2019/01/22 ジャズvsブレイザーズ

噂のブレイザーズ

何かの手違いでスターターじゃなかったゴベアーが11秒で交代出場した試合。この6試合がルビオ不在で全勝だったジャズはドノバン・ミッチェルが週間MVPにも選ばれるなど、やっとこさ調子を上げてきましたが、試合を観ていません。
だけど、ルビオを酷評していたので不在で連勝というのは理解できるわけでもあります。一方でミッチェルが大活躍しているのは3P41%と「たまたま決まっただけかなー」予想もあったのですが、試合が始まると明確に進歩しているのでした。

ルビオをベンチに置いたジャズは、ミッチェルがレブロンみたいに、もといドンチッチみたいにボールを長く持ってチームオフェンスを形成します。多少のミスがあっても構わず、ハンドラーとしてプレーメイクしていくので、我の強さを出すべき時期になったということでしょう。
その一方で、ジャズのオフェンスがミッチェル頼みかというと、そうでもない印象です。それがマブスやロケッツと何が違うのか観察していると、ひとつにはミッチェルが殆どボールを止めないことで、ドリブルでアングルを変えながらだったり、ショートパスやハンドオフを使いながら動いてリターンをもらったりを繰り返しています。
周囲はミッチェルに合わせて動きますが、正確に言えばミッチェルではなくディフェンスのアクションに応じて判断しているので、ハンドラーの判断待ちとは違います。

ルビオではなく、全ての起点がミッチェルになったジャズは、より安定したオフェンスを構築できるようになっており、加えてルビオが不在でクラウダーとオニールが出てくるのでディフェンスも向上していて、ファーストブレークもでてリードを奪います。

◉噂のブレイザーズ

DMで「最近のブレイザーズがとても良いので特集してほしい」とリクエスト頂いたのですが、こちらもあまり見ていないのでした。
しかし、試合開始直後から噂の改善事項を発揮してくれ、バックドアで抜けていくプレーを連発します。確かに鮮やかな連携になっているのですが、思い返してみれば「ヌルキッチが裏抜けに合わせるパスが不正確」ということで、ちょっと話題にしたことがありました。
同じようなパスだけど、今はしっかり通るようになっており、開幕から続けてきた形がヌルキッチに成長を促したと捉えることが出来ます。ポスト役のヌルキッチに預けて、空いたインサイドへカッティングしていくシンプルながら、リラードやマカラムのシューティングを考えれば有効なプレーです。

だけど単にヌルキッチが上手くなっただけで成功するわけがなく、観ていて感じるのはパスのアングルの変更です。ヌルキッチがボールをもつポジションがトップに近づいたことで、パスに余裕が出来てきました。
またアミヌとハークレスのポジションが修正されている印象で、インサイドヘルプを減らしたことで、よりパスが通るスペースが広がりました。テリー・ストッツは細かい修正を施してくるイメージがあるので、ダメだった部分を見極めたと言えます。

そんなわけでミッチェルによりリードしたジャズでしたが、ルビオと交代すると、そもそも悪くなかったブレイザーズが逆転して1点差で1Qが終わるのでした。見ごたえがあった1Qだったよ。

◉ディフェンスのチーム

3Pは決めたけど、ミスも多いルビオということもあって、停滞し始める2Q。しかし、もっと悪かったのがブレイザーズのセカンドユニット。どうしたことか、いつものことか。
ミスを促すのはオニールのディフェンス。この選手もなんでシーズン前半に停滞しているのかわからないけどさ。お得意のディフェンスではボールマンへのプレッシャーだけでなく、逆サイドへのパスを読んで触ったりと活躍すれば、そこから走っての速攻レイアップ、コーナーから3Pも決めリードを広げていきます。
ミッチェルのシュートが決まらなくなるけど、外れたところをプットバックするクラウダーで9点リードに。

強さを発揮したジャズですが、ブレイザーズがスターターを戻すとミッチェルをヌルキッチがブロックした上、リラードがドライブを仕掛けてミッチェルの3つ目のファールを引き出し、ベンチへ下げさせます。
これで大きく流れが変わることに。相変わらずジャズのディフェンスに苦労するブレイザーズですが、それに劣らずブレイザーズのディフェンスに苦労するジャズ。コーバーのアウトサイドくらいしか攻め手がなくなります。

ブレイザーズはあまりアウトサイドから決まらなかったけど、合わせのプレーにドライブと切り崩すシーンは出てきて前半が終わるのでした。ジャズが7点リードだけど、崩し始めたのはブレイザーズでしたよ。

◉マカラムとヌルキッチ

前半は沈黙していたマカラム。しかし、マークがファールトラブルのミッチェルなら強気に攻めましょう。ってことで、早速3Pを決め、ドライブレイアップも続きます。マカラムのソフトタッチが決まり始めると止めるのが難しい。
しかし、決め続けるのはミッチェルも同じ。フェイクでかわしてのジャンプシュートがあれば、3人引き付けてゴベアーにアシスト。カーメロ、AD、リラードの3人が2年目の時よりも得点を取っているミッチェル。ワガママになってきたぜ!

オフェンシブな戦いになって互角で進みますが、前半からヌルキッチ周辺でヒートアップしていた中で、全くファールコールしてもらえないゴベアーがフランストレーションを溜め、クラウダーがテクニカルをコールされたころから流れが変化します。
リラードがひきつけてのヌルキッチパターンが決まり始めるブレイザーズ。しかもキャッチミスしても持ち直して飛ぶとゴベアーのファールになって、なおさら嫌な雰囲気に。

それでも3Pを決めるミッチェルで対抗できていたのに、またもヌルキッチのアシストからバックドアカットのマカラムに渡り、ミッチェルが4つ目のファールをしてしまいます。
ルビオを中心にオフェンスでは何とか対抗していくも、ヌルキッチを止められなくなったディフェンスを補えるほどではなく、次々にインサイドを攻略されてしまいます。

3Qだけで17点を奪ったヌルキッチ。その活躍は素晴らしかったものの、なんでそんなにジャズのヘルプが機能しなかったのかは気になるところです。普通ならジャズの問題ととらえますが、事前に「最近のブレイザーズが良い」と聞いていたこともあって、オフェンスでのポジショニング改善が気になります。
単純なピック&ロールでリングにダイブするヌルキッチに対して、ジャズのヘルプは遠い位置にいるため間に合いませんでした。この微妙なスペーシングが改善しているブレイザーズというわけです。だからこそバックドアも通る。
そしてレイマンがブザービーターを決めてスペーシングのとどめが3Pという理想的な形で4点リードした3Qでした。

◉追うエース、締めるエース

早めに休ませていたマカラムを混ぜたセカンドユニットでしたが、クラウダーの3Pで早々に逆転されます。ジャズが分離型ではなくスターターとベンチを混ぜる形ということも、戦力差を生み出している要因です。
しかし、悪いことばかりは続かないし、良いことばかりも続かないもので、ここからブレイザーズはシュートだけは上手いレナードが連続3Pを決めたのに対して、ジャズは全く決まらなくなります。
これの怖いところは、それまでセンターのヌルキッチがリングへ飛び込んでくる事への対処に困っていたジャズなのに、今度は3Pを決めてくるセンターのレナードに困っていることです。完全に攻略されてしまったビッグマンのポジション。

スターターが戻ってきてもリラードが3Pをねじ込んで、残り5分で11点リードにします。

そこから殆どのオフェンスを自分で打ちに行くミッチェルが次々にファールを貰い、さらに時間をかけずにレイアップまで決めていきますが、タフショットで返すリラードと空いたところでしっかりと3Pを決めたマカラム。
36点5アシストのミッチェルに最後まで苦しめられたものの、エース達が時間と点差をコントロールし、残り40秒で4点差にされても慌てることなく、2ポゼッションゲームでクローズしたのでした。

◉エースが良いと違うね

ブレイザーズが良いと聞いての試合でしたが、確かにオフェンスのスペースバランスが著しく改善していました。この差は出来そうで出来ない差なので、何が可能にしたのかはちょっと難しいね。レイマンがプレータイムを得ていたのは、少し関係していると思いますが、それだけで解決は出来ないさ。
バックドアへのアシストをしていたヌルキッチですが、途中から自分で得点していったように、結局のところは「インサイドのスペースを有効活用する」ことがチームとして出来ていたということです。リードを奪ったのがレナードの3Pは出来すぎだけど。

そして、微妙なリードでもしっかりとクローズできるエースってのはすごいね。リラードは26点8アシストなのだけど、そんなスタッツ以上にコントロールしていたのが印象的。
本当に良い選手だよなーと再認識です。勝負強さ以上にゲームコントローラーとしての良さがあるPG。オールスターには確実に選んでください。マカラムはまぁいいや。

そんなリラードを上回る活躍ぶりだったドノバン・ミッチェルなので、こちらも確実に選んでほしいわけですが、得点能力やディフェンス力で上回っても、試合運びの上手さにやられました。
この試合もジャズが優勢でしたが、その意味ではリラードが前半にミッチェルから奪ったファールは非常に大きかったです。あれでファールトラブルにしたことが、ブレイザーズに流れを持ってきました。
こんな部分とは言わないけど、ルビオがコントロールすることで負担を分け合っていたはずのジャズが、ミッチェル頼みにしたら安定するってのがね。ベンチから登場したルビオは創造性あるオフェンスで、良い形も作ればミスも生み出していたよ。しばらくは6thマンかもね。

昨シーズンも1月後半から調子を上げてきた両チーム。共通するのはHCによる微調整が効くことと、試合運びの上手さです。後者で上回ったブレイザーズでしたが、実力的にはジャズって感じでした。
プレーオフまではまだまだ長い。ハードなスケジュールを乗り切って、ケガ人なく上位進出することが求められます。エースもいるし、HCも良いのだから、一皮むけたいぜ。

2019/01/22 ジャズvsブレイザーズ” への7件のフィードバック

  1. ヌルキッチが本当に機能してると感じました。
    オフェンスは以前より力強くなり、パスを捌くこともできます。
    レイマンは地味にお気に入りなので追っ掛けてますが、乗ると手がつけられないタイプ。ただ1on1のディフェンスは得意ではないし、調子に乗りすぎると打ち過ぎるのが珠に瑕。笑
    あと最近はマイヤーズ・レナードがローテーション入りしてます。そこそこの契約で失敗して完全に終わった選手だと思っていたのですが、3pを打ち始め、そこそこ使ってもらってます。ストッツ恐るべし。

    1. 最後が大正解ですよね。ストッツはこのメンバーをよくぞ使えるようにしています。

  2. いつもお疲れ様です。
    よく拝見させていただき、更新を楽しみにしています。
    今回の記事だけでなく、ガードの選手を扱う際に「コントロール型」とか、今回でもリラードが「コントロールした」という表現を使われてましたが、コントロールすることとは具体的にはどういうことなのでしょうか?
    観戦するのが大好きなのですが、実際にバスケをやっていたわけではないので、、

    1. あまり明確には使い分けていませんが、最近のPGはハーデンやウエストブルックに限らず
      「個人能力で打開するタイプのPG」であることが殆どです。

      一方でリラードは、マカラムが好調な時はすべて任せますし、ミスマッチなどが出来たらそこを利用します。ディフェンスの状況を考えながらゲームメイクするタイプなので、「ゲームをコントロールしている」と捉えています。
      もちろん前者のタイプも状況判断はしているので、単に突破しているわけではありませんが、状況判断が武器というわけではありません。

      リラードは得点も多いですが、それ以上に何をすべきなのか判断しているPGです。
      後半に強いのも様々な情報を収集しながら、後半に向けて準備しているのかもしれません。
      またロング3Pなんかが多い反面、ミスが少ないので自分たちに流れが来るのを待つこともできます。そうやって試合全体をコントロールしていると思う選手に対して使っています。

  3. 12月にセカンドユニットが調子を落とすと負けが込みましたが、1月になり何とか持ち直してきました。ヌルキッチは相変わらずレイアップが入りませんが、ハイポストからのピック&ロールとバックドアは有効になってきました。前評判の良くなかったカリーは3P%がNBA1位で効果的な得点をあげています。代わりにスタウスカスはローテから外れ、コリンズ&レナードのディフェンスはザルなのですが、得点をすることでプラスマイナスのマイナスを最小限に食い止めています。肝心のCJは今シーズンはもう戻ってこないのでしょうか?

  4. いつも拝見しております。
    よくぞこのメンバーで戦ってるという指摘に私も同意見です。
    優勝を狙うならば抜本的なチーム改革が必要だと思うのですかどう思いますか?

    1. わりと長所と短所がある選手を組み合わせているので、変えるならリラードとヌルキッチを残して大きな入れ替えになります。リラードが話していたように、長い時間をかけてチームを作ってきたことで今の姿があるので、抜本的な改革は結果につながるまでに時間が必要です。その必要はないかなと。
      ベンチメンバーを整えるのが最大の課題だと思います。スターターは強いわけで、ベンチから効果的な働きをする6thマンが欲しくて仕方ない。

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