カナダvsリトアニア

オーストラリア、リトアニア、カナダって死のグループ

初戦は素晴らしい内容ながらオーストラリアに競り負けたカナダ。ここで敗れるとセカンドラウンドには進めません。しかし、相手はリトアニア。サボニス&バランチューナスという今大会最高クラスのインサイドを誇り、アウトサイドのガード陣も素晴らしいプレーをするチームです。リトアニアとか小国なのに強いよね。

カナダ的に問題なのは、オーストラリアのべインズ&ボーガット相手に圧倒的な存在感を放ったバーチですが、さすがにサボニスとバランチューナスは格上。ちなみに管理人からするとサボニス>バランチューナス>バーチ>べインズ>ボーガットです。

序盤はマッチアップ相手がバランチューナスなので、ピック&ロールからはスピードフィニッシュも成功させるバーチですが、途中からサボニスが相手に。上手いわ、体張るわ、絶妙にスペースを構築するわ、インサイドに侵入させてくれないわで苦しんだバーチが2ファールでベンチへ。

頼みの綱であるコーリー・ジョセフの信じられないハンドリングミスもあり、ビッグマンが怖すぎのリトアニアがそのビッグマンを囮にしてのガード陣のドライブを有効に使って、リードを得た1Q。

サボニスはバランチューナスがいるときはプルアウェイを繰り返してフロアバランスをキープし、自分がセンターになったら繰り返しのピックとハンドオフから、空けておいたスペースを活用している。超うまい。現代ビッグマンとは何ぞや。ファジーカスや八村のポストを見慣れている日本のファンに観て欲しい。何しているか理解するのは難しいけど。

残り2分からちょっと荒れ気味。スクリーンがハードになっていき、オフボールでのコンタクトが多発。オフェンスファールになったり、ディフェンスファールになったり。お互いになーんかリズムを掴めず。

リトアニアが24-14と9点リードになった1Qでした。何が凄いってサボニス&バランチューナスで4点しかとっていないこと。得点を取らなくても怖いから意味があるコンビでした。ちょっと日本の状況と違いすぎてウケる。

◉NBAプレイヤーたち

そういえばカナダのジョセフ&バーチも、ジョセフにはシュート力がないし、バーチにはシュート力もプレーメイク力もありません。どっちもNBAプレイヤーだけど、あくまでもチームを上手く回すのが役割。得点力があるマレー、ウィギンズが欲しかったカナダ。ウィギンズの得点力はあれか・・・でもニック・ナースの基でどうなるのかは知りたかったな。

ということで、それぞれNBAプレイヤー以外が得点を奪っていきます。ただもうサボニスのプレーメイク力が高すぎて引く。リトアニア12点リードでサボニスはベンチへ。

バランチューナスの方は得点取ってなんぼ。再登場すると早速インサイドでゴリ押し。そこからはボールを貰えないのですが、代わりにバーチがヘルプに行けず、ドライブコースが空きがちだから相殺か、リトアニアが得しているか。

ちなみにジョセフとサボニスはチームメイト。ジョセフとバランチューナスも元チームメイトでニック・ナースがその時のACです。

でもバランチューナスは2ファールになってベンチへ。サボニスが登場するとバーチがファールして3つ目になってベンチへ。プレータイムが長くなったのとファール2つになったのでサボニスもベンチへ。

リトアニアは2人がいなくなってもガードのドライブに2人がスクリーンでコースを作るような巧みなビッグマンの位置づけ。サボニスが育ったのはこの環境なのか。

さすがに少し得点の流れは止まったし、ディフェンスも少しだけトーンダウンしたけど、本当に少しだけなので、カナダに反撃されながらも、ドライブをさせるための複数のスクリーン、そこからのコーナーへのキックアウト、ポストアップと逆サイドのカッティング。非常によくできたハーフコートオフェンスで2Pを67%決めて、46-36とリードして試合を折り返すのでした。

カナダは前半のFGが38%どまり。ジョセフがFG1/6、バーチのプレータイムが10分と主力がブレーキ気味の中でベンチから出てきたウィルシャー3P3本沈めて15点。苦しかった事情を考えたら悲観するような点差ではなかったとは思いますが、3P4/14なのに凄いプレーが連続するリトアニアのチーム力が高すぎました。

◉ハーフコートvsトランジション

後半はサボニスをベンチスタートにします。正直、バランチューナスと同時にプレーするメリットは小さいしね。バランチューナスのポストにボールを預けてはパスアウトを繰り返すリトアニア。繰り返すと今度はバランチューナスがターンシュートにドライブとの合わせでゴール下&ワンで15点差に。

調子に乗ったバランチューナスはムービングスクリーンで3つ目のファール。バカんちゅーなす。

登場したサボニスはバーチとのインサイド勝負を守り切り、またも3つくらいスクリーンをかけ、オフェンスリバウンドに触り、やり直しのオフェンスでも同じようにスクリーンかけまくってオフェンスリバウンドを押し込む。ほれぼれするサボニス。

ところがサボニスがリバウンドをとると、後ろからボールに絡んだバーチがフロアに滑ってコケるとサボニスのファールに。こちらも3ファール。

ハーフコートの戦いではリトアニアに敵わないと判断したか、カナダはトランジションを増やします。カナダなのかジョセフなのか。(ジョセフがハーフコートでシュート決まらないから走らないといけない)

ニック・ナースお得意のガードを増やす形で、わかりやすく走りあいを選んだことで、トランジション参加者が増え、コーナー待ちの選手も待ち構えることに。ここにしっかりとパスが出てきて3Pで切り返します。うーん、お見事。

ここも日本に足りない部分で「速攻の時にコーナーで待つ」というのがないんだよね。後ろから追いかけてくる選手がコーナーめがけて走るような。

オーストラリア戦同様に控えガードの方がシュート力があり、パスも出せるのでオフェンスの突破口を得たカナダ。ただどうしてもリトアニアのハーフコートオフェンスを止められない。観てるかUSA。これがハーフコートオフェンスだ。

ということで一時は追い上げに成功したカナダでしたが、リトアニアの見事なチームプレーに手も足も出ず、次第にリバウンドを全て支配され、70-54と点差を広げられたのでした。相変わらず25%しか3Pが決まっていないリトアニアなのにね。

3Q終了時点でカナダのディフェンスリバウンドは12。リトアニアのオフェンスリバウンドは13です。勝てるわけがない。

◉止まらなかったインサイド

4Q開始でルーズボールを取りに行ったバーチがファールコールされ4つ目。この時は走っていたリトアニアに対して、カナダは全体の戻りが遅く、ゴール下にいたバーチが必要以上に追いかける必要があってのファールでした。でも、危機的点差だし、この試合に負けたらセカンドラウンドに進めないので交代しないカナダ

タイムアウトで顔を紅潮させ、声を張り上げて、全員に動いてハッスルするように気合を入れなおすニック・ナース。

その声に応えるように、タイムアウト明けに反撃したカナダは、ウイングの合わせでダンクに、トランジションからドライブ。ここで13分しかプレーしていないリトアニアの8番が5ファールで退場します。

しっかりと息の根を止めるために、サボニスとバランチューナスを並べたリトアニア。あれ、これカナダはスモール勝負でトランジション行けるんじゃないの。

上手くバランチューナスを引き出してミドルを決め、あっさりと3Pを打って決めるジョセフ。

だけどどうしてもリトアニアのビッグマンが止められない。サボニスかバランチューナスへのアリウープも決まるし、シュートが落ちてもオフェンスリバウンドを奪うバランチューナスとサボニス。2人ともほぼドリブルなしでシュートなんだよね。1on1はしていない。

つけいるスキがなかったリトアニア。ちなみにサボニスも退場したよ。

◉あぁリトアニア

ということで、強いぜリトアニア。なるほど、サボニスが生まれた国なわけだ。チームの主役はどうみてもサボニスだけど、その役割は個人で得点を取りに行く事ではなく、チームオフェンスを構築することだし、逆に言えば全員が自分で得点を取りに行く意識を持っている。

細かいタイミングの合わせ方と、どこでもしっかりと体を張ってスペースを構築して味方のプレーを助ける。もちろんフロアバランスもとってストレッチさせる。3P決まらないけど。

オーストラリアを追い詰めたカナダでしたが、本日は相手が悪かった。バーチはやっぱりバーチ。マジックのベンチから出てくるセンターなわけだ。この2人が相手だと太刀打ちできなかった。

で、ちょっと思ったのはファールトラブルだったから一概にはいえないけど、ひょっとしてバーチがプレーしている時は必ずバランチューナスかサボニスがコートにいたのでは。ベンチメンバーで圧倒していたリトアニアだけど、インサイドを支配していたのはそんな理由かも。

さて、Bリーグファンがこの記事を読んでいるとは思えませんが、一応触れておくと、日本代表の試合を見た後にリトアニアやバーチをみると、ビッグマン達のプレー差にため息が出てしまいます。

「NBAプレイヤー八村塁」という謳い文句を連呼されることもあり、またファジーカスの存在もあって、ビッグマンっていうのが

ポストアップから得点を奪える個人技を持った選手

と思われそうですが、実際にはそういうビッグマンが優秀ってわけではないのが世界の流れ。それこそアンソニー・デイビスすらこの能力が高いわけじゃないし。

必要なのは周囲と連携していける力。ロケッツのカペラなんか、「合わせて押し込む」という1点のみが段違いに優れているわけだし。

サボニスについては合わせる能力も異常ですが、ポストアップも出来ます。ただし、混雑しているインサイドに強引に詰めることはないし、タフショットだって嫌がる。基本的には自分が起点になってパスを出し、警戒が薄ければねじ込んでいるくらい。フェイダウェイとか打たない。

それ以上に1つのオフェンスの中で何度もスクリーンをかけ、スペースが狭いとみるや逆サイドにハンドオフで持って行き、合わせるためのスペースを構築するために体を張り、そしてタイミングの良いオフェンスリバウンドでシュートミスを助けています。

つまりは「プレーの頻度が多い」のが最大の特徴かも。多分、日本の八村とファジーカスがポストでボールを持って仕掛けるワンプレーの間に、サボニスは2つくらいの仕事をする。しかも休みなく。

バランチューナスやカペラだと、そこまでではないけど、常にゴール下で合わせる体制を作っておくことで、ディフェンスを引き付けているし、そのためにはパスが出るアングルに何度も動きなおします。

チームでどう戦うか。そのためにビッグマンは何をすべきか。あまりにも違ったリトアニアのビッグマンルール。

強かったぜリトアニア。次はオーストラリア。24%と決まらなかった3Pを何とかしないと。

カナダvsリトアニア” への6件のフィードバック

  1. サボニスやジョン・コリンズ型のビックマンの活かし方で出来るバスケの展開論をもっと考えよーよー と僕も激しく思います。

    みんながみんな、ビックマンだからって、ゴール近くでフックシュートやショートレンジシュート打つだけの人じゃないのにね。

    コリンズやカペラ、サボニス みたいなタイプの方が連動しやすいはずなのにーって思っちゃう。

    ダンカンやシャックみたいなタイプが悪ではないですがね。

    上のレジェンドのお二人『じゃない』タイプの方が、ビックマンであっても多いのにねーって事を言いたいのです。

    オリンピックが来年なので、アメリカ戦は思い切って、シェーファーや竹内ツインズでやってくんないかなー せっかく代表に入れたんだから。

    ファジーカスが悪ではないけど(本当は悪だと思ってもいますが)、どーにも『それ以上の展開』が想像出来ない訳で。結果も内容は気にせず、オリンピックに少しでも発展させられるメンバーでやって欲しいっす  (※帰化して日本代表に入れてるファジーカスを使わないなんてしないでしょーがね なんかその辺がつまんないのです)

    1. アレですよね。世界の潮流があり、日本には竹内ツインズがいるのに、何故かポストアップタイプばかりにしてしまう。
      結局、Bリーグを見ている人たちは同じタイプばかり見せられているから、それが正義だと思ってしまうのかなと。

      サボニスのような選手が生まれてくるのかは難しいですが、コリンズならば目標として育てることで、仮にサイズが足らなくてもSFとかに出来そうなので、取り組んでいくべきでしょうね。

  2. 正直いままだこれかよ…ってくらい日本はスクリーンを使うのヘタクソですよね…
    かける方というよりはかけてもらう方。何のためにスクリーン掛け合ってるのか…
    あんな攻め方でよく競ってるなって思うくらい。

    多分フィジカルとか、その前の動き出しとかがそもそも未熟なんですよね。かける方も使う方もディフェンスに押し出されちゃう。

    1. ただ、中国の試合を見ているとムービングスクリーンも多くて、そのあたりのルールっていう難しさもありそうです。
      アメリカは「強いスクリナー」の必要性が高く、重要性を叫ばれていそう。単に筋トレ好きなのかもしれませんが。
      そんな強いスクリナーがいると、周囲もパワーアップするかなーとは思っています。

      確かに「スクリーンでどこに抜けていくか」という感覚は弱い気がします。

  3. ピックと合わせが上手いビックマンはBリーグには少ないですね。

    東京のカークと昔川崎にいたスパングラーくらいしか思い当たりません。
    日本人では永吉が頑張ろうとしていた気がしますが、余り効果的ゃなかった。

    日本のバスケも早く世界の流れに追い付いて欲しいです。

    1. スパングラーは記憶にありますね。何でこの選手が日本にいるのか不思議でした。キープ出来なかったのかなー。

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