スナイダーは何をした?

◎ファーストアタック

得点が大きく増えたということで、もちろんペースアップしています。しかし、スナイダーは比較的ゆっくりとハーフコートを組み立てるタイプであり、ガンガンランランするようなオフェンスではありません。そして、このペースアップの仕方はオフェンスの作り方そのものにも関わってきます。

〇ショットクロック別FG
22~18秒 12.3本 ⇒ 14.2本
18~15秒 18.1本 ⇒ 21.1本
15-7秒  44.5本 ⇒ 43.5本
7~0秒   14.0本 ⇒ 9.7本

速攻そのものは13.2点⇒13.4点と微増にすぎませんが、ショットクロック残り秒数別のアテンプト数を見ると、明らかに「7秒以下」が減っており、かわりに早く打つことが増えています。特に18~15秒で3本増えているので、トランジションというよりはフロントコートに入ってから簡単に打っていることがわかります。

このシュートが増えているのがヤングとハンターになっています。そこには2つの意味があるわけです。

①ヤングのアタックからシンプルに打っている
②ハンターを使うためのオフェンスを作りワンパスでシュートに行っている

①はマクミランから解放されたヤングが自由に打っているようにみえて、ヤングはFG全体ではアテンプトを落としているわけでして
「ヤングからの仕掛けで打ち切るプレーと、打てないときに展開していくプレー」
というジャッジが明確になった感じです。スナイダー以前はヤングから展開して打てなければ、またヤングに戻ってきて・・・みたいな感じだったよね。

②はスナイダー就任直後から行われているハンターを使ったプレーコール増が影響しています。初めのころは単なるポストアップ起点だったけど、最近はオフボールで動かしてリングにダイブしたところでヤングからパスが出ていました。

PGマレーが自分で崩して打ち切るプレーも含めて、オフェンスにおいて初めに仕掛ける役割の3人がショットクロック残り18秒~15秒のアテンプトを増やしました。

〇ヤング+マレー+ハンター
11.2本 ⇒ 13.9本

これはなかなか面白い変化です。50.2本から47.8本と減っているのに、ハーフコートオフェンスのファーストアタックに関して言えば、2.7本増えているわけです。スナイダーになってから

ハーフコートのファーストアタックでシュートに行ける回数が増えた
ファーストアタックから展開してウイングフィニッシュも増えた

ハンターも混じってはいますが、オフェンスはハンドラーの仕事から始まって、ウイングの仕事へ繋がっていく役割分担がわかりやすくなりました。要するにハンドラー任せの崩しが多かったところから、チームとして意図したアタックが増えたのでハンドラーが打ち切れることも増えれば、展開したらウイングとビッグでフィニッシュまで辿り着いています。

シンプルにチームオフェンスの向上にみえます。アシストも増えたし、バランスも改善されたし、時にはホークスとは思えないようなデザインプレーに出会うこともあります。

試合を見ていると未だにヤングのムチャクチャアタックはあるし、ディープ3Pも復活しましたが、こうしてスタッツを見てみるとヤングのアテンプトと得点は減っているんだから面白いもんだ。ハンドラーとしては色濃くなった気がするヤングですが、実際にあっさりと打ってしまう機会は増えつつ、チームはバランスアタックになった様子なのでした。

ところで、やけに「ヤング」と書いていますが、事前に想像された通り、スナイダーになってマレーは苦しんでいます。チームとして3Pが増えなかったので思ったよりジャズ側に傾かなかったし、ジャズとスパーズはチームオフェンスを展開していく中で、アドバンテージを広げていくオフェンスをする点で同じにも関わらず、ハンドラーに求める要素の違いからか、スタッツを落としてしまっています。

〇マレー
20.8点 ⇒ 17.9点
FG46.6% ⇒ 41.1%
3P36.3% ⇒ 23.3%
6.1アシスト ⇒ 6.7アシスト
2.2TO   ⇒ 1.9TO

ヤングとボグダノビッチがアテンプトを落とす中、マレーだけはアテンプトが変わらず、確率を大きく落としました。ただし、アシストとターンオーバーは向上しており、チームオフェンスが整理されたことで、パスで展開していく部分については改善しているわけです。問題はシュートセレクトであり、シュートかパスかの判断にも課題が出ています。

ちなみに3Pアテンプトは2.8本減っており、増えたのは2Pです。ヤングのように突然のプルアップ3Pを打たないし、しっかりとチームオフェンスが作られたからドライブアタックから組み立ててはいるけど・・・って感じかな。

チーム全体としては、まだまだパスが少ないし3P不足でもあるので、マレーにはもっとドライブからのキックアウトで対処してほしいところです。ここがホークスの改善点。ところが、アウトサイトのボールムーブに加わると今度は「3Pを打ち切らず、ドライブチョイスしてボールムーブを止めてしまいがち」なマレーの問題が更に浮き彫りになります。まぁ今もそんな理由でFG%に問題があるんだけどさ。

思ったよりもボールムーブせず、3Pオフェンスをしていないスナイダーのホークスなので、問題も隠されている部分がありますが、根本的にマレーとスナイダーの相性には懸念があり、実際にスタッツとしても悪化しているのでした。

ディフェンス問題 ⇒

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