2019/01/01 スパーズvsセルティックス

ニューイヤーイブゲーム

◉誰が口火を切るのか

ジャンプボールにパートル。思えばスパーズのスターターで昨シーズンから残っているのはオルドリッジのみ。ポポビッチを信用しすぎる感のあるNBAファンとしては、非常によくないスタートだった今シーズンですが、いろいろと試してきていたように、デローザンというピースだけでなくチーム全体が組み立てなおすのに時間が必要だったのでしょう。
ここ最近は攻守に安定してきました。そう「安定してきた」ので、大崩れすることがなくなり勝率が上がってきているのです。

試行錯誤してきたのはセルティックスも同じ。スマートとモリスをスターターにして解決を図れたようでいて、ケガも頻繁にあるので未だに安定感が足りません。
反省会をしたらしいバックス戦の後はアシストが増えていますが、何がセルフィッシュとされているのかは、ちょっとよくわかんないや。

試合はアーヴィングによる個人技でセルティックスが先制し、モリスも続いていきますが、スパーズのインサイド陣にイージーシュートは打たせてもらえず、そこが機能するからアウトサイドもチェイス出来るようになっており、ロースコアに。
でももっと悪かったのはスパーズのシューティング。セルティックスのディフェンスはもちろん良いのだけど、しっかりとシュートチャンスを作っても決めることが出来ず、オルドリッジ、パートル、バータンズあたりがオフェンスリバウンドをとるけど、やっぱり決めきれずロースコアに。

どちらもディフェンスが基盤にあるので、自分たちの流れにはなっていますが、オフェンスに関してはチームオフェンスが決まらないスパーズと個人技のセルティックスという雰囲気。
こういう拮抗した状態だと個人技側が爆発して優位になることが多いよね。ってことでセルティックスな雰囲気なのですが、なかなか誰も爆発してくれません。

ベンチメンバーになってもヘイワードのシュートは決まらず、ブラウンのダンクはファールで止められ。
ミルズの3Pもやっぱり決まらず、ベリネリには打たせず。ガソルが登場するも明らかに動きも悪く。
しかし1Q残り1分でブラウンが3Pをヒットし、さらにダンクにいったところで再びファールをもらい、まとめて稼いだのでセルティックスが23-17とリードして1Qが終わるのでした。こういう時は個人で口火を切る選手が登場するかどうかだよね。

◉ブラウンとテイタム

スパーズはフォーブスだけがしっかり決めていたのですが、そのフォーブスの3Pが決まらない2Qのスタート。ミルズ、フォーブス、ベリネリ、バータンズ、ガソルってなかなか強気なユニットだよね。シューティング勝負みたいな。
ベリネリが3Pにファールをもらって1点差になりますが、すぐにモリスのミドルでリードを広げると、またブラウンの速攻が決まり元に戻ります。ベンチに戻ったガソルはお気に入りなのかほかの選手をどかしてまでポンデクスターの隣に座っておしゃべりしている。

タイムアウトのスパーズですが、戻るとまたもブラウンの3Pを食らいます。やっぱりこういう守りあう展開だと個人が打開するほうが早い。それにロジアーも3Pで続いて二桁リードになります。
チェイス出来るようになったと書いたけど、チェイスしきれてはいないね。3Pが打ちやすくなているセルティックス。

逆にビッグマンの高さで下回るセルティックスは3Pを狙うのは作戦通りだし、リバウンドではゴール下にしっかりと収縮しています。1回でリバウンドを取り切れないシーンも多いですが、少なくともイージーなシュートにはさせていません。少しでも苦しめようというディフェンス。

2Q半分くらいになっても30点に届いていないスパーズ。しかし、ここでブラッド・スティーブンスはアーヴィング、ロジアー、ブラウン、スマート、ヤブセレというユニットにします。得意の意味が分からない3ガードで、ドライブキックアウトから連続得点されます。すぐにロジアー→テイタムに。ケガ人も多いので、これならまだ理解できる。

途端に守れなくなったわけですが、オフェンスの方はアーヴィングのドライブからブラウンのダンク、そしてブラウンの速攻と取り返したので大けがにはならず。そしてやっぱりアーヴィングとブラウンのラインは相性良さそう。
セルティックスの試合を見るとブラウンの活躍度が高いというか、速攻を生み出す能力があるのですが、あまり信用されていないよね。リードを作ったブラウンが苦しくなりかけたところを救い、ベリネリやデローザンを消すいつもの仕事もして、二桁リードを守ります。

デローザンがベンチに下がり、合わせるようにブラウンも下がるとスパーズが一気に反撃して4点に。何が起きたかというとオルドリッジのターンシュートが決まったことと、バータンズが3Pラインの外でフリーになったこと。そして個人技突破のオフェンスだったセルティックスが、コーナーで待っていたり、オフボールでうまく合わせたブラウンがいなくなってスペースも合わせも足りなくなったこと。

それでもテイタムがディフェンスで追い込んでタフショットを打たせ、ゴール下になったバータンズを後ろからブロック。タフなスピンムーブも決めて取り返し、52-46と6点差にして前半が終わります。リードを作ったブラウンと、リードを守ったテイタム。若手たちの躍動が救った前半のセルティックスでした。


◉連携するオフェンス

ホワイトが鮮やかなフェイクからレイアップ、3P、ドライブと得点していきますが、アーヴィングがドライブにステップバックミドルで返していきます。
オルドリッジがミドルを連発するも、モリス、テイタム、ホーフォードと順番に返していき、縮まりそうで縮まらない展開であり、守っていた前半と打って変ってオフェンスの戦いになっています。
そうなるとチームとして連携しているスパーズが上回りそうなのですが、確率が良すぎるセルティックスのシュートに困っている雰囲気でタイムアウト。

バータンズの3P、ホワイトのドライブで同点にするスパーズ。アーヴィングが簡単にスピードで振り切ってレイアップも、オルドリッジとデローザンが決めてついに逆転します。そしてホワイトはアーヴィングをブロック!
オフェンスは問題ないと読んでいるポポビッチとホワイト。特にホワイトね。ヘジテーションしてしまえば、テイタムとモリスを楽に振り切れると考えていそう。

セルティックスはアーヴィング頼みになっているのでヘイワードとブラウンをいれて、チームオフェンスの色合いを濃くしようとしますが、シュートが決まらず一気にスパーズ7点リードになってタイムアウト

タイムアウトでも流れは全く変わらず、ヘイワードとブラウンのフリーで打ったシュートは決まらず、逆にデローザンとオルドリッジが簡単に決めていき、ゴール下でデローザンのパスを受けたオルドリッジが力強く&ワン
ディフェンスの戦いならロースコアの中で個人が爆発した方が有利だけど、オフェンスの戦いなら限度がある個人よりもチームで連動した方が有利になるよね。
さらにデローザンのドライブからコーナーにいたミルズのキックアウト&3Pです。ここの連携がスムーズになってきたね。

アーヴィングも下げたセルティックスはブラウン、ヘイワード、ロジアーの連携でやっと少し反撃します。ロジアーは連続3P。さらにブラウンのスティールからロジアーの3本目の3Pに。ブラウンのドライブもあって何とかついていきます。連携がよい昨シーズンのメンバー。
しかし、デローザンとパートルのコンビから、遂にフリーで打てたベリネリのコーナー3P。デローザンからミルズのコーナー3Pも追加です。ほとんどが右コーナーで打っており、似たような感じなのに警戒できていないセルティックスディフェンスなのでした。

強豪的な集中力で一気に反撃したスパーズ。勢いではなく論理的なオフェンスだったね。おそらく狙ったのはテイタムのポジショニング。それに終盤はロジアーがヘルプに行き過ぎる傾向を逆手にとったのかな。
セルティックスはオフェンスが好調なうちにディフェンスに手を打つべきでした。ゾーンとかの手段も残っていたじゃないか。92-82はスコアとしてまずいでしょ。

◉急ぎすぎのセルティックス

ブラウンのドライブで反撃しますが、またロジアーの裏を取ったミルズ。積極的すぎるロジアーのアーリー3Pが外れると、十分に時間を取ってから攻めたミルズが3P。ブラウンが1人で取り返すけど、積極性を逆手に取られておりチームとしては経験の差を見せつけられている感じです。

残り8分12点差なので、あとはアーヴィングに期待するしかない雰囲気ですが、早速フローターを決め、更にスティールして3Pを打つと、このシュートが外れるもルーズボール争いでベリネリの腕が顔にあたりマイボールに。
そのやり直しオフェンスをブラウンがファールをもらって点差を一けたにしますがアーヴィングはベンチへ。

モリスやテイタムが決めても、フォーブスやバータンズに簡単に返されてしまいます。時間があって10点程度の差なのであわてる必要もないのですが、アーヴィングがいなくなって代役のロジアーは急ぎすぎ。
それは決して確率が悪いわけではないですが、10点差を追いかけるには確率が悪い。1人でやっているから、次のプレーに連動するわけでもないし。

残り4分半でアーヴィングが戻ってくると、うまく崩してミドル。崩れるからモリスもドライブで続き、プレッシャーに対してはファールをもらいに行きます。やっぱりちょっと役者が違う。ピック&ロールでホーフォードのダンクも生み出します。
しかし、チームとしてはとにかく守れない。オルドリッジのゴール下にバータンズの3P。時間が無くなっていき、急いで打ったモリスの3Pは決まらず、アーヴィング→テイタム→ブラウンと繋いだ3Pは決まる。これで残り1分半8点差。

スパーズはデローザンが時間を使おうとしないんだよね。ただ2回に1回はしっかりとシュートチャンスを作るので、10点差ある中では十分か。
フルコートのプレッシャーディフェンスにも慌てることなくホワイトとフォーブス、デローザンでボールを運び、ファールされてはフリースローを決めて危なげなくクローズしたスパーズでした。

1Q17点だったのに3Q46点で大爆発したスパーズが終わってみればオフェンスの試合を制しました。

〇FG
セルティックス 49%
スパーズ 50%

3Qにフォーカスすると5本の3Pを全て決められたのが痛かったとはいえ、打たれた上にインサイドも破壊されたセルティックスでした。ビッグマンの弱さと言いたくなりますし、実際にホーフォードはオルドリッジに完敗しています。
ただ、狙われたのはテイタムやロジアーのオフボールの部分な気がするので、単に高さの問題ではなくチームディフェンス全体の構築力だし、それだけでなくハイスコアゲームを受けて立ったことが試合運びの失敗です。

スパーズからすると守り切れていないとはいえ、自分たちにリズムがあるのだから悪くはなかったわけで、流れのまま押し切られた印象が強かったです。
スパーズにラッシュされたのだから、徹底してスローダウンしてケガを最小限にとどめておけばよかったのに、その時間に登場するのが積極的すぎるロジアーだから、個人のプレー以上に試合運びの拙さが目立ったのでした。

結局のところ、セルティックスは試合を見ても見ても感想が同じなんだよね。

スパーズとしても守れたとは言い難かったわけで、安定していないじゃないかとツッコミたくもなります。ただオフェンス面は連携がスムーズになっており、デローザンの10アシストも「エクストラパスをしなくても打てる」状態を作り上げていました。
よく「スパーズの鮮やかなボールムーブ」を称賛する人がいるけど、でも本当はキックアウト1発で打てるのが理想だよね。3Pが決まりまくった事情もあって、キックアウトを思い切りよく打てていました。

多くのシューターをそろえてきた今シーズンなので、これが打てるかどうかはチームオフェンスを左右しそう。しっかり打てたのだから会心のオフェンスが出来たといえます。
内容的にも試合運び的にも一枚も二枚も上だったスパーズでした。


2019/01/01 スパーズvsセルティックス” への4件のフィードバック

  1. 新年あけましておめでとうございます。
    今年も記事を楽しみに待ってます。
    スパーズはうまかったっていう同じ感想を持ちました。
    3ガードプラスブラウンはいくらなんでも無理でしょ、ワンポイントでもないなあ。
    あと一つ気になったのはテイタム以外のスタートは30分未満でタイムシェアを意識してたんですかね?
    豪華と言われてる戦力が噛み合う日が果たして来るのか流石に不安になってきました。

    1. アーヴィングの出ている時間が意外と効率悪くて、ブラウンが調子よかったので自然とそうなったんでしょうね。アーヴィングは4Qに少し離脱もありましたし。
      ホーフォードの動きは悪かったけど、スマートをもっと信用しないのか疑問はあります。逆にテイタムをそこまで信用するのもなぜなのか。

  2. カニングハムは良い選手だと思ってたんですが、カニングハムを外してホワイトをスターターにしてからスパーズは良くなってきました。決してカニングハムが悪いわけではないと思いますがホワイトはスパーズ流の戦い方にマッチしているように思います。

    直近10試合のレーティングはオフェンス117.2、ディフェンス103.7。どちらもシーズン全体より約5点改善と素晴らしい結果でした。劇的に何かが変わったとは感じませんが、互いの連携が深まり、チームスタイルやゲームプランというものもやっと定まってきたという印象です。スタッツ的に大きく変わったのは以前に管理人が問題だと指摘していた速攻についてです。失点が減り、得点は増えてきて弱点ではなくなりつつあります。

    個々の選手ではオルドリッジに復調が見られ、ホワイトとポートルが脇役として良さを出せるようになってきたのが大きいと感じています。特にホワイトはディフェンスでは相手エースをマークしたり、オフェンスではドライブを仕掛けて変化をつけたりと地味に良い仕事をしてると思います。

    シーズン序盤はポポビッチなにしてんねんという気持ちでしたがここ10試合で完全に掌返しです。キングスやグリズリーズなど調子が落ちてきたチームもいる中できっちりチーム状態を上げてきているわけですから。この調子で今シーズンはギリギリまで争うことなくプレイオフに進出してくれることを願ってます。怖いのは下にユタがいることです。

    1. ホワイトがスターターパターンは失敗していたのですが、調整がはいって再びスターターになったら、ディフェンス面の良さが際立つようになりました。マッチアップ調整やデローザン近辺のヘルプ方法などを見直したのでしょう。速攻が増えたのはディフェンスが良くなったからかと。逆に失点が減ったのもホワイトとフォーブスを並べる効果でしょうね。
      まぁいろいろ試していたので、当面の着地点をみつけられたのと、逆にデータが増えてきて好調だったチームへの対策が進んだのが大きいかな。これはスパーズ以外にもその傾向があるので。

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