日本代表 沖縄大会を振り返ろう

オリンピック前の強化試合としてハンガリー、ベルギー、フィンランドの3試合と対戦した沖縄大会について振り返ってみましょう。いろいろと予想外の事もあって面白かったです。それは以前に書いた内容から印象が変わっているって事なので、一回まとめてみましょう。

ところで今回の会場となった沖縄アリーナは、同日にベガスでエキシビジョンマッチをしていたUSAのロッカーよりも素晴らしく、これだけの会場を作れるパワーを持っていることに驚きました。また、コロナもあって4チームでホテルを貸切っており、かなりにコストがかかったと思います。オリンピックに出ない3チームを呼んでいることも含めて、プレー以上にカルチャーとしての成長が進んだことを感じさせる大会でした。地上波放送があったことは、その延長線上でしかなかったでしょう。

その放送では今回の大会が「格上相手」とされていますが、実際にはFIBAランキング30位台のチームなので、NBAプレイヤーが2人いる日本と大差はありません。ただ、NBAプレイヤーにとっては格下で、他の選手には格上っぽかったのは事実です。実際に試合を見るとベルギーは強いチームでしたが、フィンランドとハンガリーはワンランク劣るチームでした。

1勝2敗という成績は気にする必要がないし、っていうかオリンピックで3連敗したところで何も気にする必要はないのですが、八村と渡邊がいる世代で何らかの結果を残したいのも事実です。次の4年間が勝負になる気がしますが、でも2人抜きで予選を勝ち抜く必要もあって、継続路線として「何が出来て、何が出来ないか」をみていくのは大事だと思います。

一方で同時にやっていたU19がラマスと乖離した内容のバスケをしているため「継続性ってあるのかな?」という疑問しかありません。ラマスについては評価しているのですが、賞味期限ってあるので違うHCに交代することは前向きに観ています。でも、その時に方向性を間違える匂いに満ちています。

◎システムが違った

以前にコメントで頂きましたが、まさにその通りにWCあたりとはシステムが入れ替わっており、より「世界大会仕様」になってきた気もします。WCは予選から本線への流れが近かったですが、ホーム開催なので予定していた事項なのかもしれません。ただ、選手選考ではそこまで大きな違いがなかったので、この3試合(イラン戦はみていない)で印象は変わりました。

基本路線は「1ガード、3ウイング、1ビッグ」のイメージですが、これが難しいのは「3ウイング」にシェーファーや天傑が含まれていたことです。ハンガリー戦の1Qからシェーファーがキックアウト3Pを打っていましたが、その役割ならば他の選手の方が効果的にも思えます。

また渡邊ヒューはギャビンともシェーファーとも違う役割だったので、プレータイムが少ないことも含めて、浮いているのか、オプションなのかって感じです。ここに八村が加わると理解できないこともないのですが、それは次のベルギーとフランス戦に取っておきましょう。なお、ラマスのインタビューで、記事を書くために発されたようなコメントがありました。

「八村、渡邊、ギャビンでトライアングルポジションを取り、馬場が2番をするのが理想」

ということは、八村はシェーファーのところに入れ込むという事です。控えに天傑なのでしょうが、問題はギャビンの控えがいないこと。コートの真ん中でプレーメイクに加わっているギャビンの仕事はシェーファーやヒューには出来ません。そうなると、ここに八村の方がしっくりきます。その時、ウイングにシェーファーがいるよりも、インサイドにヒューの方がバランスも良さそうなわけで

【メイン】
ウイング 八村
ビッグ  ギャビン

【サブ①】
ウイング&ビッグ 八村
ビッグ ヒュー

【サブ②】
ウイング シェーファー(天傑)
ビッグ  ギャビン

うーん、ちょっとわからないので想像しても仕方がないですね。いずれにしても「八村をどこに当てはめるのか」がよくわからない構図でした。それ以上に八村とギャビンが被っているように見えることから、チームの完成形ではない気もしてきます。馬場については普通にウイングに入って、比江島や金丸のプレータイムが減るだけです。

さて、なんでシステムを変更したのかという事ですが、沖縄大会の内容が「渡邊に頼りすぎ」にみえたこと、そして3試合通じてオフェンスパターンを変化させていったこともあって、ビッグを減らしてインサイドのスペースを広く取り、両ウイングから個人技アタックを志向しているようにも見えました。

それはハンドラーのプレーメイク能力の低さが巻き起こしている事故でもあるのですが、WCの直前もパッシングとポジショニングに難がある八村とファジーカスが加わったことにより、ラマスは2人の個人技を優先する形に変更してきたイメージがあります。今回も「馬場、渡邊、八村の個人技主体のオフェンス」に切り替えてきたのかもしれません。

「じゃあなんで篠山をカットしたんだよ!」という疑問は大いに残るのですが、そこはまぁ大人の事情なのかもしれません。

◎3Qのオフェンス

3試合通じて、ハーフタイムでラマスが施した修正が3Qの得点になって現れました。前半から後半になってオフェンスをが大きく変更されており、各試合で3Qの得点が目立ちます。

〇ハンガリー戦
1Q 21
2Q 15
3Q 24
4Q 19

〇ベルギー戦
1Q 9
2Q 22
3Q 21
4Q 18

〇フィンランド戦
1Q 20
2Q 10
3Q 23
4Q 18

一方で4Qになると得点が少し下がります。渡邊がケガしたことが最大の要因ですが、ハーフタイムの修正は効くけど、そこから相手がアジャストしてきた後に、ちょっとした工夫が足りない雰囲気もありました。局面での判断力の問題の気がするので、そこまでラマスに求めるのは酷なのでしょう。

もっとも、4Qに関しては「八村のポストアタックでいいじゃん」というのも事実です。3チームすべてにポストへのパスをカットされた日本のパス能力問題が頭が痛すぎるのですが、総じて

相手の守り方に応じたラマスの修正は見事だった

といえます。同時に本番に向けて、いくつかのオプションを試せたのだから、あとはスカウティングして有効な策を講じるだけです。講じた上で止められてしまうと次の一手はありません。戦略的な変更は効くけど、ワンポゼッションにおける変更が効かないので、プレーメイカー不足は強く感じさせられた3試合でした。

また後半のオフェンスの方が良かったことにはネガティブな面もあって、日本は前半にピック&ロールを中心としたハンドラーの崩しから始まる形や、オフボールスクリーンでシューターを空ける形から始まるオフェンスといった「スクリーンを使って崩す」ことを目指していました。

しかし、これらのオフェンスは(渡邊以外は)機能しませんでした。シュートを打ち切る能力やパスコースをクリエイトする能力など、戦術的に相手を崩すことが難しかったです。3試合を通して前半が良かったのは渡邊にビビってハンガリーが対処できなかった時だけで、2戦目以降はバレているから渡邊警戒されていました。

後半は両コーナーに渡邊、比江島、金丸、田中などを配置して、ワイドにボールを動かしていくスタイルでしたが、こっちの方が機能しました。ある意味で個人技の仕掛けに頼ったような一面もあり、これが「馬場、渡邊、八村の個人技主体のオフェンス」に見えた理由でもあります。

3人ともプレーメイク能力には欠けるタイプって事もあり、ラマスが割り切ったのかなーなんて思っています。少なくともユーロスタイルの組織ディフェンスを崩すのは、Bリーグスタイルでは無理でした。今回の相手のレベルを考えると、ここで崩せないのはあまりにも痛かったのでした。

「ラマスは〇〇選手を呼ぶべきだ」「もっと〇〇選手を生かせ」という意見があるけど、うーん、この3試合を見る限りは、誰を選んでもムリっぽい。その中でサイズとディフェンス重視なのかな。富樫についてはよくわからんので、篠山でも良かった気がします。富樫は富樫でもっと自分らしい仕掛けを増やせばいいのにね。

金丸に関してはオフボールのスクリーン利用してパスを貰っても打ち切れなかったし、あまりにもドライブしないこともあって「3Pの精度以外は評価できない」ってことで、これまで選ばれてこなかった理由を示した気がしますが、一方で今回選ばれた理由は「3Pの精度が大事」ってことでした。それは海外組3人のアタックがあるので、キックアウトをしっかりと決めてくれればOKってことなのでしょう。・・・金丸のシュートよりもキックアウトが出てくるのか不安なんだけどね・・・。

◎ディフェンス

オフェンスに比べてディフェンス面はさっぱりわかりませんでした。ゾーンを多用しましたが、機能しているわけでもないし、何よりも「じゃあロシターでよかったじゃん」となります。まぁあの成績ではギャビンにせざる得ないけど。

渡邊がいなければ失点がかなり増えていたでしょう。オフェンスはチームとして形を作っての個人技でしたが、ディフェンスは渡邊が個人の判断でヘルプに行って潰しているような雰囲気なので、より個人頼みの印象がありました。

ゾーンにしろマンツーにしろ、オーバーヘルプが多く、インサイドを固めたがる傾向が強く出ています。ここについては渡邊も同じ。そのため逆サイドがワイドオープンになるシーンが連発され、パスを回せるユーロスタイルのセンターが相手だと弱点としてバンバン使われました。

ボールサイドに強く出ている以上は「1人で2人を守れるアヌノビー」が逆サイドに欲しくなりますが、1人で1人も守れていないので、そういう話でもなく、オフェンスと違って「個人能力が低くて・・・」以上の欠陥を感じてしまったのでした。

特にベルギー相手にはシュートを決めまくっていた13番ジレ・ピエール・アントワンをフリーにし続け、3P7/11も決められました。「ベルギーの3P決まりすぎ」という声もありますが、この確率だとスペシャルってわけではないですし、あれだけドフリーならこれくらいは決めてきます。

一方でゾーンを多用した理由をポジティブに考えた時も、この13番の都合が出てきます。日本はとにかくピック&ロールのディフェンスが悪く、ハンドラーに2人行くんだけどブリッツで潰しに行くわけでもないので、楽にパスを出されていました。まともにギャビンにパスを出せなかった日本のハンドラーとの差がまざまざと出たわけです。

これに加えて実は13番はパワーフォワードというのもキーポイントで、ピック&ポップすると無力も無力。何も守れませんでした。13番はオフボールでエンドライン沿いを移動してフリーになるポジショニングプレーももっており「ビッグマンがヘルプに行くのが当然」な空気がある日本からすると、違和感のあるプレーだったかもしれません。だからこそ渡邊のヘルプが個人技として目立ちました。

正直、このプレーだけを見てもスペインとスロベニアに勝てる気がしません。ルビオやリュカ、ドンチッチにボコられてしまいます。アルゼンチンはスタイルが違うし、ポップしてもルイス・スコラなので話も変わってくるかな。3Pは打ってくるけどね。

スロベニアのミッションって、それこそ「日本に勝つこと」だしね。1勝すれば決勝トーナメントにいけるからターゲットを日本に持っていくのが自然だよな。マンツーだとボコられるのは目に見えているからこそ、ゾーンを多用したのかもしれません。

オフェンスと違ってディフェンスは個人でもチームでも苦しいことが多かったので、あとはラマスの頭の中だけが頼りです。何かを隠していると思うしかないな。

「ドンチッチをどう守るのか」は記事のテーマにしたい内容でしたが、現状では何も書きようがありません。ゾーンばっかりしているし、ピック&ロールを守る気がないし。せめて八村が加わらないとなんともね。おそらく八村はブリッツすると思います。ウィザーズのやり方をそのままにアタックすると思うので、そこは良い意味での確変が起こることを祈るしかありません。

ちなみに17年のロイブルU19でも八村はブリッツ気味のスイッチディフェンスをしており、スイッチされた後のビッグマンはサイズ差があるのでPFがスッとよってきてオフボールスイッチしてミスマッチ解消していました。U19が出来たことなので、ちゃんとトレーニングすれば出来るはずです。あとヒューもペリメーター守れそうだしね。

◎リバウンド問題

ディフェンス面でもっと苦しかったのはリバウンドです。各試合の相手のオフェンスリバウンドと日本のディフェンスリバウンドを比べてみます。

〇ハンガリー
OR 6
DR 36

〇ベルギー
OR 15
DR 29

〇フィンランド
OR 16
DR 23

見事にリバウンドを取られ続けました。これをもって「サイズとフィジカルに劣る日本は・・・」というステレオタイプが使われるわけですが、それが間違っていることはベルギー戦で特に出ていました。

前述の通りPF13番に3Pを打たれまくったわけですが、ビッグマンに打たれているから日本もビッグマンがアウトサイドに押し出されています。そんな点も含めて、わかりやすい問題だったことが

・ディフェンスを乱されるとリバウンドの準備が出来ない
・ロングリバウンドを抑えられない

こんな事情がハッキリと出てしまいました。15のオフェンスリバウンドをとったベルギーですが、最も多い選手でも3本に過ぎず、8人がオフェンスリバウンドを記録しています。特定のビッグマンに奪われたわけではなく、穴が空いたところで奪われており、ディフェンス組織が崩れていて「リバウンドを取るシステムが出来ていない」ことになります。

その3本を奪ったのが例の32番リエタン・オバソハンだったことも、この問題点を物語っています。そして実は32番はディフェンスリバウンドも8本とっており、チーム最多の11リバウンドでした。チーム合計45本のリバウンドですが6本以上を記録したのは32番のみ。リバウンドは「サイズ」ではなく「スピードと反応力」でベルギーに完敗した構図です。

全員がリバウンドをとっている構図はフィンランドも同じで、逆に日本はギャビンとシェーファー、ヒュー、そして渡邊で奪うという構図で苦しんでいます。U19の時にも書きましたが、サイズアップしたところでリバウンドを抑える構図がなければ「ドラモンド呼んで来い」になってしまいます。でも、ドラモンドが3Pに引き出されていたらどうするんだよ。

そんなわけで次回のベルギー戦は八村と馬場が合流しますが、「八村の高さが加わったからリバウンドを取れた」ではなく、「八村と馬場のスピードが加わってリバウンドを抑えるゾーンが広くなった」という結果が待っている気がします。でもきっと世の中には前者で伝わっちゃうんだぜ。世の中っていうか日本バスケの中でもね。

あっ次回のベルギー戦はライブ雑談配信は出来ません。夜中に見る予定です。

この記事を書いている間にリバウンドについてバスケット・カウントに記事が出ていました。まさに、この通りの内容を渡邊がコメントしています。

相手がどんどん飛び込んでくるのに対し、一人で身体をぶつけても自分達の方がコンタクトは弱く、背もないです。そこで、ガードも加わって二人で封じ込めに行ったりする。それこそラプターズでは結構やっていて、フレッド(バンフリート)、カイル(ラウリー)はそういう部分で相手のビッグマンを抑えてくれています。味方のビッグマンがゴール下で頑張っても取りきれない部分ではガード、フォワードの選手たちがしっかり中に飛び込んで一緒にボックスアウトすることは大事です」

まぁ実際にはラプターズはリバウンドが弱いんですけどね。理由はテレパシーディフェンスするからリバウンドの時点で乱れまくっていること。ラウリーもバンフリートもボックスアウトしまくるし(自分のマークではなくビッグマンをね)、全員で取る意識が高いチームだけど、高さよりもポジション取りに失敗しがちなのがテレパシーディフェンス。

外野がなんといおうが、選手たちは「高さやフィジカルだけが問題ではない」と認識しているわけです。でも「認識しているけど実行は出来ていない」というのも苦しくて、それが普段のBリーグにおける問題点なのだと思います。選手個人よりもBリーグカルチャーの問題。
さて、この記事には田中のコメントもあって、これもまた重要です。

「リバウンドを一発で取れなかったりしている状況が結構多く、それで良い流れでオフェンスに入れていないと思います。しっかり守って良い形でリバウンドが取れれば、そのままの流れでオフェンスに入れます」

これはフィンランド戦でドマイナスを生み出してしまいました。ある意味で田中のコメントの逆で「良い流れでオフェンスに入れないから、さらにリバウンドがとれない」ってのもあるかと。一発でリバウンドを取ってカウンターに行けば、相手はリバウンドの人数を減らすことになるんだよね。

◎フィンランド戦の悪夢

これらを踏まえた上で、最も頭が痛かったのはフィンランド戦でした。この試合は日本とユーロの差をまざまざと見せつけられた典型例だった気がします。その前にフィンランドのメンバーですが、メンバー表がないのでわかりませんが、なんでも学生も混じっていたとか。FIBAのユーロ2020の最終予選におけるフィンランドのロスターがあるのですが

http://www.fiba.basketball/eurobasket/2022/qualifiers/team/Finland#|tab=roster

この中で23歳以下の選手だけが日本に来ています。あっ1人だけ42番が27歳なんだけど。いずれにしても23歳以下の若い選手を試す場として沖縄大会を利用してきたフィンランドに対して、「どっちが大人だよ」というプレーを見せてしまいました。

フィンランドはベルギーに比べるとランクが下のチームで、個々の能力を見る限り、日本よりも劣るチームでした。そのため序盤から個人の実力の違いを感じさせる場面が多々ありました。

・ハンドラーにプレッシャーが薄いから自由にプレーできる(比江島のプルアップ3P等)
・ピック&ロールディフェンスの対応が悪いので、インサイドにパスが通せる
・フィジカルでギャビンを止められる選手がいない
・止められないからオーバーヘルプが多く、逆サイドがオープンになる
・ピックアップミスでワイドオープン3Pを打てる(金丸の3P4/7)

渡邊がケガの影響か、かなり微妙なプレーをしていた事もあって、リード出来なかった面もありますが、ベルギー戦に比べて日本はかなり楽にプレーできていました。それこそギャビンが勝てるのでサイズとフィジカルでも負けていませんでした。Bリーグ戦術が使いやすかったです。

ただし、前述の通りチーム全体で見れば、ベルギー戦同様のスタッツでリバウンドを抑えられないことになっています。16のオフェンスリバウンドを取ったフィンランドですが、44番が4つ奪った以外は2つ以下の選手のみ。8人がオフェンスリバウンドを取っています。またも日本が空けた穴から奪い取られてしまいました。逆に渡邊が「中に入りにくい」といってたようにフィンランドの方は穴を作らないディフェンスをしていました。

また、フィンランドの場合は3人がオフェンスリバウンドに来ていましたが、日本はディフェンスリバウンドからカウンター速攻を出せませんでした。これがリバウンドを許しすぎる原因にもなっており、田中大貴の5スティールがなければ速攻0だった気がします。ここにきてU19の逆で「早い展開がなさすぎ」問題とは悩ましい。八村のヤニスアタック待ちかよ。

さて、ギャビンが圧倒できている事はBリーグスタイルにハマるので、日本は3試合目にしてもっとも楽にプレーしていたのですが、その割にはリードを奪い取ることが出来ませんでした。ギャビンに吹っ飛ばされるシーンが多発され、インサイドに困りまくっていたはずのフィンランドはどうしたかといえば「ファールで止めた」というだけです。

〇フリースロー
渡邊 9/9
ギャビン 7/10

その結果、2人のフリースロー数がヤニスみたいになりました。日本の24本中19本が渡邊とギャビンです。フィンランドのディフェンスは

「渡邊とギャビンはどうにもできないからファールで止めとけ。他の選手にシュート打たせろ」

という構図で、誤魔化しまくっていました。同時に日本は、この誤魔化しに完敗してしまいました。他の選手は例によってドライブは出来ず、3Pを決めていった形だったので、フィンランドディフェンスは崩されることなく対応していました。まぁ楽に3P打てたから日本も困ったわけじゃないけどね。日本のミスをまったフィンランド。

NBAみていると個人の対応が出来ずに、ファールで止める選手に対して「誤魔化し」と表現していますが、個人レベルだと能力不足だからダメなものはダメです。
しかし、実際の戦いとして考えると、誤魔化しという表現が「悪いことをしている」と捉えられたらマズいですね。サンズがチームとしてヤニスにファールしているように「戦略的ファール」が正しいね。それもチームに指示されたんじゃなくて選手が勝手にやった感じ。でもファールアウトはしない。

プロフェッショナルファールも多かった若いフィンランドとは違い、日本は速攻を仕掛けられるところでもギリギリまで耐えて奮闘しました。その結果がフィンランド優位の展開が続くことに。内容の良い日本にはイージーシュートがなく、内容の悪いフィンランドにはイージーシュートがあった。
3Pは日本の39%に対して、23%しか決まっていないし、かなり困りまくっていたフィンランドでしたが、そのうち日本のゾーンに慣れちゃったので、インサイドを攻略し、外してもオフェンスリバウンドで耐え凌いでいました。

リバウンドにファールで止めること等、試合に勝つための戦略性について、試合終盤の展開でハッキリと出てしまったのが、これまたむなしさがありました。渡邊離脱からフィンランドペースになっていったものの、日本も追い上げると金丸の4点プレーで勝つチャンスが生まれました。プレーBYプレーを確認してみると

残り2分 金丸の4点プレーで3点差

     フィンランドの3Pミス
    →ORから押し込み5点差

     比江島シュートミス

     フィンランド3Pミス
    →OR
    →シュートミスで時間経過のみ

残り1分 富樫3Pシュートミス
    →ギャビンOR
    →フィンランドがファールで止める
    →FT1本決まって4点差

残り42秒 フィンランドオフェンス
残り17秒 ショットクロック残り8秒で天傑ファール
     →FTで6点差

こんな終わり方をしました。最大の問題はファールゲームを選択せずに守り切ることを目指し、追い込んでいった残り17秒で天傑がファールしたことでした。意地でもノーファールで守り切る必要がある場面で3Pラインの外で抜かれそうになって、ボーナススローを与えてしまいました。スティールを仕掛けてのミスや、レイアップされる前に止めたならまだしも・・・いや、レイアップでも外れるのを信じるしかない場面かもね。

しかし、実際には残り2分で3点差まで来ているので、むしろその前のお互いの攻防が重要です。なんせ、両チームが「3Pを打つ→オフェンスリバウンドを奪う」に成功しており、3P時代ならではの構図です。そのうえでリバウンドを押し込まれた日本と、ファールで止めて1点減らしたフィンランドという構図でした。

総じてフィンランド戦の感想は一貫していました。

日本の方が強いけど、フィンランドの方が試合巧者だった

でもフィンランドは23歳以下のチームみたいなもんだぜ。まだ「フィンランドの方が強かった」の方がマシなんだよね。なんでプロ選手が試合巧者ぶりで負けてしまうのか。八村と馬場が戻ってきたら日本の方が強くて勝つのでしょうが、そういうことじゃないじゃん。アップセットが日本の目指すところなのにさ。それともナイジェリアを目指すのかな?

◎渡邊とハンドラー

やっていることは正しいけど、個人の能力・戦術力が足りない

総じて、こんな印象だったことは従来と何も変わりませんが、ディフェンスは「やっていること」も怪しかったのが新しかったです。悪い意味で新しいのかよっ!
その一方で1年ほど試合が出来ず、WCから2年が経過した事もあって、久々に思い出した事もあります。

渡邊レベルになると戦術が成立する

ここですね。ちょっと個人技に頼りすぎな一面も大きかったですが、渡邊だけはスクリナーを使って突破するし、何よりもディフェンスが準備できていないと見るや、チームオフェンスの前にプルアップ3Pを決めきりもしました。ただ、ハンガリー戦で決めまくったから、ベルギーは警戒してきたし、フィンランド戦は渡邊が打たなかった悪さもあったよ。

3試合通して比江島が不安定なマインドも見せはしたけど、「自分で行くぞ」となったら比江島タイムを発動しており、実はそこそこ個人の仕掛けは通じたよね。他にはベンドラメはワイドにパスを散らしつつ、ディフェンスが広がったら縦のアタックからゴール下にアシストしており、キックアウトも混ぜながら持ち味を出しました。

この3人が発揮していたことは「プレーコールをしっかりやるぞ。でも、ディフェンスをみて個人でも仕掛けるぜ」というバランス感覚です。むかしサッカーの日本代表がいわれがちだったことですね。規律を守りすぎるのも違うじゃん。「やるべきプレーを決めるのは自分達じゃなくて、相手のディフェンス」じゃん。ディフェンスの逆を取らないとさ。ウエストブルックだって八村にそう教えているぞ。本人がやっているとは思えないけど。

田中はらしい感じで安定感重視で3試合で73分プレーし、8アシスト、5ターンオーバーでした。これはこれでアタック数は少なかったけど堅実さを発揮した持ち味だと思います。その意味ではハンドラーたちは「物足りなかったけど、持ち味を発揮した」気はします。

ただ富樫だけは逆にターンオーバーも少なく、積極性も欠いたよね。おそらくもっとボールプッシュのスピードを上げて、試合のテンポを変える役割が期待されている気がするのですが、うーん、どうなんだろ。

「ラマスは〇〇選手の良さを知らない」というけど、実際には自分の良さを自分で知っていれば、表現できるだろって感じもした3試合でした。ただ、その良さが単なるアタックになってしまうと突破できないだけで終わります。相手があるスポーツなので、このレベルで表現できるかどうかが大事。

ただ、それとは違ってチームで良さを引き出さないといけない選手もいます。代表例が金丸。スクリーンを用意したり、キックアウトパスがあって初めて3Pが打てる。前述の通り、そのための準備はされていました。これがなければ金丸が活躍するのは難しいです。
金丸のコメントは、この辺の割り切りがハッキリしていて好きです。

渡邊、馬場、八村にスペースを作るのが大前提のような形で構築しているので、そのほかの選手が色濃く持ち味を出しまくるのは、そもそもチーム構成として違います。あとは、このやり方の中で、ピンポイントで特徴を出して試合に変化をつけていくか。

んー。この話ね。どうしよう本格的に触れると変な感じになりそうだ。単に「クリス・ポール余裕だな」と思って呟いただけですが。

基本的には頭の中に描いた理由は、ほぼほぼ正解です。
「クリス・ポールが特別」
「度胸」
「アングルの作り方」
「選択肢を複数持つ」
「スクリナーが下手」 etc
で、あれもこれも正解な中で考えていくと、1秒に満たない時間の中で、非常に多くの要素が含まれているってことです。クリス・ポールはNBAの中でもトップクラスなわけですが、そこにあるのは「一瞬の情報処理能力が高い」ということ。スローダウンしまくっているしね。この情報処理能力は世界大会で日本のガードは追いつかないって事でもあります。トータルすると「修行が足りない」になるわけですが、

Q.Bリーグではピック&ロールからパスを出せるのに、なんで代表戦では出せないの?

こういう質問に置き換えると少し話は変わってきます。代表戦といったけど、確かアジアカップ予選ではギャビンにパスが出ていたよね。それが、この3試合通じてフィンランド戦くらいしか出なかったのは、単純に相手のディフェンスに対応しきれないって事でした。サイズアップしている中で、ハンドラーへのプレッシャーの強さはBリーグとは段違いってことでした。

ちょうどアルゼンチンがナイジェリアとエキシビジョンマッチを行いましたが、あまりにも強いナイジェリアのプレッシャーにアルゼンチンでさえも、ハンドラーがまともにパスを出すことが出来なかったように、日本もユーロ中堅国のサイズ、フィジカル、戦術力に対してはBリーグでやっていることは出来ないって事でした。

その点でラマスが試合の前半にピック&ロールやオフボールスクリーンを使って仕掛けさせ、後半にスペースを広げて個人技アタックさせたのは、連続したパッシングで崩すのは難しいという判断かもしれません。ピック&ロールの件を語りだすと、またもU19というか高校バスケの話題も出てくるので辞めましょう。

◎ヒュー

初めてヒューをみたのですが、とても良かったですね。なんでラマスはこの選手をもっと起用しないのか不思議で仕方がなかった。ディフェンス面はビッグマンとしては日本にはない運動量があり、それこそリバウンドの穴をふさぐのが上手く、リバウンドに飛び込んでくる選手を捉まえるのが上手かったです。ヒューならペリメーターディフェンスも出来そうなので、マンツーでもゾーンでも非常に使いやすい選手でした。

オフェンス面はシェーファーのようなシュート力はないでしょうが、こちらも誰よりも多くのスクリーンに行き、すぐにゴール下に飛び込み、またスクリーンに行きました。「マークマンを剥がす」ためのスクリナーとしてはギャビンをも上回ります。ただ、それを使えるのが金丸くらいしかいないのが苦しかったのか。

両サイドにパスを出していくベンドラメとの相性が良く、両ウイングを空けるスクリーンに、ドライブに確実に詰めているインサイドと、いうことでシンプルに言えばすごくNCAAっぽいビッグマンでした。日本人よりもずっと戦術的にプレーコールを繰り返せる強みであり「スクリーンが仕事」が成立しています。日本ってスクリーンだけしていたら評価されない気がするし。

ハンドラーの仕事と合わせて、もっとヒューを使うと面白いのですが、海外組のアタックにスクリナーは不要という考え方なのか。渡邊も八村もスクリナーになるのが仕事だしなぁ。

ちょっと中途半端だと思ったのは、機動力バスケに切り替えるならヒューの方が適切な選手なのに、出番があまりにも少なかったことでした。スイッチディフェンスしそうなメンバーで・・・実際にはしたくない雰囲気だけどね・・・こういうインサイドファイターがいるのは重要です。

琉球に入るわけですが、変にコーナーシューターとかにせず、インサイドファイター・スクリナーとして育てて欲しいのでした。が、そもそもそんなタイプのビッグマンってBリーグにいないでしょ?点の取れないセンターって嫌われそう。

◎次回に続く

では次はベルギー戦とフランス戦です。八村も馬場もいない3連戦には価値が低かったのですが、かわりに日本の立ち位置はわかった3連戦でした。このレベルの相手(ユーロ中堅国)とやる機会は、なんならユーロ上位国とやる機会より少ないし、あまりやる意味もない(世界大会では出会わない)ので、これはこれでよかった気もします。

現在のBリーグだとレベル的に勝てないって事ですが、それよりもフィンランドのように違う意味での差があったのは興味深いです。個人のスキルレベルよりも戦術レベルの差が大きかったわけで、ラマスがやっていることが悪いのではなく、やりたいことをする戦術力不足な匂いでした。

次のベルギー戦は日本の方が八村という戦力で上回ることになるので、そこで圧倒して終わるかもしれません。でも、それでOKにしちゃいけなんだぜ。ぶっちゃけラマスジャパンは、選手それぞれが役割を理解してプレーしているし、オフェンスが変化するなど、色んな工夫があって悪くないんだけど、U19の方が「戦力で打ち勝つぜ大作戦」をしていたこともあって、日本バスケ協会全体のイメージが悪いんだよね。そっちにかなり引っ張られているよ。

最大戦力の八村をどのような形で組み込んでくるのか。プレータイム配分はどうなるのか。渡邊の負担は減るのか。そんなことを確認するベルギー戦になってきます。

日本代表 沖縄大会を振り返ろう” への4件のフィードバック

  1. 沖縄大会、若手のおかげか運動量もインテンシティもあがって、見てて楽しい代表になってきたなと感じました〜
    そして金丸も田中も、八村渡邊馬場の3人がいてこその人選だなと思いました
    国外組で最もレシーバー寄りの渡邊しかいない状態で、比江島やベンドラメと違いドライブの無い田中PGを引っ張り続けるのがマジで謎でモヤモヤ…
    結果ベルギー戦もフィンランド戦も渡邊任せになり結果ガス欠というのが続いたので、残念です
    ラマスが重用してる田中も天傑も、国外組が揃ってこそのバランサーだと思うので、八村合流後は注目ですね

    1. 八村合流しないと評価しきれなかったですね。
      以前は「いなくても機能する」を目指していましたが、ラマスの割り切りって感じです。
      馬場が合流できなかったのが誤算といえば誤算なのか。

      世界大会仕様と予選仕様で大きくチームを変える必要があるのは大変だ。

  2. マジでヒューを使わないのは理解に苦しみます。
    特にゾーンディフェンスするなら間違いなくシェーファーよりヒューです。
    3Pが無いことがそんなにマイナスなんですかね?
    彼の方がボックスアウトもキチンとするし、ディフェンスの立ち位置もシェーファーよりエリアを守るという意味を理解してると思います。

    1. そうなんですよね。八村と組ませると弱点を補えそうだし。逆にあんなに使わないなら、なんで選んだんだろ

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