さようならナッシュ

当ブログでは神格化されている稀代の戦術家ケニー・アトキンソンの細かすぎる采配に反乱を起こしたネッツの面々。シーズン中に辞任したアトキンソンの後をうけ、残りのシーズンはジャック・ボーンが受け持ちました。

ただし、この時カイリーは離脱し、デュラントはシーズン全休だったので、実質的に2人はプレーしておらず、謎の多い辞任でもありました。いずれにしても選手側がHCの采配に不満を持っていたことからスタートしただけに、後任にはカリスマを求めた印象です。

ウォリアーズで「デュラントが唯一リスペクトしていた」ともいわれたナッシュを引っ張ってきたネッツですが、当時はそのチョイスにカイリーがクレームしていたとも言われています。なんだか就任前から大いに危ういレールを走らされていました。

シーズンが始まると早々にハーデンのトレード劇に巻き込まれました。他のチームのスターのワガママに振り回され、ネッツは大量の若手と指名権を放出してビッグ3を結成します。

問題はこの時にルバートやジャレット・アレンがいなくなり、ディンウィディも離脱していたことから、アトキンソンの残り香がジョー・ハリスのみになったことでした。

元々、戦術的に怪しかったのに、連携が構築されていたメンバーが消えたため、シーズンが始まってから「作り直す」作業に追われたことです。ましてや個人で構築出来てしまうハーデンの影響力の大きさは、本当に「作り直し」でした。

それでも、このシーズンはACに師匠ダントーニがいたことで、わかりやすく「個人アタックを活かすオフェンス」が作られていきました。それはサンズ時代にナッシュが中心となって実行していたことであり、ロケッツ時代にハーデンが進化させた戦術でもあります。

ちなみにウドカもACでいました。何故かHCに選んでもらえないジャック・ボーン。

〇20-21シーズン
デュラント 26.9点 FG54%
カイリー  26.9点 FG51%
ハーデン  24.6点 FG47%

デュラントは離脱しまくっていたシーズンなので、3人が並び立っての成績ではありませんが、スペーシングが徹底されていたため、ビッグ3を中心とした個人技アタックから展開するオフェンスシステムは確かに存在していました。それはチームスタッツにも明確に表れています。

〇20-21シーズンのネッツ
FG 49.4%(1位)
3P 39.2%(2位)
アシスト 26.8(7位)
ターンオーバー 13.5(13位)

お世辞にも「最強チームだった」とはいえませんが、リーグ4位となる48勝24敗と好成績を残したネッツは「リーグ最高のオフェンスチーム」でした。個人技、個人技といいつつもアシストも多いし、効率の良いシュートをセレクトしていくチームでした。

これをデュラントがシーズンの半分以上となる37試合も欠場しながら達成したのだから、そのポテンシャルは偉大でした。むろん、ディフェンスは大きな弱点でした。

〇ディフェンスレーティング 113.1(22位)

シュートが決まりまくっているのだからカウンターを食らわないはずですが、それでも守れなかったわけです。しかし偉大過ぎるオフェンス力だけで勝ち切っており、優勝候補の一角として考えられていました。昔のダントーニな匂いがプンプンしていたね。

結局、プレーオフは例によって離脱者が出ており、ケガを押して出場したハーデンが「ゲームメイク能力のみ」しか発揮できない状況でも、優勝したバックスを追い込みながら散りました。

ネッツファンからしたら「健康ならば・・・」と思ったでしょう。しかし「健康で過ごせるはずがない」のも当時のネッツの特徴でした。当時じゃないね。今でもだ。

シーズン中はそれぞれが適度に離脱したことでどうにかなっていたものの、ナッシュの主力酷使の采配はプレーオフを勝ち抜く采配ではありませんでした。

主力だけでなく「困ったらジェフ・グリーン」というワンパターンなカードの切り方と、「穴が合ったらブルース・ブラウン」という便利屋さんで構成されていたことも忘れてはいけません。

優秀なACの存在が戦術を成立させていたが、采配の拙さが目立った

それが1年目のナッシュでした。この時点でクビにしてもよいくらいの采配だったのですが、「ケガさえなければ優勝できた」というイメージが植え付けられていたこともあり、実質的にクビにするのは不可能だったともいえます。

そして2年目になるとAC問題がハッキリと出てきてしまいます。

怒涛の2年目 ⇒ ⇒ ⇒

さようならナッシュ” への1件のフィードバック

  1. 戦術シモンズをしようにも、センターがクラクストン、シャープと(スリーの無い2人)だったのが、致命的だったように感じます。

    セス、ハリスの序盤離脱もありましたが、スペーシングが乏しいことで、シモンズから生まれるのがドリブルハンドオフ程度で、カッティングやロール等の多様性に限界があったのは補強の失敗とも言える気がします。

    ウドカが2ビッグでホーフォードを起用したように、デッドラインでの動き次第で優勝も見えてくるように思います。それこそ昨季のBOSのような飛躍を期待してます。

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