2018/10/06 プレシーズン ウルブズvsサンダー

一向に決まらないバトラーの行方と諦めきれないウルブズ。カーメロまで早期に処理して前を向くサンダー

 

◉両チームの諸事情

ウエストブルックのいないサンダー。デュラントがいなくなってからフル回転で働いてきたトリプルダブラーの存在は良くも悪くもサンダーを支配してきました。そんな選手が不在で過ごすシーズンというのは不安と期待が入り交じります。

圧倒的なプレーをしながら、あまりにも自分でなんとかしようとするウエストブルックは、周囲の選手達の成長を妨げている疑惑があります。疑惑というのはオラディポの捉え方次第で「サンダーにいたから成長してペイサーズで花開いた」とするか、「サンダーではウエストブルックが邪魔だった」と捉えるか次第。ただ、サンダーの選手達は「ウエストブルックがコートに居ないときの方が良い」と思えるのがグラントくらいしかいないのですが。

ひとつ間違いないのは、そんなトリプルダブラーがいることで、チームのシステムとしても偏りが大きすぎること。なんとかしてくれる存在でありパターンを固定し過ぎる存在がいなくなれば、もっとチームとして効果的な方法論を実行に移さないといけません。誰もがプレーを向上させるべき状況は、戦術ウエストブルックをしすぎている2年間の反省を促し見直すことが出来ます。ウォールがいなかったウィザーズみたいな。

 

一方のウルブズ。言うまでもなくバトラー問題ですが、その後の報道からするとシボドーの対応の方が遙かに問題があるようです。そしてバトラーのいないプレシーズンはプレーの面でも「シボドー問題」の方が遙かに大きいことを証明してしまいました。

タウンズ&ウィギンズがいるのに全く連動しないウルブズ。それはバトラーがパッシング出来ず、ボールを独占することから始まる問題なのですが、バトラーがいなくなると今度はティーグとローズが独占します。いや、ティーグはそこまで酷くなかったはずなのに。

 

本当に単純なパスさえもしないガードコンビは、ウォーリアーズ相手に2人で大活躍しますが、いやいや、それで勝てるのか? タウンズのアテンプトが8本で、ティーグ&ローズで22本だった試合は、「ローズの復活だ」なんていう声の裏側で、誰だったに「タウンズとウィギンズに打たせず、ティーグとローズが打つなんて愚かだ」と強く批判されていました。

10回のオフェンスで3回勝負するのは良いけど、5回勝負するのは違うだろ。

 

バトラーは確かにパスしなかったけど、ある程度しっかり決めてきてくれます。ローズもまたある程度決めてくれたわけですが、連動性のないオフェンスはレーティングが上がりません。そして仮に2人がオフェンス面で同じ働きをしたとしても、ディフェンスには雲泥の差があります。

そもそも別にバトラー加入前の時点でオフェンスは何とかなっていたウルブズ。タウンズに打たせないで「ローズが得点したから良し」と言われてもなぁ。

まずはそんなウルブズから観ていきましょう。

 

◉タウンズまで・・・

さすがに反省したのか、タウンズがボールを持つ機会が増えています。ただ、ポストアップの多さが目立ち、結局は個人で仕掛ける選手が変更された程度の差異でした。タウンズの良さは高確率のシュートと献身的に動くところ。アダムスが相手なのでインサイドだけでなくアウトサイドにも積極的にオフボールで動いていき、フリーになることを目指しますが、タイミング良いパスは全く来ません。

ゴチャゴチャしているインサイドへ個人で仕掛けられされて決められず、ならば自分がアウトサイドに広がってもパスは来ない。

それでもアウトサイドまで追いかけてくるアダムスなのだから、ディフェンスにはギャップが生じるはず。そこをティーグ&ローズがドライブで切り裂ければ良いのですが、サンダーのディフェンスの前にドライブしても潰されてしまいます。うん、まぁそれが通用しないから苦労するわけだしな。

 

ロケッツやウォーリアーズは時としてヘルプが少ないときがあります。キックアウトされる方がイヤな時なんかは、敢えて2人がいく必要はないよねという守り方。でもサンダーはインサイドは2人で潰しに行く。そしてウルブズはそこからキックアウト出来ない。

タウンズのポストアップ からだと時折キックアウトも回ってくるのですが、効果的に打つのはティーグだけなので、やっぱり形としては乏しくなっていきます。

そんなわけで個人ゴリ押しオフェンスがメインのウルブズはサンダーのディフェンスにより封殺されていきます。何の工夫もないオフェンス。

 

ウィギンズに関しては、やっぱりボールがこないのだけど、ボールが着ても殆ど決められなくなってきたね。そろそろ「スペースがない」とか「連動しない」とかだけでなく、身体のキレがないになってきています。キレよりもヤルキがないのかもしれない。

バトラーがいなくなっても何1つ改善していないウルブズは、バトラーがいない分だけ弱くなりましたとさ。

ウィギンズもタウンズも移籍するべきだったね。「バトラー出ていくぜ!やったー!」なんて思いは幻想だった。

 

 

◉ウエストブルックがいないサンダー

サンダーもまた個人技ゴリ押しのチームですが、違うのはゴリ押しするためのロールプレイヤーを揃えていること。ちゃんと合わせてくれるとか、ハードワークしてくれるとか。

そして、仕掛けるのはポール・ジョージかシュルーダーと主役も決まっています。そこがウルブズと同じようで違う部分だから、周囲の選手がフォローしてくれます。

 

で、同じゴリ押しなのだけどボールを持って止める時間の長いウエストブルックに比べると、全員が簡単なパスを繋ぐので仕掛けるのが早くなっており、テンポが良くなっています。だからSGにした方がよいんだって。なおフェルトンだけは持ちすぎ。

そして変なタイミングで打つミスショットもないため、オフェンスが非常にスムーズに見えます。代わりにコートを横断するようなキックアウトパスが出ないけど。

総合するとウエストブルックがいない方が良いくらいです。まぁポール・ジョージもシュルーダーもFG40%割っているから、ミスショットが多いことに違いはない。

 

そんな低いシュート力を高いFG%とオフェンスリバウンドを駆使して1人で補っているアダムス。25分で14点13リバウンドと期待したとおりの大活躍を魅せます。ファンタジーポイントを稼ぐよ。

なお、ウルブズのディフェンスが酷いことは付け加えておきましょう。ピック&ロールでタウンズがショーディフェンスすると全く連動しないローズにより、何度も真ん中を割っていくアダムスでした。

パトリック・パターソンも9つのディフェンスリバウンドをキープしており、昨シーズンチームトップのディフェンスリバウンドをとったPGの不在はあまり問題になっていませんでした。

 

最大22点のリードを得たサンダーはウエストブルックがいなくても大丈夫といいたい所ですが、リードを得られた理由は淡泊なウルブズのオフェンスによってカウンターの速攻を多く出せたこと。低いFG%と決まらない3Pの傾向はそんな変化しておらず、もう少しミスのないプレーを志向するチーム相手だと苦しみそうです。

 

◉新戦力

連動しないウルブズにいながらも、1人チームオフェンスを組み立てるタイアス・ジョーンズに率いられたベンチユニットは簡単なハンドオフの連続でボールと人を動かし、プレーをシェアしていくことでサンダーディフェンスに的を絞らせませんでした。

地味だけど攻守に効果的な役割を果たすトリバーは、ウルブズに来てもその輝きを失っておらず、スピードのあるグラント相手でもテイクチャージするし、アウトサイドに広がってスペーシングすれば、オフェンスリバウンドにも飛びこむ良い選手。

そしてルーキーのオコギ-とケイタ・ディオップもワイドな位置から上手く仕掛けていきます。このワイドなのが重要で、トップから仕掛けてもヘルプに潰されるだけだったスターターと違います。うーん、なんでこのチームはタイアスがスターターじゃないのか。守れないのはみんな同じなのに!

 

そんなわけで今シーズンもウルブズでしっかりしているのは、出番の少ないベンチ陣という構図になりそうです。ここにタウンズが加わったユニットが最もまともなバスケをしそう。もう1人シューターが欲しいところですが、ナナリーとかいうロケッツも狙っていたフォワードは残り1分半しか出番なし。

 

 

サンダーは新戦力が少なく、アダムスの控えにナーレンズ・ノエルがいるのが1番目立つくらい。ただ、昨シーズンはここをグラントとパターソンが務めていて、インサイドの合わせが弱い状態でした。ウエストブルックがいないこともあり、ベンチユニットだとセンターがいた方がプレーしやすそうです。

そんなノエルはプレーが安定しないので批判されていたわけですが、このインサイド1人では言い訳できません。

かつて「アダムスくらいのサラリーが欲しい」とほざいたらしいですが、アダムスが結果を残したシステムで、全く同じ役割を与えられたのだから、得点・リバウンド双方でやるべき仕事が明確です。12点、10リバウンドと数字の上ではしっかりと出来たことはチームにとっても、ノエル本人にとっても良い傾向です。数字に残らない部分はアダムスが圧勝。

スクリーン関連のファールが細かくコールされているので、ビッグマンはファールトラブルが増えそうなため、ノエルは20分くらいのプレータイムを得るかも。頑張りましょう。

 

あとは、ファーガソン君が未だにシュート決まらないから、だったらハミドゥ・ディアロの方が活躍しそうだなというくらいです。ただ、ウエストブルックが帰ってきたらシューターは欲しくなるし、ロバーソンが帰ってきたらディアロの出番はなくなるかもね。

 

とりあえずこの試合に限って言えば、両チームが個人技主体なのですが、対応するディフェンス力には大きな差がありました。だから戦力的に言えばバトラーの問題はディフェンスの問題。ウエストブルックとロバーソンがいなくても守れているサンダー。多分、両チーム共に強豪相手には弱みを露呈しまくるでしょう。

ウルブズはタイアス、オコギ-、ケイタ・ディオップを上手く使えば良くなりそうだけど、それを期待するにはHC交代させないと・・・。

 

 

 

2018/10/06 プレシーズン ウルブズvsサンダー” への10件のフィードバック

  1. ウルブスはGMまで含めた首脳陣変えたほうがいいんじゃないですかね。金のニワトリがこのまま腐るのは忍びない…ガーネット現場にきてもらいましょ。タウンズはガーネット慕ってるみたいですしやる気になってくれるはず。
    ウィギンスはそのまま腐るようなら放出で。

    1. ガーネットを社長にして組織改革させるのが1番良い気がします。
      選手の気持ちが離れるのが最も厄介なチームですから、それをしない社長がいて、あとはGMとHCのそれぞれの権限をもたせないと。
      結局は全てシボドー次第なのが停滞感を生みますね。手腕とは関係なく、独裁制はダメというのが今の流れですから。

  2. チームスポーツなんでどんなにいい選手でも不満分子がいるとうまくいきませんよね。プロでもアマチュアの世界でも。

    1. うちのチームは若手と年寄りの考え方が全く違うのですが、若手の方が古いバスケをしています。だから上手く行かない。

  3. ウィギンスのドライブ→ターンの動きが読まれすぎ、ローズのディフェンスがカモられすぎ、相手にOR取られすぎ、ハンドオフ・オフボールスクリーンのスイッチが出来なさすぎ、というのがここ2試合の感想です。
    1番目はウィギンスのやる気もそうなんですが、チーム全体の単調なオフェンスも原因で、2・3番目はあえてローズをSGに使ってるチームの問題、4番目も勿論チームの問題です。
    バトラーの件も含め、ここ2年間のシボドーの無能さが滲み出ています。ターゲットセンターでも客席からブーイングされる理由はよくわかります。
    一方で、KBDなんかは長い手足とシュートレンジを効果的に使っていて、今後に期待がもてそうです。トリバーと似てるタイプ。

    1. ゾーンを試しているチームが多いのですが、ひたすら追いかけ回しているシーンが印象的でした。
      他のチームの試合とか観ていないのかなぁと疑問に思います。

      さすがに2年間で哲学を浸透できなかったのであれば、3年目も期待薄なんですけどね。
      オーナーもそんな部分を問題視していたらしいですが。

  4. プレシーズン初戦のスタッツからやけにアシスト少ないと思っていたらほんとにボール回ってなかったのか…

    ウィギンズもかなり低調ですし、ほんとこのまま崩壊してしまいそうですねぇ

    1. 初戦は特に。そういえばディフェンスが良くなるほど、苦しくなってパスが回っていた試合があったような。
      困ると最後はタウンズかウィギンズに辿り着くのは面白い傾向でした。

  5. 更新お疲れ様です。
    記事内でサンダーとロケッツ等とのディフェンスの違いを述べられてましたね。サンダーは中2人で抑えてキックアウトも抑えても、エクストラパスの連発でフリーを作られてしまうのをよく見ます。
    去年はオフェンスでもいくつかのセットを試していましたが結局ツーメンゲーム主体に戻ったようにみえます。今年は少しセット増えましたかね(?)
    私にはビリードノバンさんはセンターグラントなど癖の強いメンバーのやりくりは上手いと思うのですが、戦術的な面でもう一歩物足りなく感じてしまいます。whynotさんはビリードノバンさん及び今期のサンダーはどう思いますか?

    1. ドノバンの良し悪しは別にして、3年目となり特に熟成されるようなオフェンスではないので、替え時だったと考えています。いつまでもウエストブルックの個人能力で設計していては優勝は難しい。

      チームとしてはハードワークする選手が揃って気持ちは1つかも。追いかけ回して勝つか、鮮やかにかわされるかの勝負です。

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