南米対決
本日からセカンドラウンドが始まるわけですが、ファーストラウンドの結果を持ち込み、グループ1位とグループ2位が戦うわけです。グループ2位からするとファーストラウンドの時点で1敗しているから、ここで負けると2敗目。まとめるとA1位とB2位の関係性が
グループA1位 4勝0敗
グループB2位 2勝2敗
グループB1位 3勝0敗
グループA2位 2勝1敗
ってことで、2位のチームが負けると、ほぼベスト8が遠のきます。ここが最大の勝負所ってことです。「ここから先は負けたら終わり」といえば一緒ですけどね。
アルゼンチンが1位抜け、ベネズエラが2位抜けなので、何とかしたいのはベネズエラ。その所属チームを見ると2つのチームから多くの選手が選ばれているので、国内リーグで選手が育っているのかな。
http://www.fiba.basketball/basketballworldcup/2019/team/Venezuela#|tab=roster,average_statistics
そういえば島根のエチェニケはよかったよね。どこかに移籍したけど、ある意味、Bリーグには珍しいタイプで、個人での仕掛けはなく、チームのためにハードワークをし、チームメイトはプレーメイクしてフィニッシュだけを任せていたよ。
Bリーグは世界的に観れば金を出せる方なので、こういう所から選手を連れてくればワールドワイドにどうしていくのか、アイデアも増えてきそうです。アメリカやユーロを見てしまうとサラリーでも負けるからさ。
序盤はアルゼンチン。レアル・マドリーのカンパッソが組み立てて、上海シャークスのルイス・スコラが支える構図はチームオフェンスでベネズエラを上回っています。マドリーのカンパッソってカンビアッソみたいだな。
それに対してベネズエラはガードのキープから全員が動いてチャンスを作ろうとし、止められるのだけど粘り強くゴール下で戦っていきます。内容的には完敗しそうなのですが、少なくともオフボールで動き回るのでアルゼンチンに組織的に守らせることを避け、あとはハードワークで上回って何とかしています。
つまりお互いにレベル差こそあれど、PGはボールキープなりプレーメイクなりして構成しているわけです。そういえば日本はアメリカのディフェンスに手も足も出ませんでしたが、その理由の1つがボールムーブを意識しているので、パス1つ出したところで潰されるとどうにもならなかったから。
それに対してベネズエラみたいな形だと、ハンドラーがボールキープしてチャンスを探している形だから、ミスになりそうなパスを出さなければ良いだけなので、そこまで崩れないよ。どっちが良いかは、それぞれの指向性なわけで決して日本が間違っているわけではない。ただ、アメリカとの相性は悪いよね。
そんなわけでベネズエラはアルゼンチンを崩せないし、勝てるポイントを見つけるのが難しい。ボールキープから殆ど動かせないオフェンスもあるくらいだけど、その代わりカウンターを食らう機会がないので、自分たちが得点を取れないだけで、致命的な点差にはなりません。
1Qは17-12。5点差ならいけるでしょ。
ところが、リバウンドを取れなくなった2Qはぱったりと得点がとまりあっという間に13点差。失点は普通。点が取れないだけ。
やっぱり、この形はダメなのかなー。
そう思っていたら、2本の3Pで7点差に戻します。あらあら。単発シュートで戻せる程度の点差なのは事実。さらにその直後にスティールから速攻にもっていくもレイアップをミス。そこからカウンターが&ワンになってしまいすぐに10点差に戻された。もったいない。
そのレイアップを外した選手は責任を感じたのか、オフェンスリバウンドで奮起。拾ってはパスアウトして再び3Pで7点差に戻します。うひゃひゃ。
これもまた現代バスケなんだよね。守って守って3P連打。超進化するとバックス戦術になる。ハードワークして、トランジションをさせず、3Pを打って、後は守る。バックスを極小規模にしたようなベネズエラ。「アンテトクンポがいたら!!」どうなっているかわからんぞ。
それでもアルゼンチンはPGによるプレーメイクとオフボールでの見事な動きが合わさって巧みなオフェンスを見せます。そういえば日本はアルゼンチンのシューティング練習につきあっていましたが、ベネズエラは違います。違うから時にインサイドが空いてしまってワンパスで攻略もされています。
面白いよね。「守って守ってリスク回避」のベネズエラだけど、その守ってはちゃんとチェイスしていく。インサイドが空いてしまう事を恐れすぎない守り方。
3Pを打つチームは3Pの恐ろしさを知っている。
そう表現したくなるようなベネズエラでしたが、「3Pを打ってインサイドを空けてオフボールでスペースを利用する」教科書通りのアルゼンチンオフェンスを止めきることは出来るわけないので、前半は38-25と全く得点できないベネズエラでした。
〇3P
アルゼンチン 2/14
ベネズエラ 3/10
アルゼンチンの確率を落とすことには成功し、インサイドは70%くらい決められたけど、38失点なのだからまぁまぁ。インサイドよりも3Pを防ぎたい時代。
一方であと1本は決めておきたかったベネズエラ。積極的にインサイドを攻めるチームじゃなかったので、なんとフリースローは0本。うーん、だったら日本の戦い方の方が良いわ。日本っていうかクリッパーズか。
〇オフェンスリバウンド
ベネズエラ 10
アルゼンチン 3
10本ものオフェンスリバウンドって、日本戦のアメリカがトータル20本なので同じペースで奪っていることに。おいおい、それでフリースローも0って凄いな。
◉アップダウンを起こしに行く
3Q開始当初に気が付きました。この試合をこのまま見ても、アップダウンなく終わるんじゃないかな。早速カンパッソが3Pを決め、デックも&ワンで終わるかなーという空気。でもすぐに3Pとレイアップを返したベネズエラ。
バスケはサッカーと似た要素のあるスポーツですが、タイ国アルゼンチンに挑むベネズエラというのは同じ構図に見えてきます。リスク回避して守り、球際の強さで何とかしようとするベネズエラ。
そういえば日本サッカーも「個の力が・・・」「個の力が・・・」と言われ続け、いざユーロでも戦える選手がちらほら出始めると「戦術レベルの方がやばくね」ってなっているわけで。
大国アルゼンチンは少しずつプレーコールを使って、狙い切ったオフェンスを成功させてベネズエラを切り裂き始めます。ガリーノとベックのウイング2人がいろいろとやれるんだよね。
ガリーノって渡邊雄太とそこまで力の差はないから、もしもアルゼンチンに渡邊がいたら似たようなことは出来ると思うのですが、カンパッソみたいに芸術的に使ってくれるガードがいないんだよね。ちなみにグリズリーズにもいなかった。コンリーとは一緒に出ていなかったと思うし。
ということでお見事なアルゼンチンが点差を広げることに成功します。
が、こわいのがここから。ベネズエラは「このままじゃ負ける」とばかりにグイっとギアをあげます。いや、上げるほどのギアはないから、より必死になったって事か。ディフェンスのあと一歩のところをカットし、そこからカウンターで走る。堅守速攻。リスクを取らなかった前半のオフェンスでは追いつけないから、攻守に前に出るように。
意外とアップダウンが発生した3Qですが、全く慌てないアルゼンチン。ボール動かして動かしてドライブして動かして24秒オーバー。
結局3Qはアルゼンチンが25-22とリードを少し広げることに。もう耐え切れなくなり始めたベネズエラディフェンスでしたが、その分だけオフェンスに切り替えたような感じでした。
◉南米でした
ガードの違いもあってか、ベネズエラは明らかにオフェンスに走るように。そのためアルゼンチンのファールも増え、オフェンスチャンスが広がっていきます。
が、それは当然のようにアルゼンチンもカウンターになって、自分たちのリズムでオフェンスを組み立てていくよねー。ってことで、アップダウンはあったけど、試合自体は危なげなく進んでいくのでした。
本日は南米対決をチョイスしたわけですが、理由は単に所用を済ませてグッタリとしたい時間に始まったからです。あと、こういうチームもせっかくだから観ておきたいなと。
バスケ的には個性的というか、楽しいかどうかはわからないけど、ベネズエラというチームがどうすればよいのかを考えた結果、みたいな戦い方でした。日本がこのチームを目指す必要はないけど、こういう戦い方があることを知っておいて損はない。
違いという意味では3Pに関する考え方が真逆だったことかな。3P打つし、3P止めたいし。日本戦でシューティング状態だったアルゼンチンが苦労していたのは印象的。
でも、それはアルゼンチンだって知っているから、そう簡単に打たせはしないし、そこでストレッチされたディフェンスを攻略するのは上手くなかったベネズエラ。そして非常に上手かったアルゼンチン。手玉に寄るように勧めていきました。
それとアメリカの試合を見ているとドライブしては潰されますが、この試合はお互いにドライブしてレイアップという形がとりやすくなってきました。ストレッチしているから当然ね。そこに仕掛けと合わせの上手さが備わっているアルゼンチンは1枚も2枚も上手だったね。
先の試合でロシアを5点差で下していたポーランドと共に決勝トーナメント進出を決めたアルゼンチン。ポーランドの位置って本来は中国のためのサービスシートだったから、苦労せずに進めたイメージもあります。
そのトーナメントは1回戦がセルビアかスペイン。どうやら、次の試合はコンディション優先かな。