ヨキッチの進化は語りにくい

バスケットボールの歴史において『至高の存在』にして、語りにくさも至高の存在であるのがヨキッチ。かつて4回シリーズでヨキッチについて語ったように、とにかく何もかもが凄いので、語りつくせないほど多彩なスキルを持ちながら、ハードワークも併せ持つ類稀な選手ながら、本当の凄味は「インテリジェンス」であり、スキルもハードワークもオマケみたいなもんなんだ。

MVPヨキッチについて語るとき「3Pもうまいセンター」「パスが上手いセンター」なんてのは話にならないにしても、「ポイントセンター」という括りにしたって、サボニスやアデバヨとは比べるレベルではなく、というか、そもそもヨキッチに関しては「センター」なんてジャンルで括ることすら難しい。

アデバヨもサボニスも「ポイントセンター」としては超一流。自ら起点になってチームメイトを動かすことも出来るし、自分で仕掛けることだってできる。センター本来の仕事も忘れることなく、しっかりと合わせのプレーに動くし、リバウンドで体を張る。ともにシュート力に難があり1on1ではヨキッチと大きな差があるけれど「ポイントセンター」としての差はそれくらいです。

ただヨキッチはポイントセンターじゃなくて、普通のPG役になってチームメイトがスクリーンをかけにくるし、難しいディープ3Pも決めるのでシューター役になってカウンタードライブもする。ウイングに回られたらオフボールスクリーンからポップしての3Pもあれば、カットプレーだってする。見た目がセンターしすぎているので勘違いされるけれど、どちらかというと万能なウイングに近く、ハンドラー役もしながら、センター役もしている。

あぁ、でも、ちょっと待ってくれ。ヨキッチって、いつからこんなに凄くなったんだっけ?

ここまでの話で言えば「ポイントセンター」としては初めから凄かったですが、少なくともシューター役はしていなかったな。起点としてパスを出すのは非常にうまかったけど、ツーメンゲームのロールマンとしては素晴らしくはなかったような。センターの概念を変えたけど、センターとして強かったわけじゃないような。

そんなわけで、ちょこっとヨキッチの昔を思い出してみましょう。ヨキッチは間違いなく初めから凄くて、ハイライトを見ても今と大きな違いはないでしょう。

でもね。ヨキッチの凄さは『インテリジェンス』なんだといった時、昔から『インテリジェンスこそが最高の武器』とは言わなかったんだよね。多彩なセンターであり、信じられないくらいのスキルを持っていたのは間違いないけど、ある意味でユーロから来たスキルフルセンターの最上級にすぎなかった。

最上級が進化するのって見えにくいよね。ちなみにレブロンも最上級から30歳過ぎても進化したんだよね。あれも異常なんだけど、3Pをはじめとした弱点克服の要素も強かったから見えやすくもあったな。

ヨキッチの進化は語りにくい” への2件のフィードバック

  1. いやー、しつこいですね、ナゲッツのオフェンス。
    え、これ普段から練習してるの?っていうような合わせもあったり、ヨキッチを中心に多彩なオフェンスパターンに驚きました。
    かと言って常に特別なことをしているわけでもなく、相手からすると「あー、またそこ空けちゃった…」というパターンが多いのがイヤらしい。
    ヨキッチに得点させる、という回答がありそうで、スポルストラーは明確にノーと言ったように、そんなに簡単ではない攻略。
    相手目線で見てたら、もうどうしたら止められるのか分からないオフェンスでしたね。
    どこからでも得点できる、空けても締めても得点できる、そんな柔軟性のある、かつ叩き伏せる強さを感じました。

    1. しつこいんですよね。
      しつこさに負けて開けてしまう感じです。

      これに耐えられるのって、逆に現代だと珍しいんですよね。サクッと3P打つのが正解の時代なので。

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