2年連続ドラフト1位を得たシクサーズ。メンバーの豊かさから、バークレーにプレーオフに出れなければ失望するとまで言わしめた期待値の高さです。でも経験値はとても低いです。
PG マーケル・フルツ(マッコネル)
SG レディック(スタウスカス、ヘンダーソン)
SF シモンズ(コビントン)
PF サリッチ
(アミール・ジョンソン、ホルムス)
C エンビート
(オカフォー、ハンフリーズ)
若手の中にレディックとアミール・ジョンソン等を加えて各ポジションにバランスよく選手を揃えました。若手が多くて年俸が安い分、層が厚いです。
また、若手達もドラフト上位のスーパースター候補もいれば、2巡目やドラフト外から這い上がった選手もいます。
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若手有望株というけれど
一応、ポジション別に分けましたがあまり意味はありません。チームはバランス良く集めましたが、選手達は比較的自由に、ポジションレスにプレーします。
それは若手有望株にありがちな奔放なプレーではなく、パッシングになるのだから素晴らしいものがあります。
◯パス数 354.7(1位)
◯アシスト数 23.8(8位)
◯ドライブ数 33.3(4位)
エンビート、オカフォー、シモンズ、フルツとこの4年間のトップ3で指名した選手達は前評判が高く、概ね順当な指名だったのでシクサーズが意図的に選んだわけではないのですが、結果的にパスが好きな選手が多く集まりました。
2位に30本近い差をつけて断トツでボールを回します。ディフェンスを動かしてギャップを作りドライブするのがスタイルです。
◯オフェンス平均移動速度 4.89(1位)
そしてどのチームよりも動きます。人とボールが動き回り、切れ込んでいくスタイルは全員がプレーに絡むので、多くの若手を成長させる環境になります。サボっちゃダメだし。
課題はパス数の割にアシストが少ない事。完成度が高まるにつれてパス数は落ちてアシストは伸びていくはずです。
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◯アイソレーション 6.4%(24位)
◯ピック&ロール 12.3%(29位)
流行りのプレーはどちらも多くありません。前回のホーネッツではピック&ロールが多いのに動き過ぎとしましたが、シクサーズは理にかなっています。ウォーリアーズもこんな感じ。
◯スポットアップ 23.0(2位)
代わりに多いのが起点となる人にボールを預けて周囲が合わせる動きです。セルティックスやスパーズで目立つプレー。
ただし、これをよくやるのはコビントンとサリッチで成功率が高くもないので減るでしょう。
中核メンバーが揃っていない事もあり、人もボールも動いて良い感じのオフェンスを展開しているけど、決め手に欠けていたのも事実です。散々回してそのシュートかよ、みたいな選択も多いです。
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◯オフェンス
レーティング 100.7(30位)
FG% 44.2(27位)
3P% 34.0(25位)
動きの良さとは裏腹に決定打を欠き過ぎています。お粗末なオフェンス。シーズンが進むにつれて改善していきましたが、それでもまだリーグ下位にいます。
とにかくシュート確率が悪い事が問題で、イージーシュートも外します。
◯ワイドオープンショット
アテンプト 17.3(8位)
2P成功率 52.4%(25位)
3P成功率 38.0%(17位)
動いているだけあってオープンな状況を作れていますが、シュートが入りません。
2Pはオープンでも決められない。逆に3Pはオープンなら普通なのですが、トータルの確率が低いのでセレクションが悪いと言えます。如何にも若いチームっぽい。
◯ターンオーバー 16.7(1位)
そしてミスも多いわけです。
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絵に描いたような若さ溢れるスタッツですが、戦術的に目指すべき方向性がハッキリしているので、完成度を高めるだけです。
もう少しアシスト増やして、もう少しシュートが入って、もう少し判断良くして、もう少しミスをなくせば良いのです。
かなり難しいですね。
◯ディフェンスレーティング 106.4(17位)
ディフェンスは標準レベルですが、下にいるのはオフェンスにシフトしているチームとドアマットばかり。標準といいつつ何の武器もないレベルです。
ディフェンス面に力をいれても面白いチームだと思いますが、今の所その傾向はありません。
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中核メンバー
チームの中心はエンビート、シモンズ、フルツ。3人合わせて31試合しか出ていません。エンビートは未だに復帰出来ていないし。
来年のレイカーズ指名権や再来年の1巡目指名権を放出しており、選手を集めるのは終了なのですが、不安が残ります。
次に来るのが、オカフォー、コビントン、サリッチあたり。しかしオカフォーはチームにフィットしないからか、あまり出場時間をもらえません。信頼しないなら価値が高いうちにトレードすべきですが、エンビート問題もあり踏み切れていない感じ。
サリッチはオールラウンドに活躍する東欧らしい選手ですがFG41%。
コビントンは5年目の26歳とシクサーズでは経験がありますが、こちらもFG40%。
この2人は若手と言いつつも、いつまでも若手と言えるか微妙で、FG%が改善しない可能性もあります。
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試合に出ていない中核メンバーと信用し切れない主要メンバーといった感じ。ルーキーとなるシモンズとフルツがチームを変えられるのかどうか。
しかも変えるポイントは周囲のFG%という非常に厄介な問題。
シモンズとフルツ
両者とも今期がNBAデビューで、チームの躍進が期待されていることから新人王候補です。特にシモンズが有力です。
高い能力を誇るシモンズですが、自分で崩してアシストするのが好きなタイプ。昨年のサマーリーグでは観る者を魅了してくれました。試合には出ていないのにシモンズのためのようなオフェンスをしていたシクサーズ。
システムとしての完成度を上げるでしょう。
そして足りないと判断されたPGにフルツをドラフトしました。高1の時はチームの2軍だったらしいですが、そこから一気に評価を伸ばして、文句なしのドラフト1位となりました。
シュート、アシストとも出来て、ウイングスパンの長さからディフェンス面も期待されます。
このシモンズとフルツはSFとPGなのですが、PGみたいなSFとSFみたいなPGでもあります。スタートラインは違うけどゴールは一緒みたいな(意味わかんないな)
要は役割が被って渋滞するか、相乗効果が生まれるか、それにより大きくチームは変わってきます。チームの形成段階としては相乗効果の方が大きそうです。
パスを多く振るチームで、SFだけどアシストを量産しそうなシモンズとPGだけどフィニッシャーをやるフルツ。まぁ5ポジションの概念なんて何も意味もないので、2人が組むバックコートは楽しめそうです。
ちなみに不安要素としては、大学時代にチームプレーをする点も評価されて、文句なしのドラフト1位となった2人ですがNCAAトーナメントには進めませんでした。勝てるチームのマインドがあるかは不明です。
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TJマッコネルはどこへ行く
管理人のお気に入りTJマッコネル。大体のサイトでリーグPGランキング最下位にされる選手はドラフト外からスターターにまで這い上がった3年目の26歳。
26.3分と出場時間が短かったにも関わらずパス数69.6はリーグ最多。
36分間換算だと9.0アシストしており、アシスト/ターンオーバー率は3.36とPGとしてはクリス・ポール、ルビオに次ぐ優秀さです。
シクサーズスタイルのオフェンスを表現していた選手で、しかもクラッチプレーヤーでもありました。アリゾナ大でエリート8まで進んでいます。
シモンズとフルツに弾き出される感満載のマッコネル。3Pがダメなので出場時間を減らしそうです。
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エンビートとオカフォー
シモンズがPG宣言している事もあり、多少のポジション問題もありそうなPG。それ以上にエンビートのセンターにも大きな問題があります。
17.5点、7.0リバウンドと素晴らしいルーキーシーズンを過ごしたオカフォーは、2年目になりエンビートとのポジション争いに敗れました。
22.7分出場で11.8点、4.8リバウンドはベンチとしては良いですが、優勝を目指すチームの中核メンバーにはなれません。
さらに悪いことにオカフォー出場時間はレーティングが△14.5と非常に悪くなります。
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2014年の3位指名エンビートはコービーをみてバスケを始め4年でNBA選手になった怪物。でも2年間はケガで出場出来ず、やっとデビューし、プレータイムを制限されたにも関わらず31試合で再びケガでシーズンを終えました。
しかしスタッツは圧倒的で25分で20.2点、7.8リバウンド。3Pも36.7%と高い確率で決めます。
経験の短いものの身体能力が高いエンビートは激しいバスケの、自分の動きに身体が慣れていないのでしょう。初めのケガが疲労骨折だった事からも耐性不足かもしれません。
復帰したとしても更にプレータイムを制限されそうです。
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共に能力は高いものの不効率なオカフォーとガラスのエンビート。どちらも中心には据えるにはリスクがあります。
強力なエンビートですが、優勝目指すにはガラス過ぎます。そして来夏にRFAとしてマックス契約を要求される可能性があります。その先に続く他の選手との契約更改を考慮するとガラスのエースに大金を払うのはリスクが高過ぎます。
オカフォーのトレード話もありますが、オカフォーをメインに据えるシステムにしてエンビートをベンチにした方が良いと思います。
1つはエンビート1人でベンチスコアが何とかなりそうな事。
もう1つに全員が動きパスとドライブを多用するシクサーズなのでフィニッシャーは置いた方が良く、リングにアタック出来るオカフォーレベルのフィニッシャーはそうそういないという事。
サリッチやホルムスでスモールラインナップも出来るので、エンビートありきのシステムを熟成させるよりもオマケにして置いた方が無難です。
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何気に豪華なサブキャスト
書くのが面倒なので割愛しますが、メインではない選手達が水準以上なのがシクサーズを手強くさせています。
キャンプも始まり、スクリージ(要は紅白戦)のハイライトを観ましたが本番じゃない事もあり、様々な選手が活躍してました。
エメカの方のオカフォーまで普通にプレーしていたし。
特に気になったのはアミール・ジョンソンとマカドゥー。セルティックスとウォーリアーズという走るチームで鍛えられたインサイド2人は経験値の足りないシクサーズにフィットするかもしれません。
決して無理はしないけど、常に周囲に合わせてリングにダイブしていきます。この合わせのタイミングが鍛えられています。
とにかくチームとしてFG%が低いので、効率的にフィニッシュ出来る選手ならば活躍しそうです。
この層の厚さはサラリーが安い時期限定なので、この2年で勝てるチームに変貌してチームとしての経験値を上げたいところです。
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まとめ
目標 41勝
5割以上でプレーオフ
◆ストロングポイント◆
◯人もボールも動き全員が絡むシステム
◯厚くバランスの良い選手層
◯多数の若手有望株
◆ポジティブポイント◆
◯シモンズ&フルツのバックコートコンビ
◯ベテランによる効率性アップ
◆ネガティヴポイント◆
◯中核なのに定まらないセンター2人
◯中核メンバーの経験値不足
◯低いシュート能力
弱点が解消された感じはゼロなのですが、シモンズ&フルツへの期待とチームオフェンスを展開しているから、一気にプレーオフというのも現実味はあります。
一方でこのパターンで勝ててないのがウルブズ。経験値不足といえばそれまでですが、早い展開で個人の能力を活かそうとし過ぎて、非効率になっています。
シクサーズもその傾向はあるわけで、早い事が良い事ではなく、ペースコントロール出来るチームである事が重要です。
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シモンズ&フルツはチームのFG%を上げられるでしょうか。そんな考えでチームは動いている感じですが、ディフェンス頑張った方が勝利が近いと思います。
結局のところ、オフェンスの改善云々よりもオフェンスが良くなる事でディフェンスも楽になる事が期待されます。結構ムリなシュートが多かった印象なので、それがなくなるだけでも全体のリズムが上がりそう。攻守一体という事です。
フロントの考えは読めないけど、ウォーリアーズ的なstrongth in numbersを目指しているかもしれません。厚い層を存分に活かしたい戦術です。
でもそのローテーションをする下地がHCにあるのかわかりません。関係ないけどレイカーズはそれに近づいてます。ウォルトンの慣れが可能にしている面があります。
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新人王の期待がありますが、それを飛び越えてオールスターへの期待もあります。スター不足のイーストだから、チームが躍進すればありえそう。
プレーオフへのライバルとなるのはホーネッツとピストンズあたり。3チームに共通するのは勝ちそうなんだけど、不安定であろう事。
それはまた連敗し始めた時にどうなるのかの戦いです。
レジー・ジャクソンが弱そうなピストンズ。
ケンバ頼みが進むホーネッツはハワードが弱い。
シクサーズは中心がルーキーです。
求められるのがメンタルの部分とするならば、ルーキーなのに求められる要素がデカい。そのためにレディックなんかも獲得しているので、終盤にどんなユニットで戦うかも注目です。
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注目度は高いけど、実績がなさ過ぎて書く事が少なかったシクサーズ。試合に出てないくせにお騒がせエンビートの話ばかりがとりあげられている印象。まぁそんな点も結構リスクある選手だと思います。チームが負け出すと明らかなマイナス要素になるかもしれません。
勝てるようになるまでは、いろんなリスクが出てくるから怖いものです。
少なくとも去年からの継続性で勝てるようになる要素はなく、新加入選手頼みなのでどう転ぶかはまだまだわかりません。
個人的には好きなチームなのでガンバって欲しいです。