シクサーズ戦でキャリアハイの50点を記録したブレイク・グリフィン。素晴らしいぜ!たった3試合だけどその理由を考えてみよう
プレシーズンに続き、ジャレット・アレンに豪快なブロックを食らったブレイク・グリフィン。SNSの感想をちょっと検索してみたよ。すると、こんな意見があるわけです。
「身体能力任せのプレーは通じなくなった」
まぁその通りですね。ゴリ押しは通じないぜ!でもこんな反論もあるんだ。
「グリフィンは若い頃から単なる身体能力ではなく、高いスキルを持ち合わせてプレーしていたから、身体能力任せではない」
まぁその通りですね。パワーもスピードもありながら、スキルの高さは目立つし、あの体格でするスピンムーブではないし、シュートレンジもケビン・ラブを見習って広げてきたんだよね。
3試合で36.3点、11.3リバウンド、5.7アシストを記録するグリフィン。そのオールラウンドな活躍に対して、こんな報道もあったね。
・ケーシーはポイントフォワードとしての役割を求めた
・これまで以上にオールラウンドな活躍が目立つ
というわけで、今回はグリフィンの活躍の理由をちょっと考えながら、これらの内容をどう捉えるかというショートスタイルの記事になります。といっても4000字を超えるけど。ショートスタイルの良いところは考察を浅くして、数試合の感想程度で書く事なんだ。記事数を増やす目的と、試合の感想よりも状況がわかりやすい良さがあるんだ。
◉好調の最大の理由
正直、開幕から3試合好調だからって何だというのか。本当にただの偶然の可能性があるわけで、そこをある程度見極めてから書くのがこれまでのやり方でした。じゃあ、今のグリフィンで見極めたい部分が何かというと、それはまさに好調である最大の理由に繋がります。
3P 61.1%
これが全てのようなスタッツ。61%も決まれば得点は伸びるに決まっています。グリフィンは非常に良いプレーをしているのですが、もしも3Pが決まらなくなったら途端に悪いプレーをし始める可能性はありますよ。昨シーズンの序盤に素晴らしかったのはアーロン・ゴードンだけど、今となってはファン以外は誰も覚えていないでしょ。
好調な3Pを武器に戦うグリフィンですが、大切なのはここからです。決まりまくる3Pですが、昨シーズン観られたような強引かつ、個人技満載のアテンプトは減りました。
〇3Pアテンプト
アテンプト数 5.6 → 6.0
全シュート中の割合 33.8% → 24.0%
本数は増えていますが、それはアテンプトが多いだけで3Pを選択することが減っています。単に高確率で決まっているのではなく、プレーの中で3Pに頼らない形を作り上げています。これはフリースローの本数にも表れていて、5.7本→9.3本と急増しています。ただし、ルール改正の影響と3試合という偶然の要素は多く含むよ。
〇ポストアップ
回数 4.9 → 9.0
そして目立つのはポストアップを増やしたこと。今シーズン流行すると予想しているポストアップですが、見事に示してくれています。「3Pが決まるから好調」なグリフィンですが、その中身は「ポストアップ中心のオフェンス」に原点回帰していることは忘れてはいけません。
例えばシクサーズ戦ではエンビートにマッチアップされる機会が多くなっていますが、アウトサイドのグリフィンを止めたければ間違った選択です。エンビートにせざるを得ない理由が存在し、そしてエンビート相手になるとアウトサイドから効果的にオフェンスを狙っていくのでした。
FIFTY for @BlakeGriffin23.
Here's how he did it. pic.twitter.com/XOb56tWg7a
— Detroit Pistons (@DetroitPistons) October 24, 2018
ここで冒頭のお話に戻ると、「ポイントフォワード」というのは、基本的にはPG的な振る舞いをすることですが、実際にそれを頻繁にやっていたのがクリッパーズのラストシーズンでした。クリス・ポールがいなくなり「戦術グリフィンでPGからアタック」みたいな。
ケーシーはポイントフォワードにすると言いながら、実際にはPG的な役割を任せていません。もっとプレーメイカーに徹しろと。
これは試合終盤になるとレジ-・ジャクソンもウイングに回され、ゲームメイカーとしてイシュ・スミスが重用されることでも示されています。コントロールするのはあくまでも本職PGで、グリフィンの役割は基本はポストアップであり、マッチアップの必要に応じてアウトサイドから決める事。ウソをついたケーシーだけど、相手に応じてやることを変えさせる違う意味でのオールラウンドさを求めています。
3Pの好調さが目立つグリフィン。だからこそ他のプレーが有効という考え方も出来ます。60%も決まればそりゃそうだ。昨シーズン最大の問題はひたすら自分でボールを持って仕掛けることを繰り返しては潰されていたこと。しかし今シーズンはアウトサイドではシンプルに打ち抜き、ポストで強さを示す。そんなプレーが続くならば、大崩れはしない。プレーバランスを崩したときは心配です。
◉スキルとパワー
グリフィンが単なる身体能力お化けでないことは周知の事実。確かにハンドリングが良く、パスも上手く、シュート力も身につけてきました。それは今シーズンに始まったことではなく、クリッパーズファンが興奮していた良さです。
たけどヨキッチみたいなことが出来るかというと無理。スキルベースが高いだけではどうしようもない戦術眼という要素があります。要するに賢い選手ではなかったよね。前述のジャレット・アレンに食らったブロックを観てみましょう。
✋If at first you don't succeed, don't try @_bigjayy_ again ✋ pic.twitter.com/Rx1sGeZwrv
— Brooklyn Nets (@BrooklynNets) October 17, 2018
Blake tried to Blake … but Jarrett Allen wasn't having it 🚫 pic.twitter.com/GE1T8S3u0y
— NBA on ESPN (@ESPNNBA) October 9, 2018
管理人はグリフィンを身体能力だけの選手だとは微塵も思っていませんが、一方でアレンのような身体能力オバケとネッツみたいな整備されたディフェンスにたたきつぶされるのは、まぁありがちかなとも感じています。つまり高いスキルと驚異的な身体能力をもっているけど、適切なプレーを出来るわけではなく、「最後は身体能力でどっかーーーん」というのがグリフィンあるある。
しかし、ブルズ戦のあるシーンを観てみましょう。注目すべきはグリフィンではなく、ロペスとパーカーの動き。
Take it easy on that rim, Blake. #PistonsNow
📺 @FOXSportsDet Plus pic.twitter.com/bB8CJcRvMy
— Detroit Pistons (@DetroitPistons) October 21, 2018
ビックリするほどディフェンスが酷いパーカーの話はまぁ置いといて、この2つのプレーでグリフィンは自分のマークマンではなく、ヘルプディフェンスの逆をついています。1つ目はロペスの逆をつき、2つめはパーカーがいない方向へドライブ
全体的にポストアップにおいて、こんなプレーが目立っているグリフィン。これまでならスキルと身体能力でかわしてどっか-ーんだったのが、ちゃんと「ヘルプの位置」を確認してプレーしています。要するに「賢いプレー」をしている。鬼に金棒、ナゲッツにディフェンス、グリフィンに賢さ。
そして当然、早いダブルチームに対して、特にガードのヘルプに対しては慌てず騒がずパスアウトしています。
Two games. Two wins.
See the highlights from Chicago in Pistons Playback crafted by @Flagstar. #DetroitBasketball pic.twitter.com/TGPF1R51EI
— Detroit Pistons (@DetroitPistons) October 21, 2018
これらの適切なプレーチョイスが出来ているのが今のグリフィン。その成果は明確です。
FG% 43.8% → 53.3%
ペイント内得点 9.5 → 17.3
3Pが決まりまくるのが大きいのですが、とはいえ44%のインサイドなんて怖くも何ともなかったのに、53%決めてくるなら話が違います。オールラウンドやポイントフォワード発言とは全く一致しないようなペイント内得点の増加はPFとしてのグリフィンの良さが存分に発揮されているのでした。
自分のマークマントの勝負ではなく、ヘルプのポジションを把握した正しい状況判断で攻めていくグリフィン。クリス・ポールはもう要らない。
そして、この状況判断の面では驚異的な改善をしているポイントがあります。
アシスト 5.8 → 5.7
ターンオーバー 2.8 → 0.7
今のグリフィンが怖いのは得点力でもアシスト力でもオールラウンドでもなく、状況判断が優れているのでターンオーバーをしなくなったこと。それもファールコールがこれだけ厳しくなっている中で、普通なら増えても「良くやっている」レベルなのに、0.7は尋常ではない数字。
グリフィンの何が良くなったかというと、「状況判断の改善」であり、それを作り上げたのは各ポジションの役割整理に成功したケーシーの手腕が大きいのでした。その中にドラモンドの3Pによるスペーシングの意識向上も含まれているよ。
◉止まらないグリフィン
「グリフィンは昨シーズンと全く違うんだな」
というのが何となく理解してもらえたと思うのですが、その最大の要因は状況判断の向上によって、無理なプレーがなくなったことであり、3Pやポストアップの効率性アップに繋がっているのでした。
その身体能力とスキルを活かしてスマートなプレーをするようになったグリフィン。この「スマートなプレー」は違う点でも効果を発揮しています。シクサーズ戦で試合を決めたプレーを振り返ってみましょう。
Game-winning and-1 to hit 50 points 🔥
BLAKE WENT OFF. pic.twitter.com/pUkK1eJOge
— SportsCenter (@SportsCenter) October 24, 2018
ハンドオフとみせかけて、エンビートの早すぎるショーディフェンスに対応したドライブは、反転力の速さが光ります。そこから飛びこんでブロックに来たコビントンに対して半身を持って行かれながら、リングへの推進力を失わず、ボディバランスを保ってレイアップをねじ込み、&ワンでリードを奪ったのでした。コビントンがファールしたこともだけど、なんであんなに手前に出てきて左手に対して跳んでいるのか不明なのは内緒だ。
その素晴らしい身体能力が発揮されたわけですが、このプレー自体はグリフィンならやってくれそうなプレーですが、気になったのは「オーバータイムの最後のプレー」であること。
グリフィンは大体が前半は調子よく、後半になるにつれて尻つぼみになっていきます。その理由は「勝負弱い」のではなく、「高い身体能力をベースにしているからスタミナロスでプレーの質が落ちる」ということです。別に珍しい話ではないけど、昨シーズンは戦術グリフィンだったからとっても目立っていた。
3試合経過時点でも同じ傾向はあって、後半はパフォーマンスが落ちています。しかし、それでも昨シーズンはFGアテンプト自体が落ちていたのに、今シーズンはここまで後半の積極性が目立ちます。そしてシクサーズ戦ではオーバータイムのラストプレーでも高いインテンシティを必要とするプレーを完成させたのです。
クレバーなプレーをするようになったことで「プレーの質が向上した」グリフィンですが、無理なプレーが減ったことは単に質の向上だけでなく、「スタミナロスが減った」ことにも繋がります。高いFG%もこれが要因だと思うのでした。接触プレーの多かった昨シーズンに比べるとシンプルなプレーぶりの今シーズン。
4Qになってもスピード、パワー、スキルの全てを必要とするプレーを決めるだけのスタミナが残っているグリフィン。だからこそ印象度の高いパフォーマンスになっています。
シクサーズ戦で勝負を決めたグリフィンのワンプレーには好調の理由が詰まっていました。シンプルなプレー判断だけどヘルプの位置も把握したドライブを、オーバータイムのラストプレーでも落ちなかった身体能力を活かしたフィニッシュ力。それはシンプルなプレーを重ねたからこそ残っていたスタミナでもあります。
まぁ試合中ではなく「シーズンの疲れ」ってのもあるから、次第にパフォーマンスは落ちるでしょうが。アーロン・ゴードンもまた身体能力だけどスタミナで負けていたわけで、このスタイルの選手にはありがち。
スマートなプレーをするようになったグリフィンは絶好調!
そこにあるのはピストンズがグリフィンにやらせる仕事を得点に直結するプレーメイクに絞り、余計なプレーをさせなくなったこと。イシュをPGとしてコントロールさせ、ガードを増やしてシュート力とボールプッシュを強め、グリフィンはマッチアップとヘルプの状況を観てプレーするように。
ニック・ナースに負けじと優秀な仕事ぶりがハッキリと出てきた昨シーズンの最優秀コーチであるドゥエイン・ケーシー。しかし、見方によってはグリフィン頼みが進んでいるピストンズ。まずは今の形を進化させ、無理のないプレーで
【ケガをしないグリフィン】
であり続けることが重要です。
なお、ケーシーについては、良いHCだけど、こうやって中心選手の役割を定義し、頼る部分も大きいよね。それがベンチメンバーの強化で大成功した昨シーズンを経て、中でもヴァンフリートみたいな選手を使ってラウリー&デローザンの負担を減らした経験値が大きかったと思うんだ。
これが続かないのがピストンズの伝統であり、そんな伝統に立ち向かわなければいけないケーシーでもあります。次戦はケーシーにとっては因縁の?キャブス戦。そしてセルティックスとの連戦に臨みます。
最後のハンドオフはボールフェイクが多めだったので、アミアジョンソンが背後から追いかけてくるのを遅らせるという狙いも持っていたのかな…と買いかぶって喜んでいます。
ピストンズ・ネタ、またお願いします!
(怪我しませんように〜)
グリフィンが思った以上に良いので、ピストンズも楽しみですね。昨シーズン前半は本当に面白かっただけに、継続するかがもんだいかなぁ。
グリフィンが50pt、しかもOTに決勝点も決めたって聞いてハイライト見ましたが、ポストアップ確かに多かったですね。どうやってOTまでスタミナ持たせたのか疑問でしたがそういうことでしたか…。久々に圧倒的なグリフィン見れてうれしくなりました。
それとケーシーHCはこれから伸びていくチームが似合う気がしてます。ラプターズから移ってよかったんじゃないかなと。
ケーシーはディテールに拘るよりも、様々な問題に解決策を見つけてガイドラインを作る方が向いてそうですよね。プレーオフになると途端にやり方を変えてミスしてきているだけに、再建が似合うのかも。
ただエース格がいることも大前提なので、ピストンズで成功するのか!?
完全に管理人さんの読み通り、ローポストアタックへの回帰ですね。4番ポジションにウイングを置くチームが多くなってきたのを逆手に取り、ポストでゴリゴリできる選手がオフェンスで活躍できる。でも単にそれだけならザックランドルフの時代に逆戻りですが、グリフィンの場合はウイング系のPFにも何とかついていける機動力がありますからね。しかも3Pまで身につけたんじゃ、単にCをつけてもやられるし。ただ、ボストンとトロントはグリフィンにも対応してきそう。そこまでいったら、ドラモンドも更にプレイを進化させるないとですね。
そうですね。仰る通り、逆にミスマッチが出来るという。ランドルフと違うのはグリフィンがアウトサイドに行くこともそうですが、パスアウトが優先で、ヘルプがいないならゴリゴリって感じですね。
強いチームは複数のやり方に対応することを大前提にしているので、ポストアップが無敵ではないですし。
スモールラインナップを逆手に取るチームがどれだけ増えるのかも興味深いです。
昨シーズン、ラプターズでケーシーがセットしたこのプレイと全く同じっすね↓
https://youtu.be/LyL68Ywk3mc
おー、素晴らしい。まさかのバランチューナスでしたね。観た記憶があります。
ここまで同じだと爽快です!
スキルの活かし方が勿体なかったグリフィンを活かすために、しっかり周りの選手が何をすればいいのか整理できたケーシーはやはり凄いです。
グリフィンに限らず色々やらせすぎてor向かない仕事をやらせているせいで持ち味が出せてない選手ってリーグに結構いるのでは?
探ってったら面白そうな気配がします。
この調子でレジジャクをどうにかできればピストンズのPO進出も夢ではないのかな。と思いつつ続かないのがピストンズですし、シーズン序盤なので過大な期待はしないで楽しむくらいがちょうど良さそうですね(笑)
ちょうどペリカンズのペイトンもそうでした。やり過ぎないペイトン。
ただやり過ぎているかどうかは、次のHCやチームに行って発覚するパターンもありますし、一筋縄ではいかないです。今シーズンに移籍して開花した選手を探すとよいかもしれません。