さようならラマス①

オリンピックラマス

スペイン、スロベニア、アルゼンチンに3連敗して終わった東京オリンピック。その内容について振り返ってみる「さようなら」シリーズ番外編ですが、だいたい試合直後に内容について振り返るといいことがないので、もう少し概論的な部分について考えてみましょう。続きを書くかはわからない。

◎はじめに

まず初めに総合的にみてラマスと選手たちは

よく頑張りました。お疲れ様

という感じかな。そもそも「ミジンコレベルも勝ち目がない」という力関係から、フランス戦の勝利を経て「ひょっとして運があれば1勝くらい出来るかも」までもっていったラマスの手腕を讃えましょう。今回の内容は力の差がハッキリでたというよりは、ホーム開催という事もあって、

実力の差よりも小さかった結果の差

くらいの印象です。選手たちは「成長した」とコメントしていますが、それくらい本人たちはグッと近づけた印象があるわけで、外から見ている身としては結果を信用しきれないので、こんな感想になりました。今後もこれくらいの結果が続けば、外から見ても「縮まった」と感じるでしょうが、残念ながら、そんなに対戦する機会もないし、次回は23年のワールドカップになります。これがちょっとスケジュールが厳しいんだよね。

なお、もしもワールドカップに進めた場合、八村は出場するでしょうが、渡邊は契約もあるのでそんな簡単かは不明です。NBAに生き残るのは簡単ではなく、本契約を勝ち取ったといっても、ドラフトで60人が指名されているんだから順番に押し出されていくぜ。

世界との差は縮まったのか?
まずは単純に2年前のワールドカップとの差をみてみましょう。

〇WC→オリンピック
得点 66.8点 → 78.3点
FG 38.4% → 41.6%
3P 28.7% → 34.5%

WCよりも今回の方が相手が強いので、このスタッツを見るだけでも「大きく成長した」は事実です。一方で外から見ていると、+12点や3P成功率は乖離が大きすぎて「実力以上の結果」にも見えるわけです。どっちにしても「成長した」の間違いなく、かといって2年間で新たなタレントが出てきたわけではないので、

ラマスは良い仕事をした

でいいのだと思います。何かしらのプラスの要素はなく、だけど積み重ねの中で選手個人としてもチームとしてもステップアップしてこれた。これが今回の大前提ね。そのうえで疑問点を見ていきます。

なお、「大部分が八村と渡邊の成長だ」といえばそれまで。そしてこれは今回の代表ではキーワードでもあります。ラマスは間違いなく良い仕事をしたんだけど、それは「八村と渡邊に仕事をさせた」でもありました。こういうのは難しいよね。

◎ラマスは辞めたいのか?

スロベニア戦を終わっての感想です。なんかもう投げやりにも見えてしまったし、お茶を濁した戦い方をチョイスしました。続くアルゼンチン戦はスモールラインナップで7人ローテという怖いことをしましたが、総じて

ラマスが培ってきた戦略よりも、現実を優先した

そんな印象が強かったです。だから、オリンピックを最終地点として仕事を辞めたいのかなーなんていう気もしてきてしまいます。自分が作ってきたものを試すよりも、勝利のために突き進むのは最後の手段でもあります。先を見据えていたら、やらなそうな。

試合直後に内容について書くといいことがないので、今回のオリンピックでなんとも腑に落ちなかった点を書いてみましょう。基本的な事項が

・早すぎた選考
・未熟だった戦術
・足りなかったこと

こんな3本立てで、具体的な現象を追いかけていきます。

細かいことは置いといて、成功したと思うけど、それにしてはラマスらしくないというか、どうしても不満な部分が出てしまうというか。競った試合をするという意味ではラマスの選択は正しかったぜ。でも、それだけだ。

◎八村のポジション

沖縄大会の時点で大きな疑問になっていたのが「八村はどこのポジションなの?」でした。2年前とはオフェンスを変更し、その中で八村の役割を担当している選手がいませんでした。実際のオリンピックが始まると、やっぱり結末がよくわからなかったのが最大の問題でした。

スペイン戦  ・・・ ウイングシューター
スロベニア戦 ・・・ ウイングハンドラー
アルゼンチン戦・・・ ウイング

ざっくりとイメージにすれば、こんな感じかな。

スペイン戦は3P11本放ち、ほぼパスアウトを待ってのシューターでした。フリースローは1本も打っておらず、完全にプレーオフ・ウィザーズでの八村になっていました。試合直後は「状況に応じたプレー」がそもそも出来ないので、八村個人の問題だと思っていました。

スロベニア戦になると突如としてハンドラーアタックを始めます。オフボールでギャビンのスクリーンを使いボールを受けると、ミドルを連発しつつ、1on1も仕掛けていきました。3Pは6本に減り2P22本も打ちました。ミドルの選択が多いのであれですが、フリースロー7本と3アシストもしており、八村ありきをオフェンスをしてきました。

アルゼンチン戦になると「マークが厳しい」という理由でパスが来なくなりますが、実際には1枚マークなのに剥がせていないので、スクリナーのギャビンがいないことが響きました。そのためアテンプトは大きく減り、3Pも4本に減りました。ウイングですがボールを持てないウイングなので、本当はスペーサーをやって欲しかったくらいだ。

さて、この3試合の問題は八村ではなくて、沖縄大会の時点に当てはめた場合、八村の意味は

ポジションはシェーファーで、役割は渡邊(比江島)

ここでした。沖縄大会でスターターだったシェーファーがベンチに下がって八村を入れたけど、やっていることが渡邊や比江島であり、時には金丸でした。毎試合、少しずつ役割も変わるし、スクリナーの有無も変わる。八村がブレているのか、ラマスがブレているのかわかりませんでしたが、いずれにしてもウイングであったことは間違いありません。

しかし、八村にかわってベンチに下がったのはシェーファーでした。いや、正しくはこれも違います。シェーファーのプレータイム、その後ろにギャビンのプレータイムをつけてみると

スペイン戦  16分+24分
スロベニア戦 11分+17分
アルゼンチン戦 2分+ 0分

スロベニア戦の途中でギャビンがケガをして短くなりましたが、反比例するようにシェーファーのプレータイムが減っています。初めはウイングシューターだった八村に、センターが一緒に出ていましたが、次第にセンターがいなくなっていきました。スタッツの見た目的には八村が埋めるのでディフェンスはセンター役が進んでいき、オフェンスはノービッグになってしまいました。

八村の使い方とポジションバランスが不明なままだった

ここがね。八村もよくわからない選手なので、なおさらでした。ポジションバランスはチーム全体の話ね。

『スペイン戦が一番良かった』と捉えるならば、八村はウイングでセンターは別に置くのがベストでしたが、次第に辞めていったことになります。この流れも不思議だよね。

沖縄大会の時点では「ギャビンのところに入るのが自然」だったけど、実際には全く違ったので、どう捉えればいいのかわかりませんでした。だからもう「八村の合流が遅すぎた」になります。なんで遅かったのかは表に出てこない事情なので、政治力に負けた感じもあるしな。

◎馬場のポジション

ところがもう1人遅かったことが、さらに問題を大きくしてしまいました。馬場についてはラマスにとっては運が悪くオーストラリアリーグのファイナルに進んだことが要因だったので仕方がないのですが、これが本当に痛かった気がします。

馬場は比江島のところに入りました。ところで比江島はウイングなのかガードなのか、微妙な扱いをされていました。「微妙」ってのは、それだけ便利なわけで田中1枚では苦しそうなハンドラー役を比江島とシェアしていたといえます。これがなくなって田中が困ってしまいました。

沖縄大会:2ハンドラー、2ウイング、1ビッグ
オリンピック:1ハンドラー、3ウイング、1ビッグ
    or 1ハンドラー、4ウイング

なんだか、こんな感じになってしまいました。ハンドラーとしては弱いというか、3P&ドライブの人になっていた馬場によって、唐突にポジションバランスが崩れてしまっていました。八村の件と違って、馬場の方はラマスもびっくりしたかもしれません。「あれっこんなに上手くいかないの?」みたいな。

それは馬場の方も同じで今大会は不調に終わったわけですが、スモールラインナップになったアルゼンチン戦は18点と奮起しました。これはギャビン不在の関係もあるので、なんとも言い難いですが、少なくとも馬場はウイングから攻めたい感じだし、ドライブすればパスも出て来るけど、ハンドラーを積極的にやる雰囲気ではなかったです。

アルゼンチン戦はスモールなだけでなく、ボールを動かす田中と比江島がハンドラーで並んだことが、馬場にも良い影響を与えたかもしれません。

田中の不調は「比江島と一緒にプレーできなかった」のもあるし、「ワンハンドラーは厳しかった」ともいえます。総じてプレーメイカー不足なのですが、ルビオクラスのタレントなんて、どこのチームでも出てこないわけで、それよりはプレーメイカーを増やすのが世界の流れです。インサイドのプレーメイカーが重要な今日この頃。

まぁ渡邊も八村もプレーメイカー能力は世界的に観れば低いこともアンラッキーではある。もしも田中のPG能力に全ての責任を押し付けるならば、たぶん誰が出てきても一緒。富樫・ベンドラメ・篠山が劇的に改善してくれるわけないじゃん。冨永だって同じ。それよりも「プレーメイカーを増やせ」って感じでした。

つまり八村の件も、馬場の件も、なんだかポジションバランスがズレまくる案件になっており

沖縄大会から戦術がズレすぎた!

これが最大の問題点だったと思います。結果的に「未熟な戦術」になってしまった。これは育成年代から同じ戦術ベースを仕込めていない事もありますが、加えて直前の合流だったことはラマスにとっても不運でした。

ただし、これにも関わらず実際には本番で結果が出ています。だからズレたんだけど、ズレて正解ではあった。本当に合流があと10日間早ければ、いろんな考え方も変わってきたんじゃないかな。

◎金丸だったのか

ただ沖縄大会の時点でメンバーは決まっており、そこから慣れさせる時間がなかっただけで、やるべきことは同じだったはずです。違う問題として「選考が早すぎた」のも気になりました。なぜ、沖縄大会が始まる前に選手を決めなければいけなかったのでしょうか。

オリンピック本番が八村中心のオフェンスとなり、ラマスの想定は「インサイドを主役が攻めるから、アウトサイドに広げる選手が必要」ということで3Pを重視した選手選考をしました。実際には八村からはパスが出てこないため、本番では機能しませんでした。金丸が決めたのは馬場のパスアウトなので、一応は想定事項であったものの、パスアウトのスポットシュートを高確率で決めるだけなら「ディフェンス力のないスネル」なので、意味があるとも思えない。張本の方が良かったよね。

だから金丸についてもっと重要なことが「オプション攻撃要員」であることでした。戦術が手詰まりになったときに活用したいシューター。ただアルゼンチン戦で露呈したのが「スコラを振り切れない・パスを貰っても打ち切れない」というシューターとしての問題でした。

この問題の本質はBリーグにあって、ラビーンが相手ならともかく、スコラすら振り切れない選手が、なぜBリーグでは振り切れるのかってことです。ほぼBリーガーのディフェンス問題です。詳細は知らないから無視するのですが、スクリーンを用意されて広いゾーンを走り抜けているのに、打ち切れない選手が日本人の得点王になれるのは、何故でしょうか。

同時に金丸本人はシュート力の高い選手であり、その形で得点してきたわけです。「打てれば決まった」かもしれないので「打つことすらできなかった」のは本人が悪いのか、そのプレーで十分だったBリーグが悪いのか。どっちかというとBリーグでしょ。

もっとスピードを上げて打つ形を身に着けないと通じない。でもBリーグでは無双している。国際試合だからって突然スピード上げて打ったら、唐変木なシュートになってしまったのでした。だからオリンピックという舞台で見れば、あの酷い外れ方が実力。

アジアカップならもっと決めて「なんでこんなに3P決める選手をオリンピックで使わなかったんだ」という人が出てきそうで嫌だなぁ。「決める能力」はあるけど「打つ能力」は足りなかった。

実はこの現象はアルゼンチン戦で発生したわけではなく、沖縄のベルギーやハンガリー戦でも出ていました。日本はオフボールスクリーンを用意して、渡邊や金丸を動かしたのですが、金丸は殆ど打てなかった。殆どっていうか多分ゼロ。だからラマスも本番ではキックアウト先としてしか利用せず、オプションがなさ過ぎたアルゼンチン戦で初めて使ってきました。

つまり、これって選手選考前の「イラン戦までは通用していた」のも問題でした。Bリーグも含めてアジア相手には通用していた金丸ですが、沖縄大会からは通用しなかったわけで、ユーロの中堅国を相手にしてから選考したほうが良かったのは間違いありません。シュート以外も出来る安東周人の方が良かったかもしれないじゃん。あるいは辻が打ち切れたかもしれないじゃん。

これは試合に出てきた金丸が目立っただけで、他の選手も同じ。ヒューがあんなに出番がないなら、ラマスがどこかで気に入らなかったわけで、沖縄大会の後なら竹内ツインズのどちらかを選べたんじゃないかと。

◎出番のないベンドラメ

ここまでの話の中の要素で絡んでくるのがベンドラメ。なぜ、ベンドラメを起用しないのにロスターに加えたのか、ヒューの件よりもずっと不思議でした。

ツーハンドラーをしない

沖縄では富樫とベンドラメを並べるオプションすら使っていたじゃん。だからもっと使い道があるのだとおもっていたら、本番では全く使ってこなかったダブルPG作戦。オプションだと思ったら、オプション扱いもされなかった。スモールラインナップのアルゼンチン戦でも使わなかった。
バックアップといっても比江島がPGも出来るなら、ウイングを厚くするためにベンドラメを削れば良かったのに。まぁ削っても選ぶ選手はいないのかもね。

ドライブキックアウトを重視しない

それ、ベンドラメの特徴じゃん。八村がシューター化したことも含めて「3Pを打たせたい」なら、PGはベンドラメが良かったわけだけど、そもそもオフェンスに組み込んでいなかったキックアウトなので、ベンドラメは要らなかったな。どっちかといえばウイングにパスを供給する役割の篠山が欲しくなった。

アタッカーオプションが足りない

ん~だったら、金丸が機能しない時を見据えて、シューターもハンドラーも出来そうな安東周人で良かったよねぇ。沖縄大会だと必要とされていたベンドラメが、何故か本番では必要とされなかった。

これらの問題は何だったのか。ただ単に「オプションを使うタイミングがなかった」なのか、それとも「思ったよりも八村とフィットしなかった」なのか。少なくとも「ディフェンスが必要な場面がなかった」ってことはないよね。

そんなわけで、今回のオリンピックで感じたのは絶対的な準備期間の短さと、最終的な選手選考のマズさでした。それは正直、本番になって解決することはできないし「起用法が悪かった」とは違うんだよね。八村や渡邊を出来るだけ長く使いたいことはディフェンスを考えればよくわかる。だったら、その前提でロスターを組むべきなんだけど、何故か使えない選手が多かった。「ギャビンがいないと7人ローテ」はあり得ない

◎必殺・アルバルクアタック

そしてこれが使えないのが痛すぎた。「困ったときは八村に託せ」になっていたし、オフェンスのエアポケットが出来てしまった。なお、馬場が活躍しにくかったのもこれの気がします。

篠山、田中、馬場、竹内譲次、○○

ワールドカップの時は八村に続くオプションがありました。これもよく見るとツーハンドラーってのも大事で、アルバルクアタックになると馬場が輝き始めるのも面白くて、他のメンバーだと3つくらい連続でパスがつながることがないから、馬場にはパスがこず。でも田中と譲次が繋いでの馬場は強かった。

だから少なくとも譲次をメンバーに入れておけば渡邊を休ませる時間を作れた気がします。なお、未だにアルバルクアタックが機能するのかは知りません。むしろ機能しない気もする。でもさ、いいたいことは「連携の良いトリオが見つからなかった」ってことさ。ラマスが頼りたくなるトリオがなかった。

本番を渡邊と八村に託す可能性が高かったなら、沖縄大会では連携を発揮しやすい3人組を決めておく必要がありました。でも、そもそもあの10人ロスターじゃ厳しかったので、選手選考は早すぎたし、戦術は熟成できなかった。

◎結果は出ている

大事なことは、こんなネガティブに感じることが多かったのに、結果は出ている事です。なんだかんだとスモールにしたり、ツーハンドラーを避ける戦い方は、世界の舞台では結果に結びつきました。だからきっとラマスが正しいわけですが、だけど

ラマスが培ってきたことと、やっていることは違った

という現実もあるので、何が正解なのかもうワカラナイ。

間違いないことは「八村と渡邊を長時間起用したほうが強い」ことで、八村が2.4分、渡邊は4.5分しか休養がないローテでした。でも、その方が強いのは確実。確実だけど面白くはない。個人的には勝敗よりも面白さ重視というか「日本の現在地」を知るのが重要だと思っているので、NBAプレイヤーに頼り切っているのはネガティブってだけです。繰り返すけどラマスの判断は世界との差を小さくするには正しかった。勝てる気はしないけど。

ラマスはワールドカップの予選から見始めましたが、しっかりと自分のやるべきことを定めて、長い時間をかけてチームを作ってきました。そのやり方は面白かったし、日本に足りないものが何かが見えてきたので、次の世代に繋がるものだったと思います。オリンピックまでは。

それは例えばワールドカップまでは「ハンドラーの得点力不足」だったけど、これだと広くハンドラーたちに共通する課題です。Bリーガーは全員が頑張ろうぜ。でも、オリンピック本番では「PGが悪い」という話が多くなったのは、得点力を八村で強引に補ってしまったからです。それはただ単に「八村というタレントの偉大さ」が前提でしかないので、次の世代には繋がらないんだよね。

「よーし、みんなドラフト10位以内に指名されろよ」じゃあダメでしょ。

これからの日本に最も必要なのはなんですか?

そんな質問を貰っても答えられないんだ。だってオリンピックでは間違いなくPGだったけど、八村と渡邊が登場するまでは「攻守全面で働くウイング」だったもん。この2人レベルのタレントがいるなら、もっとゲームをコントロールできる選手が欲しいけど、そもそもは田中も含めて自分で得点が取れる選手を増やす必要があったし、守れないと勝つことは不可能だったし。ウイング陣は特に守れない選手だらけだった。

マジでもしも、八村と渡邊がいなかったら、今頃は誰も田中を批判する人はいなかったと思う。田中や比江島がアタックして、そこそこの個人スタッツを残し、でもウイングの酷さで惨敗していたと思うのでした。

そんなこんなで、どうにもラマスが何をしたかったのか不明だったので「協会の誰かが、変な圧力でもかけたんじゃないの?」と言いたくなってしまいます。少なくとも沖縄大会でやっていたこととは違う路線を進もうとしていた。

あるいは単に八村と馬場の合流が遅すぎて、ニッチモサッチモいかなかったのか。いずれにしてもロスターを決めるのは早すぎた。なんで早かったのかわからん。これは遅らせることも出来たはず。

◎オプション不足

しかし、正しかったラマスだとしても明確に足りなかったことがこれ。とにかく攻守にオプションが足りなかった。どっちかというとラマスもブーデンフォルツァーみたいな感じで、自分たちの強いやり方に拘り、柔軟性を持った戦い方をチョイスしないタイプかもしれません。

一方で選手の個性は割と生かそうとしてます。だから「個性で差をつける」のが好みのHCなのかもしれません。その個性が渡邊はともかく、八村がブレまくっているというならば、少しだけ納得はする。

ただアルゼンチン戦はギャビン不在でスモールラインナップを選択すると、そこから頑として動きませんでした。シェーファーが2分しか出ていないわけですが、もっとスモールとビッグマンを使う形を併用するのがベターだったと思うのですが、1つのプランに拘っていたね。7人ローテはスタミナも厳しいけど、変化がつかないのも厳しかったです。

それ以上にスロベニア戦のディフェンスオプションのなさは際立ちました。
・・・いや、ちょっと違うな。「スロベニア戦前にドンチッチ対策を考えた時の、ディフェンスオプションの少なさ」が正しいな。

どう考えても日本には打つ手がなかった。それだけの準備もしてきませんでした。ここは明確にラマスが悪い。

思い返せば1回目のベルギー戦。決められまくったベルギーのシューターに対して、延々とドフリーにしまくったわけですが、あれをエキシビションマッチと考えれば「守り方を変えるテストはなかったのか?」となります。ベンドラメにハードチェイスさせてもいいし、ボックスワンでもいい。

スイッチディフェンス、ダブルチーム、オフボールスイッチ、オフボールローテなどなど

日本が出来ないことだらけ。それはきっと「Bリーグが出来ない」なんだけど、だからといってラマスもやらなくてOKではないよね。オリンピックに向けて様々なディフェンス手法を試すべきだったし、スペインはドンチッチに対してボックスワンやダブルチームなど、いろんなことをして迷わせていました。日本には「マンツーかゾーン」しかないんだもん。びっくりだ。ゾーンは弱点の塊だしさ。

これがなんでここまで気が付かなかったのかというと、日本はセンターが常に弱点で守り方を変えられそうなのが譲次しかいなかった。特に救世主ファジーカスが登場すると柔軟性は皆無で「守り方は1つしかない」になってしまった。でも、それはなにも否定できませんでした。あれはもう、中を固めるしかない。

唯一持ち合わせているオプションが「渡邊のマンツーマンでボールマンにハイプレッシャー」になっていて、これも個性でしかないもんな。渡邊がハードに止めにいって困らせるんだ。さすがにオリンピックレベルでは無力だった。

ラマスは「守れない選手はダメ」という姿勢を明確にしており、そして最後にギャビンが加わったことで、レベルは足りなくてもディフェンスオプションを増やすことはできたはずです。それをしなかったのはラマスが悪い。ただ、試合前のミーティングで「明日はこいつだから、アンダーで守れば十分。周囲はローテよりもカバーディフェンス重視で・・・」といって、どこまで変化できるのかわからないし、ラマスからしたら「個人レベルでムリ」だったかもしれない。

そして意味のないゾーンを延々とトレーニングしていた沖縄大会を考えると・・・やらなかったのか、ムリだったのか。どっちなんだろ?

◎最大の収穫

最後にホーム開催のオリンピックを行ったことで最大の収穫がなんだったかといえば、それは「沖縄大会の存在」でした。あの大会はかなり凄くて、『立派なコートで、地上波放送、そしてオリンピックに出ないハンガリー、ベルギー、フィンランド』を日本に呼びました。相当な額のお金が動いたはずです。ホテルも貸し切り。

日本バスケは豪華なエキシビジョンマッチを開催できるようになった

これは最大の収穫。だって、これがなければユーロの中堅国相手に実力を試す機会はゼロ。国際大会に出てボロ負けする繰り返しにしかなりません。日本の現在地は

「八村というスーパースターがいなければ、ユーロの中堅国にも勝てない」

これがわかったことは単にオリンピックでボロ負けするよりも良かった。フィンランドなんて2軍であれだもん。オリンピックでは「成長を実感した」というけれど、どうみてもスペイン・スロベニア・アルゼンチンとは超えられない大きすぎる壁がありました。そういやフランスには勝ったんだよな。ウケる。

いずれにしても日本バスケがターゲットにするべきなのは、ユーロの中堅国であり、その先にいるドイツやイタリアです。まずはこのレベルのチームと互角に戦えるようになるのが大事。オリンピックがあったことでスポンサーも集まりやすく、沖縄という地でユーロ3カ国を呼ぶことが出来ました。次回はここまで出来なくても、3チームリーグ戦とかは出来るのではないでしょうか。

次回は23年ワールドカップですが・・・あれっ日本って開催国枠あるの?
ということで、これからの2年間はあのレベルのエキシビジョンマッチを実施するチャンスでもあります。アジアカップの後でワールドカップまで公式戦がなかったら引くけど、その分だけ世界を見据えた試合は出来るんじゃないのかな。

〇2023年ワールドカップ
富樫  30歳
比江島 32歳
ベンドラメ29歳
金丸  34歳
ギャビン35歳
田中  31歳
張本  31歳

八村  25歳
渡邊  28歳
馬場  27歳
シェーファー25歳
ヒュー 24歳

現行メンバーをどこまで残すのか。5人は良いとして、上の7人では4人が限界です。うち1人は帰化枠だからその時にならないとわからない。

再びラマスでいくにしても血の入れ替えは必要だし、その選手達を鍛えなければいけない。残り2年なので現時点で可能性しかない選手はNGです。そういう選手は2年後の状況次第でしかない。チームのベースメントになる選手は誰なのか。おそらく23年ワールドカップと、24年パリオリンピックが日本の最盛期。世界との差を縮めるなら、ここしかないぜ。

さようならラマス①” への14件のフィードバック

  1. 解説いつも楽しく読ませてもらってます。ありがとうございます。

    今回素人目で感じたことは、「全員がもっと上手くならなきゃいけない」でした。ドリブルパスシュートスクリーンリバウンド全て。これがないと、今回の3国のような相手だと「もう本当に戦術もクソもない」気がしてしまいます。ラマスの7人ローテにもそれを感じました。ギャビンが抜けたら、八村渡邊馬場比江島くらいしか信用して使えないよ、という気持ちを感じてしまいました。

    おっしゃる通り、やってきたことはあるけど、相手のレベルを考えたときに唯一の勝ち筋は八村の覚醒と渡邊のハードワークくらいしかなく、八方塞がりの戦術ハッチのような気がしています。世界とのレベルが縮まった気がしたのは八村渡邊のレベルアップ分であり、この二人が抜けた時また暗黒期に突入してしまうのではないかとゾッとしてしまいました。

    ただこうしていろんな人にバスケ見てもらう機会が増えて、リーグが強くなって、海外で戦う選手も増えて、という好循環に入ってレベルが上がっていくことを期待しています。

    とりあえず日本代表、お疲れ様でした。

    1. 全員が全部の分野でレベルアップですね。

      それを感じさせ、世の中に伝わるというのが大事な機会でした。それが継続できそうな沖縄大会に期待してます。

  2. W杯でのファジーカスってDFではどいたしようもなく穴になってたけど、今思えばインサイドのプレイメーカーとして機能してたのかもしれない。少なくとも八村はオフェンスしやすそうだったよ、今回よりは。

    1. インサイドのプレーメイカーではギャビンが出来るのですが、八村が大きく違ったのは別の問題なんですよね。でも確実にあったと思いますし、もっと3Pのあるビッグマンと八村を組み合わせるのが有効は有効ですね。

  3. 金丸って国内だと長身シューターなんですよね。
    フィジカルも日本人相手だと勝てる。
    日本人シューターの中ではオフボールムーブは上手いしタフショも上手い。
    でもそれは日本人を相手にした場合。
    国際レベルだとスピードはもとより、体をぶつけても相手が怯まないから振り切れない。
    ホントディフェンス上手いウイング呼んだほうが良かったですよね。
    Bリーグに国際レベルでディフェンス上手いウイングなんて居ないけど。
    強いて言うなら石井だけど183センチは話にならないですし。
    次はマーフィーとかテーブス呼んでほしいです。
    フィットしないかもですが、日本人にはいないタイプなので、とにかく試してほしいです。
    富永と田中力は間に合わないでしょうし……。

    1. なるほど。長身シューターってのは、知りませんでした。たしかにハイライトをみると。

      フィジカルの部分はインサイドほど強く出ますが、八村と渡邊で誤魔化されて出てこなかった難しい課題でした。金丸は食らったんですね。

      サイズなくてもフィジカルのタイプも一度は呼ぶと面白いので次のターンかな。

  4. はじめまして
    以前より楽しく拝見しておりました。

    金丸はbリーグでは、イメージだけですが自分より小さいか同じくらいとマッチアップしてて打ちやすそう。その上、スピードでも剥がせずスクリナーもうまく使えないしスクリナーも上手くなく単純に実力不足だったという印象でした。

    bリーグは、チームが多くて致命的に弱いチームが複数います。
    強いチームとやり合う機会が増えないと強くならないかも

    そのことを昔比江島がインタビューで答えてましたね
    ※チームが東地区になると強いチームに当たりやすくてレベルアップにつながるとかなんとか

    1. なるほど。確かにサイズに加えて東西の違いもデカいのか。

      Bリーグはチーム数ばかり多くて強弱もハッキリしており、リーグ全体のレベルアップも難しいです。やりすぎた感が強くて。

  5. 確かに沖縄と本戦での違いは八村がスタメンでシェーファーがベンチでした。
    なんか違う気が…は感じてましたね。

    アルゼンチン戦は本当に頑固な7人ローテ&スモールで、延々と同じやられ方をしていました。
    変化付けろよって思ったけど、できるメンバーがいないのか?とも思いつつ、でも納得いかず。

    個人的にはベンドラメを活用して欲しかった。
    ディフェンスの方で。
    スペイン戦でラッシュ食らったタイミングでも思ったんですけどね。

    あとあれだけリバウンド取られまくったのなら、短い時間帯でもヒューやシェーファーでボックスアウト徹底させて渡邊と八村にリバウンド取らせるとか、フィジカルで対応する時間を作っても良かったのかなとも。

    そしたらオフェンスが形にならないですね(笑)

    1. オフェンスは八村任せだから大丈夫!

      ワンポイント起用なんかもあって良かったかもしれません。八村を3番でツービッグも、逆も。八村&渡邊を出しまくるにしてもオプションは欲しかったです

  6. 長ーい目で見ると、
    bリーグ人気出る→給料上がる→高卒プレイヤー増えてユースが出来る→教育者のレベルが上がる→外国籍増えたりリーグが整理されて全体のレベルが上がる

    このくらい行かないと難しい気がします
    上記のコメでもあるように、bリーグでは192の金丸では高さや速さ、圧で苦労する機会があまりなかったのではないでしょうか 他の選手もしかり

    1. 長い目でみることは大事ですね。
      慌てて強くなることなんてできないので。

      「教育者のレベルが上がる」というのが一番難しいんですよね。
      クラブ単位の育成なら、それも可能なので、ユースと高校でユースが強くなることが優先ですね。

  7. 国内最高峰に読み応えのある記事を毎日ありがとうございます。

    >個人的には勝敗よりも面白さ重視というか「日本の現在地」を知るのが重要だと思っているので、NBAプレイヤーに頼り切っているのはネガティブってだけです。

    これについて、一つの目標としていたであろうオリンピックなら、さらに開催国であるなら尚更(関係ない?)、戦術・戦略自体の是非は置いといて、何がなんでも勝ちに行こうとするのは自然なことのように思います。目の前の勝敗にこだわることで、先につながることもあるのではないでしょうか。なので、必ずしも辞めたいからってことでもないと推測します。

    しかしモヤモヤする試合が多かったです。選手の良さを引き出せてないような、選手自身もやるべきことが明確になってないような、どこか気持ちが入ってないような。

    ただ、結果そのものは置いといて、世界基準に載せて評価できるレベルに来たことが本当にすごいことだと思います。昔なら頑張ったよね、で終わってましたから。更新、引き続き楽しみにしてます。

    1. 勝ちに行くかどうかは、個人的な意見なので、ラマスの采配が正解なんだと思います。ただし、あれは接戦にはなっても勝てる見込みが無さげなので、それも難しい。

      ホームで良かったことと悪かったこと、両方ありつつも、最終的にはあんな親善試合くめるのが最大のメリットかなーなんて。

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