ウエストのカギを握りそうな両チーム。スターターは何の問題もないが、チームとしてはどうなのか。
昨シーズン3位のブレイザーズはプレーオフラインの戦いで苦戦しそうなのですが、ベンチメンバーが標準的な働きさえしてくれれば、何の問題もなくプレーオフに進出してきます。スターターの強さだけならロケッツやウォーリアーズ相手にしても存分に対抗するチーム。
昨シーズン5位のジャズは立派なトップ3の一角。そのチーム力に磨きをかけてくるはずで、全員が健康ならウエストトップだってありえます。しかし、全員が元気なんてあり得ないわけで、不測の事態が起こっても変わらぬチーム力を発揮するベンチの層が問われます。
基本的にブレイザーズのベンチはかなり怪しく、ジャズはある程度信頼できるけど、シューティングが怪しい。
◉目指せ!最強セカンドユニット
ブレイザーズはハークレスが出遅れていて、代役にセス・カリーで3ガードスタートです。いやぁ昨シーズンは悪夢の3ガードだったのにな。何故かSFを補強しないブレイザーズ。渡邊雄太を獲得するべきだったチーム。他にもいくらでもいたと思うのだけど。
3ガードで良いことは守から攻の切り替えが早いところ。そしてアミヌとヌルキッチのスクリーンを使って3人が動き回ります。その結果、ヌルキッチとアミヌへのマークが薄くなり2人が3Pを決めます。ヌルキッチはもっとインサイドに詰め込むべきですが、FG%が散々な選手なので3P打ってくれた方がEFGは上がるかも。
ちょっとセンター陣がオフのトレーニングで「3Pを身につけた」と不要な練習をしているケースが多いのですが、ヌルキッチに関しては本当に有効だと思います。マカラムとリラードも決め、トランジションもあってオフェンス好調なスタートです。ディフェンスのチームだったので3Pの爆発待ちで戦うのは間違いではない。
Damian Lillard and CJ McCollum combine for 17 PTS in the first to help the @trailblazers get out to a 33-24 lead! pic.twitter.com/1E0u7FVb1p
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最近ブレイザーズについて書いた記事は2つで「最強セカンドユニットを作れるか」と「CJマカラムがセカンドユニットで効率が悪い」という話。これは昨シーズン、リラードとマカラムのどちらかがコートに立つ形にしていたけど、今シーズンはどうするかという視点では逆のことを書いています。プレシーズンも進んできた中で、雰囲気としては「セカンドユニット」として起用する方が多く、スターター全員がベンチに座ります。
ボールドウィン、スタウスカス、レイマン、コリンズ、レナード
シュート力のある5人を並べ、ボールドウィンのゲームコントロールと時折スタウスカスの突破で構成しています。個人的にボールドウィンについてはかなり期待していますが、ジャズのディフェンスレベルに対抗するには全体が力不足っぽい。ボールドウィンのパスと言うよりも、オフボールでフリーを作れなかったり、貰ってからの一瞬スムーズさを欠いたら詰め寄られてしまいます。
スターターが作ったリードを少しずつ削っていくセカンドユニット。だけど、選手の組み合わせは亜悪くないし、全くダメだと思っているレナードさえもディフェンスを頑張ろうとしているのでした。
birthday assist from @NStauskas11 🎂
🔨from @MeyersLeonard11 pic.twitter.com/3qY34Cj1EC— Trail Blazers (@trailblazers) October 8, 2018
スタウスカスはドラフト8位、ボールドウィンはドラフト17位。しかし、共にあっさりとチームにクビにされてブレイザーズにやってきました。このセカンドユニットの中では明確に中心的な役割を担おうとしていて、どこまでやれるかがブレイザーズの浮沈を握りそうです。
エバン・ターナーもお休みみたい。
◉アレック・バークに目覚めて欲しい
ジャズは交代でフェイバーズ→クラウダー。さらにアレック・バークもでてきます。これで実質3ガードにウイングはクラウダーという状況に。ジャズの不安要素はここで、ちょっと小さいんじゃないか疑惑。まぁ昨シーズンはフェイバーズもゴベアーもいない状態で戦ってもいましたが、結構な疑問です。
そんな3ガードになるとインサイドを突破され、リラードとマカラムに&ワンを決められたし。
するとやっぱりオニールを出して2ガード、2ウイングに変更します。オニールの登場で一気に守れるように。なお、オフェンスはドノバン・ミッチェルが1人でやっているから、メンバー構成は特に関係ない。
ブレイザーズと違い、スターターとベンチを混ぜていきます。クラウダーもオニールもハードワーカーでディフェンスで目立ちまくりますが、やはり問題になるのはドノバン・ミッチェルがいない時間。強引に突破する選手がいないので、よくいえば鮮やかにボールを動かしてシュート打つけど、悪く言えば突破力不足。
なのでダンテ・エクサムとアレック・バークがカギを握りそう。エクサムはPGでボールを持つ機会も多く、ディフェンスの良さもあって計算できるのだけど、バークはそもそもボールをもらえないことが多いんだよね。チームとしての問題もあるし、バークの動きを追うと運動量が少ないし、ポジションも中途半端になることが多い。ただし、ボールを持てるとドライブから強引に決めれば、3Pもヒットしてジャズは同点に追いつくのでした。
もう長いこと期待され、期待され、ケガもあって期待に応えきれない間にドノバン・ミッチェルが登場してしまったアレック・バーク。ボールを持たせたら一級品だけど。
The good stuff from 🆎 pic.twitter.com/EgPuAOD4Rl
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試合はスターターが戻ってきたブレイザーズが攻守にジャズを圧倒していき、リラード&マカラムがスーパーショットも決めれば、ヌルキッチも3Pをまたもヒットし、二桁リードを取り戻して前半が終わります。
なお、前半最後はセス・カリーではなくジェイク・レイマンがスターターに参加しています。この方がバランスの良い構成になっているので、現実的だけどセカンドユニットにSFがいなくなる。ウイングが足りないチーム。
.@bosnianbeast27 added a new element to his game this summer 📝 pic.twitter.com/I1TQIUVkHu
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◉マカラムに合わせた戦略?
後半のブレイザーズはスターターにスタウスカスを混ぜてきます。悩んでいる様子のテリー・ストッツ。ただ、スタウスカスの動きには迷いだらけで、ベンチユニットだとマカラムのように動けるけど、このメンバーだと動くスペースがないので、どうすれば良いのか。スタウスカスはベンチの主役がちょうど良い選手なのかもしれない。
Too. Much. SAUCE. pic.twitter.com/4Fj9gLUTwA
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ヌルキッチの3P効果はハッキリと出ていて、リラードとマカラムがこれまでよりもドライブを決めやすくなっています。インサイドの人数が多くてブロックをくらいことが多い2人は、全員が3Pを打つことで大きく広がったオフェンスの利点を活かせるように。
また守から攻への切り替えの速さは意識しているようで、次々にアーリーオフェンスで飛びこんでいきます。マカラムの時に書いたように、突破していくだけなら非常に能力が高いマカラムなので、トランジションが早いほうが向いている模様。ハードコンタクトした後でボディバランスをとって、ヘルプのブロックがいるから、左手に持ち替えてシュートとか凄すぎ。
Here is a video of CJ doing CJ things. pic.twitter.com/4LS0WnbLCZ
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インサイドの合わせが上手い(けどシュートはド下手)エド・デイビスがいなくなって、どうするのかと思ったのですが、ブレイザーズの選択はヌルキッチまで3Pを打たせてインサイドディフェンスを減らすことと、トランジションを強化してイージーシュートを増やすことだった雰囲気です。「イージーシュート」の範囲が広いマカラムという構図かな。
そのために高さもあるウイングを使うよりも、ガードを増やしてトランジションの速さとパスの起点を多くしたいのかもしれません。しかし、ヌルキッチかアミヌがケガしたら崩壊するのではないか疑惑があります。そんな意味でもコリンズとスワニゲンがなんとかしないといけない。
ジャズのスターターとブレイザーズのスターターは互角くらい。この試合はリラード、マカラム、ヌルキッチで3P9/13と決めまくったので、ブレイザーズの判定勝ちでした。FG25/33はヤバいって。
「スターターはね」というのが課題なのでした。試合は負けたのでした。
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◉逆転するジャズ
ブレイザーズの攻勢の中、淡々としているジャズ。この落ち着きこそが強いチームならでは。昨シーズンのキャブスって強い感じなかったけど、ただただ落ち着いていたよね。落ち着いたまま負ける事もよくあったけど。
リラードの得失点差は+22と圧倒なのですが、ジャズ側でみるとゴベアー△20、ルビオ△21なのだけどドノバン・ミッチェルは△10でした。前述の通り、強引に突破するタレントが足りていないジャズ。ブレイザーズもディフェンスシステムがしっかりしているチームなので、かなり苦しめられたといえます。
これがフェイバーズは+9になるので不思議。スターターとベンチを混ぜるジャズはブレイザーズがメンバーを落とした4Qに反撃します。プレシーズンなので逆転できたに過ぎないのですが、混ぜるのと分けるのは、どちらが強いかって難しいんだよなー。
ジャズが逆転できた理由はブレイザーズがサイモンズ、カリーのガードでインサイドもレイマンとレナードにしてくれたので、フィジカルが弱すぎて話にならなかったことが大きかったです。しかもシュートも決まらないから。考えようによっては余りにも決めすぎのスターターが外していれば全く違っただろうね。
同じくメンバーを落としているジャズですが、ディフェンスのハードさは失われず。ただグレイソン・アレンは度々ディフェンスで穴になっています。つまり慣れの問題かもね。メンバーを混ぜることでスター選手ともマッチアップするジャズのメンバーはそのレベルで通用するプレーを常に求められている感じ。慣れてないアレンだけは抜かれていく。
そんなわけでジャズが4Qだけで39点を奪い逆転勝利を挙げます。残り4分半から24点を奪うのでした。カウンターの雨あられなんだけど、きっかけを作りまくったのはオニールのディフェンス。
YOU GET A STEAL AND YOU GET A STEAL pic.twitter.com/mRbupHI8Bf
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両チーム共に強かったですが、ベンチも含めるとジャズの方が一枚上手。それは予想されたことなので特に問題はありませんが、シーズンを通してブレイザーズはベンチメンバーを伸ばしていく必要があります。サイモンズが良い活躍をしたけど、これもまたフィジカルのないタイプで、同じような選手を揃えすぎ。
テリー・ストッツは優秀なHCなんだけど、いつも偏ったロスターを与えられて可哀想。昨シーズンまではPFだらけだったのに、今シーズンはガードばかりだよ。
ジャズはニヤングという選手が3P3/5決めていた。サイズも6-8あるのでディフェンスがなんとかなれば予期せぬ戦力になるかも。昨シーズンはホークスで契約を勝ち取った渡邊雄太の先輩タイラー・カバナーもいるけど、出番はほんの少しだけ。結果を残したからといって生き残れるわけではないNBA。
グリズリーズよりもブレイザーズにいて欲しかったな。
📹| Roll tape! pic.twitter.com/yoeR0a0Fzl
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ジャズは昨シーズンのメンバーがジェレブコ以外みんな残っていてそこにルーキーのグレイソン・アレンとGリーグから上がってきたニヤングを加えて、更に昨シーズン後半ケガで離脱していたベテランのセフォローシャという布陣で、ガード、ウイングは充実しているのにビッグマンの数は実は少な目なんですよねぇ。
ゴベールとフェイバーズだけでほぼインサイドのローテーションを回していた印象なのでケガがほんとに怖いです。
ビッグマンが豊作だった今年のドラフト指名権の一桁台をもし持っていたらと思うとなかなか興味深いです。バンバに興味有りみたいな記事はちょろっと見かけた気がします。
控えのウドーは仕事しますが、本当にそれだけしかいない雰囲気で、PFタイプがもう1人欲しいです。
バンバクラスじゃなくても2巡目に何人か素材型はいただけに、それでよかったのかとなりますね。
ガードはあまり必要じゃない中で指名しただけに、グレイソン・アレンには大活躍が求められます。大活躍してサボニスとトレードとかしたら胸熱!
UTAもPORもコーチングに優れているので羨ましいです、PORは過小評価されている印象なので頑張って欲しいです
LALはこの2チームより良いチームを目指さないといけないのに、コーチングで大きく遅れを取ってます……
でも両チーム共に、レイカーズのウイングの充実ぶりがうらやましいはずです。
特にブレイザーズはクズマかハートを指名しておけば、状況は全く違ったでしょうし。
どちらも無い物ねだりってことで。
昨シーズンのフィードバックとしては、ガードコンビが抑えられたら試合にもならないよ。つまり、POでのペリカンズ戦でのスウィープ負けが全てだったような気がします。あのシリーズは2人を3-4人で守る。ボールを持ったら上からでも全部ダブルチームで、ターナー、コノートン、アミヌ、ハークレス(怪我でほとんど出ず)はどうぞ打って下さい。インサイドだけはADが守るよ。守らなくてもあまり入らないけどね。という展開で負けました。つまり、今シーズンは肝心な場面ではどのチームも同じように守ってくることが想定されるので、そうならないように3Pシューターばかりを集めました。フリーしたらシュートは流石に入りますよというレベルの選手たちです。
今シーズンはGコンビにダブルチームに来たら、他の選手が決めますよというチーム方針が伺えます。スターターに変化はないのですが、ヌルキッチに3Pを打たせるのもその一環。セカンドユニットの構成ですが、総入れ替えはしないと思います。リラードとCJのどちらかはコートに残し、結果、4人の控えが出てくるのですが、ターナーにハンドラーをやらせると明言していることから、Gの控えはスタウカス(カリー)であり、残りの2人はレインマンとコリンズ。5人全員代える場合は代わりにレナードorスワニガンを起用するよということになってしまいそうです。ということで、ボールドウィンのPTはほとんど貰えないような危惧が・・・・・。でも前半勝てない試合が続く又はセカンドユニットが機能しないようだと、後半は見直すかもしれませんね。そこに期待しましょう。レナードは絶対に無理だし、スワニガンはちょっと経験不足だし、伸び悩みですね。
ターナーのPGはボールを運ぶ点では安定感がありますが、それ以外のメリットが見いだせないのが難点。それを補うCJマカラムだけど、結果として効率性を失ってしまいました。
器用だけど役に立っていないターナーですが、スターターの代役としてはどのポジションも出来るので、そこももう少し上手く使いたいところです。
スタウスカスは活き活きしていて、向上しそうなのですが、やっぱりそこにカリーはいらないし、ドラフトもそんな選手を2人なのは迷走するブレイザーズらしいと言うか・・・。プレータイムをあげられないなら成長するわけないのに、ストッツの手腕に頼りすぎ。当時はハークレスだけでなくリラードのケガもあって「ペリカンズは相性が悪すぎた」で済ますべきでした。
ストッツ自身は割とボールドウィンを気に入っているようなので、本人が結果を残せるかどうかです。でも、結果を残すにはレナードやコリンズ、レインマンが決めてくれないと。
結局はチーム全体をバージョンアップしなければいけないので、ストッツはガマンしてチャレンジしてくる気もします。昨シーズンも後半戦にあそこまで上げてくるとは予想もつきませんでしたし。
去年もリラードの怪我でネイピアをしょうがなく使ったら、思いのほか良かったので使い続けたという怪我の功名でした。今年も何かそういうアクシデントみたいなものがあって、良い方向に働かないかなと思ってます。
そういう意味ではブレイザーズは本当に侮れないです。なんだかんだで良い方向に持って行くのが上手いHCなので。