2018/12/08 ペリカンズvsグリズリーズ

良くなってきたチームと悪くなってきたチーム。その違いは勝っているかどうかだから、結果と原因のどちらが大切なのかは難しい。

◉結果についてくる原因

グリズリーズの強さなんて全く信用していなかったけど、ジェイレン・ジャクソンが自信持ってプレーする様になってきたよね。それは良いんだ。どこのルーキーもそんな感じなわけだから、仮に勝っていなくてもビッカースタッフが起用していったことで成長するということだし。

それよりもコンリーが良くなってきたっていうのが好調のポイント。「コンリーは元々素晴らしい」なんてウソだから。FG40%を下回る6アシストのガードなんて極めて凡庸。しかし、ここ10試合はFG46%、7.7アシストと一気に調子を上げてきました。
内容に対して勝率が良すぎるグリズリーズでしたが、そうしてコンリーが良いプレーをする様になってきたので、ディフェンス力があれば勝機を高められることを示しています。つまり開幕当初よりも勝てる理由が増えてきた。コンリーが良くなったのは結果がもたらしたものだと思うので、どっちが先なんだって事です。

この試合も自信満々で効率の悪そうなシュートを放っていくコンリー。迷わないよ。迷わないから周囲も打つものだと思ってプレーしているよ。グリズリーズで唯一、ムリしてくれるのがコンリーなのです。あとシェルビン・マックがいたけど、しっかりと調子を落としています。開幕当初はマグレのマックで勝っていった感じ。
しかし、もう1つのポイントであるジェイレン・ジャクソンはランドルのパワーにタジタジで早々にファールトラブル。そしてガソルはアンソニー・デイビスとでは相手にならないので、インサイドの攻防でペリカンズが優位に立ちます。ベンチからグリーンが出てきても状況は何も変わらず、強引に押し込みまくるランドル。グリズリーズはアウトサイドからシュートを決めていくことで対抗していきます。オフェンスの試合。

ペリカンズの問題はミロティッチが離脱していることでしたが復帰してきて、今度はムーアがいない。インサイドでは優位に立つけど、効果的なカットプレーは出てこない1Qに。ベンチから登場したミロティッチはフレイジャーとの連携で見事なレイアップを決めるけど、ミドルはエアボール。
一方でグリズリーズはグリーンもカイル・アンダーソンまで3P決めちゃって聞いてないよ状態。これまでのイメージならペリカンズが圧倒していそうなのに、外のシュートを決め続けるオフェンス力で対抗しています。好調なグリズリーズを象徴するような1Qです。カイル・アンダーソンはライン踏んでいたらしく2Pだった。

ベンチに戻ったアンソニー・デイビスがロッカールームに行ったので、ランドル交代の時間になるとビッグマンがミロティッチ1人に。途端に機能しなくなるペリカンズ。だからトランジションだよねってことでホリデーが&ワン。止まるとミロティッチのミスばかり。
最後にホリデーがブザービーターで31-30とグリズリーズの1点リードで終わります。お互いにあまり守れていないからペリカンズペース。ところでムーアがスターターじゃないからケガしたのかと思ったらベンチから出てきた。その心はなんだろうか。

◉ミロティッチ

そんなムーアのフローターでペリカンズが逆転した始まる2Q。あれかホリデーがベンチの時間に得点力を落とさないための措置か。グリズリーズはカスピが良い感じ。対面のミロティッチが悪いプレーを繰り返すのに比べると非常に効果的でシンプルなプレーと、必ずオフェンスリバウンドに走り込んでいます。カスピにけちょんけちょんにされるミロティッチ。
ちなみにノアだけど、殆どのプレーがファールにしか見えない。ルール改正があったので、それってファールだろって思うわけですが、どうもレフリーが寛容になってきたのと、グリズリーズのハードな守り方が許容させてきているような。あとカスピとノアがいると渡邊の出番はやってこないだろうね。
ペリカンズの連続ミスから速攻で再びグリズリーズリードに。もうミスというか、インサイドが働かないから迷っているような状態です。フレイジャーが連続ミスだけど、そもそもなんでそんなにフレイジャーがボール持っているんだっていう。

あっという間に9点差。グリズリーズがあっという間って。ジェイレン・ジャクソンが戻ってきますが、リバウンド争いでファールコールされて前半は殆どプレー出来ません。そして再登場のホリデーが&ワン。スターターになると守れるペリカンズはガソルの3PフェイクにADが引き出されても、次のヘルプが早くなります。うーん、ベンチは課題が多かったな。
そして3Pを外したけどフレイジャーがオフェンスリバウンドから最後は飛びこんできたADのダンクに。あっという間に追いつきます。ペリカンズがあっという間はペリカンズのペースだ。

タイムアウトのグリズリーズはインサイドのディフェンスを徹底します。ランドルとADには1人じゃムリとばかりに複数でしっかり潰す形に。そこでパスが出てきたのをソロモン・ヒルが連続3Pで逆転。さらにホリデーからアリウープでADへ。
ガソルのターンシュートを守り切るとそのまま速攻でホリデーから今度はランドルへのアリウープ。一気にペリカンズになりそうだったけど、グリーンがコーナー3Pで返して流れを止めます。スイッチを促してコンリーvsADとガソルvsフレイジャーを作りますが、コンリーのシュートが決まらず、しかもリバウンドをとったのがフレイジャー。合わない計算はブロックに飛んでそのまま走っていたADへフレイジャーのロングパスに。

残り1分から堪らずガソルとノアを並べるグリズリーズ。関係なくカイルがホリデーからスティールしますがノアのレイアップはADがブロック。しかし、コンリーがファールを貰ってフリースローで同点に。怒濤の展開だった前半はホリデーがミドルを決めてペリカンズ2点リードで終わります。
60-58なのでまあペリカンズのペース。誤算というか苦しかったのはソロモン・ヒルしか3Pが決まらなかったこと。インサイドで勝っているのに、それを波及させることが出来ませんでした。パスアウトからのソロモン・ヒルが効果的だっただけに勿体ない。ミロティッチとADは外から打ちたがる割には、って感じです。
グリズリーズはミロティッチのみの時間に優位に立ったように、ベンチメンバーが頑張るよね。スターターのターンオーバーが0ってのは驚異的。ジャマイカル・グリーンの3Pが効果的に決まったけど、グリーンは2つのターンオーバーしているからチーム的にはどうなんだろうね。

◉ペースの変更

ポイントになりそうなビッグマンの3Pを先に決めたのはガソル。さらにミスマッチ利用でジェイレン・ジャクソンのゴール下も決まり、中と外で機能する形になって逆転に成功します。ガソルに引き出されてしまうAD。インサイドではAD相手のフックを決められず、でもADはガソル相手にチャージングだし3P決まらないし。

前半から働きまくっているのはカイル・アンダーソンのディフェンス。ホリデー相手に素晴らしいディフェンスでスティールからの速攻を生み出します。とにかくハンドチェックが上手く、スピード差があるとは思えないくらい突破を許しません。本来はPGのホリデー相手でも守り切るし、オフェンスリバウンドを押し込むし。
スパーズが勝てない理由ってディフェンスなので、カイルの働きの大きさが響いてきている感じ。シュート力ないし、突破力ないし、SFとしては起用しにくい存在だけどPFにするとディフェンス力が活きてこない。それをガソルとジェイレン・ジャクソンの3Pビッグマンコンビと一緒に出ることで解決してくれているイメージ。ゴール下を決めきれないペリカンズは収縮の速さにやられているし、逆にオフェンスでは気がついたらリバウンドを押し込んでいるし。テンプルとのコンビも良い感じなんだよね。

そんなわけで前半とうってかわりディフェンスが目立つようになります。攻めきれないADにスティール速攻を生み出すグリズリーズ。だけど点差は離れないくらいのオフェンスしか出来ないグリズリーズ。それは完全なグリズリーズのペースです。うそくさいファールばかりなんだけどね。
完全にパスアウトした後でマックにぶつかったADがオフェンスファールをコールされてベンチへ。グリーンがドライブしてゴール下を打とうとしたらノアが関係ないところでディフェンスを押してファールになったり。

白熱しない展開は速攻に走ったけどレイアップ外したグリーンのミスをブルックスがプットバック。さらにスティールから速攻になったけどノアはチャージング。そして残り2.3秒のバックコートスローインからハーフコートブザービーター3Pを決めたフレイジャー。倒れたマックに触れておけばフリースローだったけど、打って決めたのだから大正解でグリズリーズ1点リードでおわります。
繰り返すけど、よくわからんファールの繰り返しで重苦しいのだからグリズリーズのペース。あとはコンリーが働くだけ。それはホリデーを働かせないカイルも重要になるのだろうね。ここまでの内容だとカイルは止めるぞ。

◉ビッグマンたち

前半からペリカンズが苦労しているのはMブルックスの緩急を使ったペネトレイト。緩急というか「緩と緩緩急」って感じ。そこで引きつけてノアだったのが前半だけど、ノアのプレーが怪しくなってきたので効果的じゃなくなります。でも完全なテンディングのティップをレフリーが流してくれたので得点にはなった。
逆にランドルは「剛と剛剛柔」で勝負していきます。インサイドを攻略できているので3Pが決まればって感じのペリカンズなのですが、まぁ決まらない。
カイルがベンチに座っている中でホリデーがコンリー相手に&ワン。一方でコンリーは決まらず。その差でちょっとだけペリカンズが先手を奪います。残り9分で早々に全員スターターに戻すグリズリーズ。すると遂にランドルをブロックしたジェイレン・ジャクソンだけど、リバウンドを拾って柔らかなフローターを決めたランドル。ミロティッチの3Pは未だに来ない。

レイアップも3Pも決まらないコンリー。ドライブからダンクでフィニッシュしたホリデーで8点差。この時のマークはテンプルなのですが、PGホリデーになっていてラインナップ的にカイルを当てにくそう。しかしカイルはソロモン・ヒルのボール運びを単独マークでスティール。隣にいたADがレフリーにクレームしている間の出来事だったからADも悪い。
ソロモン・ヒルが3Pで借りを返したけど、すぐにマックが3Pで返します。コンリーがダメなときはマックが働くのか。さらにグリーンがコーナー3Pのフェイクから落ち着いてミドル。今シーズンのグリーンは観る度にこのシュートを決めているけど、スタッツ観たらそんなことはなく偶然らしい。

ペリカンズがリードするも守り合う展開が増えていきます。コンリーはADがブロック。ADのアタックは全く機能せずガソルが止める。2人の戦いはダブルファールになって5ファールと追い込まれたAD。グリーンがゴール下でファールを貰ってフリースローで2点差に。さらにグリーンはコンリーのドライブがミスになりそうだったところで合わせに来てダンクで同点。
コンリーがダメでマックが働き、ジェイレン・ジャクソンがダメでグリーンが助ける。そしてランドルはフリースローが決まらず、グリーンはしっかりと決める。ファール合戦に持ち込めばグリズリーズが勝ちそうだ。と思ったら、ホリデーからファールを貰うコンリーで逆転。

残り2分で激しいディフェンスであっさりファールになるグリズリーズ。でもファールされるのはランドルだから、1本外してくれます。これを繰り返せば勝てそうだな。カイルがリバースレイアップで残り1分半2点リードに。このリバースレイアップの後で振り下ろした腕がランドルの目に当たってタイムアウトのペリカンズ
選択はADのミドルで決まらず。この試合全く決まっていないのにね。しかし、コンリーのミドルもエアボール。ホリデーとADのピック&ロールはうまく行かず、ランドルもターンシュートを打とうとしたらテンプルのヘルプに止められ、結局ホリデーのロング3Pになってしまい決まらず、リバウンド時にコンリーにファールしてしまいフリースローで3点差

急ぐペリカンズはホリデー、ランドルから綺麗なキックアウトでフリーのADの3Pになりますが決まらず。まぁここで打ちやすいADになるのは仕方ないし、それは決めてくれないとさ。しかし、リバウンドを抑えたグリーンだけどホリデーが絡んでグリーンはラインクロス。ファールされた演技は通じず。再びペリカンズボールで最後のタイムアウト
選んだのはムーアの3Pもこれが決まらずなのでした。残念なのはタイムアウトを1回使ってしまったために、この段階で3Pを狙ってくるのがバレバレだったこと。その前のオフェンスも合わせて、その1つのタイムアウトが良いオフェンスセレクトにならなかったのでした。

◉ディフェンスの勝利

ペリカンズの敗因は7/29だった3P。それはチームで24%だったという確率よりもAD+ミロティッチが9本全て外したこと。ビッグマン2人を起用するラインナップでインサイドしか怖くないと言うことで、次第にグリズリーズのディフェンスは中を固めれば良くなりました。
ADとガソルの戦いは前半はADが圧倒していたけど、後半になるとイージーシュートを打てなくなりました。単にディフェンスが良かったのではなく、パターンがないし3Pを打たせてしまって問題なかったことが大きいのでした。

グリズリーズはディフェンスが良かったとは言っても、それはテンプルとカイルの部分であって、ペリカンズのランドル+ADには苦労していた。でも、最終的には中を固めればOKなんだから、守れるよね。ということで、スッキリするようでスッキリしない勝ち方に。
一方でオフェンス面はコンリーが9点しかとれなかったけど、カイル・アンダーソンが19点、ジャマイカル・グリーンが24点で助けました。ロングレンジも決めたグリーンだけどインサイドでも得点したし、カイルに至ってはインサイドばかり。それが可能になったのはガソルとグリーンが3Pでビッグマンを引き出したから。
なので、個人能力ではADはガソルに勝ったけど、チームオフェンスの中で効果的だったのはガソルの方でした。3P1本でも決まっていれば違っただろうけど、クラッチタイムに決められなかったADと打たなかったガソルの構図は両チームの状況を表しているね。

これでペリカンズは5割から落ちてロケッツ、ジャズ、スパーズ、ウルブズとの争いが激しくなってきました。プレーオフチーム4つにキングスが混じる熾烈な争い。一方でグリズリーズはちょっと余裕が出てくるね。余裕があったところで何も変わらないんだけどさ。
コンリーが調子出てきたと書いた冒頭とは異なり、全然ダメだけどディフェンスで勝機を掴んで押し勝ったグリズリーズ。オフェンス力勝負だけどムーアをベンチにして得点力を保たせたり狙うけど、ミロティッチ4点にも困らされて継続しなかったペリカンズ。
オフェンス主流が続いた数シーズンを経て、今シーズンはディフェンスが大切なのでした。そこに困っているロケッツとスパーズ、解決しそうなウルブズ。ジャズもゴベアーいなくて大勝しちゃったしな。



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