エースになったハリバートン

◎ペイサーズの方針とハリバートン

ペイサーズは数ある選択肢の中からハリバートンをチョイスしたわけですが、ドラフト上位指名権よりも、インテリジェンスを選んだのはペイサーズらしいというかね。再建時の基本ラインは「上位指名でエース候補を獲得する」わけですが、エースキャラではなくPGにしたのだから、面白いよね。

今シーズン、ペイサーズの得点上位はブログドン、サボニス、ルバート、ヒールド、ハリバートンの順番です。サボニスとルバートはトレードで放出し、ブログドンはケガで離脱していたので、ハリバートン加入後はトップスコアラーがヒールドでした。

中心的にスコアリングしていた選手は全員がいなくなり、バランスアタックのチームへと変貌する流れです。短い期間ですが、ハリバートン後のスコアリングを見てみましょう。

〇得点
ヒールド 18.2
ハリバートン 17.5
ブリセット 14.0
ジェイレン・スミス 13.4
アイザイア・ジャクソン 11.4
ビターゼ 10.9
タイラー・テリー 10.1
ワシントン 10.0

全員の試合数が違うので参考でしかないですが、二桁得点が8人になりました。なお、ブログドンも8試合で21点とっていて、ドゥアルテは9.9点です。9人になる可能性は十分にあったよ。わかりやすくバランスアタックになったので、加入前と得点を比べてみましょう。

〇得点 108.8 ⇒ 117.2
〇FG 45.5% ⇒ 48.0%
〇3P 33.3% ⇒ 36.8%
〇アシスト 24.2 ⇒ 27.8

ノーガードの打ち合いを始めたので、得点アップを単純に喜ぶことはできないのですが、FG成功率が大きく向上しており、アシストが大きく伸びています。

従来はサボニス、ルバート、ブログドンの3人で56.1点でチームの半分以上を占めていましたが、中心選手が抜けて得点のバランス良くなったのがチームとしての結果に繋がっています。

この点で「ハリバートン中心のチーム」は成功しています。ポール・ジョージをトレードした後のペイサーズは、サラリーを渋ることはないけど、トッププレイヤーに高額を払うのではなく、中堅どころに適正サラリーを払って、層の厚いチームにしてきました。

ハリバートン中心は層の厚いロスター構成に適している

ある意味でローカルチームらしさを最大限に発揮していこうという方針にも見えます。誰かが移籍しても、中堅どころなら埋めれるよね。そう考えるとエイトンを獲得しなくて良かったんだろうな。

しかも二桁得点もブリセット、スミス、ジャクソン、ビターゼ、テリー、ワシントンだもんね。いくらでも変更が効きそうだ。

その中でハリバートンの役割も明確でした。キングス時代との比較もわかりやすい。

〇ハリバートン
得点 14.3 ⇒ 17.5
アシスト 7.4 ⇒ 9.6
ターンオーバー 2.3 ⇒ 3.2

フォックスとのコンビではなくなったので、ミスも増えれば得点も増えたわけですが、これの面白いのはアシストはハンドラープレーの増加で明確な違いがでたに対して、得点面は「確率が上がった」ことによる変化でした。

FGアテンプトは0.9本、3Pアテンプトは0.4本しか増えておらず、ほぼプレータイム増程度の差ですが、3.2点も得点が増えています。

〇ハリバートン
FG45.7% ⇒ 50.2%
3P41.3% ⇒ 41.6%

目立ったのは2Pの確率アップですが、印象としてはバランスアタックでディフェンスの隙をつきやすくなったこと。そもそも強引に突破するタイプではないので、選択肢が増え、アシストが増え、ディフェンスが的を絞れなくなって、ハリバートン本人のFG成功率があがるという珍しいタイプです。

ちなみに、オンオフコートをみるとハリバートンのオンオフよりも、ヒールドのオンオフの方がハッキリと差が出ています。その理由はヒールドが打つシュートの殆どがハリバートンのパスからであり、ハリバートンとしてもヒールドの動きがわかりやすいからでした。

〇ヒールドへのパス
本数 51.1本
FGに繋がったパス 14.7本

〇うち、ハリバートンからのパス
本数 19.2本
FGに繋がったパス 6.5本

ハリバートンの次にパスを出したのがブリセットの5.6本なので大きな差がありました。なお、シュートは38%しか決まっていなので、コンビとして素晴らしいってわけでもない。

〇ヒールドのオン/オフ
アシスト/ターンオーバー率 2.08/1.47

ヒールドがコートにいるとアシスト率があがって、ターンオーバー率が下がります。ハリバートンと連携が取れている選手がいると、少なくとも「シュートを打ち切る」ところまでいきやすくなったわけです。

セットで獲得した意味が大きかったペイサーズ。同時に、こういう形をチーム全体として増やしていくことが大事です。だからドゥアルテがいるのに、マスリンを指名したのかな?

オフェンスの変化と弱点 ⇒ 

エースになったハリバートン” への4件のフィードバック

  1. ハリバートン特集ありがとうございました!おかげでペイサーズの形が明確になりました。

  2. INDの昨シーズンはほぼ見てなかったのですが、ドラフトでのニーズが似ていた事から気になってはいたんです。改めてこうして文章で読ませていただくとやはりDETと課題や構成が似ていませんか?

    もちろんタイプ的には微妙に違うし、数字は全く違うのですが、これ、ハリバートンをカニンガムに置き換えても内容的にしっくりきてしまいます

    それぞれマサリンとアイビーというスコアラーを新しい相方に迎えて、どんなシーズンをエース2人が過ごすのか、来季一番の注目になりました、ありがとうございました

  3. CP3との対比だけでなく、ストックトン御大との対比も知りたいと思いました。
    ハリバートンのプレイはあまり見られていないのですが、スタッツからの印象として、高確率だが自分で点を取りまくるわけではない、視野が広く判断力のあるPGとしてストックトンに近いかも、と思っていたので。

  4. お疲れ様です。とても面白かったです。
    ブログ読む前のハリバートン像はペイサーズに移る前のブログドンと重なり判断力で勝負するイメージで、ブログドンはペイサーズを勝たせられなかったので、ハリバートンのエース役は余りポジティブに見てませんでした。
    (コメントするにあたってバックスのブログドンの成績見直してみましたけど想像の半分くらいしかアシストしてなかったです)

    ディアンジェロしかりゲームメイク能力についてぼんやり考えているのですが、評価が難しいですよね。
    ブログ通りポールは「ゲームメイク能力」+「正確無比なミドル」の両立があってこそのエースPGだったわけで、「ゲームメイク能力」だけの価値ってどれほどなんでしょうか?
    他のエースPGだとリラードは該当するかと思いますが、リラードも「ディープ3」などの個の武器も持ってるしなあと。

    エースでないゲームメイク能力が高い選手について考えると、よくブログで出てくるルビオや、晩年のラウリー、ドラギッチ、スマート(今年ちょっと怪しかったけど)くらいしか出てきませんでした。
    ラウリー、スマートはディフェンス面の貢献も大きかったと思うので、やはり「ゲームメイク能力」だけだと厳しいのかなあというのが個人的な感想です。
    是非、ハリバートンには個の武器を身につけてエースPGになるところを見たいなあと思いました。

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