2019/02/23 ラプターズvsスパーズ

トロントのレジェンドが帰ってきた

選手紹介ですさまじい大歓声に迎えられ、ボールを持っても歓声があがるデローザン。9シーズンにわたりラプターズを支えたエースは、世界のトッププレイヤーとトレードされたわけですが、ラプターズの成績を考えるとレジェンドを失うほどの成果には繋がっていないよね。
前回はサンアントニオでの対戦で、トリプルダブルするデローザンによって大勝利したわけですが、別にラプターズ側にはリベンジ魂なんてないだろうし。

試合は前回と同じく、スパーズのチェイスディフェンスを逆手に取るように、両コーナーいっぱいまで利用したラプターズのパッシングが機能し、3Pアタックでリードを奪います。
ここでレナードは殆ど目立ちません。ラプターズはエースがボールを持つとパッシングもオフボールムーブも止まる悪癖が出来てきたので、エースが持たないほうが効果的なオフェンスが出来るんだ。

さらにベンチからガソルが登場します。これも見たかったポイントですね。あぁ弟の方ね。
ガソルはイバカよりもずっとパスが上手いので、パッシングを加速させます。しかし、実はシュートの効率性はそんなに高くないので自分がフリーにされて外してしまうシーンも。オフェンスリバウンドも強いわけじゃないし、パッシングの面では役に立つけど、ハードワークが大切なこのチームのインサイドを支えられるのか。
イバカと交代したガソルはセカンドユニットになると、再びベンチに下がります。ニック・ナースの考え方はシュート力の高くないベンチユニットの中にいると足りない要素が多いって事なのか。

デローザンだけでなくパートルへのトリビュートも流れますが、選手としての格は下でもハードワークで献身的な走りと運動量で周囲の選手を助けてくれていたセンター。
バランチューナスもしつこくオフェンスリバウンドをとっていたし、このタイプのセンターが消えてシューター役みたいなことを好むイバカとガソルにしたのは、この先どうなるのか。

ラプターズはさらにパトリック・マコーにジェレミー・リンが出てきて、もう別のチームです。まさかベンチメンバーがこんなに変更されるとは想像できなかったな。
ヴァンフリート不在なのでリンの獲得はラッキーだと思いますが、ガソルの個人能力ではなく、チームの総合能力でメリットがあったのか考えモノのトレードでしたが、その不安が的中するようにスパーズが同点に追いついた1Q終盤。
それをガソルと交代で再び出てきたイバカの3Pで何とか3点だけリードを持って1Qが終わります。ラプターズのセカンドユニットは弱いよ。

◉ダブルPGと予定通りのローテ

スパーズはデリック・ホワイトが帰ってきました。前回の対戦では見事にレナードを封じ込んだホワイト。そのディフェンスはチェイスの上手さと危機察知能力の高さです。でもレナードがボール持たないなら、あまり活かされない。
一時期、とても強かったスパーズですが、ホワイト離脱によって一気に弱体化しました。まぁいたときも怪しくなっていたんだけど。

オフェンス面ではデローザンとホワイトのダブルPGです。突破型のデローザンと周囲を観るタイプのホワイト。同時にプレーしても機能するし、交代で出てくるとチームオフェンスに変化が生まれます。
小気味よく、それでいて少しずつ予想外なホワイトと、突破力あるけど全く無理せずパスを出していくデローザンでスパーズのオフェンスはなかなか魅力的。
しかし、どうにもシュートが決まらないので得点が伸びません。シューター役を揃えたわけだから、しっかり決めたいところ。

アヌノビーの3Pもあって、再びリードされたスパーズですが、デローザンの360°レイアップが決まるとバータンズ、ベリネリの3Pで逆転します。
全く無理していないオフェンスは良い流れですが、最後の3Pが決まるかどうかで大きく変化してしまうわけだ。無理しまくって得点してしまうチームもあるわけだから、難しいよね。

ラプターズのパッシングが止まり始めたので、レナードをつぶしに行くシーンも出てきて明らかにスパーズの方が良い時間帯になります。ところが、あまり続かないオフェンスでリードはほんの数点。
そしてスパーズは「予定通り」に前半の終わりはセカンドユニットにします。それでも得点は取れたけど、守り切るのが難しくなり、シアカムがパスアウトでグリーンのコーナー3Pにすれば、自らもラウリーのパスを受けてコーナーから決めて1点差にして前半が終わります。

前半終わりに何回か、インサイドのレナードというシーンがありましたが、総じて目立つことなかったエース
ムリしないオフェンスの中でインサイドの強引さもなかったオルドリッジ

しかし、確実にシステムの中にあるのはオルドリッジの方です。そこが決まるなら一気にスパーズペースになるはず。ペースになったらレナードが個人技アタックになるので、両チームはいろいろと変化するはず。
そんな変化を楽しみたいのだけど、さてどうなるかな。

◉親友同士の戦い

デローザンの3Pで始まる後半。よく考えたら本日の主役によるクラッチタイムのエース勝負ってのが本命か。デローザンにクラッチタイム。

試合はそんなデローザンの親友によって動かされていきます。マイボールになってからの判断が早いラウリーは、前を走るシアカムを見つけてパスを出すと見事なユーロステップフローターで答えるシアカム。
そしてシアカムがデローザンとのマッチアップになったのを見逃さないのもラウリー。ラウリーがいると輝くシアカム。
そうやって周囲にトランジションさせたら、すかさず自分がそのままレイアップするんだラウリー。たまらずタイムアウトになるスパーズ。

今度はシアカムからレナードへのパスが連続して決まり、ガソルのパスアウトからグリーンも3P。一気に動き出したラプターズのオフェンス。きっかけを作るのは大体ラウリー。
苦しくなってきたスパーズはデローザンとオルドリッジの出番が増えてきますが、ゴール下に収縮するラプターズなのでオルドリッジはパスアウトするしかない。でも、そこからシュートを打ち切れません。
それでもデローザンがドライブで攻略すれば、パスアウトからミルズが飛び込んでキックアウトし最後はバータンズの3P。オフェンスは何とかしていくスパーズ。

ラウリーvsデローザンという構図は、次第にデローザンが上回り始めます。ドライブ能力にパスが加わったデローザンと、それに慣れてきたスパーズの面々。
さらにタイムアウト中にニック・ナースが2つのテクニカルで退場し、スパーズが逆転します。スパーズが強かったとみるべきなのか、ラプターズがペースをキープできなかったとみるべきなのか。

3Q残り3分からパートルがピック&ロールからダンクを決め、ガソル弟もピック&ロールからダンクを決め、お互いのディフェンスが止めるべきポイントを変更してきたことで、インサイドも空き始めました。
スパーズが3点リードで終わった3Q。それぞれのガードから始まるパターンが機能し、それ故にディフェンスも変化を求められたけど止めることが出来なかったのでした。

◉親友か、レナードか

休ませていたホワイトのパスゲームに移行したスパーズは、軽やかにシュートを決めていきます。キーになったのはガソル弟のディフェンス。中途半端にヘルプに行っては、自分のマークマンにパスを通されイージーシュートを決められました。そしてファールばっかりしてベンチへ。
「グリズリーズなら・・・」と言いたくなりそうなガソル。周囲がフォローしてくれて成立していたのであって、かつてのDPOYであっても個人で止めきることは出来ません。

これで一気にスパーズペースになりそうだったのに、ジェレミー・リンがミドルを決めまくります。ボール持ちすぎてチームオフェンスにリズムを生み出せていないリンなのですが、それを上回るほどに決めてしまった。
そしてレナードが出てくるとフリーになったアヌノビーにパスを出して、3Pで6点リードに。ところでアヌノビーは3P3/3と乗っています。でもリンはFG4/11と自分で打つことを優先しています。
リードを奪ったけど、本当にそれで良いのかラプターズ。ガソルの機能性と合わせて、セカンドユニットにどんなチームプレーをさせるのか考えないといけません。

デローザンとオルドリッジを戻したスパーズは、そのデローザンがレナード相手に&ワン。ドライブからキックアウトしてベリネリ3Pで点差を縮めます。
それを脅威と感じたっぽいのはラウリー。早めのヘルプでパスを出させると自ら追いかけてローテーションを間に合わせます。そしてデローザンとの1on1も止めます。

ラプターズはここまで出番の少なかった。レナードによる個人技勝負を使い始めます。デローザンとの勝負でタフミドルになったのに決めてしまったレナード。
残り3分までチームオフェンスをしっかりと構成し、そしてクラッチでのレナードってのは否定する要素ゼロです。それが出来るのはラウリーがいたからなのか。

スパーズはデローザンとオルドリッジにします。しっかり決めた2人で1点差で試合は時間が減っていきます。
シアカムのファールからフリースローを決めたバータンズですが、シアカムはリバウンドを押し込んで残り1分。デローザンはドライブでリングを通過し、ベリネリへキックアウト。これを3Pで決めたスパーズが2点リードに。最後までムリしないデローザン。

ラプターズはレナードにやらせたいのですが、みんな寄ってくるのでパスアウト。コーナーでボールを持ったラウリーがショットクロックがなくなる中で慌てずイバカに渡しファールを貰います。でもフリースロー1本外したイバカ。

1点リードの残り26秒でボールを持ったデローザン。時間を使い切ってシュートを打てばほぼ勝利です。かといって、フリースロー打たせるのも違う気がするラプターズ。
レナードがフルコートでプレッシャーをかけますが、そう簡単には取れないよね。

って、思ったらすごい勢いでヘルプにきたラウリーが、走ってきた勢いのままボールを奪い、レナードの速攻にしてしまいます。
あぁ恐ろしきラウリー。ラウリーの手のひらで踊らされたようなデローザン。なんでそんなディフェンスが出来るのか。

とはいえ残り17秒あるのでデローザン勝負のスパーズ。スイッチさせてvsグリーンのデローザンはドライブしますが、体制が十分じゃないと判断し、一回バータンズに戻してリポストを要求します。
しかし、時間も気になる中でバータンズは自分でドリブルで移動し、流れながらのミドルを選んでしまいます。「また弱気だったデローザン」かと思いましたが、パスしてすぐにポジション取っていたので、むしろ冷静だったのにね。

長くチームを引っ張ってきたレジェンド・デローザンの帰還は、ともに歩んできたラウリーによって止められたのでした。

デローザンの脅威を感じていたようなラウリーと、ラウリーに止められたデローザンと。

◉それぞれに悩みもある

ラプターズはやっぱりラウリーがいると違います。レナードに頼ることなくチームオフェンスを展開するだけでなく、素早い切り替えと冷静な判断でシアカムを活かしてくれました。なお、自分で打ち始めると暴走することがあるのも忘れちゃいけない。

どうにもレナードがボールを持つとオフボールが止まり、パスも回らなかっただけに、ラウリーいるだけでこんなに違うのかと。
その一方でセカンドユニットは悪化の一方です。バランチューナスがケガで離脱してから苦しみましたが、ガソルとリン、マコーの加入でチームとしてはバラバラ。パウエルだってはじめはローテ外だったわけだしね。

これで良いのか悩ましいわけですが、勝つためには必要な変化と考えたわけで、ここを何とかするのか、それともプレーオフになればスターターへの依存度を高めつつ、そこにガソル・アヌノビー・ヴァンフリートで勝負する8人ローテを見据えているのか。
今の内容ならば昨シーズンのチームの方が強かったわけで、デローザンロスになりそうですが、欲しいのはプレーオフの勝利です。

そのデローザンは、さらにプレーに磨きがかかったというか、絶対に慌てないという鉄の意志みたいなものがあります。ここまで流れるようにプレーできるようになるとは、さすがに想像を上回っている。
そしてチームはハイスコアに持っていけたのだから、オフェンス面は細部の悩みはあっても総じていえば、大丈夫かなと。

ところが再びディフェンスは崩れ始めました。もともと苦しかった中で、何とかバランスが取れてきた印象だったけど、再びって感じです。
何が苦しいのかといえば、リンにミドルを決められまくったように要所を止める対人のディフェンス力不足です。エースキラーが欲しいわけだ。
カイル・アンダーソンとデジョンテ・マレー。それをどうやって埋めていくのかっていう作業が続いている今シーズンです。答えは出なさそうだよね。本当はパートルではなくアヌノビーが欲しかったのだろうなぁ。

ちなみにグリーンについてはホワイトで代役にしているという捉えています。対人というよりも追いかける役割。
ポポビッチはデローザンが勝負する相手をグリーンに定めていました。1on1は突破できると踏んでいるわけだ。

オフェンスだけ見たら今の順位は低いスパーズですが、ディフェンス次第って事なのだと思います。キングス、レイカーズ、クリッパーズとどこもディフェンスがね。
一時期守れるようになったから、他のチームよりも上にいるわけで、再び安定感を取り戻すのか、それともプレーオフ争いに巻き込まれるのか。

2019/02/23 ラプターズvsスパーズ” への8件のフィードバック

  1. 自分は最初からバランチュナスの高さを失ったのはマイナスだと思ってました。身長がどうこうの問題では無いのにそう言ってマルクは高さを補えるとか言ってる人の多さに驚くばかりです。

    1. ガソルに高さは無理ですね。走れないし。そもそもリバウンド数少ないのに。
      バランチューナスはプレータイム換算すると、稼いでいるので。

  2.  スパーズはホワイトが怪我から復帰した試合で、負けはしましたが、ロデオロードトリップが始まってから一番出来の良い試合だったと思います。デローザンはトロント凱旋でメンタルは大丈夫かなと心配していたのですが、ダンカンのような安定感のある素晴らしいパフォーマンスでした。最後は残念でしたけど、仕方ないかなと思います。
     兎にも角にもディフェンスの良いマレーの全休がスパーズには痛いです。フォーブスも頑張っているんですが、マレーが健在だったら今より10勝ぐらいは多く勝ってるんじゃないかと、競り負けるたびに思ってしまいます。

    1. マレー不在はポポビッチが一番感じていそうです。
      大きく失われてしまったのがエースキラー不在による戦略性で、ディフェンスであれこれ出来なくなっています。

      フォーブスはシューターですしね。デローザンがいなければプレータイムもらえなかったかも。

  3. 今日のセカンドユニットは弱かったですね。ヴァンフリートが戻ってきてどうにかなるのか…。新加入も多いのでこれからケミストリーを構築してほしいですが、もう残り試合も少ないしどうなるのか。
    アヌノビーはオールスターの少し前から復調してきているのでもう少しボールを持たせてほしいです。

    1. もっと単純にアヌノビー推しでガソルとコンビにするとかで良いと思うのですが、リンもパウエルも強気だしなぁ。って感じです。
      残り試合を考えると8人ローテが現実的なのですが、それをするにはインサイドのハードワーク不足もちょっと不安

  4. 「要所を止める対人のディフェンス力不足」
    今シーズンのスパーズのディフェンス問題はまさにこれ。加えて、トランジションディフェンスですね。あとはリバウンドも弱いんですけど、オフェンスリバウンドに関しては早く戻ることを優先して積極的には取りにいっていないのだと思います。でもディフェンスリバウンドに関しては、トランジションオフェンスが得意でもないのに弱いので問題です。対人ディフェンスとリバウンドは個々の能力に頼る部分が大きいので今シーズン改善することはないだろうと踏んでます。諦めたくはないけど仕方ないですね。

    管理人さんはデローザンとオルドリッジの無理をしないオフェンスを好意的に評価されているようですが、ファンとしてはチームオフェンスが停滞している時は強引に決めきるプレイをもっと見せて欲しいと思ったりします。その二人よりゲイの方がそういったプレイを多く、エースとしては少し物足りないかなと。プレイオフを見据えると、両エースの個人の爆発力も必要になってくると思うのでその部分はもう少し頑張って欲しいところです。

    1. トランジションは結局改善していないってのは難しい話です。

      デローザンはもっと強引にいっては失敗するイメージだったので、そうではなくてスパーズ的な流れを徹底し、落ち着きを持って終盤に望めているのは高く評価しています。見事にラウリーに潰されましたが。
      オルドリッジの方はデローザンとの共存で、その部分に苦しんでいるようにも感じます。ミルズあたりとやる分には、自分がスペースを持って望めているので、なかなか難しいのではないでしょうか。

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