◎ヒートの修正
ディフェンスプランがイマイチな一方で接戦が展開されていったのは、ゲーム３からの修正をしっかりと実行したヒートでもあります。こういう部分の修正があるから、このファイナルは面白いんだよね。ヨキッチ対応だけでは決まらないんだ。
〇ナゲッツのオフェンスリバウンド
ゲーム１ ６
ゲーム２ ９
ゲーム３ １３
ゲーム４ ５
ナゲッツはシリーズで初めてＦＧが５０％を下回りましたが、オフェンスリバウンドは最小に終わりました。特にゲーム３ではオフェンスリバウンドを取りまくっていただけに、この差は非常に大きく、そして明確に修正してきたヒートは見事でした。
サイズでは負けるけれど、ボックスアウトをすればＯＫなわけです。しかし、そんな都合よくボックスアウトは出来ません。大事なのはシュートを打たれる前からはじめるポジション争いであり、フィジカルな対応であり、そして全員がリバウンドに参加することです。ハードワーク
ヒートのリバウンドはアデバヨの１１が最高で、バトラー７、ケイレブとストゥルースが５つずつ。誰かが多く抑えたわけではなく、チーム全体で取りに行きました。ナゲッツは５つのオフェンスリバウンドのうち、２つは外に落ちてきたＫCＰがとっており、ほぼほぼペイント内に侵入して争うことすらできませんでした。
また、シリーズ通じてですが、ヨキッチのディフェンスリバウンドからタッチダウンパスが発動せず、ハリーバックを徹底しています。逆に早くいきたかったヨキッチがディフェンスをみえてないパスを出すなど、ナゲッツお得意のプレーは封じ込められています。
ただし、終わってみれば速攻で１７点を取っており、ヒートは自分たちのミスからカウンターはされています。加えて点差が離れていく３Ｑと４Ｑの中盤には、やはりリバウンドから早く運ぶナゲッツという構図も出ています。３Ｑはバトラーやアデバヨがトランジションを止めて踏ん張りましたが、最後はスティール速攻で潰された感じです。
試合を決めたのはビハインドが大きく時間もない中でアデバヨが仕掛けた個人技トランジションに対して、５ファールのヨキッチが見事にハンドチェックでボールを叩き、カウンターからＫＣＰの３Ｐが決まったことでしたが、言い換えればヒートとしては追い込まれるまでガマンしたからこそ、点差を広げられるプレーを避けることが出来ていたってことです。
シンプルなハードワークであり、チーム全体で意識する事項だからこそ、改善が難しいはずのリバウンドやトランジションディフェンスですが、ここを修正したヒートだからこそ「ワンチャンスありそう」にみえたけど、修正してもワンチャンスしかないようにもみえるのでした。
◎バトラーとケビン・ラブ
また、ヒートにとってもナゲッツにとっても予想外の活躍を見せたのがラブでした。３Ｐを決めていくのはある程度は想定できたけど、やばい空気になった３Ｑにドライブから＆ワン（ファールには見えん）を決めるなど、ケイレブの代わりにエース代役をこなしました。
〇ラブ
１８分
１２点
３Ｐ３／５
４リバウンド
この活躍がなければ、試合はもっと簡単に終わっていましたが、こうしてロールプレイヤーがかわるがわるチームを救うのが今プレーオフのヒートであり、主力が減ったことでチームとしての輝きが増していることでもあります。オラディポは欲しかったなぁ。
このラブの活躍で面白かったのは、コーナー３Ｐを決めていないことであり、トップやウイングからのアタックでした。そしてかわりに前半はバトラーがコーナーにいることが多く、ヒートはバトラーをサポート役に回る戦術を採用してきました。非常に面白い試みでした。
途中、コーナーにいるバトラーのマークをしているジェフ・グリーンが、逆サイドでハンドラーをしているダンカン・ロビンソンをみていて、うっかり目を離したすきにカットプレーを決められましたが、バトラーを見なければいけないはずが、コーナーにいるので見切れず、これがヒートの流れを改善させました。
結果的にラブはバトラーからのパスを受け取る役割として機能しました。コーナーにいるバトラーからのパスもあれば、ドライブからキックアウトも受けましたが、全体的にコーナーまで広がるのではなくて、逆にコーナー側のスペースを空けた方がヒートは上手くいっていたぞ。
ただし、これはメイン戦術にはならないので奇襲に近く、成功したからこそ接戦になり、メインではないからこそ、最後は元に戻って粉砕された感じです。いろんな手立てを成功させながら、どうしてもオフェンス力不足に困っているヒート。
・・・いや、シーズン通して困っていたのに、プレーオフで困らなかったのが変だからなぁ・・・
一定の成果はあったけど、なんだかんだとメインウエポンのところで悩みもある。