JBAテクニカルレポート ルビオ&ドンチッチ編

◎オフェンスの対策は何だったのか?

テクニカルレポートのスペイン対策、スロベニア対策は面白かった反面で、そういえばディフェンスだけでオフェンスがなかったことが疑問となって出てきます。オフェンスは主導権を握るのだから、不要だったという考え方も出来れば、速攻を出すのが全てだから不要だったとも言えます。

今回のオフェンスでは「各選手の得意なゾーンからシュートを打たせる」がテーマでした。それが実現されたのかどうかは不明ですが、用意されたオフェンスパターン(渡邊用・金丸用)が少なく、八村の個人技頼みを中心に、フリーに変化するオフェンスが多かったと結論付けられていました。

少なくともオフェンスにおいては、戦術遂行力に課題が残っており、それが発生した理由が「相手のディフェンスによるもの」なのか「自分たちの判断によるもの」なのかはキーポイントです。(ただし、それはテクニカルスタッフにもわからない)

しかし、どう考えても「渡邊用のプレーが2回」は酷すぎます。日本はチーム全体として準備してきたオフェンスを効果的に活用したとはいえないし、PGのゲームメイク力は散々なものでした。

多様なチョイスをしたルビオと、修正によって対策を無効化したドンチッチ。この両者のレポートを読む限り、日本との差は試合中の判断力にあります。

なお、田中は最も良いPGであったものの、それは特定のプレーにおいて適切な判断が出来ているという点であり、そもそも「何をするか」では八村任せが強かった印象があります。

一方でNBAではノーPGも増えました。チーム全体が戦術理解していれば、HCのコールに応じてプレーすればいいだけです。実は日本の武器って「日本語」だったりします。他の国は日本語理解できないでしょ。レポートではプレーコールを日本名に変えたとされており、もっと準備してきたオフェンスを多彩に展開して欲しかったものです。

クラブチーム以上にPGのゲームメイクが重要になるのが代表

Window3の藤井をみているとBリーグMVPとは思えないPGっぷりでしたが、よくよく考えると共通理解のあるクラブチームならば、そこまでゲームメイクしなくても良いのかもしれません。それよりも個人で点を取れる重要性が増す。

逆に代表の方が輝く西田タイプについては「ディフェンスを見て判断している」ことがメリットだと思うので、テーブスの活躍も含めてクラブと代表の違いもある気がします。

◎やりたいことをやる

話を変えるとルビオについて「ミッドレンジショットのスペシャリスト」であり、スペインは「ルビオの得意なゾーンで打たせた」良い例示とされています。まさに日本が目指すべきものがあったわけです。

そもそもルビオがミドルレンジ得意というのに違和感はありますが、そこはまぁ置いといて、ルビオ対策について読む限り(そして私たちの知っているルビオを想像する限り)、ルビオは得意なゾーンでシュートを打ったのではなく

ディフェンスが対応できないと判断したプレーチョイスをしただけ

という印象が強いです。っていうか、ルビオなので確信をもって言えます。スペインがミドル連発にGoサインを出していたのは事実ですが、そこは本質ではなく、判断力に優れたルビオであり、他国が「ルビオに打たせる方がマシ」というディフェンスをしたからこその結果だと捉えたくなります。

あとルビオにドライブレイアップされたり、キックアウトから3P打たれるよりも「ミドルを打たせとけ」だよね。ルビオは決めまくったけど、それだけスペインのオフェンスは追い込まれていた感もあるし。

テクニカルレポートのオフェンス編では「自分たちのやりたいオフェンスをやる」ことに注力すべき発想ですが、むしろスペインは・・・いや、ルビオは

ディフェンスを見てベストなチョイスをする

ことに注力しています。その時、選択肢が多い方がベターだし、チームとしての決まりごとがあればスムーズに選択肢を変更できます。

一方でスロベニアは「やりたいことをやる」ために、ドンチッチがやり方を修正していました。むしろ、この方が日本にとってはヒントかもしれませんが、そのための修正をPGが実行しないと、あっさりと対策に潰されるって事です。

でもさ、ドンチッチだから出来るって感じでもあるよね。それくらいの個人能力があるなら別だけど、日本はルビオ側を目指さないとPGにNBAプレイヤーの誕生待ちだし、誕生しても代表には来てくれないぜ。

日本はどんなガードを育成しなければいけないのか?

テクニカルレポートは将来の方向性を決めるならば、そんな指摘も必要です。パリオリンピックに向けてならば必要ないけどね。

あとさ。U17見ていても思うけど、なんで日本のガードは小さいのかな?
今回は田中がPGやったから解消されていたけど、センターは大きな選手じゃないとできないけど、PGは小さい選手じゃなくても出来るぜ。

判断能力・戦術遂行能力が高い選手をPGにコンバートしろ

今回のテクニカルレポートを読む限り、一番大事なことはここだと思いました。だって、日本がディフェンスを準備しても、ルビオやドンチッチクラスのPGがいたら解消されてしまうじゃん。逆に日本も解消しないとさ。

シュート力やドライブスピードがなくてもいいから、戦術力の高い選手はサイズに関係なくPGにしよう。

国際試合でやりたいことなんて出来ないぜ。それでもやりたければドンチッチを作れ。ルビオとドンチッチって、どっちの方が作るの難しいんだろうね。アメリカならドンチッチは誕生しそうだけど、ルビオは誕生しそうにないしさ。

◎テクニカルレポートは面白い

そんなわけでテクニカルレポートについて触れてみました。内容はいいんだけど、結論には納得できていない管理人ですが、それはそれとして、こうして反省を後悔するのは大事だ。方向性を定めるのはもっと大事だ。

一応、今回のレポートでは
「速攻を増やす」
「4番ポジションまで機動力は必須」
「コンテストありのショート力を高めろ」
と指摘されています。だからホーバスっていうのはわかりやすいね。

ホーバスのいう「アナリスティックなバスケ」は、古い印象ですが、テクニカルレポートで示されているのは、もう少し古かったね。

そして(速攻が八村・渡邊・馬場ばかりだったことも含めて)内容的にはほぼ「個人能力を高めろ」に近いです。どうも戦術的要素じゃないんだよね。

ということでテクニカルレポートを読んだ中で、個人的に考える日本の課題を3つ挙げて終わりにしましょう。将来に向けて育成年代から取り組んでいくべきこと

①攻守にピック&ロールを中心にした連携プレーを多用すること

②コーナーまで広く活用するパス能力の向上でオープン3Pを増やすこと

③判断能力・戦術能力の高い選手をPGとして育成すること

①を繰り返せばビッグマンの機動力は必然的に重視されます
②を繰り返せばシュート力の重要性が高まります
③を繰り返せばHCの戦略に合わせて、速攻を増やすことは可能です

特に③はリバウンドからトランジションに持っていくのも現代PGの役割なので、ギディ君が日本からも生まれるように頑張りましょう。リバウンドの強いガードは常識化している今日この頃でした。

JBAテクニカルレポート ルビオ&ドンチッチ編” への2件のフィードバック

  1. 日本でおっきくて上手い選手が生まれるのはほぼ不可能に近い環境ですからね。
    育成年代では背の順でポジションが決まるのが当たり前で、本人がG/Fをやりたいと言っても監督は「4番か5番でプレーするのがチームのためだ」と一蹴して終わりという光景が目に浮かびます。
    大学やプロに上がる頃にコンバートしようとしても、それまでに培ってきたスキルの差を埋めるのは大変でしょうし、協会が育成年代での意識改革を促さなければ難しいと感じます。
    渡邉が高校時代にG/Fでプレーしていたことは奇跡と言えるでしょう。

    また、Bリーグも「日本で通用するバスケ」に甘んじているので、その中で国際試合で通じるような判断能力を持ち合わせたガードが誕生することはあまり期待できません。
    結局テクニカルレポートのように「個人能力を高めろ」ばりに才能ある選手がNBAを目指して海外で成長し、その成果を代表に還元してもらうことに期待するしかないように感じます。
    せめてラグビーのように協会が優秀ならまだ望みもあるんですが、バスケにはそんな雰囲気は感じられないです。

  2. 数年前から見させて頂いており、コメント欄も含めいつも興味深く拝読しています。疎いもので、テクニカルレポートというものの公表があることを初めて知りました。第三者的視点というよりも少し当事者の立場に近い立場から見た内幕的な記載もあり、非常に面白かったです。何年か前にNHKの将棋を見た際に、対戦直後に対戦相手同士がこのときはこう考えていた、または対戦相手にはこういう手もあったのでは的な感想を互いに言い合う感想戦というものの存在を初めて知って結構衝撃を受けたのですが、バスケにもこのような慣行を取り入れたら、間違いなく全体的な強化に繋がるのになと思いましたが、ブログ主様としてはどうでしょうか。

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