◎3Pのスペシャリスト
ドスンムのディフェンススタイルは、基本的に密着マークで相手の動きを制限する形です。ポジションレスに守れるけど、スマートみたいに強靭なフィジカルで対抗するわけでも、ミカルのように鮮やかな先読みでピンチの芽を摘むのではなく、張り付きマークで相手の動きを制限していきます。
スクリナーに対して軽やかにかわすのではなく、マークマンに密着するから「スクリーンをかけさせない」ような形が多いですが、両腕をあまり使わず、体の軸をブラさず、フットワークだけでチェイスします。
そしてパスが来る瞬間に、溜めていた長い腕を伸ばしてスティールするのが上手く、フィジカルに対抗するよりも
密着しながら相手よりも多く動いて、長い腕でボールを奪う
この守り方は意外にもドスンムよりも大きなウイング相手にハマっていました。スピードで抜かれることはないから距離は詰めやすいし、しかもフィジカルに対抗するわけではないので、上手く体を入れ替えてのパスカットも目立っていました。
逆にオンボールのガード相手には、スピードで抜かれることもありました。しかし、ここでも細かいステップワークを使って最後まで足でついていき、溜めておいた長い腕でのブロックが非常に有効で、シュートチェックの上手さが際立っています。vsヤングの動画があったよ。
ちょっとSGAっぽいディフェンススタイルです。そして、この守り方は明確な結果にも繋がっています。
〇被3PFG 31.0%
かなりエゲツナイです。3Pを止めるスペシャリストレベルのスタッツで、シーズン中はルバート、ミドルトン、ヴァンブリート、フォーニエ、ストゥース、ダンカンらの3Pを全て外させています。なお、ヤングには42%決められてる。
しかし、このスタッツはドスンムがスペシャリストである理由の一部でしかありません。ドスンムにマークされると成功率が低くなる以前に、「3Pを打つのが難しい」状況に追い込まれてしまいます。
カニングハム
2P10本
3P1本
ホリデー
2P10本
3P1本
ガーランド
2P24本
3P7本
イーストのPG達はドスンム相手だと2Pの割合が高くなります。3Pを打ち切れないからドライブになってしまい、そしてドライブからのフィニッシュを再びドスンムに遮られてしまいます。
3Pを打たせず、決めさせないスペシャリストディフェンダー
ドスンムの被FGは71.4%が2PになっておりPGなのに3Pが極端に少なくなります。その一方でフォックスやホリデー、デジョンテ・マレーなどインサイドでのフィニッシュ力のあるガード陣は、2P成功率が良く、ドスンムのディフェンスを苦にしないスタッツになっています。それもまた、ドスンムの特徴をわかりやすく示しているかもしれません。
ブルズにリムプロテクターがいないことが響いている部分もありますが、チームとしても「3Pを打たせない」ことをコンセプトにしたディフェンスを展開しており、ドスンムのスタイルはマッチしてます。
〇ブルズの被3PFG
アテンプト 32.0本(2位)
成功率 36.6%(27位)
実はブルズは「3Pは打たせないけど、打たれたら決められる」チームでもあります。リーグで2番目に少ない被アテンプトだけど、4番目に悪い成功率ってね。そんな中でドスンムは成功率も大きく落としているわけです。
打たれないだけでなく成功率も落としてくれるドスンムはドノバンがやりたいディフェンスには重要な存在になりました。戦術適正が高かったのか、それともHCがやりたい戦術を表現するのが上手いのか。それはドノバン以外のHCでプレーしないと分かりません。
面白い考察でした。
アヨのディフェンスは素人目に見ると、スピードで振り切られるのが目につき、やや過少評価してしまっていたのですが、ここまで被3PFG%が良いとは。自分の目が節穴だったと痛感しました。
ブルズのディフェンス戦術は(けが人が多かったことも含めて)かなり雑に感じてましたが、その中でアヨは確実に貢献していたのですね。
主力の大幅な変更を伴わない今季、より洗練されたブルズで、アヨの落ち着き・IQが光ることを祈ってます。