ゲーム3
前半の途中から見たので雑感スタイルです。ブッカーの欠場により、ペリカンズにチャンスが巡ってきました。その攻防を中心に振り返ってみましょう。
◎ブッカーがいないこと
ゲーム1はクリス・ポールに対してハーブのマッチアップがメインとなりましたが、見事にクリス・ポール&エイトンに攻略されてしまいました。ここを分厚く守るのがゲーム2のペリカンズの作戦となり、スクリーンで剥がされる前提からのカバーディフェンスの改善が目立ちました。その結果、クリス・ポールからエイトンへのラインは防がれ、かわりにキックアウト3Pは打てました。
そしてゲーム2の前半はブッカーのオンステージでした。止められないブッカーというのは、それだけペリカンズがブッカーのマークを緩くしていたことになります。ただし、ゲーム2はブッカーのメイン担当がハーブでした。つまりペリカンズのディフェンスは「ハーブのところは個人に任せろ」な匂いが強くなっています。
迎えたゲーム3はクリス・ポールの担当がハーブに戻り、その上でチームで分厚く守ることが出来ます。この状況はペリカンズディフェンスをものすごく楽にしてくれるわけで、自分たちの強みを使える状況にありました。
サンズはブッカーの代役にカム・ジョンソンでスタートしますが、全体のバランス・戦い方に問題があったのか、後半はシャメットにスイッチして、カム・ジョンソンは通常通りベンチからシックスマンとして登場しています。このシャメットがかなりワイドオープンになったのですが、シュートが決まりませんでした。
〇シャメット 3P0/5
ペリカンズディフェンスは総じてシャメットへの対応は悪かったですが、空けといてOKになってしまったことが、この試合を接戦に持ち込んだ気がします。まぁ決めていたら対応が変わっていたんだけど、いずれにしてもクリス・ポールにハーブをぶつけつつ、カバーリングも出来る体制はペリカンズにとってありがたかったはずです。
◎決まらなかった3P
そうなってくるとゲーム2を考えれば、クリス・ポールはキックアウト中心になってくるはずです。ところが、ビックリするくらい3Pが決まらなかったサンズ。頭が痛くなる展開でした。
〇3P
サンズ 4/26
ペリカンズ 11/32
なんと成功率15%という現代バスケとしては完敗するような成功率だったのです。決めたのはクリス・ポール1本、カム・ジョンソン2本、そしてエイトンが1本です。クラウダーもミカルもペインも全員が決まらなかったので、サンズのオフェンスは大いに苦しみました。
ヒートとホークスは「3Pが決まらないだけ」というオフェンスも多く、そこで点差がついていったのですが、サンズは延々と決まらないくせに、ビハインドは最大でも7点しかありませんでした。正直、脅威でしかありません。3P決まらないで勝てるとか、どこの教科書にも載っていないよ。
アンチ現代バスケを展開したサンズ。ダントーニ時代じゃないんだからさ。
そういえばダントーニはペリカンズのACやっているはずですが、HCウィリー・グリーンは元サンズのACですね。開幕当初は似ても似つかぬプレースタイルのペリカンズでしたが、結局はマカラムがクリス・ポールとブッカーの中間みたいになって、その分イングラムがブッカーになって、周囲はディフェンス要員とハードワークで固めたので、気が付いたらサンズっぽくなっているよね。
「オンボール担当は2人で十分。オフボールで構築できる選手を増やせ!」がモンティらしさでしたが、ウィリーもオンボールを2人に絞って成功しています。ザイオンどうすんねん。
◎タフ3Pよりもポストアップ
かなり話がズレますが、サンズが3P決めれなくても戦えていたことは、単にチームとしての強みだけでなく、現代バスケの変動にも関わってきそうです。というのも同じ形で成功している感があるキャブスの例もあって、ポストアップの押し込みが多かったことは重要です。
エイトンやマギーはもちろん、ミカルなんかもポストアップしてフェイダウェイを打っています。かつては「オフェンスが上手くいかない時は、3Pうっとけ」って感じでしたが、最近はちょこちょこ「上手くいかないならリングに近い所から打て」な空気が漂ってきました。3Pへ流れ過ぎたので、戻ってきているだけでもありますが、いずれにしても今日のサンズはポストの押し込みが苦しいオフェンスを支えました。
〇マギー FG7/8
特にマギーが決めまくったことは、ブッカー不在+3Pが決まらないセカンドユニットが惨敗しそうな中で、苦しいオフェンスを一手に引き受けてくれた感があります。ちょっとビックリしたけどね。高さで押し切ったマギーの良さと、そこのマッチアップがナンスだったペリカンズの事情も重なっていたよ。
◎エイトン
〇前半のエイトン
21点
FG10/14
そして前半のサンズでスーパーな輝きを放ったのがエイトンでした。正確なシュートによってショートレンジを次々に押し込んでいくエイトンはアンストッパブルでした。いつもの「合わせてのイージーフィニッシュ」ではなく、かなりタフなシュートが多かったのですが、フェイダウェイでもフックでも、しっかりと沈めていくシュート力は、特別なものがあります。
かつてはゴール下でパスアウトしていたエイトンなのに、ブッカー不在のゲーム3では自分から積極的に仕掛けました。シュートが決まったことよりも、アグレッシブな姿勢を見せた事の方がビックリです。この試合の重要性を感じてステップアップしたのでしょう。そういうタイプじゃないと思っていただけにビックリ。
バランチューナスがタジタジだった前半ですが、来ると分かっているなら、もっと強くマークするよね。後半はインサイドのハードなマークに苦しんだエイトン。なかなかシュートまでいけませんでした。チームメイトが外から決めてくれなかった問題もあるので、これだけで評価したらかわいそうですが、ハンドラーとして仕掛けるわけじゃないので、マックス契約を手に入れる前提ならば、頑張る余地は残っていそうです。
スクリナー、フィニッシャー、そしてディフェンスとベーシックな仕事をハイレベルでこなしていくエイトン。そこに正確なシュートでのハイスコアも加われば鬼に金棒。でもハンドラーになると話は変わってくるから、今のままでよりハイレベルになって欲しいけどね。
◎マカラム&イングラム
前半はエイトンに押されてしまい10点ビハインドとなったペリカンズですが、後半は逆にマカラムとイングラムが止まらないシューティングで一気に追い上げました。特にイングラムは高い打点のミドルが全く落ちず、ミカルもお手上げ状態。どうにもならないシュートは、お疲れのデュラントよりもデュラントっぽかったです。
〇イングラム
34点
FG11/19
〇マカラム
30点
FG11/23
7アシスト
前述の通り、状況判断するのはマカラムなので、アシストも付随しており、イングラム中心に打たせながら、マカラムがジャッジするのは良い関係です。また2人ともミドルを武器としていることもあって、2ターンオーバーずつとミスが少ないのも大きなメリットです。このコンビだと簡単にはカウンターを食らう事もなく、ジリジリとした展開に持ち込めるし、自分たちは止まらないシュートがあるし。
なかなか見ないレベルでサンズディフェンスが困っていました。シュートのところで3人くらいで囲んではファールしてしまうし、どうにもこうにも。
その上で後半はハーブがFG3/5、アルバラドがFG4/5と高確率で繋がってくれました。完全にペリカンズの勝ちゲームとなる流れでした。なかなか3Pが決まらないサンズを尻目に、エースコンビの躍動で追い詰めたペリカンズ。勝ちパターンとしても正解だったと思います。
◎救ったクリス・ポール
ペリカンズの流れだと思われた4Qに待っていたのはクリス・ポール劇場でした。3Pが決まらないことに変わりはなく、クリス・ポール本人もプルアップ3Pが決まらなかったのに、恐ろしいくらいにクリス・ポール劇場でした。
〇4Qのクリス・ポール
19点
FG7/10
2アシスト
いや、ほんと、この人はいったん何なんでしょうね。若い時からスペシャルだった一方で、重要な局面というか、プレーオフの激しい戦いになると張り切りすぎてか、ケガが多くて、いつも勝ち切れず。プレーオフに弱い(本人は弱くないけど)選手の代名詞みたいなところもありました。
そして年を取ってプレーそのものにもアップダウンが激しくなり、明らかに衰えを見せていたはずなのに、何故かここにきて誰よりも終盤に強い選手へと返り咲いてします。気持ち悪いわ。
この4Qですが、スタッツに反してクリス・ポールは苦しんでいました。スクリーンをセットされても、なかなかマークを引きはがすことが出来ず、エイトンへのパスコースは引き続き塞がれ、そして苦しそうなシュートを打っては決め続けました。シュートの正確性で勝ち切った感じですが、3Pは決まらないんだよね。変なの。
苦しいのでバランチューナスではなくナンスをメインにして、平面でついていったペリカンズなのですが、どうしてもブロックしなければいけなかった厄介なクリス・ポールおじさん。それでいてあからさまなファールドローもしてくるでしょ。ちょっと対処の仕様がなかったぜ。誰かスコット・フォスター呼んできて!!
最後まで抗ったペリカンズでしたが、ファールゲームをミカルとクリス・ポールが決めきったサンズでした。そして、何よりも「シャメットを救ったクリス・ポール」という感じです。この試合に負けていたらシャメット問題が大きくクローズアップされそうだったのですが、そこを救ったことでゲーム4も前向きにシュートを打てる気がします。
3P15%で勝ち切った恐ろしさは、3P40%決まったら楽勝なんじゃないかという想像にも繋がります。どうなるのかね。頑張ろうシャメット。クリス・ポールおじさんを楽にしようぜ。
◎残っていたタイムアウト
さて、ゲーム2はブッカーの爆発でサンズが優位に進めながら、ブッカーのケガから失速しただけでなく、4Qの主力のプレータイムが長すぎて、チームとしても失速しました。なので、イングラムとマカラムが決めていくことも含めて、最後はペリカンズが押し勝つと思っていました。
ところが残り3分半。サンズが98-95で3点リードのところでタイムアウトをコールしたのですが、これがこの試合4つ目のタイムアウトでした。7つあるうちの4つを残り3分半まで使わなかったって言うね。ここからタイムアウトを3つ使って残り30秒で108-103になっていました。
サンズ側にオフィシャルタイムアウトが使われなかったことが大きいのですが、いずれにしても終盤にばてることなく戦えたクリス・ポールってのも大きかったです。
※クォーター6分までにタイムアウトがなければオフィシャルタイムアウトとなり、ホーム⇒アウェイの順で使われます。4Qは先にペリカンズがタイムアウトを使っていたので、サンズにオフィシャルタイムアウトはなかった
ただし、これはサンズ側の不安要素です。
クリス・ポールを40分も起用せざる得ない状況は、どう考えてもペリカンズ側にメリットがあります。モンティはペインをそんなに信用していないので、ブッカー不在の中ではどうしてもクリス・ポールのプレータイムが長くなります。今日の試合くらい苦しめていれば、どこかで失速してくれるかも・・・。4Qにならないと働かないってのあるけどな。
オンボール担当を減らしたチーム構成は強さを発揮する一方で、そのオンボール担当が2人ケガすると崩壊します。1人減っても苦しいのを感じさせなかったサンズの凄みがあるシーズンでしたが、さすがにプレーオフなのでね。
ゲーム4はペリカンズがスタミナ差を生かしたいところです。サンズが3Pを決めて一気に叩くか、ペリカンズがエースの人数で押し切ることができるのか。意外や意外、白熱しているシリーズでした。
ペリカンズ、強いですよね。
イングラムは、1on1では止められませんし、CJもしぶとい。
ロールプレイヤー達もディフェンス巧者が多いし、シュートも入れて来る。
バランチュナスも穴の少ないビッグマンだし、リバウンドも強い。
ヘイズの退場から流れがサンズに傾いたように思います。
エイトンは、これくらい出来るんです。
半分はメンタルの問題かと。
今シーズンは、フローター、ジャンプフックも完全にモノにし、得点パターンが豊富になりました。
もうちょっと押し込んでから打てば、もっと確率上がるのにって場面もありますが、まだまだ発展途上と思います。
エイトンの本格化がないとサンズは勝てないと思います。
昨シーズンのようなラジコンセンターでは、上に行くと通用しません。
ブッカーが休んでいる間に、ファーストオプションとしてどんどん使うべきでしょう。
それでも、これだけスリー外して勝てるとはビックリです。
マギー、エイトンでインサイドを無双出来たからですが、こういう状態がゲーム4でも見られるのか。
シャメットは、ブッカーが居ない3週間を凌ぐ為には我慢して使わざるを得ないとのモンティの判断でしょうね。
ある意味、サンズの余裕と見ました。
目先の勝ちに拘るなら、キャムジョンソンをもっと使えばいい所ですし。
流石に4戦目。
サンズのスリーももうちょっと入るような気がします。
CP3は、3Qまではパス主体でのんびりと体力、メンタルを温存しながら、4Qにギアを入れてる気がします。
それでも、プレータイムが長いのは不安要素ですね。
ガーベイジタイムがあれば、ホリデー弟、ルンドベリあたりの控えPGを試せるのですが、接戦では無理でしょうね。
マストウインのゲーム3を取れたので、一安心ではありますが、まだまだ油断は出来ないですね。