さようならブレイザーズ’23

◎ビラップスの限界

では、シーズン序盤から振り返ってみましょう。

プレシーズンでディフェンスが崩壊していたブレイザーズですが、開幕すると何故か守れていました。そこで試合を見てみると「一見さん殺し」とでもいうべきゾーンを敷いており、そのゾーンをあまりにも長く使っていました。

ジェレミやリトルをゾーンの前に置き、後ろのサイドにリラードやハートでスピードを使って追いかけるやり方は、ヒートがやっていたバトラー&クラウダーのゾーンにも近いし、真ん中にいるウイングに全部やらせるアヌノビーゾーンにも近かったです。いずれにしても効果的なゾーンでしたが、やりすぎです。

10月の6試合はディフェンスレーティング109.6でしたが、11月には115まで下がり、1月以降はボロボロです。「バレた」ってことになりますが、ここにビラップスの問題が出てきます。

効果的なゾーンを取り入れたが、攻略されると次の手がない

これが「ゾーンそのものがどうしようもない」とか「○○がいないとゾーンが成立しない」ならばともかく、ウイングの層を厚くしたので代役となる選手はいたし、ゾーンそのものは効果的なんだから、他の手段と混ぜて使っていけば、十分に機能するはずです。つまり、1つの手段しかもっていないビラップス。

ブレイザーズが下降したきっかけの1つがウィンスローの離脱でした。ウィンスローの出場試合は15勝14敗と勝ち越しており、ケガで離脱してから一気に転落したわけです。ちなみにウィンスローはホーム11試合、ロード18試合の出場なので、随分と勝率を上げていた印象です。しかもロードで10勝8敗と勝ち越している。

ウィンスロー個人のスタッツは低いものの、ディフェンスで要の役割をこなせるだけでなく、時にはPGになり、時にはポイントセンターにもなりました。ウィンスローがいなくなったことで「弱くなった」というよりも「戦い方が限定されてしまった」ような印象です。ハートがいなくなると更に柔軟性がなくなった。

ウィンスローがいないと柔軟な戦い方が出来なかった

ポイントセンター役を他の選手が出来ないのはわかりますが、さすがにウィンスローで全てをどうにかしていたかのような戦い方はどうなのか。もともとケガが多いし。ハートもいれば、リトルもいて、何よりワットフォードがいるじゃないか。シャープに同じことをやらせても面白かったぞ。どうにかできたはずですが、どうにも出来なかった。

〇オフェンスレーティング 115.4(8位)
〇アシスト/ターンオーバー率 1.64(27位)

オフェンスでは悪くないスタッツを残しているブレイザーズ。(※スタッツを書いたのはリラード離脱前)ただし、アシスト/ターンオーバー率が極めて高く、どっちも良くない感じです。TSをみてみると

〇TS%
リラード 64.5%
ジェレミ 60.6%
サイモンズ 58.1%
ヌルキッチ 58.6%
シャープ  56.6%
ユーバンクス 69.8%

チームで59.7%というのはリーグ8位と優れており、ヌルキッチが物足りないのと、シャープが修行中であることを除けば、サイモンズも含めてそこまで悪くありません。というか良い方だよ。

〇リラードのオン/オフ
レーティング 119.2/106.9
TS%    61.6%/56.8%
AST/TO  1.77/1.48

ただ、リラードがいなくなると信じられないほどに悪化します。さすがにこの差はダメだよね。

問題はプレーメイク能力の低さです。サイモンズだってフィニッシュの部分ではそこそこだし、ジェレミもしっかりと決めきっています。ただ、アシスト/ターンオーバーすらもリラード抜きでは悪化するのは、他にプレーメイカーがいないから。

じゃあリラードがそこまで偉大なプレーメイカーかといえば、そういうわけでもない。ウィンスローがいなくなり、ハートがいなくなり、ブレイザーズはプレーメイクに携われる選手がリラードくらいになりました。ヌルキッチも休んでたし。そしてリラードが1人で高確率に決めるし、プレーメイクもしていた。分業?何それ?

各ポジションの役割分担が曖昧で、同じプレーコールばかりしていた

プレーメイク力の低さはチームとしてのプレーコールの少なさでもありました。各選手がそれぞれフィニッシュ力は示していたけど、そのために様々なプレーコールを用意することはなく、シーズン中盤からはリラードのオンパレードでした。

ビラップスの限界が見えてしまったシーズン

ディフェンスに工夫はあったし、リラードがいれば効果的なオフェンスもしていたので、ビラップスの全てを否定することはありません。ただ、シーズン序盤に用意されたプレーはよくても、シーズンが進むにつれて増えるべきであったはずのプレーコールは逆に減っていきました。ディフェンスもプラスの要素がでてこないし、これ以上のアイデアが出てこないみたいです。

個人が決めきれない問題が多いとか、同じポジションの選手が多いとか、あるいは暴走するエースがいるとか、極端にシュートが下手とか。ブレイザーズにはそういうマイナス要素は少ないです。少ない割には多彩さが出てこない。それがビラップス体制の限界に見えてしまいました。

シーズンプランの欠如。それが全てだった気がします。ケガ人もいたけど、それはどこにでもある話だしさ。

ウイング陣 ⇒

さようならブレイザーズ’23” への8件のフィードバック

  1. サイモンズ、ヌルキッチは今年のロッタリーで1位取れなかったらその指名権つけてトレードでもよいから出したいです。リラードがもう育成には付き合わないみたいな発言もあったみたいですので…。
    残るにしてもシャープは絶対スタメンで、サイモンズがクラークソンみたく6th賞取るようなインスタントスコアラーにできるならまだむしろよいですが、ビラップスは絶対しないでしょう。コーチ交代がある意味最大の補強と思います。
    このロスターのまま、ビラップス継続するくらいならいっそストッツ帰ってきてくれんかなと思いますがどうでしょうね…

    1. 2~5位指名権で売るなんて贅沢ですね。

      ただ、シャープ単体で勝てるはずもなく、チームとしての再建時代はさらに長くなりますね。
      まぁ1位指名権になればいいのか。1位にさえなれば。

  2. ある意味でドンチッチ現象に似てるというか、リラードが強引に勝たせる力があるからこそのシーズン内容って感じでしたね。サイモンズ、ヌルキッチ、グラントの3選手をPORだから残す方向に行きそうですが、シャープがいるなら3人とも手放していいとも思えるぐらいシャープが希望の星ですし、このぐらい思いっ切り出した方が良いのではと思います

    1. 思い切りたくてもリラード以外は売れないですよ・・・高いもん。
      かといってリラードだけ売るなんて馬鹿げているし。

  3. DENやOKC時代の脇役格安ジェラミはもういないですね、あのジェラミが欲しい。
    何かスコアリング以外のハッスル減りましたよね。

  4. ゾーンではなくマンツーのときにやる、ジェラミをハンドラーにつけるDFの意図が知りたいです。(以前はコビントンでしてました)

    単純なP&Rで剥がされるジェラミとドロップで守るヌルキッチなので、スリーとミドルが打ちやすそうでした。ジェラミは素直にヘルプ役にすれば良いのにと思ってました。

    ビラップスもですが、DFコーチも解雇して欲しいです。

    1. コビントンにやらせていたのも謎でしたしね。

      リラードとサイモンズのコンビにして、PGにはジェレミを充てて・・・意味あるのかな

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA