ラメロとハリバートン

2年目の選手の評価はしますか?

年末年始にやろうかと思いましたが、2年目って25分以上のプレータイムが13人。そのうちヘイズ、ベイ、スチュワートがピストンズで、マキシーやコール・アンソニーといったチーム事情もあって個人技マックスで評価しにくい選手も多く、ラメロ、ハリバートン、エドワーズ、そして「ベインの成長」を書いたら終わりの気がしてきてしまいました。

総じてインパクトのある選手が少なく、その一方でチームの中核に食い込んできた選手が去年と変わらない感じです。ベイン以外はルーキーシーズンとそこまで印象が変わらない。ってことで、今回はラメロとハリバートンの話をしましょう。

実はちょうど一年前にラメロ&ハリバートンで書いたのですが、2つにわけて良い内容だったので、それぞれの特徴を書きました。

ともにPGらしいプレースタイルでルーキーシーズンから活躍したわけですが、これは近年では意外と珍しい例示です。PGでも得点力・アタック力で注目を浴びるのが普通でしたが、この2人はあくまでもゲームメイカーであることが特徴です。2年目のスタッツを見てみると

〇アシスト
ラメロ 7.8
ハリバートン 6.9

〇ターンオーバー
ラメロ 3.0
ハリバートン 2.2

ともにアシスト数を順当に伸ばし、ターンオーバーを抑えることが出来ています。珍しい共通点としては、昨シーズンはチームにPG(グラハムとフォックス)がいたため、ベンチスタートだったり、ウイング起用でコンボガード的なプレーをしていたのが、今シーズンはメインPGになっていることかもしれません。

その点でアシストが増えたことは当然ではありますが、ターンオーバーを増やさずにプレーできている事を誉めるべきかもしれません。最近はオールドタイプのPGの復権が目立っている中で、ラメロとハリバートンは若くしてオールドタイプのニューバージョンになろうとしています。

ウイング起用も可能な万能性をもつゲームメイカー

ここがニュータイプですね。戦術力は高くなっていくわけだよ。特にラメロはリバウンドの勘が優れており、ニュータイプ感が増しているぜ。サンダーのギディも同じラインを歩んでいるなぁ。・・・手前を走っていたベン・シモンズは・・・。

◎ディフェンス

ポジションの万能性は「コーナーに行って3Pを打つ」ことからオフェンスを始め、ハンドラー側が苦労していたらポジションチェンジしてボールを受け持てることになります。加えてカットプレーが出来るのも良さであり、自分からパスを出すパターンもあれば、受け手になることも出来ます。

この点ではラメロについては、チーム戦術の中でムリヤリ覚えさせたような印象があります。そして今シーズンはそこまで機能していません。ハリバートンの方もコーナーから飛び込む形は大きく減りましたが、ダビオン・ミッチェルと組む時間もあるので、よりコンボガードっぽく振舞います。2年目になってもウインガーやれているのはハリバートンの方であり、だから少しアシストが少ないのも事実かな。

〇スティール
ラメロ 1.7
ハリバートン 1.7

〇ブロック
ラメロ 0.4
ハリバートン 0.7

ともにガードとしてはサイズorウイングスパンが大きく、上手いボールチェックを見せます。1.7スティールを記録しており、手の出し方の上手さが際立ちます。若いガードながらディフェンスで弱点にならない事は特徴的です。

リバウンドはラメロの方が強く、ブロックはハリバートンの方が上回ります。より早くプレーを読んでいるのがハリバートンの方で、ヘルプで寄って行って後ろから叩くのも上手いです。ここら辺はビッグマンを標準装備しないホーネッツなので、あまりチェイスダウンが出来ない事情もあります。ホルムズが止めて、ハリバートンがヘルプに来るのはキングスの強み。

どっちもパスコースをよんでスティールしますが、トランジションのようなアンストラクチャーな状況で素晴らしいプレーを見せるのはハリバートンの方です。「2on1でも守るのが上手い」ようなタイプで、決定的な働きをしてくれる。

いずれにしても、現代的な「オールラウンド」とは、ポジションレスで守れることが大事。クイックネスが大事なガードらしく、フィジカル的に優れているわけではないけど、読みの良さとサイズを生かして、どちらもゴール下ですら働ける良さを持っています。

・・・あれっ今回はこんなことを語る予定ではなかったぞ。2年目の2人に感じている「物足りなさ」を語ろうと思っていたのに。いずれにしても前提は複数ポジションに対応できて、読みの良さを持っている事です。もちろん足りない要素も多いけど、ディフェンス面については求められる要素を満たしています。

◎やりすぎラメロ

「ラメロの良さは、オフボールムーブのホーネッツで輝く」というのが昨シーズンの題名ですが、パスセンスを生かしてくれるだけのチームオフェンスがあるのがラメロにとって幸せな環境です。

アシストを稼げていながら、ターンオーバーが少ないことはポジティブなのですが、ターンオーバーの少なさが単に「苦しくなってもシュートを打っている」だけの時があります。周囲も動き回るのがホーネッツの良さにも関わらず、ラメロが攻め切ってしまうのが多くなると、パサーとしての価値を落としてしまいます。

〇得点 19.3
〇FGアテンプト 16.6本
〇FG成功率 42.4%

ここまでチーム2位の得点を稼いでいるラメロですが、FGアテンプトはチームで最も多く、その一方で成功率は主力の中で最も悪い数字です。3P38%も決めていながら、2Pが44.9%と悪く、インサイドフィニッシュに課題があるし、それも大半がディフェンスにタイトにつかれた状況で打っています。

インサイドでのシュートセレクトが悪い
バランスアタックのチームなのにアテンプトが多過ぎる

シンプルに言えばガマンが出来ていません。トランジションに持って行けるのはラメロの良さである反面、ファーストチャンスで打ち切りたい気持ちが強く、ハーフコートを組み立て直すような判断力を欠いています。そんなに慌ててやらなくてもいいじゃん。

〇試合のペース
オンコート 103.9
オフコート 100.5

速攻を生み出せるラメロなので、この差だけで一概に悪いとは言わないけどさ。ラメロ本人のショットクロック残り時間のアテンプト数をみると、そんなにアグレッシブに打たなくても・・・と思ってしまいます。

〇ショットクロックでのアテンプト
残り7秒以下  1.9本
残り8秒以上 14.2本

この問題で違う問題が、相棒のロジアーです。アグレッシブに得点を取りに行くのがロジアーの仕事なのに、相棒のラメロまで積極的だから手に負えないことが出てきてしまう。また、全員アタックのチームであり、ウイングたちはオフェンスリバウンドに参加することも多いのに、ラメロが早打ちするからディフェンスの強度が落ちていることも。カウンター食らいすぎ。

そんなこともあってか、ホーネッツはアップダウンの多い試合をしてしまいがちです。得点力があるので逆転勝利もあるけど、勝ち逃げするのが苦手。時間と点差のコントロールが出来ていない。

「彼は本能的にプレーしたいだろうが、今は我々のコンセプトにもっと適用していかなければいけないね」

「勝利に繋がる時間とスコアの状況に応じた選択をすることが、彼の次のステップになる」

開幕前のボレゴが出したラメロへのコメントですが、シーズンになって課題感が強まっています。ホーネッツは補強も成功して、充実したウイングで戦っていますが、内容を考えると5割前後という結果は物足りなくもあります。

ホーネッツは勝てそう。だけど、勝ち切るためのゲームコントロールが出来ていない。アグレッシブに点を取りに行って勝っているけど、それじゃあ次のステップに進めないぜ。

◎もやもやハリバートン

よりクレバーなプレーメイクをしながらも、勝てていないという意味ではハリバートンも同じ。ホーネッツほど勝てそうに見えないので、それをハリバートンの責任にしたら可哀そうだけど、「チームのポテンシャルを最大化し、ゲームコントロールして勝利を増やすことが出来ていない」という意味では同じかもね。

ハリバートンから始まるオフェンスは非常に論理的で、無理のないプレーを作っていきます。シンプルなピック&ロールからホルムズとのコンビプレーが確立されてきました。ただ、確立されてきたからこそバレている面もあって、ホルムズを優先的にカバーされた時にハリバートンが決めきれないことがあります。

元々、ハーフスピードでドライブし、状況判断していく形なので、ディフェンス側も慌ててハリバートンにヘルプに行かず、迷わせる対応で止めることがあります。

〇5~9フィートのFG 36%

ハリバートンはゴール下まで詰めずにショートレンジのフローターやレイアップを打っていきますが、昨シーズンは51%決まっていた距離が決まっていません。ディフェンス側がハリバートンへの対応に慣れてきた感が出ているぜ。

ってことで、打ちすぎのラメロとは違い、ハリバートンの課題はショートレンジのフィニッシュ力です。

さて、論理的なプレーメイクをしてくれるハリバートンですが2つの問題があります。1つは論理的なんだけど、結局はフォックスのアタックの方が確率が高いこと。もう1つはフォックスとのラインがホットではないこと。後者の方がわかりやすいですが

〇ハリバートンのパスからフォックス
2P36% 1.1/3.0
3P28% 0.2/0.8
0.6アシスト

普通ならチームのエースへのパスでアシストを稼ぐのですが、6.9アシストのうちエース・フォックスへのアシストが0.6しかないっていう。ここが増えればアシスト王も夢じゃないし、そうなればキングスの勝率も上がりそうなのですが、上手くいっていません。

PG役がフォックスからハリバートンに移った今シーズンですが、上手くいっているようで上手くいっていない。フォックスを操ることが出来ていないハリバートン。オフボールのフォックスがイマイチってのもあるし、チームオフェンスもギャップを作っていない問題がありますが、いずれにしても

ハリバートンはフォックスの得意プレーを引き出せていない

これは「もっと引き出さなければいけない」ってことですね。ちなみにフォックスからハリバートンへのアシストも0.8ですが、3P50%決めているので、ガードコンビの絡みそのものが少ないです。

一方でホルムズとヒールドへのアシストも1.1しかないハリバートンなので、チーム全体へパスを供給できています。パスを散らすことが出来ているのに、得点力の高い選手に多く供給できていないって難しいというか、もやもやする。

このフォックスの件に限らず、ハリバートンに望むのは「調子のよい選手を積極的に使うゲームメイク」だったりします。キングスはオフェンシブな選手を揃えても、うまく噛み合わないことが問題ですが、時には良いプレーメイクをすることよりも、流れに乗っかるようなチョイスも欲しいよね。

本人のゲームメイクはしっかりしているけど、その割に結果に繋がっていないのがハリバートンの問題。自分自身が決めきれていない部分もあれば、エースや調子のよい選手を使いまくる流れが作れていません。時には本能に任せるようなゲームメイクが必要なのかもしれない。

試合に変化をもたらしてくれるのがルーキー時代ならば、チームの王道路線として勢いを作って欲しい2年目です。

◎ラメロとハリバートン

ちょっと本能に任せすぎているラメロ
ちょっと論理に寄りすぎているハリバートン

実はこんな印象もある2人。共通点も多いけど、ゲームメイクは似ていない。まだまだキャリア2年目なので高望みなんだけど、ゲームメイク能力でチームの勝率をあげて欲しい。普通の2年目ならば十分な活躍なのですが、ベテランPGの活躍が目立つシーズンだからこそ物足りない。

でも、この能力ってどうやったら伸びるんでしょうね。両者に足りていない要素が真逆だからこそ難しい。みんな経験と共に少しずつ改善していくし、改善したからと言って成功するとも限らないし。勝てば官軍負ければ賊軍だし。

得点力を上げるとか、ディフェンスを改善するとか、わかりやすいものではなく、弱点改善とか、長所を伸ばすとか、方向性の話でもない。毎試合、違うゲーム展開の中で、毎試合、違う判断をして、毎試合、正しい結果を導けるわけでもない。

ちょっと物足りない2年目のPG。でもそれはネガティブな悩みではなく、更なる進化を求めたいという願望でしかありません。もっと頑張れニュータイプ。

ラメロとハリバートン” への6件のフィードバック

  1. ラメロは個人の成長がスタッツにも現れやすそうな立場ですよね。タイリースに関してはフォックスがいるので中々それも難しい、と思っていたのがフォックスがプロトコルになっていた時期に23.5p11.3aと見事にハネました。その後フォックスが帰ってきた後も16.4pということで共存自体は上手く行きつつあります。特にタイリースがフォックス不在時に3PAを増やしてからどんどん決めまくって、今はリーグ2位の確率まで上がってます。どうしてもフォックスのオフボールが良くないのがアシストしにくいですよね。
    あとホームズが半分くらいいないのも彼のリム周りのフィニッシュの低下に繋がってそうです。チームオフェンスが崩壊していて、フォックスとタイリースの個人技以外の攻め手がないので、よりフィジカルを高めなければフォックスのように中で決められないと思いますね。余りにも周りの確率が悪すぎてチームが勝てないのがかなり可哀想なくらいですが、シューターとしても振る舞えるのは今後のキャリアで重要なポイントでしょうね。

    1. ハリバートンはフォックスがいなければ、ある意味でわかりやすいのですが、いるからこそ気になる。いるからこそ、上手く扱って勝って欲しい。

      シンプルにハリバートンが作る形は良いのですが、それだけじゃダメなので、他の選手の得意パターンに乗っかって欲しいのです。2年目に求めることじゃないけど。

      1. まぁ期待の裏返しって事ですよね。1年目から衝撃的なプレーですからね。スタッツとかじゃなくて、その卓越したベテランPGの様なプレーが。他の選手の得意プレーに乗っかるまでやれれば、ホントに1人でチームをPOチームにする選手になりそうですね。HCを早く変えてくれ~。笑

  2. この文脈だと、「ベインの成長」の記事を楽しみにしておいてよいということですよね!?世の中にベインのすばらしさを広めてください!!ただのシューターではなくなりましたよ。

  3. 今季のCHAは「若手を伸ばそうとしたら思いのほか勝っちゃった」っていうチームなんじゃないかと思います。ラメロのエース力が足りなくてもチームを勝たせているのはブリッジスの急成長のおかげで、上手く再契約して欲しいです。ヘイワード+マクダニエルズでシモンズ取りましょう。

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