U19ワールドカップ ベスト8

U19ワールドカップでベスト8に進んだ日本。アンダー世代は16チームしか
出場権がなく、U17も含めて八村世代以降は予選を勝ち上がることが出来ませ
んでした。それがアレハンドロ・マルチネスがHCに就任してからの1年少しで
U17、U19に出場した上で史上初めてのベスト8です。恐ろしき実績。

今回のU19というかマルチネスになってから重要なのは、ユーロ型のバスケを
していることです。「走れや、走れ」の高校バスケスタイルからはかけ離れてい
ることであり、ハーフコートを組み立てるオフェンスと、相手の出方に対応する
ディフェンスと、日本が信仰してきたスタイルの対極にいる戦い方であるという
こと

加えてサイズでいえばビッグマン不在なのは何も変わらず。ローテーションでは
本来はガードのジェイコブスと、ウイング修行をしているらしい川島がインサイ
ド担当となっており、実質的にはポジションレスなチームです。ここでも高校バ
スケが留学生を連れてくるビッグマン信仰とは離れた戦い方をしています。

ただし、日本では見たことがないスイッチングディフェンスを取り入れており、
ビッグマンはいなくても「小さくないスモールラインナップ」に近い構成です。
この点でも現代バスケ化されているわけで、国内のガラパゴスで意味不明だった
戦術面がグローバルスタンダードな形になっています。これが成功の要因だと信
じたいのが現代バスケ研究所的な。

●不満と結果

今大会はPGが轟&山田から入れ替わり、岡田・ロロ・湧川になりましたが、予
選3試合はPGへの不満が溜まる試合が続きました。昨年のアジアカップで出来
ていたハーフコートの組み立てが消えてしまったことは、選手選考の失敗にも見
えます。ハンガリー戦の岡田は見違えるほど良かったけどね。

しかし、ポイントは「不満は溜まるけど、それでも戦えている」ってことです。
最大の要因はディフェンス。ブラジル戦は1Qに走られてしまい、トランジショ
ンディフェンスの悪さを露呈というか、攻守の切り替えの悪さが目立ちましたが、
以降は慣れてきたのか、バタバタと焦ることなく戦えています。それが多少のオ
フェンストラブルでは崩れないことに繋がっており、同時に小澤・武藤・内藤と
いった地味役が好んで起用されている理由でもあります。

日本では珍しくミスマッチを問わないピックアップで早く捕まえているし、小澤
はピンチの目を早々に積んでしまうファールなんかもしています。いわゆる目に
見えにくい部分でリスクを抑えていることはカウンター合戦になりがちな速攻ス
タイルとは違います。

ハンガリー戦でリードしているのに岡田が個人技ドライブした結果、カウンター
を食らったシーンがありましたが「そのワンプレーが気になる」というのは、そ
れだけ試合を通してトランジションを未然に防いでいるってことであり、ターン
オーバーとは異なる見えにくいミスが少ないってことです。

不満に感じることは多いけれど、ハーフコートでチームオフェンスをする意識の
高さは、チームが大きく崩れることなく戦える形に繋がっており、セルビア戦の
ように劣勢の中でも勝てるチャンスを生み出しています。

高校バスケの速攻スタイルは「イチかバチか」の面もありますが、それ以上に
「個の能力で押し切りやすい」ことでもあり、国内の優秀な選手を連れてきてい
るチームにとっては勝ちやすいのでしょうが、明らかに劣勢になる世界大会にお
いてはデメリットの方が大きく、そしてロドリゲスは史上初めてベスト8へと進
めてしまいました。

ぶっちゃけ組合せの運もあるので、そのまんま「ベスト8だから凄い」ではない
のですが、それでも結果を出せた理由は戦術面にありました。アフタータイムア
ウトとか酷いから采配は怪しいんだけどね。

U19ワールドカップ ベスト8” への2件のフィードバック

  1. スペインには練習試合でボッコボコにされてるので、もう間に合ってます笑
    練習試合ではスペイン以外にもブラジルなどともやりましたが、スペインの完成度は群を抜いてますね。
    アメリカよりも強いんじゃないでしょうか。
    八村はU17でアメリカにフルボッコにされるも、22得点?して世界にアピールしました。
    負けるにしても川島やジェイコブス、或いは他の選手がアメリカ相手に何らかの爪痕を残して欲しいものです。

    余談ですがwhynotさん的には、ホーバス、アレハンドロ、ロイブルの誰にフル代表の監督させますか?

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