解任第1号
ペイサーズに勝った後、ネッツから離れることになったスティーブ・ナッシュ。この夏はデュラントによる「GMとHCをクビにしろ」から怒涛のオフを過ごしたわけですが、その結果がオフは乗り越えたけど新シーズン7試合でクビという割と謎のムーブでした。
これで前任のアトキンソンに続いて、内部反乱みたいなHC解任劇となりました。ここはプレイヤーズ・リーグであり、HCは選手が気持ちよくプレーするために存在すると言わんばかりの動きです。
ナッシュについては「特に何もしていなかった」タイプなので、就任からの働きぶりを勘案するとクビでも仕方がない気がしてきますが、正直、このタイミングってのはアンフェアです。2勝5敗という成績をナッシュの責任にできるのでしょうか?
今オフのショーン・マークスは概ね次のような方針で補強をしていった印象です。
①どうせデュラントとカイリーで1on1アタック
②1人ではプレーできないシモンズ中心の設計
③動けないセンターは不要。機動力ウイングを増やす
④マルチディフェンダーを並べる
⑤シューターは揃えてパスアウト3Pを増やす
本当にショーン・マークスがそれを望んだのか
現状のチームの最適解だと感じたのか
あるいはナッシュの希望に沿ったのか
過去の経緯を考えると①~③は考えにくいGMではありますが、④と⑤は従来通りなので、いずれにしても方針としては明確でした。ビッグはPFタイプのクラクストンとシャープのみで、ウイングを大量に設置していきました。
その一方でセスが離脱していたこともあって、PGはシモンズのみでした。カイリー、ミルズ、サムナーとポジションとしてのPGはいても、アシストタイプの代役がいないのだから、このチームは『戦術シモンズ』の構成だったといえます。
〇ベン・シモンズ
6.2点
FG44.1%
6.5リバウンド
7.3アシスト
2.7ターンオーバー
1.2スティール
しかし、当の本人のプレーレベルは低く、アシストこそ稼いでいるものの、7.3のうち4.8がデュラントorカイリーなので、戦術シモンズにおけるアシスト数は2.5しかありませんでした。結局はシモンズがいても、両エースの1on1アタック中心になってしまいました。
その上で本人のアタック力も足りなければ、「本当にシモンズなのか?」と疑いたくなる適当なゲームメイクを繰り返しており、シモンズのパスからは3P30.4%しか決まりませんでした。
〇オフェンス平均移動速度 4.37
ルーキーシーズンは5.12もあったシモンズのオフェンス時のランニングは大きく減りました。それはシモンズの責任だけではありませんが、ネッツが機動力タイプとシューターを揃えたにもかかわらず、シモンズ得意のトランジションゲームを仕掛けられなかったことは、ナッシュに全ての責任を押し付けることはできません。
『戦術シモンズの失敗』の責任を取らされたナッシュ
シモンズが悪いのか、1on1するカイリーとデュラントが悪いのか、はたまたロスターに偏りがありすぎたショーン・マークスが悪いのか。少なくとも渡邊には責任ゼロだ。
誰が悪いのかはわかりませんが、コート上で起きているプレーを見る限り、現状のシモンズのプレーレベルでは良い戦術を作るのは難しく、かといってそれ以外に手法がないロスター構成なのだから、どんなに優れたHCでも手の打ちようがありませんでした。
これを7試合でクビにされるのはアンフェア。あまりにもアンフェア。スケープゴートにされた感があるのでした。だから今回の解任劇はチームへの刺激策以外のメリットを見いだせないのでした。
ただし、ナッシュが就任してからの采配を見ればクビにする理由に溢れているけどね。昨シーズンが終わった段階でクビにすべきだったナッシュ。「ウドカを雇えそうだからクビにした」疑惑も出てきてしまうよね。
戦術シモンズをしようにも、センターがクラクストン、シャープと(スリーの無い2人)だったのが、致命的だったように感じます。
セス、ハリスの序盤離脱もありましたが、スペーシングが乏しいことで、シモンズから生まれるのがドリブルハンドオフ程度で、カッティングやロール等の多様性に限界があったのは補強の失敗とも言える気がします。
ウドカが2ビッグでホーフォードを起用したように、デッドラインでの動き次第で優勝も見えてくるように思います。それこそ昨季のBOSのような飛躍を期待してます。