◎イタリアの3ウイングビッグ
ニコロ・メッリ、アキッレ・ボロナーラ、シモーネ・フォンテッキオの3人がウイング&ビッグとして、ポジションチェンジしていくイタリアのバスケは衝撃的でした。スターガード&7フッターが強さを発揮するスタイルが増えた中で、ウイング中心のバスケットを確立しており、八村と渡邊がいる日本もマネしたい・・・けど人数が足りない・・・って感じでした。
やっていることそのものはシンプルです。マッチアップしてくる相手に応じて、3人が役割を変更します。
7フッターにマークされたら3P担当
マークがズレたら空いたインサイドにカットプレー
ガードにマークされたらポストアップ
基本ラインは3Pにあるので、5アウトの形でストレッチしますが、実際には空いたスペースの有効活用が素晴らしく、しかも目まぐるしくポジションチェンジしていきます。
動き回っているにもかかわらず3人がフロアバランスを崩すことはなく、的確に「優位なマッチアップ」を活用していくのは本当に見事でした。そりゃあガリナリをベンチスタートのオプションにするわ!
運動量と連携でディフェンスを混乱させていくスタイル
こんな感じで締めた1年前のオリンピックでしたが、それからフォンテッキオは個人として進化を証明したユーロバスケでもありました。
ステップバック系のスキルがあがったからか、オンボールプレーが増えた気がします。あとはシンプルにシュート力とディフェンスの向上かな。
やや下位互換ではありますが、基本的にマルカネンと似た特徴を持っています。オフボールで動いての3Pに、空けておいたインサイドへのドライブ&カッティング。ポジションチェンジの連続でギャップを作ることと、スイッチ誘導によるミスマッチ利用です。「1on1の強さ」というわかりやすさはありません。
マルカネンとフォンテッキオにとって大事なことは、本来のチーム作りは異なる特徴の選手を集めることで優位性が生まれるのに、このタイプは
同じタイプの選手が集まることで、チームとしての優位性が生まれる
ってことです。複数の選手がオフボールで動いてポジションチェンジしていき、ミスマッチになった選手を活用し、カットプレートシューティングでフィニッシュしていく。サイズがプラスされるマルカネンは違うことやらせても、そこそこは成功したけどさ。そこそこでしかないし。
シューター×シューターで成功した歴史的に稀有な例であるスプラッシュブラザーズも同じでした。もちろん周囲とのかみ合わせが大事で、イタリア式もガードには個人突破タイプだとかみ合わないのでニコ・マニオンはオプションでしかなかった。
ただ、センターを起用できるスプラッシュと違って、インサイドを空けておく点ではセンターがいると難しそうなマルカネンとフォンテッキオの2人では不安がありました。そこにオリニクはベストフィットしそうです。
◎一応、オリニクの復習
別にオリニクについて語る必要はない気がしますが復習です。マルカネンとフォンテッキオに比べるとオフボールムーブは少ない一方で、ダーティープレーも含めて身体を張ったプレーが出来るタイプのビッグマンシューターです。
211センチのマルカネンですが、フィジカルな対応がメインの選手ではないため、センターとしてのフィジカルな7フッター対応をさせるには不安があります。ある意味でフィジカルはオリニクが、高さはマルカネンがカバーすると考えれば、悪くないコンビです。これはフォンテッキオには出来ないこと。
また、いろいろあって加入したロケッツでは4.1アシストを記録したように、オリニクはポストでの起点役もそこそこ出来ます。そこそこです。スクリナーとしての意識も高くガッチリやりますが、ダイブしてのインサイドフィニッシュは弱く、代わりに3Pがあるので、オフェンス時はハイポストの起点+3P担当です。
イタリアのオフェンスをそのまま取り入れて通用するってわけではないのと、いってもガード陣へのフォローも必要なので、オリニクが加わることで
3Pビッグという共通した特徴
ポストでの起点+スクリナーという異なる特徴
この両面の特徴が増えることは、非常に面白そうです。イタリア式は成功しそうな一方で、スイッチして守れるマルチウイングが多いNBAでは、しっかりとマークを剝がしてくれるスクリナーが欲しくもなったので、3人目としてオリニクが加わることはベストフィットです。あくまでもイタリア式の3ウイング&ビッグであり、マルカネンを中心に考えたオフェンスをするならですが・・・。