2018/10/17 開幕戦 ウォーリアーズvsサンダー

ウエストブルックがいない開幕戦はNBAの狙いが見事にはずれたよね。

試合前のセレモニーが長い。いやそれ自体に不満はないのだけど、試合開始時間が全く違うじゃないか。リアルタイムで観なくて良かった。

 

◉難しき戦術

 

スタートから快調に決めていくのはウォーリアーズ。トンプソンとデュラントが得点を重ねるのですが、まぁこれが簡単なシュートなんて1つもなかったのに、何事もなかったかのように決めていくのでした。

「ウォーリアーズの戦術は超優れいているのに、何故真似しないのか?」なんて言われることがあるけど、「こんなに難しいシュートを簡単に決めることができるのか?」ということ。

タフショットの連続って訳じゃないけど、しっかりとチェックが来ているのに、そして経済的じゃないミドルでさえも決めていくから成立するに過ぎないのでした。

さて、ここで気になるのはカリー。カリーもシュートを決めているのですが、簡単なシュートが多くなります。その理由はシュルーダーが全くついていけないから。スクリーン1つで振りほどかれるので、難しいシュートがない状態で打っていきます。カリーほどの確率がなくても、こんなに簡単なシュートが打てるなら戦術的に流行するだろうけどね。

 

ただし、サンダーも無抵抗というわけではありませんでした。ウォーリアーズの戦術的には、この3人が難しいシュートを高確率で決めるから、ディフェンスが引き出されてゴール下のイージーシュートになるのですが、そのパスをカットしたり、フリーで渡っても後ろからブロックしたりと連動性は回避します。

ハードワークこそ命のサンダーらしさは十分に感じ取れる中で、ちょっとまずかったシュルーダーと、あまりにも決めすぎのトンプソン&デュラントという雰囲気。

 

◉サンダーのビッグ1

 

今は無きOK3で残ったポール・ジョージ。サンダーのオフェンスは鮮やかさがないわけですが、それを全てウエストブルックの責任にするのはどうなのか。そんな管理人の考えを肯定するかのようなポール・ジョージのプレーが連発します。

セットでも何でも無いのに突然横断パスを出してカットされるわ、速攻の3vs2で唐変木なパスを出すわで、殴りたくなるレベルの酷さをみせるポール・ジョージ

加えてたまにスクリーンで抜けてきてもパスのタイミングが遅くシュートが打てなかったり、カリーとのミスマッチになったからポストアップしたけど、その前にシュルーダーがプルアップ3Pを打ったり。周囲も悪い。

 

兎にも角にも全体的にパスが悪すぎてオフェンスが構成出来ないサンダーは、スターターなのに単なる置物みたいなファーガソンに代表されるように、シュルーダーとポール・ジョージのプレーメイク能力が低すぎて話にならないのでした。

しかし、それでもサンダー唯一のスターが何とか踏ん張らせてしまいます。それはスティーブン・アダムス。ゴール下で何度もオフェンスリバウンドを拾い上げ、ゴール下をねじ込み、ファールをさせまくり、フリースローはあまり決まらない通常営業で、ビッグ1っぷりをみせつけます。

かといってウォーリアーズのインサイドを責めては可哀想なくらいフィジカルかつハンドチェックをしているので、アダムスといえど苦労しながら、4人に囲まれようが強いのでした。4人に囲まれているのにアダムスにパスが出てくるとかおかしいのだけど。

なお、パターソンも良かったよ。2人が何とか繋いだ序盤戦

 

◉ウォーリアーズの弱点

そんなわけでウォーリアーズが先手をとるのですが、サンダーにとって問題だったのはその後。つまりはスターターが下がり、デュラントのみに、その後はトンプソンのみになった時間帯でした。明らかにオフェンスに課題があったベンチメンバーは、ジェレブコも出てこないし、停滞しまくっていたのを、デュラントとトンプソンが個人で何とかしていきます。

「何とかしていく」という表現が適切なくらい苦しいウォーリアーズ。まぁ普通レベルなのだけど、最近はこのセカンドユニットの強さを求めるチームが増えてきたので弱点になるというのが前回の記事。

 

この時間帯に追いつく必要があったサンダーですが、せっかくスティールしても速攻にならないシーンが多発し、相変わらずシュートは決まらず、かといってスピードで振り切るシーンも殆ど無かったのでした。ノエルやグラントがベンチから出てくると活力あるプレーをするのですが、フェルトンはやっぱり速攻を作れないし、シュルーダーも何が何やら。

個人としては怪しい選手ではあるものの、ホークス出身だけに的確なボールムーブに広いスペースを活用するプレーメイクをするかと思われたシュルーダーでしたが、現時点では単なるウエストブルックの下位互換になっています。

どうみてもベンチはサンダーの方が内容が良かったのに、チャンスをモノに出来ず、アブリーネスの3Pで何とか点差を縮めたけれど、その後に戻ってきたスターターで再び点差を離されて10点差になって前半が終わるのでした。なお、最後もポール・ジョージが決められないのが痛すぎた。

 

ウォーリアーズにはわかりやすい課題があったのだけど、そこにつけ込む強さが欠けていたサンダー。ならばスターターで押し切られるという非常にわかりやすい展開の前半は、ある意味退屈ですらあるのでした。ドノバンとポール・ジョージは一体何をしたかったのか?

 

◉やっと働く主役達

3Qが始まると2分で9点を奪ったポール・ジョージによって、あっという間に3点差になります。直ぐにカリーが3Pを返しましたが、今度はシュルーダーがドライブに加えて3Pもヒット。ポール・ジョージにダブルチームになったところでパスアウトでパターソンの3Pと前半にはなかった主役達の活躍で、4分経過したところでサンダーが逆転します。

エースが働けば点差にはならない証拠となる活躍は、ルーズボールやリバウンドが少なくなるからアダムスが目立たなくなるというサンダーらしさも垣間見えたのでした。

ちなみにシュルーダーは前半の途中からディフェンスもかなり改善していきました。カリーのムーブに対して無力だった1Qと違い、動き方に慣れてきた感じで、裏をとられても手を伸ばせばパスカットできるような場面もあり、上手くヘルプを使えるようになりました。グリーンのパスを読んでカットしたりと、チームメイトよりもウエストの各チームに慣れる時間が必要そう。

シュルーダーだって試合の中で慣れないと苦しいのだから、シャキール・ハリソンが弄ばれるのは仕方ないでしょ。ジャマール・クロフォードで何をしたいんだ。

 

しかし3Qといえばステフ・カリーが働く時間。少しずつ振りほどきはじめると、ジョーンズとのピック&ロールも機能し始めて、3Pで再逆転します。ちなみにこの時間ってお互いにムービングスクリーンが連発されます。試合が白熱してきた証拠だし、前半にはそこまで追い込まれていなかった。

お互いのエースが多少難しくてもシュートを決め、引きつけられたときに周囲がイージーシュートを決めないと行けない展開は、それまで圧倒的優位に立っていたリバウンドをサンダーがキープ出来なくなっていき、ジョーンズやリビングストンのプットバックで再びウォーリアーズがリードしたのでした。

最後はアブリーネスの3Pにリビングストンがゴール下を返して、4点差で4Qへ。得意の3Qでラッシュ出来なかったととるか、リズムを掴んだ時間に逆転できなかったととるか。両チームの主役が働き、働き始めると次第に止められるから脇役の活躍が重要になるチームの総合力が問われているわかりやすさがありました。

 

◉働いたのはルーニー

再びベンチメンバーが増えた時間になり盛り返してリードを奪いたいサンダー。グラント、ディアロ、ノエルが怪しいスキルを発揮しながらも、その運動能力で攻守にハードなプレーを繰り返し、同点に追いつきます。特にディアロはディフェンス面で即戦力になっているだけでなく、ボールプッシュする気持ちがあるのでウエストブルック不在の中で、むしろ活力を生み出してくれそう。そこについていけるグラントとノエルという機動力インサイド。

ちょっとマズい匂いがしてきたので、即デュラントを戻すスティーブ・カー。そして即ドライブを決めてリードを守るデュラント。続いてカリーも戻します。

アダムスが押し込んだりして拮抗する中で、違いを生み出したのはそのアダムスを担当するルーニー。スターターじゃないけど重要な局面は大体ルーニーにするのがウォーリアーズ。デュラントのミスを押し込み、シュルーダーをブロックし、カリーのミスを押し込みと攻守に奮闘していき、再び6点のリードをもたらします。

この試合はグリーンが殆ど目立たず、その理由はサンダーのインサイドが強すぎるけど、自分でアタックしてこないから働き場がなかったことでしたが、同じような理由で高さ不足のベルも出番が少なくなりました。得意のスモールラインナップではなく、サンダーに合わせたビッグラインナップを好んだ形ですが、そこでルーニーが働いてしまうのは大きい。殆ど何もしなかったけどジェレブコも次第に馴染んできた感じでした。

 

さらに興味深いのはディフェンス面。それまでポール・ジョージに対しては、あまりスイッチしないでデュラントが担当していたのに、アダムスとのスクリーンでも簡単にスイッチし始めます。そしてアイソレーションでポール・ジョージのドリブルに手を出して止めるルーニー。

さらにジョーンズもアダムスをブロックして、ゴール下をねじ込み、自分たちの弱点の1つであるインサイドだけど有利に立っていきます。まぁあれだよね。サンダーはアダムスに頼っていて、1人でインサイドで奮闘しまくっていたから、お疲れだと思う。

グラントが良いプレーをしているとはいえ、3Q終盤から出ずっぱりだったりと「ハードワーク」するためには、もう少し交代しないと苦しい。5点差で残り3分へ。

 

 

◉ノーウエストブルック

残り3分5点差だと逆転圏内なのだけど、まぁ間違いが無いようにデュラントに託すよね。ただし、相手がポール・ジョージなのでファイナルみたいに上手くは行かない。

しかし、サンダーはもっと問題でウエストブルックがいないのでボールがあまり落ち着かない。ホークスでシュルーダーがたまにクラッチタイムにスピードで振り切りまくる試合もあったけど、相手がウォーリアーズだと期待し難いよね。

優勝するためにスーパースターが欲しくなるのはこういう所。単にクラッチに強いのではなく、間違いが無いオフェンスと、わかっていても止められないプレーがあるかどうかなのね。そして逆にカリーに騙されたシュルーダーがミドル&ワンを許してしまい、残り1分半になっても点差が変わりません。なんとかアダムスが押し込むのがやっと。それをねじ込み返すルーニー。

オフェンスリバウンドがこぼれてきてフリーの3Pをエアボールしたシュルーダーの時点で勝負ありでした。

そんなわけで頑張ったサンダーでしたが、時にオフェンスのブレーキにもなるウエストブルックがいない事でボールムーブが改善するかという淡い期待は儚く消え、その一方で勝負所で頼るべき武器が不足して負けたのでした。ポジティブに言えば「しっかりと勝負できたけどウエストブルック不在がつらかった」にはなります。

前半に57点とられたのが痛かったのですが、そこは機能していなかったはずのベンチメンバーの時に止めきれなかったとも。「ウォーリアーズ対策には質より量」を間接的に示した感じ。一応、エースに加えてロバーソンもいないので、もう少し勝負できるようになると良いですね。

ただし、オフェンスの内容が悪いことは忘れてはいけない。この内容から進歩しないなら、戻ってくる前に苦しいことになるよ。

〇サンダーのスタッツ

ポール・ジョージ 27点 FG9/27

シュルーダー 21点 FG7/19

こう観ると「ひょっとして、このシステムでFG40%超えるウエストブルックのシュートって優秀なの?」と錯覚してしまうわ。

 

ウォーリアーズの方は懸念だったベンチメンバーはあまり解決しておらず、とはいえ育ててきたルーニーの存在は非常に大きかったのでした。後半は殆ど連携を分断されたのですが、イグダラがあまり出ていないなどの理由がありつつ、どうしても新加入が増えると致し方ないのかな。

序盤は好調だったトンプソンが、その後しっかりと止められFG5/20に終わりました。これを個人の問題とするか、チームの問題とするか。まぁサンダーのディフェンスなので他のチーム相手なら改善するでしょうが、トンプソンを上手くフリーにするシステムは、そこまで機能していません。

カリーの3P5/9で32点に助けられた部分もあったね。でもそっちはフリーも多かったというサンダー側の事情。

 

18分しかプレーしていないのに、得失点差が+23のルーニーは10点、10リバウンドでした。プレータイムを伸ばすべきとも言えるし、集中して勝負所のハードワークに備えさせたとも言える。サンダーはベンチメンバーがハッスルするだけにアダムスを36分も引っ張るのは辞めた方が良いかと。

 

ちなみに地味に勝敗をわけたのはフリースローの確率

〇フリースロー

ウォーリアーズ 17/18

サンダー 24/37

点差は僅かに8点なので32/37で86%の確率があれば同点だったのでした。昨シーズンもリーグワースト2位だったサンダー。今シーズンもシューティングコーチが最大の弱点なのだろうか。ロバーソン戻ってきたらどうなるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018/10/17 開幕戦 ウォーリアーズvsサンダー” への14件のフィードバック

  1. いよいよ開幕😊
    今年も楽しみにしてます。
    今季ウォリアーズの弱点はまさしくそこ、ベンチ😰です。そこは今季不安材料ですね。。
    アンドレは途中で怪我ででなくなったみたいですよ。
    クレイは結構フリーで落としてた。いつもなら入れるものを落としまくってました😰すぐ調子が戻るといいんですけど。
    ステフは良かったし、KDも良かった。
    今年の課題はやはりベンチ。
    去年みたいにスターターが怪我すると問題😵です。

    1. クレイは途中からディアロのハードマークに悩まされ、打つときは空いていても、そこまでに激しいコンタクトをされていました。そういう意味でも簡単なシュートが少なかったです。

  2. ルーニーには驚きでした
    オフェンスリバウンド8はインサイドの弱いウォーリアーズにとって非常に頼もしいですよね
    プレーオフでデイビスをある程度抑えただけはあります

    1. 30分の勝負なら完敗するでしょうが、15分なら互角に戦える事を示してますね。オフェンスリバウンドが多かったのはアダムスの反応が悪くなったのと、他の選手もリバウンドへの集中力が落ちた時間帯に、1人だけ献身的でポジションを取るのが上手かったからかと。元気って大切。

      ルーニーいなければ、もっと苦しんだはずです。

  3. ウォーリアーズがすんなり勝つかなと思ってましたが、サンダー末恐ろしい。
    今シーズンもウォーリアーズは優勝候補筆頭ではありますが、開幕戦から主力達のプレータイムが40分近く怪我や疲労が心配かと思います。混戦のウエストで選手層は相当重要だと思いますが1年もつでしょうか?カズンズ復帰前にデュラント怪我でいなくなるとかシャレにならないですよね

    1. どこかでまとめて休ませる匂いがします。
      ただ肩から落ちたシーンがあったように、全力のぶつかり合いが増えると誰かしらケガする可能性はあります。こればかりは恐れていても仕方ない。

  4. ベンチメンバーの得点不足は、昨年のウェストの役割をカズンズに任せて解消する気がします。現に、今日も2Q頭はあのユニットでしたし、カズンズを馴染ませて使うより、住み分けで使ったほうが手っ取り早いですし。

  5. アダムス相手にルーニー始め、ビッグマン陣が頑張っていたのが印象的でした。ここをカズンズにしたら途端に機能しなくなる気しかしません…

    1. それね!

      若手はよく走るし。サンダーのインサイドにスピード負けしなかったのは見えない好プレー

  6. スターターでファーガソンを起用する意味ってありますか?
    ディアロの方がディフェスもいいですし、ボールプッシュもできる気がするのですが。
    ノエルとグラントと組んで機動力重視で意図的にしてるんですかね?
    それだったらスターターはアブリネスとパターソンでドライブのスペースを作った方がいい気が。
    とにかくフェルトンが…
    もう少しパターソンにPT与えてほしいです。
    ラスとロバーソン抜きで一応ウォリアーズを108点に抑えましたし、去年よりは改善されてるっぽいですね。
    後はやっぱりクラッチタイムでデュラントがいるのってデカイですね。

    1. ファーガソン本人は悪くなかったですし、ディフェンスはディアロと大差ないかな。ディアロは目立ちましたが、ファーガソンはボールを持たせない守り方をしてました。
      ただオフェンスはボールがこないから置物。やっと4Qに回ってきたけど、もうフォームもバラバラに。

      グラントとパターソンの使い方は課題がありました。もう少し頻繁に交代しても良かったのではないかと。
      ドノバンも大事な局面でスターターを引っ張りたがるので、起用法は大きな問題になるかもしれません。

  7. ジャマクロ取るからには使ってあげなきゃいけなくて、プレータイムの枠から押し出されちゃったのがハリソンなんでしょうかねぇ
    ガードにベテランが居ないのは確かですけど、メンターとしては期待しにくいですし、伸び代で言えば38歳と24歳だと比較にもなりませんから、サンズ的には来年以降の若手の台頭よりも今年の勝ち星を増やすのを優先したつもりなんでしょうね
    ジャマクロはボールを持ちたがりそうなので、ハンドラー枠としてのオコボ君のプレータイムも削られそうです…

    1. 若手のプレータイムを削る上に、ジャズのオフェンスにマッチするとも思えなければ、ディフェンスを強化する視点からも外れるんですよね。
      アリーザ とライアン、チャンドラーがいるチームにこれ以上ベテランを加えてどうするのか?

      またもオーナー案件なのか勘ぐってしまいます。

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