さようならボブ・マイヤーズ

◎計画性の重要性

ウォリアーズのチーム戦術はシーズン途中からフィットするのは簡単ではなく、安易な補強はしません。ロスター枠に余裕を持たせて柔軟性は確保するものの、大きなトレードをするケースは珍しく、1年をかけてチームを作り、プレーオフに臨む形です。

そんなマイヤーズですが、今シーズンは大量の2巡目指名権を放出してペイトンを取り戻しに行きました。ワイズマンの放出はどうでもいいけど、サラリーもそこそこのペイトンを取り戻しに行く必要があったわけです。外から見ている以上に、内部では厳しい見方をしていたのかもしれません。

久々にファイナル以外で負けたプレーオフとなりましたが、それはシーズンを通した計画の重要性を示してもいます。同じようなタイプではなく、異なる武器を持った選手を探し、しかもウォリアーズでしか活躍しない特定のタイプの選手もいるのだから、しっかりとチームにフィットさせる時間は必要だし、失敗だらけだと上手くいかないし。

そして今シーズンは若手が多すぎて失敗案件に溢れてしまいました。もっと堅実に、もっと献身的に、もっとロールプレイヤーが欲しかったけど、ベンチから出てくるのは不安定な若手ばかり。アンソニー・ラムが一定の戦力になったように、この手の選手をもっと集めたかったのでしょう。その方がマイヤーズっぽい。

王朝を築いたことで主力が変わらなかったのは事実ですが、だからといって他のGMだったら、もっと短期スパンで動いていたはずです。ここまで長くルーニーを残すこともなかったでしょうし、わかりやすい3P担当を増やしたはず。しかし、常にベースとなるのは運動量であり、ハードワーク。そこに何かを足せる選手を探してきた印象です。

サラリーキャップの奇跡を経て、普通にサラリーが上がってからは、いかにして安い選手を集めてくるかが勝負でした。優勝に惹かれてくるベテランもいましたが、無名の若手やペイトンのように他のチームでは活躍できなかった選手からフィットする人材を集め、1年間かけて形にしてきました。

結局のところ、計画性は大事なのです。もしかしたら1回優勝するには不要かもしれませんが、本当に強いチームを作りには自分たちの眼力を、選手のポテンシャルを信じることが大事だし、短期間にチームが強くなるはずはありません。

◎さようならマイヤーズ

優れたGMの能力って何だろう。

そう考えたときに出てくるのは「スカウティング能力」や「トレード能力」であり「決断力」なのでしょうが、面白いことにマイヤーズにはあまり関係のない能力でした。せいぜいクレイとドレイモンドを指名したことくらい。大型トレードといえるのは、ディアンジェロとウィギンズのトレードくらいですが、これも要らない選手扱いだったウィギンズとPG要らない気がしたウォリアーズの都合が合致した結果だし。

かわりにサラリーキャップの奇跡からデュラントを獲得したFA劇と、そこから続くミニマムのずるい補強、そして名もなき選手の戦力化なのだけど他のチームでは通用しない選手なので慧眼といえるのかどうか。

若手有望株を揃えて『終わらない王朝』を目指したプランは見事ですが、多すぎた若手で上手くいかず、しかもワイズマンという失敗例と、プールの大型契約延長という問題まで発生してしまった。そして最後に待っていたのは『決断』を避けたような退任劇でした。

振り返ってみると、なかなか面白いウォリアーズ生活でした。きっと面白かったのは初期段階で、そこからは課題への対処に追われたんだろうね。

マイヤーズが優れていたのは「チームつくり」でした。サラリーキャップ制度の中でよいチームを作るにはどうすればいいのか。そして動き始めたチームの中で起きた人的問題に対処していくし、計画性が大事だから短期的には動かなかった。「何かを起こすのが仕事」みたいな評価基準からはかけ離れていたぞ。

さようならボブ・マイヤーズ。再び情熱を燃やせるチームから声はかかるのかどうか。今ならスパーズとかどうかな。

さようならボブ・マイヤーズ” への2件のフィードバック

  1. 11年前からのGSWファンですが、BIG3の旧システムはもう通用しないので、今のうちにうまく再構築して欲しいです。
    具体的には、ドレイとクレイを放出して(必要なら一部の若手と指名権もつけて)、万能ビッグマン+αを獲得してカリーとの新体制を期待します。

  2. 確かに、マイヤーズが優れていたのかどうか?は結構疑問もあると思います。
    再構築のためにも出して欲しいと思っていたので、オーナーの決断には賛同します。
    ただ、ドレイモンドを出すことに失敗すれば、カーの負担が増えて失敗につながるかもって思います。

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