サンダーvsスパーズ

2021/1/12

どっちも予想以上に頑張っています。特にサンダーはいろいろと良い部分があるので、次回はサンダー編の予定。それ以上にスパーズは頑張っている。貧弱インサイドでも安定して戦えているのは、長年の経験に裏打ちされたポポビッチの管理能力かもしれません。過密日程を乗り切る経験を持ったHCは少ないでしょ。

◎ベテラン

そのスパーズはデローザンがいません。基本的にデローザンの存在がスパーズに様々な恩恵をもたらしているので、同じようなシステムでオフェンスを展開しているはずが、ちょっとずつアドバンテージが足りない。

マレーから始まるオフェンスは、ピック&ロールを使いながら、逆サイドではオフボールの動きがあり、1本目のパスが出ると、2つ、3つと繋がっていきます。動きながら、選手間の距離も保たれている。システム的には良い感じ。

でも、サンダーは1on1の対応で済ませていきます。そこにデローザンがいると、そうはいかない。さらにドライブからストップしてもミドルのあるデローザンと違ってミドルエリアを止める意識が薄いので、なおさらヘルプは不要に。キックアウトからのキャッチ&3Pが打てません。

ちょっとずつタメを作っているデローザンがいないと、システムは同じでボールも回るけど、なんかチャンスにならないスパーズ。ただし、タメがないからパスのテンポは上がりやすく、しかもオルドリッジはハイポストにいるから、ケルドンがミートした瞬間にドライブする形は強力になっています。

もう1人スラッシャーがいると楽になるけど、デローザンがいないし、ホワイトもいないので足りていない。キックアウトが来ないからライルズは空気だしさ。

ミルズがコートに出てくると、シューター系統が増えた・・・というか、それで打開しないといけないぜ。そして打開しちゃうんだ。オルドリッジとミルズがアウトサイドから決めて、苦しんではいるけど、しっかりとついていきます。ここを外していたら、一気にサンダーが二桁リードに広げそうだったのですが、求めらえるシュートを決めたベテラン2人。

オルドリッジは正直かなり苦しいのですが、こういうシュートを決めている印象があります。ブログ的には「オルドリッジがダメだから・・・」と書こうと思ったところで決めてしまう。これでチームとして粘り強く戦えている。ディフェンスを崩しきれない時間帯にも得点してくれるベテラン達(ゲイ含む)。マレーやケルドンにこの役割は出来ない気がするよ。

そしてミルズがスクリーンを使ってのミドル、運よくボールが転がってきての3P。サンダーディフェンスはミルズへの警戒を強めざる得ないので、ピック&ロールから2人がついていくことも。つまりはディフェンスを崩し始めてくれました。

1Qは終始サンダーがリードしながら、26-26の同点。ミルズさん、お見事でした。苦し気なスパーズだったけど、ベンチからミルズとゲイが出てくる強みで、試合を壊さないぜ。

◎構想と違う

「サンダーについて書こう」というのは、当然それなりに構想があるわけです。でも、試合を観続けているわけではないから、この試合で確認するってことです。ところが、構想と現実が全く違うからビックリ。良い意味のサプライズが展開されていました。

サンダーのキーポイントはインサイド。ホーフォードとムスカラがシューター的に動いてくれるから、いろんなプレーが成立しています。ところが、試合開始からホーフォードは見事なインサイド合わせを連発。構想と違うじゃん。

チームとしてオフボールでのコンボプレーが増えており、ヒルとホーフォードによって複数の形で崩されていきます。いいね。いいよ。面白いよサンダー。

セカンドユニットになった2Qは、ポクセ君のポジションに改善がみられ、ウイング側からオフェンスを始めようとしています。コーナーまで行ければ、もっと良くなるのでしょうが、スペースを作り始めたので、マラドンのコントロールからディアロのアタックで崩していきます。

ただ、マラドンにマレーを当ててきたスパーズ。慌てることなく、プレーを構築するマラドンですが、予想もつかないところから手が出てくるので、シンプルなパスに触れられてしまいます。ポーカーフェイスを崩さないマラドンですが、内心はびっくりしてるはず。

ケルドン&ヴァッセルも並べられてドライブが効かなくなっていったサンダー。インサイドでのプレー構築が出来ないメンバーなので、オフェンスが止まります。

今度はスパーズがリードを奪いそうだったのですが、シュートが決まらないのに助けられます。サンダーはこういう時に得点を取ってくれる選手はおらず、マラドンやポクセ君の成長待ちなのだと思います。悪くはないよ。そしてディフェンスで踏ん張れるから、試合を壊さない。

ホーフォードが戻ってくると、インサイド側に起点が出来ます。パスアウトからジャスティン・ジャクソンの3P。SGAがドライブするとホーフォードが3Pラインに開くし、スクリーンからスリップでインサイドにも飛び込むので、SGAにヘルプを用意できなくなるスパーズ。

サンダーで嫌らしいのは、同じことをベイズリーもやること。特にベイズリーのスリッププレーは早すぎて守り切れないので、ドライブの前にインサイドを崩されてしまいます。

そんなわけでサンダーがリードを奪い返すかと思いましたが、ここでまたもミルズ&オルドリッジがシューティングで得点を奪い、さらに「もう慣れたよ」といわんばかりに、サンダーのインサイド合わせを塞いでいきます。それに対してアウトサイドから決められないサンダー。

展開的には互角だったけど、気が付いたらスパーズが10点リード。すごいね。点差がつきそうなときには耐え抜き、互角の時にリードしちゃうのか。サンダーは若いチームってこともあって「自分たちのやるべきこと」を実行する気持ちが強く、スパーズの方は「相手の弱いところを突く」気持ちが強い感じの前半でした。

51-43とロースコアでしたが、共にリスクマネジメントしながらの前半でした。共にFG40%と決まらなかったのですが、ミルズが3P2/4で10点、ゲイがFG3/6で6点。2人のベテランがちょっとした差を作った雰囲気です。

そしてサンダーは構想と違うオフェンスを展開してきてビックリしましたが、最後は構想通りに「パターン不足」でオフェンスが止まりました。まだ、能動的に多様性を持ち込むことは出来ていない雰囲気です。ヒルが自己主張すれば良さそうですが、相変わらずの他人任せで消えている時間があるんだよね。

◎展開変わらず

後半開始も同じ流れです。
・スパーズのオフェンスはタメが足りず、展開力に欠ける
・サンダーのインサイドへのパスはスパーズが読んでいる
そのため、お互いに崩しきれない中でのシューティング勝負みたいになります。もしくはトランジションくらいしかチャンスが生まれない。

そんな中でドートが3Pを決め、さらにヒルとベイズリーが1on1でドライブを決めたサンダーが点差を縮めます。しかし、そんな形が続くはずもなく、お互いに決定力不足の展開は変わりません。

個人技で突破する匂いがあるのはサンダーですが、深入りしすぎると、今度はパスを読んでいるスパーズがスティールから速攻を出すので、なかなかラッシュにならないよ。3Pも決まらない。

スパーズはゾーンも使ってきます。ディフェンスよりも速攻を出したいオフェンスの問題でしょうね。これに対して、サンダーはセンターをロビーにしてマラドンとSGAを並べるスーパースモール戦略に。お互いに工夫しようとしている停滞した3Q

ドライブを警戒しているスパーズディフェンスに対して、ベンチから出てきたポクセ君とディアロがミドルを決めることで、打開しそうなサンダーでしたが、スパーズもゲイが3P。そしてケルドンが久しぶりのドライブを連発してリードをキープします。

3Q終わって80-73と前半よりは点がはいりましたが、それはスティールから速攻を増やしたスパーズの事情でした。オフェンスが停滞する中で打開策としては有効だったものの、決定打にするにはハーフコートオフェンスが悪すぎた。

◎足りなかったフィニッシュ

ポクセ君がフルコートでロニー・ウォーカーのプレッシャーを受けながらも抜き去ってレイアップに行くものの、ヴァッセルのブロックを前に決めきれず。それに対してミルズはフェイダウェイミドルとオフボールムーブからの3Pで加点します。フィニッシュ力の違いが響いて10点差。

ミルズに困ったのでケンリッチ・ウィリアムスがマンマークになります。前半にポクセ君のファールが増えた時はジャスティン・ジャクソンだったのに、ここではマラドンを下げてケンリッチを起用してくるのだから、1on1での対応をいろいろ考えての起用法っぽいです。マラドンのパスが読まれていたのもある。

見事にミルズをブロックしたケンリッチ。オフェンスはディアロの個人技中心ですが、ディフェンスでミルズから自由を奪ったので、ボールムーブが効かなくなり、インサイドでも塞げるようになった4点差まで追い上げます。ブロックからカウンターになったときに、ディアロが2on1をミスっていなければ。

ミルズを下げたスパーズは、マレーのステップバックミドル、ロニー・ウォーカーのドライブで引き離しに行きます。サンダーもホーフォードを戻してミドルで対抗しますが、ロニー・ウォーカーが3Pを決めて再び10点差。リードをキープするスパーズ。

スパーズはオルドリッジのドライブがノーチャージエリア内でオフェンスファールをコールされる不運もありながら、ケルドンとロニー・ウォーカーのドライブでファールドローしていきます。終盤になって突如として機能し始めた感じだ。

サンダーはよりワイドに開いて、ドライブを使っていきます。ヒルが抜け出してドフリーのダンク、と思ったらコーナーから飛んできたケルドンがブロック・・・ファールになってしまったけど惜しかった。でも、さらにヒルがミドルで4点差に縮めます。

これをオルドリッジがタフミドルで返す。どっちもベテランが「崩せない時の得点」を担当し始めたので、SGAのドライブやマレーのミドルも繋がっていきます。

残り3分でスパーズ4点リード。スパーズはドルとのディフェンスを、サンダーはマレーのディフェンスを崩せず得点出来ません。そんな中でミルズがコーナー3Pのフェイクからドライブを決めるも、同じようなプレーをヒルがミス。

また、残り1分切ると、ここでケルドンがオフェンスリバウンド。ファールゲームにしたサンダーでしたが、自分たちは得点を伸ばすことが出来ず、スパーズが逃げ切ったのでした。

◎ミドルの差かな

どっちもシュートが決まらないフランストレーションの溜まる試合でした。特にスパーズは4つしかターンオーバーがなかったので、シュートを打てる分だけミスも多く感じたよ。54本のシュートミスがありましたが、シーズン平均も52本のミスだったので、これで普通くらいなのか。

一方でサンダーのターンオーバーは13もありました。「も」といっても多い数字ではありませんが、この試合で言えばスパーズと差があったよ。

〇スティール
サンダー 1
スパーズ 8

ターンオーバーの差は「ボールを奪う」ディフェンス力の差でもありました。スティールで大きく上回ったスパーズですが、8つのうち5つが、ゲイ、オルドリッジ、パートルのインサイド3人です。残りの3つもケルドンとヴァッセルなので、とにかくインサイドへのパスを阻害することに成功しています。

その一方で、ミドルの得点にも大きな差がありました。サンダー側がディフェンスが待ち構えている所に侵入したのに対して、スパーズはその外側から打つことでミスを減らしたといえます。

〇ミドル
サンダー 8点
スパーズ 26点

そんなわけで試合を決定づけたのは、ここだったのでしょう。もしもデローザンがいたら、もっとミドルを効果的に決めていたかもしれません。リスクマネジメントも含めるとスパーズが上回ったよ。

ただし、ペイント内+フリースローではサンダーの74点に対して、スパーズは56点なので、ミドルを打たなかったことが失敗ってわけでもありません。3Pとゴール下の組み合わせが上手くいかなかっただけです。ホーフォードが3P0/4だったからなぁ。

両チームともに6人が2桁得点とバランスアタックをしていました。ケルドンが38分もプレーした以外は、似たようなプレータイム配分ですし、プレーもシェアされているので、安定して戦い易いのかも。

共に5割とプレーイン圏内にいますが、ケガ人から一気に崩れるのが怖いシーズンなので、強さよりも健康を維持して少しずつ内容を改善できれば良いのかもしれません。

サンダーvsスパーズ” への4件のフィードバック

  1. さすがにお疲れなのか、ここ3戦と比べるとフィニッシュやオフボールの激しさがだいぶ大人しかった感じがしました。ミドルが少なかったのもオフボールで足が止まっているせいでホーフォードがハンドオフからポップしたときでもハイポ辺りにスペースがなかったのが原因なのかと。
    ただ、苦しいときにDFで粘る姿勢やシェイがエースやりつつバランスアタックなど継続できてるのはポジティブかなと思います。
    デローザン抜きのスパーズなら勝てるかなと思ってしまうあたり、今シーズンどういう心境で見ればいいのか段々わからなくなってきました(笑)

    1. 次回サンダーがハーデンの件でぶっ飛びましたが、どう見れば良いのか難しいですよね。
      現状のシステムの中では、個人技を使うシーンも多いので、そこを1人ひとりが伸ばせるかってのが全てかもしれません。

  2. コロナトラブルよって各チーム人数不足に苦しみ個人のプレータイムが増えていく中で、リーグ全体がスローペースに回帰していくのではと思います。

    ビッグマンのトレンドがさらに加速するのでは…と個人的に予測しています。ブレイザーズはジャイルズをもっと使え!!

    1. ビッグマン回帰は1つのテーマだと思います。
      もちろん、彼らは走れる選手にアップデートされた上でのビッグマン。

      ただサンダーがやっているのは、3P打てるビッグマン重視なので、そこはそこで難しそうな。

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