2021/5/13
前日にセルツがキャブスに負けなければ、ニックスが勝てばプレーオフ確定、スパーズが勝てばプレーイン確定という試合でした。とはいえニックスも順位争いもあるので、マジメにやるであろう試合です。
◎ノエルとウォーカー
ディフェンス力で勝ってきたニックス。シーズン前半は単にペースを下げて、しっかりと守り、インサイド重視のフィジカルファイトって感じでしたが、シーズン終盤になってくると自信もついて、らしさってものが増してきます。
ニックスディフェンスの特徴①はブルロック、ペイトン、バレットとガッシリしたタイプのアウトサイドを並べ、簡単には抜かれない事。「簡単には抜かれない」ってのは単なる個人のディフェンス力ですが、そこにチームの狙いを加えるなら3Pに対して過度にチェックしないってことがあり、プレッシャーはかけるけど前に出すぎないことで抜かれるリスクも下げている。特に本日は3Pに積極的ではないスパーズなので、殆ど抜かれない。
ニックスディフェンスの特徴②は動けるノエルのカバーが速いこと。ショーディフェンスによって平面を追いかけることも出来るし、ゴール下よりも一歩前でのヘルプでより抜かれないディフェンスを構築しています。ランドルもゴール下にヘルプに出た際にキックアウトされたら、すぐに自分のマークマンがいるコーナーに戻るフットワークを見せたので、ノエルの個人能力だけでなくインサイドのカバーが鍛えられています。どっちも高さよりもスピードだね。
この2つが目立った1Qは失点を18に抑えます。クイックリーがミルズの3Pに飛び込んでファールしてしまったのが悔やまれるぜ。
基本はアウトサイドもインサイドもコースを塞ぐ能力が高いってことになり、だからこそフィジカルコンタクトも増えて、時間と共に相手を疲弊させることにも繋がっています。リーグ最長のプレータイムとなっているランドルが元気なのはアンフェアな気もしますが、それはペースの遅さがカバーしてくれているのかもね。
スパーズはデローザンが「いくらなんでも」ってくらいにドライブが決まりません。ほぼマンマークのところでコースに入られるので、パスをはたくのみ。でも、マンマークの状態で止めているならパスを出したところで、ワイドオープンは生まれません。トラブル・トラブル。
完封みたいなニックスディフェンスでしたが、弱点がないはずもなく、同時にスパーズ側もこういう時にどうするのかが明確になっている面がありました。それはロニー・ウォーカーの存在。正直、イマイチなんですがホワイトがいないのでスターターに混じっており、これといった武器を示せないでいる3年目。なお、ベンチメンバーで出場すると個人アタックしやすくて輝いている。
しかし1Qはチーム最多の6本のFGを打ちました。スパーズの中では割とディフェンスを無視して打っている事と、それ以上にパスを受けた後にクイックネスでニックスのマンマークを振り切っていました。いくら個々がちゃんと守っているといっても、縦に早く飛び込まれたら間に合わなくなっていくのさ。
だからロニー・ウォーカーがスターターにいるのも異分子的に機能するって事を感じさせることに。でもフィニッシュが甘かったのでレイアップミスがあり、単に個人で特攻しているだけにもなっていました。
チーム全体でパスを繋ぐ中で、クイックネスでディフェンスを切り裂く個人技を発揮する。ここまで行けば選手としての価値が上がるだけでなく、チームオフェンスの効率性もグイっと上がるのでしょう。スパーズの伸びしろは、各個人がプレー精度を上げることだよね。ロニー・ウォーカーが決めていれば18点ってことはなかったと思うぜ。
◎自由なランドル
一方でニックスも20点しかとれず。オフェンスとしてはスパーズとは大きな差があるのですが、1人で14点を取ったランドルによってリードを得ました。エースが個人技で自由にやるのはシボドーお得意なヤツであり、ベンチにはバークス、クイックリー、そしてローズと代役も用意されています。なお、ローズはお休み。ローズ運がない管理人。
今シーズンは3P40%を超えているランドルですが、それっていくらなんでも不思議すぎる。確率が良い理由を考えたら「自由に打っていい」というだけの気がしてきました。
フィジカルの強いランドルは、ドライブフィニッシュとアウトサイドの組み合わせが効果的なパターンの気がするし、これまでもずっとそんな感じでした。でも、今のランドルはアウトサイドから打ちまくるって感じで、ペイント内得点は減っています。
別にミドルが多いくらい他にもいるし、っていうかデローザンがいるのですが、しっかりと打ち切れるシチュエーションを作り、オープンなミドルが多いデローザンに比べて、ランドルのミドルはかなり酷くディフェンスを振り切れていないタフショットが多いのです。試合開始から自由過ぎるシュートを打っていく。
後ろ足で3Pラインを踏んでのミドル
同じくステップバックしてラインを踏んでのミドル
ワンドリブルしてフェイダウェイミドル
トランジションでコーナー側に流れながらのミドル
守っていたケルドンはしっかりと対応していたから、タフなミドルなのに決めてしまうランドル。フリーであるかどうかは関係なく、「自分のリズムで打てば決まる」タイプの選手です。似たようなのだとJRスミスがいますね。不安定だけど爆発力がある元ニックス。
ランドルの3Pはこの延長線上って感じで、たまたま距離があったから3Pな空気です。ハーデンに鼻で笑われそうなシュートセレクトなのですが、距離とかディフェンスとか関係ないし、シボドーにそれを認められているし。アンチ「現代戦術」ではなく、アンチ「戦術」って感じのシュートなのだ。
そのランドルがいない2Q序盤。バークスとバレットが同じように個人技で攻め込んでいきます。でもね。現代の普通の選手は3Pとドライブで組み立てるのに慣れているので、ランドルみたいなことはしないのよ。だから10年前ならともかく、現代でランドルは変なんだ。
コーナー3Pを決めたバレットは、スイッチでvsパートルになると、しっかりとスペースを作ってアイソをやり直し、最後はヘルプが来たところでゴール下のギブソンにアシスト。同じエースのアタックでも、これが普通の選択です。そして効率的でもあるからリードが広がります。
だけど、やっていることが普通ならディフェンスも対応するよね。クリックリーのドライブがパートルにブロックされ、戻ってきたランドルもゴール下に行ったらパートルの餌食に。ケルドンも抜かせないので、タフミドルを打たないランドルは止められています。
そしてポストアップからのターンシュートで逆転させたデローザン。同じようなスピンからユーバンクスへのアシストも決め、同じミドル好きでも内容は全然違います。ただ、パスアウトしたときのゲイがイマイチ。ランドルに守られているっていうのもあるけど、思い切りよく3Pうっていれば問題なさそうなのに。
それでもスパーズの方がニックスディフェンスを見ながら対応できているので、このまま行けそうだったのですが、今度はこちらも「良くわからない系統」のバークスがスピードアタックで打開し、さらにキックアウトパスをニリキナが3P。
ランドルが0点に抑えられ、ローズ不在で苦しんでいた中で、何故か2Qフル出場したバークスが14点を奪って再逆転したニックスが3点リードで前半が終わります。
「相手が予想していないことをやる」というのは基本事項ですが、ニックスの場合は意図的にやっているのではなく、「予想しにくい選手がアタックする」ことで解決させているような感じです。ランドルにしても、バークスにしても、戦略的なHCなら信頼したくないようなタイプだけど、シボドーからするともっとも信用したいタイプの選手なのかもしれません。
◎ケルドン
1Qはやられたものの、見事にアジャストしてランドルを封じたケルドン。さらにキックアウトパスを受けるとキッチリと3Pをヒット。これがまたマークしているのがランドルだから、ケルドンが決めることでニックスのインサイドは薄くなり効果的です。しかもランドルがチェックに出来たらドライブレイアップを決めてスパーズのリードは二桁に。
「オールスターのランドルと、ケルドンをトレードしようぜ」と持ち掛けられたら、ポポビッチなら断るだろうね。どういう選手が欲しいかという根本のロスター構成が違う。
完全にランドルを手玉に取っているケルドン。ニックスはたまにブルロックが決めてくれるくらいで得点が伸びず、逆にロニー・ウォーカーのスピードアタックも決まり、デローザン中心にディフェンスに対応したスパーズが一方的な展開になっていきました。
しかし、ちゃんとケルドンを休ませる普通の神経をしているポポビッチに対して、止められているけど出続けるランドルなので、マッチアップしなくなってから流れが変わります。あとギブソンの登場も大きいかな。
あまり信頼されていないのか、ゲイがマークしているとオーバーヘルプ気味になったスパーズ。ランドルがコーナーにパスアウトするとバレットはワイドオープン3P。さらにゲイが抜かれてしまったので、パートルがファールで止めることに。ランドル中心に動き出したのか、ゲイで止められなくなったのか。
ディフェンスでもランドルに止められたゲイ。それだけでなく前半からデローザンが下がってマレーになると組み立てられていないスパーズ。ニックスディフェンスはマンマーク強めなので、パスを出そうとしても出せないマレーが自分で行く事が増え、普通にやれているようでニックスからすると守りやすくなっています。
そしてブルロックがマレーを追い込んでスティール。バレットはドライブから&ワン。最大17点差まで行ったのですが、15ー2のランで3Qを終わらせたニックス。4点差まで縮めたのでした。
3Qだけでケルドンの得失点差が+17もあったのに、ゲイは△10だった。じゃあケルドンを40分起用すればいいのかっていうと、それもね。シボドーの采配に一番怒っているのはポポビッチだったりしてね。そんな試合展開です。
◎セカンドエース
ノッているバレットが3Pを決め、ゲイの3Pはバックボードに当たる外れ方で、マレーのミドルはショートし、ランドルのパスアウトからバークスのコーナー3Pで逆転するニックス。
この文章でおかしい所は、3Qフル出場していたランドルとバレットの名前が出ている事です。なお、ブルロックも後半開始から休みなくコートにいます。3人も交代していない選手がいるっていうことなのよ。よくこれで逆転できるよね。違う意味で予想外のプレーをしている。
堪らずケルドンとデローザンを戻すポポビッチ。するとトランジションでデローザンにマークされていたのに、ハンドオフでわざわざケルドンにスイッチさせて仕掛けたランドルがミス。何してんだよ。自分が止められているのに気が付いていないのか。続いてポストアップも止められたので逆サイドにパスを出すと、ブルロックの頭の上を通ってベンチへ。
ところがスパーズも神確率のデローザンがブルロックに止められてしまいます。「元気な方が強い」とか書いていたの誰だよ。バレットもまた3P沈めるし、「疲れていても強い」というどこの根性論だ。
あまりにも決まらないデローザン。元気過ぎるブルロック。これに対してケルドンに完封されているランドルは手がなくなったような感じで打った3Pをひっとさせ、残り6分でニックスが4点リードになります。エースの差といえば、エースの差なんだけど・・・。
そして、もう1人のイレギュラーであるバークスがコーナーから3Pをヒット。こうなってくるとデローザンも問題だけど、セカンドプレーメイカーが機能していない方が問題だな。ピック&ロールしたマレーは弱気な意味のないパスをだしてしまっている。あぁホワイトよ!
残り3分半、やっとこさブルロックをこじ開けたデローザンが&ワンで同点。しかし、スパーズはディフェンスをゾーンにしたのでケルドンが止めきるシーンはなくなり、しかもまたバークスにドライブ&ワンを食らいます。デローザンは続いてミドルを返すけど、またバークスが3P。
ってことで、完全にポポビッチのミス。何を狙っていたのかわからない・・・っていうか、おそらく点が取れないからスティール速攻を狙っていたのでしょうが、パスを繋ぐニックスに無効化され、バークスアタックに沈んでしまいました。正直、シボドーは何もしていないぞ。唯一やっているのは「交代しない」ことだし。
タイムアウトでマンツーに戻したスパーズはマレーでバークスを止めに行き、デローザンがトランジションアタックでレイアップ。こちらはさすがにブルロックを上回っている終盤です。残り1分でニックスが2点リード。
なお、この時ホークスの勝利が画面に出てきました。6位が嫌なら負けられない。
タイムアウトのニックスはランドルのアイソからミドル。1Q以降で初めてケルドンに勝ったプレーで4点リードにします。ケンタッキーのカリパリが観戦に来ていますが、ケルドンとランドルのどっちが好みなんだろう。
スパーズはパートルとのハンドオフからマレーがアタック。しかし、ゴール下で潰されてしまいます。最後までダメだったマレー。ニックスはバークスが3P打ちますが決まらず。
トランジションのデローザンにニリキナがプレッシャーをかけますがファールコール。やり直しもデローザンですが、ここはブルロックがコースを止めるも、パスを受けに走ってきたケルドンがそのまま持ち込んで&ワン。残り10秒1点差に。
ファールゲームはバークス。マジで信頼されているな。2本決めて3点差。スパーズはタイムアウトがないので、この時点でミルズやゲイを投入します。なんだけど、スローインするのが誰かすら決まっていなかった。
ニックスは逆ファールゲームをチョイスします。タイムアウトないからですね。デローザンが1本目を決め、2本目は外しに行くのですが、ルールを知らないのかバックボードに当て、リングに当てなかったのでバイオレーション。何してんの。ということで、非常に締まらないラストでした。デローザンが悪い。
◎ニックスが勝ったの?
なんか疑問形の試合です。バークスとブルロックについては「勝った」といって問題ありません。あとバレットも。とはいえ、デローザンは終盤にはブルロックを上回ったので、そこはスパーズ側からしても普通に終息したんだよね。
最後のあれこれでバレットが少しベンチに下がったものの、ランドル、ブルロック、バレットの3人はほぼ出ずっぱりだった後半。これで勝っているのは、本当にわけわからんのですが、スパーズからすると「ベンチが弱すぎた」ってことになります。疲れているはずの相手にボコられた3Qが問題だったね。
そしてケルドンは素晴らしかった。ほぼ完ぺきじゃん。足りないのは48分で続ける根性だけだな。
いずれにしても今シーズンのニックスの特徴が詰まっている試合でした。やっているオフェンスが謎だけど、それが読みにくいオフェンスに繋がっている。バレットやブルロックはセオリー通りに決めてくれている面も合わせて、イレギュラーばかりじゃないからこそ上手くいっている。
これがプレーオフでもうまくいくのかって話ですが、ランドルの個人技って事なので考えても仕方ない。プレーオフ初めての選手なので、失敗しても経験です。
スパーズは負けたものの、キングスがグリズリーズに負けたのでプレーイン決定です。グリズリーズ、ウォリアーズ、レイカーズに勝てばプレーオフです。ハードモードですが、可能性だって十分にあるよ。勝負強さがないラプターズ時代を過ごしたデローザンが、プレーインでチームに勝利をもたらせるのかどうか。
管理人さんは根性論とか感情論とかウエストブルック理不尽大王とかが好きじゃなさそうな割に、文章としては楽しそうという矛盾。
理不尽ニックスは、非常にニックスらしく勝ってるという事で。
そういうことですね。
戦術が高度になっているのが好きで、それをぶち壊す理不尽が大好きなんです
ランドルのシューティングスタッツを見ると、今シーズンは0-3ftのFGA%が昨季の半分以下、10ft-16ftと16ft-3pがそれぞれ昨季の2倍以上に増えていて、これは意図的なんじゃないかと思います。
結果的にどの2pレンジからも10%〜20%の幅(10-16厚め)で打っていて、3pまで含めるとカワイのFGA分布によく似ています。
ランドルのカワイ化?シボドーがドックのマネをした?とりあえずLACっぽいアプローチで NYKは成功したんだなと思ったりするんですが、こういうサイズとフィジカルのあるコンボF型エースに好きにやらせる戦術論って今後流行るんでしょうか?
意図的に思えて試合を見るとタフショットなので、意図じゃないと思うんですよね。シボドーはペイント近辺を打たせるのが好きなので、そこは意図的だと思います
結局メンタル的な要素は大きいですよね。効率の悪いショットでも相手の効率がさらに下回ればいいんだから、自信を持って打っていたら確信にかわり確率がさらに上がっていくという。
ルーキーの頃から時代と逆行し過ぎてたランドルですが、このオフェンスやらせたらシアカムなんかとは年季が違いますな。
シアカムはダメですよね。こういうのは完全に選手のタイプなので、見極めるのも難しい