ヌルキッチの話に戻りましょう。レーティングを見ればハッキリと攻守にヌルキッチが重要なことがわかりますが、その中でもオフェンス面ではチームのアシスト率に大きな差がついています。
〇ヌルキッチのオン/オフ
アシスト率 66.1/57.7
TO率 13.9/15.4
ヌルキッチがコートにいればアシスト率が高まり、ターンオーバーが減ります。ただし、ターンオーバーについてはヌルキッチ以外の主力もオン/オフで差がついており、ヌルキッチの存在価値はアシスト面にあります。
〇ヌルキッチ
アシスト 3.6
ターンオーバー 2.0
だからといってヌルキッチ本人のアシストが突出しているなんてことはなく、そのうえでターンオーバーも多いです。本人のスタッツが大きな違いを生み出しているのではないってことであり、
ヌルキッチはチーム全体の連動性を高める役割をしている
ということです。ビッグ3のサンズは3人にボールを渡すのが基本であり、そのためにポストを経由してのハンドオフやギブ&ゴー、あるいは単純にゴール下にスペースを作っておくこと。ビッグ3と上手く絡めるかどうかは非常に重要です。
加えてシューティングを向上させるためにもスクリーンアシストは欠かせません。ここら辺はリラードの相棒だったこともあり、スクリナーとしての献身性はヌルキッチの特徴になっています。
〇スクリーンアシスト 10.2点
〇PnRロールマン 2.9点
スクリーンアシストがリーグ6位なのに対して、ロールマンとしての得点は少なく、とにもかくにも「スクリーンをしっかりとかけること」が最優先事項です。1枚剥がせばブッカーとデュラントがどうにでもしてくれるんだしさ。
ヌルキッチはゴール下をポロポロ落とすので、ある意味で自分で決めきってくれるハンドラーとの組み合わせの方が都合がよく、それもまたサンズに適したビッグマンになっています。
同時にポストでパスを捌けるのもサンズにとっては都合がよく、PGがいないロスターにおいてインサイドのプレーメイカーが、ビッグ3を上手く助けてくれます。PGだとアウトサイドの展開になりがちなので、インサイドのプレーメイカーの方が都合がいいんだよね。
スクリナーであり、インサイドのプレーメイカーであることは都合が良い
僅か3年前の20-21シーズンに4.3アシストを記録したのがサディアス・ヤングです。今シーズンのヌルキッチよりもアシストが多かったヤングは、ポストからの展開やハンドオフスクリーンが上手く、シューターにチャンスを作ってくれます。1月のセルツ戦は15分で7アシストしているしな。
同じシーズンにスクリーンアシストも6.1点あり、堅実なスクリナータイプです。ゴール下ミスるのも似ているし。ヌルキッチで上手くいっている部分を、ヤングにもやらせるのは理にかなっているようにみえます。少なくとも、これまでサンズにいたビッグたちとは違い、チームメイトを楽にしてくれるタイプです。