1勝2敗のスタートとなったキングス。それはどうみても良い結果ではありません。その一方で内容は期待できるものがあり、ぜーんぜん決まらなかった3PGの3P(8/42)を考えれば、それでも立派に戦えたことは評価しなければいけません。
まぁそんなことよりも、2年前なんて開幕1試合の時点で「これは絶対にムリ」と感じさせたわけで、その頃に比べれば可能性を感じるだけでもすごいことさ。まだ3試合観ただけなので、なんともいえませんが、キングスについての感想をまとめておきましょう。どうせしばらく見ないしさ。
◎酷かったフォックス
まずエースのフォックスが酷かった。プレーメイカーとしての絶対感もなければ、エースとしてのスコアリングもイマイチ。3Pはきまらないわ、ミスは多いわ。
〇フォックス
18.7点
FG38.6%
3P15.8%
6.3アシスト
5.0ターンオーバー
なぜ、こんなことになっているのか。単にフォックスが不調なだけなら問題ないのですが、あまりにも絡めていないのを見ると、ひょっとして戦術的にやりにくいんじゃないかっていう疑惑も出てきます。いずれにしても、エースが働かない中でターンオーバーも酷く、それでも戦えているってことは忘れないでね。
実はフォックスほどではないもののハリバートンもイマイチです。こちらはアシストを稼いでおり、しかもディフェンスもいいので足を引っ張っているとか、不調とかではないのですが、点が取れていません。
〇ハリバートン
8.3点
FG42.3%
3P22.2%
6.3アシスト
1.7ターンオーバー
ついでにいえば、ダビオン・ミッチェルもプレシーズンの好調さに反してオフェンス面では上手くいっていません。そもそもドラフト前の評価もオフェンスのシュート系に課題アリなので、むしろプレシーズンが良すぎたんだけどね。
ということで、好調に見えて勝てないキングスの第1に重要なことは
3人のPGは得点がとれておらず、ミスも多い
ミスが多いのはフォックスなんだけどね。「今年のキングスは3人のPG並べてどうするんだろう」という疑念から始まったわけですが、ひとまず機能しているとは言い難いよ。まぁ全てはフォックスがスコアラーとして機能していれば問題なかったわけで、全てはフォックスが悪い。悪いんだけど、ハリバートンとダビオンが得点で助けれてはいないってことでした。
◎際立っていたバーンズ
一方でキレッキレだったのがバーンズ。ビックリするほど好調で、迷いのないステップバック3Pを決めまくりました。
〇バーンズ
28.3点
FG50.0%
3P55.6%
単にエースの不調を補っていただけでなく、平均9.0本のアテンプトがある3Pが決まりまくっているのがポイント。オフェンスが停滞したらバーンズに渡しておけば、ステップバック3Pで何とかしてくれます。
つまりは連携がイマイチだったのを、バーンズの個人技で何とかかんとかしていたぜ。
ただし、それって単に「3Pが決まっているだけ」にも思えます。バーンズが良かったのは、3Pを決める個人スコアリングに加えて、チームメイトのミスショットにリバウンドで絡みまくっていた事。つまりは3Pにハードワークと両面で目立っていました。
〇リバウンド
オフェンス 3.3
ディフェンス 7.0
ジャズ戦ではキャリアハイの15リバウンドを記録したように、ここまで10.3リバウンドと昨シーズンの6.6本を大きく上回っています。とにかくボールに絡みまくっているバーンズ。置物みたいにウイングで待っていることも多かったのですが、ボールを呼び込み、こなければリバウンドに参加。マジでコンディションいいんだな。
〇キングスのリバウンド
オフェンス 9.4→11.0
ディフェンス 32.0→36.3
そしてバーンズだけでなく、キングスはチームとしてリバウンドスタッツを伸ばしています。これまでハードワークが足りないから不安定だったのに、今シーズンはハードに頑張れるから簡単には崩壊しない。
そしてここにハリバートンもインサイドヘルプに大きく絡んでいます。もともとリバウンドが強かったヒールドもいるし、スモール戦略なので全体には厳しいはずが、バーンズ、ハリバートン、ヒールド、ハークレス、フォックスと全員が積極的に飛び込んでいるね。
◎気が変わったルーク・ウォルトン
そしてルーク・ウォルトンは人が変わったように選手交代していきます。うーん、ある程度決まっていれば上手くいくのかな。ウォリアーズの代行HCの時もスティーブ・カーよりも、安定した選手交代していたもんね。
さて、キングスの注目点に3人のPGだけでなく、センターが多いことがありました。だから信用できなかったのですが、ここまで「使い分け」を重視しています。
ベンチからゼラーやナンスが出てきて高さよりもスピードが相手の時はトリスタン・トンプソンを、ホワイトサイドの高さを使うジャズにはアレックス・レンを、そしてパスカルを並べてツービッグにされるならバグリーを起用してきました。
相手に応じたセンターの使い分け
これをしているわけですが、イコール「ディフェンス重視の選手起用」ってことになります。相手に合わせることを選ぶのは、ディフェンスのためだよね。まぁこれをウォリアーズには逆手に取られてスーパースモールに粉砕されたんだけどさ。
もうひとつがハークレスをスターターにし、ダビオンをベンチから出すことで、常にコートに1人のエースキラーを使う事でした。ハークレスがいなかったジャズ戦は、FG1/8しか決まらなかったダビオンを長く起用したし。
「エースキラーと相手に合わせたセンター起用」ってことをしているので、ディフェンスを重視した選手起用なんだよね。一定のローテであることは間違いなく、本当の意味で相手に合わせてはいないんだけど、自分たちの形を作ってきました。
また、ジャズ戦の最後にホルムズがファールアウトすると、ここでヒールドをいれてスーパースモールで勝負してきました。ゴベア相手には有効な戦略であり、なんだかビックリしたんだよ。
ヒールドがシックスマンながら3P10本以上打っていることも含めて、ここまで予定した選手起用は形になっています。「キングスなんて信用できない」のですが、それは「ルーク・ウォルトンが信用できない」でもあります。選手は良い感じなのにHCへの不信から、とにかく勝てる気がしないキングス。
柔軟な対応なんて全く期待していないけど、少なくともディフェンス優先した選手起用と、勝負に出るためのオプションを持っている事。そこだけでも続けて欲しい所です。
◎ダビオンは象徴になれるのか
フォックス、ハリバートン、ハークレス、バーンズ、ホルムズという組み合わせは昨シーズンの時点で作られており、ベンチからヒールドが出てきて得点することも同じです。違いが出来たのはダビオン・ミッチェルの登場ですが、これが予想以上の効果になっています。
スタッツには響いていないので、これからではあるものの、予想以上のエースキラーっぷりを発揮するだけでなく、ヘルプポジションから手を出すのがうまく、脆弱だったキングスディフェンスに突如として強みをもたらし始めました。
チームの中心はホルムズのリムプロテクトですが、そこにハリバートンとダビオンが横から手を出してくるので、キングス相手にドライブを決めるのは簡単ではありません。マンマークの強さでエースを止めるだけでなく、インサイドを固めることにもつながるとは、183センチの選手からは想像もつきませんでした。
〇速攻
得点 18.3
失点 10.7
特に違いをもたらしているのがトランジションの攻防になっており、一方的に得点を取れています。カウンターを削減したことが、キングスに安定感をもたらし始めました。ただウォリアーズ戦の最後はトランジションで負けていたけどな。言い換えれば紙一重の部分でもあります。ここを止められれば強みになり、止められないから勝ち切れない。
ドラフトで3人目のPGを指名したことは未だに意味が分からないのですが、No1ディフェンダーを獲得したことについては、オフェンシブなチームにディフェンス意識をもたらしたし、ダビオンがスピードダウンしてくれるから、全体がハードに守れている面も大きいです。
ただ、ここまでオフェンス面の悪さもあって、明確なスタッツになっていません。そもそもスタッツは30試合くらい経過しないと信用できないので、それはいいとしても「ディフェンスを頑張れ!」の象徴になり始めているけど、勝てる所までは行っていないって事だ。
◎勝ち越したい
ダビオンが加わったことを除けば、そんなに変わっていないキングス。選手1人ひとりを考えたら、昨シーズンとの大きな違いはありません。でも、バーンズのようにハードワークとスキルが融合しているのを見るとコンディションの良さを感じます。
加えてエースが決めていないにもかかわらず、チームがふわふわしていないのも新鮮。決まらないなら決まらないで、淡々とプレーを続けることが出来ている。バカ打ちするヒールドになんだか落ち着きがあるというか、迷いがないというか、チームメイトが「打つと分かっているぜ」みたいな動きをしています。
全体的に攻守の切り替えの早さが上がり、トランジションディフェンスを優先した形を取り、それでもホルムズやバーンズがアグレッシブにオフェンスリバウンドを取りに行く。
シュートが調子よいわけじゃないけど、全体として落ち着きとハードワークがあるんだよね。うーん、バーンズがこれを続けることがスタミナ的に出来るのかは少し疑問だけど、フォックスが決まっていない中でよく頑張れているね。
さて、キングスは続くのかどうか。マジでさっぱりわからないし、ルーク・ウォルトンが信用できない。でも、これまでとは違う開幕3試合を見ることが出来ました。1か月後にも良い状態をキープできているのか、それとも崩壊しているのか。どうなるのかわからないけど、開幕集の注目チームにしてよかったなーという状況でした。
キングスに注目して貰えて嬉しいですw
フォックスの不調ですけど、昨シーズンの0-3ftと3-10ftのFGA%のバランスに表れていると思います。昨シーズンは.233と.232でバランス良く攻めていました。その高確率のショートジャンパーもあるおかげでゴール下で軽く7割越えという驚異的な確率を出しました。ここまで3試合ですがそのバランスが崩れていて.281と.193という風にバランスが偏っています。昨シーズンの活躍からして相手チームとしてはフォックスのゴール下アタックは当然警戒しますのでそこら辺の判断ミスがこの3試合の不調に繋がってるようです。
チーム方針としてもフォックスの時はホームズ君をデッドローにおいてリバウンド、セカンドチャンスに使いたいという意図もみえるので間違いとも言えませんが、まあ今は彼個人としてはまだしっくり来ていないのが事実ですね。
しばらくは彼のシュートエリアとホームズ君の使い方を観察していこうかなと思ってます。