシアカムのポストにパスを出す流れから逆を突いてドライブ。そこからコーナーのグリーンにパスアウトしてドフリーの3Pになりますが、これを決められず。

一方でオフボールで動き回ったロスはキャッチ&シュートの3Pを決めて3点差に。レナードはゴードン相手のアイソレーションを挑みますが、決められず。ところがリバウンドに反応したのはラウリー。これでボールを抑えて、残り時間がなくなりファールゲームせざる得ないマジック。

レナードがフリースロー2本決めて残り13秒5点差。3P乱打したマジックですが、どれも決まらず痛い1敗となったのでした。リバウンドを抑えていればワンチャンスあったのにね。

◉何を信じるべきなのか

ちょっと普通に書いてみましたが、戦術的傾向は第1戦と大きな違いはありませんでした。トランジションではラプターズのオフェンスが上回り、ハーフコートオフェンスはマジックのディフェンスが上回ります。

マジックのオフェンスは優位性を生み出すことは難しく、ただスピードのミスマッチだけはロスが活用してくれます。まぁそれくらいだし、オーガスティンのタフショット連発しか手段がないような。

今シーズンの傾向とかすべて無視して言えば、マジックの敗因はアイザックではなくフォーニエを起用したことでした。そこがディフェンスの穴になり、シアカムを止められないことが大きく響いてしまったのでした。

30点のシアカム。FG13/20ですが、この試合大半のマッチアップだったアイザック相手ではFG4/10。つまり他の選手相手だと9/10です。フォーニエは4/4。

シアカムさえ何とかしておけば十分に勝つチャンスがあったけど、それよりもフォーニエのオフェンスを優先してしまったのは悔やんでも悔やみきれません。アイザック推しとしてはね。

FG1/12、3P1/8と絶不調だったフォーニエ。というかラウリーにしてやられたわけですが、もうひとつのポイントはvsシアカムでオフェンス面で押し切れなかったこと。マジックのチーム状況を考えれば、勝負所はディフェンス優先にしておき、細かいタイムアウトで交代させていくべきでした。

一方でラプターズの問題となったのは、またもガソル。ブセビッチ担当としては非常に良く守ったけど、総じてスピード不足は否めず、本当はトランジションで優位に立てるし、オフボールで動けばディフェンスを崩せるんだけどな。

そして地味に働きが悪いのがヴァンフリート。このシリーズずっと悪い。ガソルの部分は「でも、そもそもガソルってそういう選手じゃん」というだけなのですが、ヴァンフリートがオフェンスをリード出来ないのは違う問題です。

セットオフェンスで上手くいっていないラプターズ。だからこそ、ペースアップさせるのが大切だし、ラウリーだと時に無理やりにでも動かそうとするのですが、ヴァンフリートは一定のリズムなのが気になります。デロン・ライトが恋しい。

要するにお互いのチームが通常のローテに拘ってしまった印象を受けた試合でした。まぁマジックの方は理解できるんだ。フォーニエにどれだけ救われてきたか。

だけどラプターズの方はゲーム3なんだから、もう一工夫してよかったんじゃないか。この先の戦いを見据えるとレナードがアイソレーションで止められたら簡単に負けてしまいそうです。

お互いに修正したくても修正できない問題が多く、出来るのはHCが相手を観てローテを柔軟に変化させることくらい。でもマジックにはそれすら厳しいってのも事実なんだ。だからラプターズの方が動きやすいんだけどね。

このままではジリ貧になるマジックですが、接戦に持ち込むことは出来ているのでゲーム4ではフォーニエのクラッチ力を信じるしかないでしょう。それは今シーズン猛威を振るっています。

ならばラプターズは、クラッチ勝負になる前にセーフティーリードを得ておきたいところ。それはトランジションでもたらされるけど、レナード、グリーン、ガソルをベンチに座らせる時間の勝負事です。

ちょっとお互いの底が見え始めた対戦カードになっています。ここから驚異の大変革は起こるのか。

2019プレーオフ マジックvsラプターズ” への4件のフィードバック

  1. なんかめっちゃパフォーマンス落ちてるなと思ったらレナードは2日間病気で練習してなかったらしいで
    今日の試合見てるとプレーオフ勝ち抜けるか心配になったり

    1. あぁなるほど。それでアウトサイドも決まらなかったのね。
      ただインサイドは普通に止められていましたよ。ショートジャンパーの数が減っているのが気になるところです。

  2. 今日はなんかすごいペイントエリアダムダムして止められてましたよね
    いまいち意図がよくわかりませんでした

    1. マジックのディフェンスが上手い部分もありましたが、得意のショートレンジでのチェンジオブペースが出なかったですね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA