◎ビッグ・フランツ
昨シーズン、マジックで最も長いプレータイムだったのはフランツ・ワグナーの2609分。そのフランツのオン/オフレーティングは圧巻でした。
〇レーティング オン/オフ
オフェンス 111.3/107.1
ディフェンス 110.1/116.2
なんとオンコートは+1.2と負け越しチームで最もプレータイムが長いのにプラスです。逆にオンコートは△9.1なので、フランツがいなければマジックはウェンビー指名権争いをしていたことになります。
フランツがコートにいればターンオーバーが減り、リバウンド獲得率が上がり、シュートは決まるようになり、アシスト率が上がる。いいことずくめの2年目は、その割に主役の座をもらえたり、もらえなかったりという通常営業でした。
それは相手からしても同じでフランツがいれば、オフェンスリバウンドは取らせてもらえず、FG成功率は落とされ、アシストは減り、ターンオーバーは増えていました。大きな差をもたらすフランツですが、本人のスタッツは大したことありません。
〇スティール 1.0
〇ブロック 0.2
〇リバウンド 4.1
〇DIFF 1.8
どれも大したことないでしょ。ってことで、世にも奇妙なフランツ。
圧倒的なチームスタッツを叩き出すが、個人スタッツは大したことない
いかにフランツが気を利かせてチームの穴を埋めてくれているかがわかります。基本的にチームディフェンスは怪しいマジックなので、そこを適時対処してくれる便利屋さん。その便利さを生み出しているのは208センチ100キロの「ガード」ということなので、実はフランツこそが
マジックのビッグラインナップの象徴
というのが現状です。先日のMPJじゃないですが、特殊系のディフェンダーで高さでカバーしまくれるガードって厄介なもんだよね。
当然のことではあるものの、フランツが健康を保って試合に出ることがマジックが勝ち進むための最低条件です。主力のケガがないことが重要なんて当然だよね。ただ、フランツがいなくなると急激に苦しくなりそうなのと、チームバランスを保つのが難しくなりそう。
◎職人たち
ケガをするまではハイパーディフェンダーだったギャリー・ハリスに、ケガさえしなければDPOYだったアイザック。対人でもカバーでも秀逸なディフェンダーであるWCJ。フルツとサッグスのディフェンシブガードもいて、マジックのディフェンスマインドは極めて優秀です。
しかし、これだけのメンツを揃えても不安定だったディフェンスでもあります。マジで見直していくと凄いメンバー。オフェンスの方が不安になるけどさ。
それ以上に不安になるのはケガが多すぎること。ディフェンダーとはケガをする生き物なのかってくらい誰もがケガをしています。ケガしないフランツはえらい・・・ワールドカップでケガしていたな。
ディフェンス力のある若手チームとしてマジックには期待したいものの、いつになっても完成しないチームディフェンスの気もします。ケガと有望株の多さでユニット構成がコロコロかわることもあり、相互理解が足りずにチーム戦術になっていない一面もあります。
ディフェンス力で勝つチームとして、そのディフェンス力を安定させることが出来るのか。最大の弱点がエースのバンケロという状況ですが、そこはバンケロがなんとかするとしても、周囲がケガだらけでは話にならないし。
なかなか浮上しないチームも多いイーストにおいて、波乱を起こす可能性を秘めたマジックです。