そろそろインディアナ・ペイサーズを確認しておこうのコーナーです。基本的にはサプライズと捉えられているであろうペイサーズですが、わざわざプレビューしたように注目していました。
http://sp.plus-blog.sportsnavi.com/whynot/article/166
まとめるとこんな感じ
・昨季から機動力重視に切り替えたけど、メンバー構成に失敗していた。
・ディフェンスが出来てポジションレスなオールラウンダーを10人揃えるようなロスターに変更
・1.5軍でシュート力がある選手ばかり。3Pを活用しそう。
・戦術は期待できるけど選手起用は怪しいHC
そんな予想だったけど、実際にはどうなっているのかを確認するわけです。
なお、昨季スターターの生き残り2人が欠場中なので、ほぼ新しいメンバーで連携合わせている事も重要です。
,
,
,
誰が出ているのか?
10人集めたのは良いけど、この記事は延々と10人書き続ける事になりそうで嫌だなぁ。と早々に凹んでおります。
◯出場時間と得点
コリソン 33.2 14.3点
ジョセフ 23.9 9.5点
PGはたまにツーガードで出てます。なお、ジョセフだけは機能していません。1番合わせるの上手そうだったのに。
オラディポ 31.3 25.5点
スティーブンソン 18.6 5.7点
ボグダノビッチ 27.9 11.7点
ウイングは絶好調のオラディポ。その割を食ったように出れないスティーブンソン。まぁFG26%とペイサーズでもダメなのか状態に。
ボグダノビッチはなんか「どこのチームでもそこそこ」を体現しています。1人足りないポジション。
ヤング 32.5 12.3点
リーフ 16.0 6.0点
思ったよりも良い感じのヤングですが、実は効率的にはTJリーフでも良さそうなPF。
サボニス 25.9 13.0点
ジェファーソン 16.3 5.7点
サボニスはFG66%10リバウンドと大活躍。こんなにインサイドを頑張れるとは思わなかったです。ストレッチ4よりも向いているみたい。
なお、グレン・ロビンソンは全試合欠場、エース予定だったターナーは開幕戦しか出ていません。
,
,
,
ヤングとコリソンは思ったよりも長いですが、かなり満遍なくプレータイムが与えられる形は10人揃えたチームならでは。昨季からいるのがスティーブンソンとジェファーソンだけなので、ほぼ今シーズンだけでやっている割には得点が取れているのは、アンセルフィッシュな脇役レベルのスターターを集めた成果です。まだまだ良くなると思います。
ターナーよりもサボニスの方がマッチしそうなのは嬉しい誤算。ターナー復帰しなければサボニスがオールスターもあったかもなぁ。
,
,
,
試合を振り返ろう。
140 ー 131 ネッツ
96 ー 108 ブレイザーズ
108 ー 112 ヒート
130 ー 107 ウルブズ
96 ー 114 サンダー
97 ー 94 スパーズ
ハイスコアゲームを志している事がわかります。でも半分は失敗。失敗すると相手が大量得点するわけです。例外がスパーズ。
機動力重視、10人ローテの良さを十分に活かし、スター不在の不安定さも出している感じです。まぁこのチームにスターが1人いても大して変わらないでしょう。
,
,
,
データを見ていきます。なお、データはキングス戦前に拾っています。数字によってはスパーズ戦が加わっているかは不明。
◯ペース 103.8(6位)
◯レーティング
オフェンス 107.8(4位)
ディフェンス 107.2(22位)
◯速攻 15.2(4位)
データ的にもわかりやすく走って勝負しています。速攻のチームにも2種類あって激しいディフェンスから速攻と、どんな時も能動的に走りたいチームですが、ペイサーズは後者です。
◯オフェンス平均移動速度 4.76(9位)
面白いのはここです。この数字はよく走っているのですが、選手別にすると
ジョセフ 5.22
オラディポ 5.03
この2人が非常によく走っていて、あとはチーム平均に近い4.7〜4.8に多くの選手がいます。
スティーブンソン 4.42
ジェファーソン 4.11
例外がこの2人。つまり新加入組はちゃんと走っていて、残留組は走らないわけです。ジェファーソンに走れば酷ですが。
ちなみに昨季までのペイサーズは4.38で下から4番目。走らない構成への反省により、選手を大量に入れ替えたことは大きくプラスに働きました。使えないから放出したのではなく、リニューアルするために放出したのです。
ちなみに走っている2人も昨季はこんなに走っていません。
オラディポ 4.50
ジョセフ 4.85
走る選手が集まったわけではなく、チームとして戦術徹底して走らせているという事です。なお、ポール・ジョージもサンダーで走るようになりました。
慣れって怖いものです。
,
,
,
スターは確かにいないけど、いないからサラリーを多くの選手に振り分けられるし、良い選手が複数集まるから走る戦術を採用しやすいわけです。
ウォーリアーズに代表される走る戦術の流行ですが、前回のマジックもまたスターはいません。「動けるからスモールラインナップ」の次は「動ける人数を増やす」事に勝機を見出しているわけです。
,
,
,
ボールも回すけど、連携はまだです。
◯パス数 317(5位)
◯アシスト 21.2(15位)
◯アシスト率 50.6(28位)
走るオフェンスチームには意外な数字。
パスは多いけど、アシストにはならないパスばかりなので、個人で勝負出来ないと言いつつも、合わせや連携で勝負するわけでもありません。コリソンは8アシストと優秀な数字を残しています。
全員がシュートも打つし、ドライブもするし、パスもする。人とボールを動かす中でチャンスを得られた選手が勝負しに行くイメージです。
相手に合わせて勝てそうなマッチアップを選ぶ事も可能なのですが、そこまで細かくはやっていない試合の印象です。
,
,
,
◯2P 59.5%(6位)
◯3P 34.7%(18位)
◯3Pアテンプト 24.0(26位)
もっと3P推しで来ると思ったら堅実派でした。コリソンやボグダノビッチの確率が上がってこない事も関係しているかもしれません。
「ウエストブルックが崩してくれるから、コーナーで待っていれば3P打てるよ」
なんて事は絶対に起こらないチームなので、3Pを打ちたければ狙って動く必要があります。それをやっていないわけですから、この先もそんなには増えないのかもしれません。
7人がFG49%以上なので、バランス崩してまで3Pを増やす理由もありません。
EFG%を上げるために3Pではなく2Pの確率アップを狙ったのは意外な選択でした。
,
,
,
◯5フィート以内のシュート 31.5(9位)
走ってはいますが、イージーシュートに結びついているかというと普通レベルです。
◯15〜19フィートのシュート 13.5(3位)
現代バスケでは「ゴール下か3Pか」というのが主流になっています。主流になっているだけで勝っているかは別ですが。
ペイサーズのシュート構成で珍しいのはそんな否定されている距離のシュートが多い事。4.5m〜5.8mはフリースローぐらいのイメージです。否定する代表格はロケッツで僅か2.3本です。ロケッツの6倍近く打っている事になります。
2点しかとれない割には確率の低い距離になりますが、ここを48.1%(3位)決めています。インサイドが強いわけではないので、ゴール下の確率が悪い事も関係しています。
ヤングは正にインサイドの確率がリーグ平均より悪くゴリ押しするのは難しくなっています。オラディポが好きなレンジという事もあります。
管理人の予想はシュート力のある選手を集めたので3Pを増やす事でしたが、実は距離別のシュート割合は昨季とあまり変わらないバランスです。単純に昨季から続く戦術として適した選手を集めた事になります。
,
,
,
オフェンスはこんな感じです。冒頭の通り、昨季の反省から機動力重視のためのロスターに切り替え、非常に成功していると言えます。ペイサーズは狙ってこんな選手達を集め、こんなバスケを展開したわけです。
新加入ばかりでも素晴らしく戦術的な統一が図れている、とは言えますがアシスト系を見てわかる通り、連携面では伸び代が大きく残っています。ターナーやロビンソンの復帰も待たれますが、意外と今のメンバーで連携を深めるだけでも期待出来そうです。
ターナー出てきてサボニスの出番が減るのは勿体無いです。
,
,
,
ディフェンス
◯被FG% 47.5%(28位)
◯被3P% 38.9%(26位)
◯ペイント内失点 50.7(29位)
走る代償はディフェンスに出てきます。なんとかしたい所ですが、そもそも昨季も堅いディフェンスはそのままにオフェンスにシフトしようとしたら、ディフェンスも悪くなったチームです。取り敢えず3Pくらいは止めておけば十分にしておきましょう。
割と個人は守れるタイプの選手達だと思っていたのですが、やっぱりオフェンスに力を使うと厳しいのか?
取り敢えずHCにはこの問題に対する工夫は出ていない事になります。
ペイント内失点はターナーの復帰待ちです。この点ではサボニスとターナーには雲泥の差があります。
,
,
,
試合を見ていると気になるのは、交代のローテーションは割と普通な所でした。タイミングが普通という事もありますが、ターナーが欠場でスティーブンソンが不調なので、ガードばかりにしたり、SFばかりにしたりという相手に混乱を生むようなユニットは使えていないのかなと。
変な話ですが、守れない要因の1つに走る割にはポジションバランス普通なので、相手からしても攻めやすいポイントが頻繁に出てきていそうです。
オールラウンドタイプを揃える方向性を打ち出したチームが複数ありますが、そこ主な理由はディフェンスでのスイッチを厭わず誰でも守れるようにするためです。しかし、ペイサーズにはその気がなかったようです。
,
,
,
シーズンは続くよ
そんなわけで定点観測でした。プレビューの内容と方向性は合いましたが、ディティールはかなり違いました。
・10人ローテの分厚い戦力を活かした走るオフェンス
・ミドルレンジを高確率で決めていくペイサーズらしい流れ
・3Pとゴール下という流行部分にはどっちも弱い
・ボールは回すがアシストが少なく、連携面に伸び代がある。
・最低レベルのディフェンス
ここから概ね変わらないでしょうが、3P、アシスト、ディフェンスの3点の改善で勝率は揺らぎそうです。完成度ではマジックに劣りますが、それはつまり伸び代ですね。
とりあえず確認できたので勝ちまくらない限りは経過観察です。