2019/03/24 ウィザーズvsヒート

熾烈なプレーオフ争いにウェイド様はどうする

本当はヒート記事の予定だったのですが、よく考えたらウィザーズもあまり書いていないよね。ってことで、ゲームレポートになりました。
久しぶりに観たヒートは振り切っていました。振り切りまくりなのが、面白いから追いかけるのがテーマなのですが、それはおいおいにして、逆にウィザーズは振り切れないチームです。

ウォールとビールの放出話が持ち上がり、それを実現すれば大きな見返りも得られたでしょうが、実際に動いたのは半分は債務処理なオット・ポーターでした。あとウーブレも出してしまった。
これらが「良いトレード」「悪いトレード」という話ではなく、ウィザーズは振り切る勇気はないってことです。それは戦術的にも同じで、それぞれに現代的な要素を用いつつも、徹底した戦術化はしていない。唯一スモールラインナップだけは使います。悪い意味で。

本日はアリーザも不在。そこでスターターにはトロイ・ブラウンjr。うん、ドラフトルーキーです。これが案外ハマっているのも面白かったのですが、スターターのメンツが

ビール、サトランスキー、ブラウン、ポーティス、トーマス・ブライアント

ってことで、気が付いたら若手たちを並べたことになります。もうプレーオフも無理なんだから、若手に水準を移したのなら悪い話ではありません。たぶん、そんなことはないのだけど、ブラウンを持ってきたことは、その傾向なのだと思います。
若い仲間が増えてブライアントはやりやすいというか、ちょっと先輩風みたいに自信をもってプレーし、ミスをしていました。悪い意味ではないよ。

またベンチから登場したGリーグあがりの選手たちも必死で頑張ります。プレー内容としては大きく上回っているジェフ・グリーンが時に酷いパスミスをしたり、ジャバリ・パーカーがワンマンプレーで外しまくるのを見ると、考えさせられてしまいます。
戦術というか、ルールが足りないチームなのでプレーで上回る選手よりも規律ある選手を起用したほうが、最終的には上回るのではないかという疑惑さえ沸いてきます。

というわけで、ここにきて意外と新しい要素が登場しているウィザーズ。特にインサイドにブライアントとポーティスが並ぶと、明らかにディフェンスのルールが足りないのに、それでもリムプロテクターが増えたことで、ヒートのオフェンスは苦労しました。
それはポーティスとグリーンというスモールになった際にヒートが攻めやすそうにしていたことからも伺えます。今シーズンは安直なスモールラインナップが駆逐されているシーズンということをプレーオフに出れなかったチームが示しているのでした。

さらに2Qにはヒートのお株を奪うようにゾーンを長い時間使いリードを広げるウィザーズ。「ローテーションのルールが足りないなら、ゾーンの方が穴が広がらないじゃないか」という中高生みたいな理由にしか思えませんが、スモールラインナップが出来るくらいのウイングがいるチームなので、高さと機動力があり全体をカバーできています。もちろん大きな穴も出来るけど、ヒートのオフェンスもね。

◉振り切ってヒート

そんなヒートもまたスモールに対応できるビッグマン達を並べたゾーンディフェンスが特徴で、試合開始からゾーンってのをしていた試合もあります。
デリック・ジョーンズはイングラムみたいな選手ですが、シーズン序盤はセンターみたいだったのに、今はガードポジションです。凄いな。そこにガードだけどセンターみたいな体形のウェイターズが加わるのですが、攻守でポジションを逆にしています。ウェイターズが追いかけきれないから、ジョーンズがアウトサイドを守る、みたいな。

さらにオリニクとアデバヨを並べるスターター。かつてはSGだらけだったのに、メンバー構成を大きく変更して成功し、特殊な戦い方にして成功しています。
オリニクがスクリナーを使いながら、逆サイドに大きくスイングして振り向きざま3Pとか、特殊戦術にもほどがあります。

2Q中盤に大きくリードされたヒートですが、このゾーンを使ってあっという間に同点に追いついた前半終了間際。お互いにゾーンが効いているというか、オフェンスが拙いというか。
ヒートのオフェンスの弱点はアデバヨ。といってもアデバヨ自身のトータル能力は非常に高いです。ただ、唯一の問題がショートレンジのフックが下手な事。サイズもないからね。
結局、ウィザーズのゾーンなんてインサイドにギャップがいっぱいあるので、そこをアデバヨが使っていくのですが、決まらないから攻略にならないだけでした。
ネッツはバグリーに苦労したわけですが、ゾーンを活用すると選手個人の小さな欠点を突くことが出来、そして小さな利点で大きなデメリットも食らうってことです。

そしてウェイターズが3P決めまくるし、ウェイド様も前半最後のオフェンスを3Pで締めくくり、なんだかヒートらしくないオフェンスになっていました。ウェイターズってシュート下手じゃなかったっけ?ケガ前を殆ど見たことないんだけど。

こうして3Pを武器にするウェイターズとオリニクがいて、意外と3P打つデリック・ジョーンズが必要に応じてインサイドにカッティングする中外両方の役割をこなし、ジョシュ・リチャードソンはドライブと3Pでいつも通り。
要するにインサイドにスペースを作るようになっているヒート。そこをアデバヨがフィニッシュできるかは重要な要素です。

後半になると一気にフィニッシュの機会を増やしていくアデバヨ。守っても2人分くらいの守備範囲があるので、ゾーンの空いたインサイドを塞いでいくので、簡単に逆転したヒートでした。アデバヨvsバグリーがみたいね。
そしてゾーンじゃないと守れないウィザーズ。オフェンスで敗戦を誤魔化してきた感じですが、実際には守れないから勝てないわけでゾーンをしっかりと整備出来ていれば結果は違った気がするよ。

◉ヒートのバランス

ヒートはゾーンの前を守っていたデリック・ジョーンズがファールトラブルになると、ジェームス・ジョンソンが登場するのですが、やっぱり前を守ります。ちょっと考えにくい形だよね。
だからここで気になるのは3P対策でサイズある選手を前に出しているのか、ウェイターズ対策でウェイターズを後ろにおいているのか。ジョシュ・リチャードソンがアデバヨ同様に尋常じゃない守備範囲でカバーしているので成立していることも忘れてはいけない。

で、そのデリック・ジョーンズが交代したことで、ビールが3Pを連発します。ほぼジェームス・ジョンソンのサイドから。つまりさ、ヒートのバランスってギリギリで成立しているんだと思います。だから、何故かオリニクまでスターターに昇格したみたいな。
ダーティーなオリニクを狙って仕掛ければヒートを困らせることが出来るかもしれません。

ベンチメンバーが増えたヒートはゾーンを辞めます。多分そういうことです。そしてオリニクがコケると、ディフェンスにスキが出来たのでウェイド様がドライブからダンク。ギリギリのダンク。
そこにウェイターズが3Pを連発して一気にヒートの流れになるのでした。いた、本当にウェイターズってこんな選手だったのか?

アデバヨは活躍するけど、ショートレンジが下手なので3Pが決まらないとオフェンスが成立しないのですが、ウェイターズが決めまくることで高い完成度になっています。ちょっと信じられないんだけどさ。ギリギリな気がするけど、スポルストラ的には予定通りなのか。

◉来シーズンどうするのかな

ウィザーズはアデバヨに振り回されて疲れたブライアントをベンチに下げると、ついでにウェイターズの3Pが外れ始めて離されずについていきます。
前半もあったのですが、ヒートはアデバヨをひっぱります。その理由はおそらくウィザーズがスモールなのでホワイトサイドにしたくないのだと思いますが、今度はアデバヨの方が疲れるよね。ここのローテは「デメリットを作りたくない」というスポルストラらしさだったりします。自分たちの事情より相手の事情を優先しがち。

そして3Q終盤にまたもゾーンにすると攻めあぐねたというか、3Pが決まらなかったヒートの事情もあり、最後にポーティスの3Pで逆転に成功したウィザーズ。ゾーンを鍛えていればと後悔したくなるけど、ウォールはゾーンにハマらなそうなんだよな。

4Qはドラギッチの3Pでスタートします。ホワイトサイドは出てこずスモール合わせです。来シーズンはホワイトサイドをどうするのか。この試合には不要だけど、高さ対策は欠かせないので必要な選手ではあります。だからチームの選択ではなく、ホワイトサイド本人が役割を受け入れるか、しっかりと中核として扱ってくれるチームを好むかという選択だと思います。サラリー問題を除けば。

大きく広がったヒートのオフェンスに対して、インサイドのスペースを大きく空けながらも、ブライアントがそこそこカバーしていくウィザーズのディフェンス。そこそこだよ。
しかし、毎回のようにジャバリが崩されます。ブロックこそしたけど、殆どジャバリでやられるし、そういう部分を突くのが上手いジェームス・ジョンソンが相手だし。

オフェンスでジャバリに自由を与えているウィザーズは、オフにチームオプション行使を考えているのでしょうか。せっかくポーターの高額サラリーを消化できたのに、ジャバリに20Mも使っては何の意味もない気がするけどな。
おそらくウィザーズは今シーズンでFAから超不人気チームになったと思います。だから1年限定のジャバリを残して来シーズンに復権を!と考えるのかもしれませんが、そんなことよりディフェンス重視で選手を揃えないと意味がないんだけどな。

そんなジャバリ相手にステップバック3Pを決めるウェイド様。完全に狙いに行っています。しかし、ドライブしたジェームス・ジョンソンがコケてジャバリが速攻に持っていき、サトランスキーのダンクで互角の展開が続きます。

◉逃げ切りにいく普通のヒート

でも、やっぱりウェイドvsジャバリにしてイージーゴール下にするヒート。スコット・ブルックスは自分たちのことも見えていないけど相手のことはもっと見えていないのか。
ヒート的にはイージーなポイントで攻めながら、ウェイド様の活躍まで達成できて二度おいしいなぁ。そんなウェイドはブライアントに守られてもタフなターンシュートを決めます。引退撤回しないのかな?

徹底してジャバリ狙いなヒート。っていうかジャバリのところで成功しちゃうだけなんだけど。しかし、オリニクがオフェンスファールをコールされると、コール後にブライアントを押して揉めます
うーん、やっぱりオリニク狙いってのが良い選択な気がします。ブライアントは明らかにフロップだったので、エンビート流を学んだのか。しかしネームバリューがないのでノーテクニカル。

残り5分を切ってもポーティスではなくジャバリのウィザーズ。しかもオフェンスでビールに渡る前に仕掛けてしまうジャバリです。前半にビールがコーナーでボールを持った時に、ポーティスがポストアップしてスペースを減らしてしまっていましたが、連携以前の問題で活躍しているようで活躍出来ていません。なお、登場したポーティスはさすがにこの時間なのでビールにパスしていたよ。

そんなわけで気が付いたらリードを広げていたヒート。なので、メンバーは普通にします。ドラギッチ、ウェイド、ジョシュ・リチャードソン、オリニク、アデバヨ。ウェイターズの3Pに期待することも、特殊なゾーンをする必要もなく、普通に戦うことを選択して時間と点差をキープする狙いです。

ウィザーズはブライアントとポーティスがインサイドで押し込んで5点差にした残り1分半。トロイ・ブラウンがこの時間でもプレーしていて、ジョシュ・リチャードソンに騙されたりしていますが、そういう経験を積むってのも大切なので、ブライアントとともに終盤までいるってのは来シーズン以降に繋がる・・・はず。
そしてブラウンは強引なドライブからねじ込み残り1分3点差にします。ビールではなく若手たちでチャンスをつかむウィザーズってのはウーブレイの3P以来の出来事じゃないか!?

ヒートはウェイドvsビールを選択しますが3Pはミス。逆にビールは自分で仕掛けると2人が寄ってきたので、慌てずにサトランスキーの3Pに。フリーで打った3Pでしたが、決めきることが出来なかったサトランスキー。
そして3点差の残り21秒でファールすらできなかったウィザーズと、5秒でオリニクのダンクにしたヒートというちょっとよくわからない終わり方をしたのでした。

◉若手と考えたら

ヒートについてはプレーオフ争いの中で、勝利こそが唯一の正解です。ホワイトサイドを使わず、デメリットを消し、ゾーンを駆使しながらも、普通なユニットも組んで試合展開に応じた柔軟性を使いました。
かつてのように強力なディフェンス力はないのですが、ウェイドの持つ神通力を信じすぎることもなく、でもウェイドがしっかりと活躍するのでした。

戦術アデバヨみたいな部分もありますが、現状のメンバーでとりえる最適な戦い方をしているのでしょう。シーズン序盤と全く違うけど、よくもまぁここまで整理できるものだと思いました。

一方のウィザーズはそういう変化というか、戦術的な狙いが見えないチームなのでしたが、プレーオフが遠のいたことでトロイ・ブラウンを加えるだけでなく、終盤になっても起用したわけでサトランスキー、トーマス・ブライアントと合わせてポジティブな見方が出来なくもないです。
ブラウンが良いのはリバウンドなど地味な部分でも活躍していることで、チームに足りないことを補ってくれていました。19歳のルーキーなんだけどさ。

そろそろ4月になって新入社員もはいってきますが、下が入ったことで成長する若手社員みたいなブラウン効果もありそうなので、もうジャバリとか起用しないで若手に振り切ればよいのにね。まぁジャバリを残すべきかのテストも必要なのかな。

シーズン前を考えればダメダメなウィザーズですが、諦めたなら諦めたなりに、ってことです。NBAは振り切れないと勝てるチームを作れないリーグなので、中途半端な時間の使い方は未来に響いてしまいます。
ただ、ペイサーズやクリッパーズのように良い選手を集めて層の厚さとチームワークで戦うような形は、ウィザーズには向いていない事情もあったりして、ウォールが戻ってきたときに若手が機能するかは難しいけどね。

そんなわけで、久しぶりに観たけど楽しめたウィザーズとヒートでした。それにしてもマジックもヒートもネッツもピストンズも一歩も引かないのね。
マーチドマッドネスはジャイアントキリングがつきものですが、シーズンという戦い方をしながら、最後に死力を尽くすトーナメント形式に慣れているアメリカは、パワーアップするチームがあるのも面白いところだよね。

シーズンを通して力をつけ、それを一発勝負でぶつける。それが出来ているヒートが粘り強く順位を上げ、出来ないウィザーズが意気消沈していく今シーズンでした。

2019/03/24 ウィザーズvsヒート” への2件のフィードバック

  1. ウェイターズ好きです。クリーブランドのレブロン帰還2014年の頃の彼とは比較にならないくらい大幅に向上してます。あのNYK戦はあれでした。元来シュートに自信があると見え、とにかく打ちまくりますがOKC加入以降はよく決めます。成功率は持ち出さないけど別人です。セレクションやIQが総じてぐんと伸びました。

    もう3年前ですね。WCFでは、ベンチから出て、2人がいるときはスペーサーで3メイン、どちらかが不在の時間帯には特に積極的にトップに出てメイクや1ピックでドライブで立派に代替、これらを空気を読みかつ若手として降る舞いながらこなしました。守ってはカリーやトンプソンを追いかけて。体格使って体を当てて守っていた気が。外回りできなくないと思うけどマイアミも考えますね。

    マイアミで怪我前に対GSWで決勝点決めてますが、前述通り2016年にはトップクラスの試合のインテンシティ(でいいのかな。)を有してました。対トンプソンで問題ないし、グリーンをベースラインに突破してボースハンドポスタライズ?するだけのものは既に。ウェイドの次の時代のSGと言われていましたし。体型はユニークですね。高さがなくて、太っているのか筋肉質か。でも懸命にハードワークしますよ。

  2. ウェイドのファンなのでヒートの記事うれしいです。
    >そこにガードだけどセンターみたいな体形のウェイターズが加わるのですが
    ここ笑いましたw
    2019年に入ってからは特にですけど、ウェイドは今の使い方ならまだまだ戦力になると思うようになっています。でも惜しまれてる時に引退するのも幸せですよね。来年やったとしても今年のような印象的な活躍できるかわかりませんし、膝はマジヤバイみたいですし。
    でもゲームじゃなく人間がやってることなんで、信頼って大事だなーと。大事な時間に絶対に自分にボールを渡してくれる信頼があるとスーパースターと言われる奴らはまさに神通力を出してくる。ネッツのディアンジェロもそうなのかなと。
    ウィンズローが離脱したけど、ドラギッチの調子が上がってるので助かりますが、最後は総力戦でプレーオフでウェイドの雄姿が見たいです。
    ところでなぜウェイドだけ様づけなんでしょうか?笑

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