ヨキッチの進化は語りにくい

◎ベストチョイスは存在しない

ジャッジする機会が多いヨキッチですが、面白いのは普通は判断力というのは「正しい判断を出来るかどうか」が大事です。普通のプレーメイカーでいえば、
ドライブ⇒ヘルプがいない⇒シュート
    ⇒ヘルプがいる ⇒キックアウト
大雑把に言えば、こんな感じでジャッジしていくことが大事。

しかし、ヨキッチのジャッジはなんか違う。普通は個人としてのプレースタイルがあり、その中でベストな判断をしていくから「正しい判断」を探すのですが、なんでもできてしまうヨキッチなので、どれを選んでも大体が正しく、ちょっと次元が違うことをしている印象です。これをピック&ロールからの3Pで考えてみましょう。

キックアウトパスを受け、3Pシチュエーションになったヨキッチ。
3P成功率は38%あるので「正しい判断」は3Pを打つことです。必ず打ち切ることです。もし、これがタウンズだったら3Pを打って決めることにタウンズという選手の特別な価値があります。

しかし、ヨキッチの場合は3Pと3Pフェイクからのドライブは同じくらいの価値です。ドライブからのキックアウトもあれば、ゴール下へのアリウープもあり、柔らかなフローターだってあります。それ以前に3Pと見せかけてのエクストラパスだって朝飯前。

選択肢が多く、全てが高精度だから、正解という正解はない。かわりにヨキッチのジャッジには異なる基準がありそうです。

相手が最も嫌がるプレーを選ぶ

これね。とくに「しつこいなー」というプレーが多いので、しっかりとチェイスして守っているディフェンスを「これでもか」とばかりに何度も動かしていきます。簡単には3Pを打たず、ドライブしてキックアウト。またリターン。ディフェンスが辟易しそうなくらいに嫌がらせをしてきます。

かといって「ヨキッチの3Pはあきらめよう」というディフェンスには、決まるまで打ち続けます。ただ、面白かったのはファイナルのゲーム4で、マレーへのヘルプを優先するアデバヨにより、ヨキッチがワイドオープン3Pを7本打って3本決めた時で、明らかにヒートの守り方は間違っていてヨキッチがワイドオープン3Pを打っているのに

ナゲッツらしくないほど、ヒートが空けた穴で同じプレーを続けている

という誉めているのか、いないのか、不思議な感覚になりました。いわば「ヒートがやらせているプレー」に見えたので、ヨキッチが試合をコントロールしている印象が薄くなりました。3P決めているからヒートの作戦ミスなんだけど、その割にはヨキッチペースにみえなかった。

とにかくディフェンスの逆を取るジャッジに優れているヨキッチ。逆も何もなくフリーになった方が微妙に見えてしまうくらいに、そのジャッジには「正しさ」よりも「相手を困らせる」要素が含まれているように見えました。

相手の動きを見てジャッジするヨキッチらしさ。正しいジャッジという概念を作らないほど多彩なスキル。やっぱりヨキッチは至高だよ。

ヨキッチの進化は語りにくい” への2件のフィードバック

  1. いやー、しつこいですね、ナゲッツのオフェンス。
    え、これ普段から練習してるの?っていうような合わせもあったり、ヨキッチを中心に多彩なオフェンスパターンに驚きました。
    かと言って常に特別なことをしているわけでもなく、相手からすると「あー、またそこ空けちゃった…」というパターンが多いのがイヤらしい。
    ヨキッチに得点させる、という回答がありそうで、スポルストラーは明確にノーと言ったように、そんなに簡単ではない攻略。
    相手目線で見てたら、もうどうしたら止められるのか分からないオフェンスでしたね。
    どこからでも得点できる、空けても締めても得点できる、そんな柔軟性のある、かつ叩き伏せる強さを感じました。

    1. しつこいんですよね。
      しつこさに負けて開けてしまう感じです。

      これに耐えられるのって、逆に現代だと珍しいんですよね。サクッと3P打つのが正解の時代なので。

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