ジャズが30点差でウォーリアーズに勝ったのは何故か

ジャズがウォーリアーズに30点の大差をつけて勝ちました。その内容を数字を使って振り返ってみましょう。




◉前半を振り返る。

 

◯ペース 101.6

ウォーリアーズといえば早い展開
ジャズといえば遅い展開

そんなイメージですがジャズは昨季までのようなプレーが出来なくなっているので、わざわざ極端にゆっくりプレーする事を好まなくなっています。チャンスがあるなら打つというだけですが。

そして前半のペースはウォーリアーズが好むペースに近いものでした。

 

◯オフェンスレーティング
ウォリ 112.1
ジャズ 133.6

その中でなんだかんだウォーリアーズは平均的な自分達のオフェンスが出来ています。細かい指摘ポイントはあるのですが、トンプソンが高確率だった事もあり、帳尻を合わせています。

問題はジャズのオフェンスが凄まじかった事です。ディフェンス力が売りのウォーリアーズなのに物ともしないオフェンスでした。



◯3P
イングルス 5/7
その他 4/10

ウォーリアーズファンからするとジャズのシュートが決まり過ぎたように見える前半かもしれませんが、実際にはイングルスが高確率だっただけで、チームとして好調だったわけではありません。トンプソンがFG8/12なのでおあいこです。

 

まずイングルス以外の4本は完全なフリーでした。ディフェンスのローテーションミスですが、それを誘発したジャズの上手さがありました。対策出来たともいえるし、ジャズらしいプレーでもありました。

問題のイングルスですが、デュラントがスクリーンで引き剥がされていますが、イングルスのシュート自体は難しいものが多く、ノーチャンスでしたし「そこにそのタイミングでパスが出てくる」チームとしての完成度もありました。

デュラントは途中から厳しくイングルスをマークし、スクリーンかけられる前にイングルスを止めるディフェンスをしました。そこでイングルスが逆サイドのコーナーに走るのですが、ルビオ→バークス→イングルスとパスを繋いだのにピッタリとイングルスに合わせてしまい、追いかけてきたデュラントの指がギリギリ届かないシュートを打ちました。

 

イングルスは5連続決めましたが、このシュートの後は2本外したのでデュラントのディフェンスが効かなかったわけではありません。



◯FG
ルビオ 4/9
ゴベール 4/5
ミッチェル 2/6
フェイバーズ 4/5

得点が多かったのはルビオですが、特筆すべき怖さはありませんでした。攻略していたのは他の3人。ミッチェルはアウトサイド外し過ぎでしたが、ドライブされると速さについていけません。

そして何よりフェイバーズとゴベールを止める手段が何もなかったウォーリアーズ。高さ負けするのはよくある話です。

 

ルビオなんて最後はドライブして外しておけばゴベールが押し込むはず、みたいなシュートだかパスだかわからない放り投げしてました。



ここで問題なのはこの高さに対して、普段のウォーリアーズはどんな対応をしていたのかです。

 

その答えは万能すぎるデュラント。

センターよりも高さがあると言われるデュラントのウイングスパンがゴール下を支えていました。

 

◯ディフェンスリバウンド
デュラント 0
パチュリア 2
グリーン 3

イングルスへのディフェンス対応をしなければいけないデュラントがヘルプとディフェンスリバウンドに参加するのは難しいものがありました。

終始やられていたウォーリアーズではありますが、前半残り4分半の時点では49ー54とわずか5点差です。
その1分後にウエストをトンプソンに交代してノーセンターのスモールラインナップにしています。

そこからゴベールへの対応に苦慮し、結局外から決められるという悪循環で点差を広げられ、前半はジャズが13点リードになりました。



◉3Q

 

◯ペース 113.2
◯オフェンスレーティング
ウォリ 101.7
ジャズ 118.7

3Qは更にペースが上がりますがジャズが5点差で制しました。ウォーリアーズのオフェンスレーティングが低いですが、1つのQに絞れば1、2本のシュートだったりするので大したことはありません。

 

しかし、ウォーリアーズに限っていえば3Qは得意技でレーティング平均120もあります。その点では展開は早かったのに失敗したわけです。

◯3P
カリー 0/3
デュラント 0/4

これだけみれば不調ですが、ジャズからするとグリーンにフリーで打たせた以外はかなり難しい3Pばかりです。それでも決めるのがカリーと言われればそれまでですが。

 

実際に前半から3Pラインの外までしっかりとプレッシャーをかけていたジャズ。その分、グリーンやパチュリアにはインサイドを使われていたのですが、ゴベールとフェイバーズならば遅れて追いかけても止められる計算があったはず。

3Qになるとそんなインサイドよりも、自分達の強みであるカリー&デュラントのシュートを優先した形のウォーリアーズですが、しっかりとマークされながら決めるのは難しい。

 

ウォーリアーズ対策にこのディフェンスは一般的です。素晴らしく決めるウォーリアーズですが、しっかりと追えば確率はちゃんと落ちます。問題は空いてしまうインサイドでイージーシュートをされる事。でも、そこを止められるジャズという構図でした。



 

一方でディフェンスではイングルスへのマークが厳しくなります。それでも空いた瞬間に3Pを1つ決めましたが、デュラントとイグダラにより守られていきました。

 

◯ドノバン・ミッチェル
12点 2アシスト

しかし、ボコボコにしていったのはミッチェル。後半からミッチェルパターンを増やすのはジャズの定番なので、普通なのですが、前半にイングルスとインサイドでやられていたので、トンプソンが単独でミッチェルに対応する事になっていました。

 

それを個人で制していくミッチェル。ただし、正対しての勝負は殆どありません。オフボールでスクリーンを受けて、ボールを持った時点でディフェンスとのギャップが出来ています。

速さと強さのあるミッチェルがアウトサイドシュートも決めるので、ギャップを作られてから守るのは苦しかったトンプソン

 

3Qも攻略されたウォーリアーズディフェンスですが、前半からの修正ポイントを埋めた結果、ジャズがやりたいミッチェルパターンをやり易くしてしまった形です。

ジャズが18点リードします。



◉4Qは適当に

 

点差があるので早い展開でラッシュをかけたいウォーリアーズ。しかし、ミスは出るしグリーンはロング3Pを打つしと、追いかけるメンバーとはいえない選択肢をしていきます。

 

◯リビングストン 0/3

ここだけは決まっても良かったいつものプレーですが、簡単なシュートというわけではないので、致し方なかったかなと。

初めの5分で点差を縮められなかったので、諦めたウォーリアーズ

マギー、ウエスト、カスピを同時起用なんて記憶にないユニットまで使うので、オフェンスで何をするのかわからなくなってスティーブ・カーぶち切れなんてシーンもありました。

大差で負けてて目の前で3P決められてもベンチで笑っているデュラントって何なのだろうか?



◯リッキー・ルビオ
7点 FG3/3 3アシスト

ゲームハイの23点をあげたルビオですが、珍しくシュートが決まった感じがあったのは4Qだけです。ほぼ試合は決まっていたので影響は小さかったです。アシストはさすが。

そんなわけで4Qは終わり。

 

追いかける気持ちが薄かったウォーリアーズなので、実質は得意の3Qラッシュに失敗した時点で試合は終わっていて、酷すぎて変なユニットにして点差が更に開いたというだけでした。

その意味では30点差だけど、20点も30点も変わらないよ、という程度の点差です。



ウォーリアーズ、スパーズ、セルティックス、ラプターズ、キャブス相手に5割以上勝っている勝率5割未満のチームであるジャズ

ゲームを通してみれば、理詰めで納得できるプレーばかりなので相手を攻略するのが上手くて、予想外のチームに弱いのかも。

 

しかし、理論で分かっていても試合を通じて実践できるのは難しいはず。トンプソンにはFG70%なんてスーパープレーされていますし。

特に気になったのはデュラントのオフェンス。全然自分で行かないデュラント。3Pラインの外までプレッシャーかけているということは抜きやすいはず。なかなか抜けなかったカリーと違い、抜けそうなのにパスしていたデュラント

ボールムーブのジャマになると言われがちなのに、ボールムーブさせていたら、それはそれでこうやって疑問になることがあるのでバスケって難しい。

少し感じたのは前の試合がセルティックスでその影響があったかもしれません。ボール回すデュラントもその1つだし、インサイドに苦労したのもセルティックスから急に大きくなっているのが気になるのかも。

カリーについてはスマートを欠くセルティックスがディフェンダーを用意できなくて神がかった活躍をしたのに対して、ルビオが外まで追いかけて止めてしまいました。

グリーンにはドライブでフィニッシュすべきだったセルティックス戦から自らドライブしてフローターを外しまくりました。

トンプソンは逆に大活躍。マギーは出番を貰えたからハッスル。

 

ウォーリアーズは普通にやっているけど、ジャズの対応に邪魔されると何1つスーパーな活躍にならなかっただけという感じでした。まったくアジャスト出来なかった。



ジャズからするとインサイドで勝てるのは計算済みだったはず。そこにイングルスの好調が混じったことが、戦略を優位に進めました。

・ゴベール&フェイバーズはウォーリアーズのインサイドよりもかなり強い

・イングルスが3Pを連発したことで、デュラントを強く引きつけることになり、インサイドコンビがより強さを発揮し易くなる

・インサイドとイングルスへの注意が強く、ミッチェルへの警戒が薄くなり、いつものミッチェルパターンが成功した

大きな勝因としてはこの3点だと思いました。それは他のチームもマネ出来るかと苦しいです。

そしてペリカンズはツインタワーが高さで優位に立ち、ムーアが超高確率で決めるので同じパターンでウォーリアーズに勝てそうなチームだったのですが。残念。

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