本日はサンダーvsネッツですが、前半は61-48と13点差で折り返したものの、結局すべてのクォーターでネッツが上回り、120-96と大差の試合になりました。なので詳細を書くのは辞めよう。特にサンダーはゲームレポートの意味があるのかないのか。
丁度、昨日はカニングハムを楽しむ日になったわけですが、1年前から粘着ストーカーのようにカニングハムを追いかけていた(と噂されている)サンダーなので、「何故、カニングハムが欲しかったのか」なんてことを考える良い機会でもあります。また、そのカニングハムを逃した結果としてギディを指名したことも忘れてはいけません。グリーン、モブリー、バーンズ、サッグスをサンダーが指名する気が合ったのかどうかも気になるけどね。
今のところSGAを出してまでカニングハムを欲しがる理由は見えてこないわけですが、それはカニングハム側の問題だね。考えてみればカニングハムと似たタイプでもあるギディなので、そっくりそのままギディの仕事はカニングハムの仕事だったとも思えます。そんなことを中心にネッツ戦を見ながら、サンダーについて考えてみましょう。
これといったテーマがないから「サンダーの話」っていうダイレクトアタックです。
◎1+1=2
本日もサンダーは見事なドライブ&キックアウトが出てきます。本当に見事。基本的に5人がフロアいっぱいに広がるのが特徴で、スペーシングが徹底されています。一昨日みたウルブズなんてトランジションで前を走った選手が中途半端な位置で止まっていたもんな。逆にカニングハムは自分がハンドラーでない時は、迷うことなくコーナーに走っていき、スペーサーになっていました。ってことで、カニングハムはサンダーにベストフィットする匂いがしてくるわけです。
さて、この見事に整備されたオフェンスシステムは「シンプル・イズ・ベスト」と書きましたが、それは言い方を変えると
「1+1=2」になるオフェンス戦術
でもあります。しっかりと距離感が保たれているから、それぞれの個人技アタックを邪魔することがなく、それでいてパスアウトもシステム化されているので、変に窮屈になることもありません。だから、しっかりと間違いなく、個人の能力が積み上げられているよ。
一方で強いチームになりたければ「1+1=3」にならなければいけません。例えば本日の対戦相手であるハーデンがいたロケッツは、ハーデンの能力を最大限に使い切ることを重視しており、そのために必要なロールプレイヤーを集めました。だからハーデンの能力を10としたら15くらい発揮されていたイメージがあるね。
その代わりに異分子が足りず、苦労してしまったんだけど、当時は超豪華メンバーのウォリアーズを倒すためには、スーパースターであるハーデンをウォリアーズの誰よりも輝かせる必要があったから仕方がないさ。
そんなウォリアーズも「スプラッシュブラザーズのシュート力」を最高に活かすための戦術を構築していました。これもいわば「カリーを最大化する」ことが目的であり、代わりに「サポートに徹したイグダラ」という構図もあります。まぁ今日はウォリアーズでもダントーニでもないから置いておこう。
サンダーの主役はSGAではありますが、そのSGAを最大化するための作戦は殆どありません。代わりに誰もが活躍する機会を設けられており、個人の能力が繋がっています。あくまでも「1+1=2」なわけですが、時に戦術的であるほど「1+1=0.5」なんてことも発生するわけで、正しい足し算は悪いことばかりではないのでした。
ちなみにネッツも「1+1=2」なので、ハーデンはロケッツ時代ほどの見事なゲームメイクもないし、ステップバック3Pも打ちません。ただし、そもそもハーデンは「1」じゃなくて「100」くらいあるし、デュラントなんて「120」でしょ。だからより邪魔しないタイプのシューターが欲しいわけだ。
新生サンダーのシンプル・イズ・ベスト
◎ブルースとケンリッチ
基本的に「1+1」をしている戦術なわけですが、そんな中で個人の能力で「1+1=3」にしてしまう特殊な選手が存在します。それがカニングハムなわけだ。
ちなみにカニングハムが誰に似ているかって表現するのに「ケンリッチに似ている」と言いました。ガードのはずがセンターまでこなしてしまうスペシャルな便利屋さん。そしてネッツにも同じくブルース・ブラウンがいます。ピストンズの元スターターPGはネッツに来て何故かセンターになりました。なお、今シーズンは普通にガードになっています。なんでだろ。
この2人の分かりやすい特徴は「ポジションレス」ってことですが、そもそもはガードなのにスクリーンが上手く、カッティングのタイミングが良く、3Pの確率はそこそこだけどポジショニングもパス能力もあります。もっと大事なのはディフェンスなんだけどさ。
つまりは他のチームが「エースを輝かせるために、何をすればいいのか」ってことで、スクリナーを集めたり、オフボールの得意な選手を集めたり、シューターを集めたり、パサーを集めたりする中で、ケンリッチとブルースは「全部1人でやってくれる」存在です。
だから、SGAもハーデンもデュラントもドラモンドもADもホリデーも、、、どんな特徴のエースでも(あるいはエースじゃなくても)得意なプレーを引き出すための仕事をしてくれます。オールラウンダーというよりは「脇役オールマイティ」なわけだ。
ということで前段が終わります。続きは書かなくても、大体わかるでしょ。普通のゲームレポートよりもハードだな。
◎ギディがやってきた
しかしドラフト1位に「脇役オールマイティ」なんて望みません。より「主役としてチームメイトを輝かせてほしい」わけです。シンプルに言えば「ハンドラーとしても輝け」ってことですね。
はい。ギディ君の出番です。オーストラリアのPGはハンドラーとして見事なチャンスメイクをしていくわけですが、この試合で始めに目立ったのはむしろオールマイティの方でした。
綺麗にスペーシングされたサンダーのオフェンスは、シュート時にディフェンスにマークされていない選手がオフェンスリバウンドに参加するのも大事です。残念ながら高さもフィジカルも足りないギディですが、この判断の良さが光っています。
次にギディはサンダーの選手にしては珍しく「サイドや視角を変えるドリブル」をします。右サイドから左サイドへ行く何でもないドリブルです。でも「何でもない」と言いつつ、サンダーは各選手のポジションバランスが良いため、ギディが動けば周囲も連動してスペースを保つために動く必要があります。そこからチャンスにつなげるのがギディの仕事です。
・ディフェンスの状況に応じたカッティングやリバウンド
・ディフェンスとチームメイトを動かすドリブル
似ているようで違う能力ですね。ケンリッチとブルースは前者はやりますが、後者はやりません。いや、出来なくはないけど、やるほどのハンドラー能力はないんだよね。ブルースはピストンズ時代にやっていたけどさ・・・。
そして昨日のカニングハムがPGとしてやっていたことと似ており、ギディはさらにハンドラーっぽいプレーで動かしていました。そんなわけで
「カニングハムが取れなかったからギディをとった」がわかりやすいぜ!
これが昨日と今日の結論です。サンダーが欲しかったのは、こういう選手なんだな。レアキャラってだけじゃなくて、実際に起用してみないと図れない能力な気がするぜ。
〇ジョシュ・ギディ
28.6分
9.3点
FG37.7%
3P28.9%
6.4リバウンド
5.9アシスト
1.3スティール
そのギディはリバウンドとアシストで活躍し、得点能力については予想通りにFGが激低です。そんなところをカニングハムに似せなくていいんだけどさ。まぁ予想通りでしかない。フィジカルの弱さがあるので、ドライブしてもフィニッシュに行けない。なお、ポクよりはマシ。
ちなみにケンリッチもFG%低いし、ドルトも低いし、ベイズリーだって高くない。サンダーの面白さはここを重視していないって事ですね。かつてはハードワークを重視していた印象ですが、今は単なるハードワークではなく、IQの高い動きによるオールラウンダーを求めています。めんどくさいな。
では、ギディ君についてまとめましょう。最後はアシストの多さですが、前述の通りサンダーのオフェンスは「ドライブ&キックアウト」なので、そもそもドライブ能力には疑問があり、なおかつフィジカルの弱さからフィニッシュ力も低いギディ君なので、ディフェンス側も「ギディにやらせておけばいいや」になるから、キックアウトも出来ないと思っていました。ドライブがなければキックアウトも成立しないじゃん。
ところが、ギディには「チームメイトとディフェンスを動かす能力」がありました。特に後半に見せた速攻では目線だけでハーデンを動かし、ベイズリーのダンクをアシストしたのは見事です。
また、本日はハーデンのサボりディフェンスがありまして・・・マークしているはずが「どうせパスは来ないだろ」とサボっているのを見透かされたパスも通していました。ハーデンが悪いのか、ギディが上手いのか。ギディが上手いんだよきっと。ただしハーデンはハーデンで読みの良い選手なので、バッチリタイミングを合わせてスティールしちゃうこともあるからね。
そんなわけで、なかなか見事なギディですが、やっぱりカニングハムに比べると劣るんだよね。唯一上回っているのが、自分でアクションしてディフェンスを動かす能力なので、よりハンドラーとして活躍するべきなのかもしれません。いや、まぁ、どうなんだろ。
◎ディフェンスの話
サンダーはディフェンスも「1+1=2」にみえます。いや普通にスイッチしてオールラウンドに守ることを求めているだけなんだけどね。JRアールこと、ロビンソン・アールが一応センターですが、関係なくハーデン相手にも向かっていくディフェンスで見事にタフショットを打たせていました。なお、デュラントにはファールしちゃったぜ。
昨シーズンは発掘・育成したモーゼス・ブラウンをあっさりと放出しましたが、ポクも含めて欲しいのはあくまでもオールラウンダーなんでしょうね。
ドルトやSGAというディフェンス力の高い選手もいるので、エースキラー役(ドルト)は基本的にはスイッチしたくない守り方をしています。決してオールスイッチなディフェンスではありませんが、ベースにあるのはあくまでも1ON1で守り切ることです。
なお、ここでもケンリッチは自分のマークを見ながらも手を出す上手さを発揮しまくっていたけどね。ドルトもそうだし、ギディも上手いな。
ってことで、ネッツ側からすると何が起こるかといえば「JRアールとギディを狙えばいいじゃん」でした。ここに苦労してしまったようなサンダー。そしてここを守れる選手が欲しいサンダーです。
〇デュラント
33点
FG9/17
〇ハーデン
16点
13アシスト
3P1/8
このディフェンスに対して3Pで苦しんでいたハーデンでしたが、デュラントは楽勝。もっとデュラントを追い込む守り方を見たかったところですが、1on1ベースなので難しかったね。あくまでも個人技を繋ぎ合わせているので、そもそも個人技で負ける相手には苦しいのかも。
ってことで大差になった試合ですが、爆発的なラッシュではなく、しっかりと確実に押し切られていきました。安定して差を付けられてしまったのでした。
◎オリンピック・ミルズ
ネッツでえげつなかったのはミルズ。オリンピック・ミルズへと変身していました。
〇ミルズ
29点
1アシスト
3P9/12
3Pは出来過ぎですが、とにかく迷いなく踏み切っており、スイッチに迷いがあるサンダーの隙をつきまくっています。また、御覧の通りアシストは1つしかなく、ムービングシューターとして打ち切る仕事を徹底していました。だからオリンピック・ミルズ。
といっても、ここ3試合は3P2/13なので、まとめて返済した感じだな。いずれにしてもシュートの成功/不成功に関わらず、ミルズの仕事がわかりやすくなっています。動き回ってディフェンスをかく乱しつつ、ボールを貰ったらアウトサイドから射貫く。その脅威がデュラントの1ON1を楽にするという考え方です。
でも、同じことはジョー・ハリスにもいえるのですが、そこが生まれ育った環境の違いなのか、基本的にはスクリナーを活用し、明確に狙ったスポットへと動いていくジョー・ハリスに比べて、トップでボールを持ってパスをすると右コーナーから左コーナーまで走って走って走っていくミルズの方が、スクリナーがいなくても機能していました。
オルドリッジが好調なのはイマイチわかりませんでしたが、これだけ動き回るミルズがいると動かないオルドリッジは楽になっているのかもしれません。それくらいです。ネッツは他の試合も観る予定だから、本日は以上となります。
ギディはフィジカルは弱いけど、しっかりとペイントを攻めようとする意思は感じるので好印象です。というかサンダーというチームの特徴かもしれませんが。なんかサンダーの選手が成長する理由がわかります。ギディはドリブルを止めても冷静に判断することができるところが好印象です。この能力は海外でプロでやった選手は高い印象を受けますね。
スペーシングして個々が戦う空間が作られているから、攻めない選手はダメでもありますね。
海外っていうか、アメリカバスケよりも国際ルールでやっていた選手の方が、狭い空間をどうするか考えている気がします。
久々のサンダーの記事ありがとうございます。オールラウンドで判断力のある選手を5人並べようとしているというのはプレスティを見ているとまさにその通りな気がしています。今年のギディもハンドラーとしてだけでなく、予想よりディフェンスが頑張れるところを含めて納得の指名になりました。ただこのままだとサンダーは順当に強くなるだけで1+1が10になる日が来るのかが不安です。カルチャーは信じてますがこのままだとプレイオフ2回戦負けが安定のチーム止まりになる気がしてなりません。やはりもう一回くらいタンクが必要だと思うのですが、それができるほど弱くもないです。数年後にならないともちろんわかりませんが、サンダーはこのままでうまくいくのでしょうか?少し前のオーランドみたいな末路を辿らないかがとても不安です…
ダグノートは何か持っているとは思います。
サンダーの問題は、記事に書いているようにFG成功率の高い選手を混ぜるかどうかであり、個人が成長するかどうか。
だから、思い切って素材型を選んでいるんでしょうね。ポクのシュートが決まれば怖いけど、今のところは決まらない。
両方をもった選手がエースとして君臨してくれれば・・・デュラント・・・
サンダーはオールラウンダー集めの中でなぜシェングンを指名しなかったんでしょう。彼はサンダーが求めるタイプのビッグマンな気がするのですが違うのでしょうか?
そう思ったんですけどね。
強いて言うなら、スピード対応のディフェンスが出来ないから避けたのかも。
といいつつシェングンは守れそうなんですけどね。
サンダーは何年か前ツアー的に、ユーロリーグのチーム(レアル?バルサ?)と対戦したことがあり、その当時在籍していたラスはユーロチームの組織的なバスケットに感銘を受けたそうです。
組織全体としても感銘を受けたかもしれませんね。
ポクやギディの指名、地元出身なのもありますがドンチッチとスタイルが似てるといわれる(実際はもっとオフボールで輝く)カニングハム獲得の熱望、シェングンもありな空気感。
目指すはユーロバスケでしょうか。
なにげにSGAを軸の一つにできたのは運が良かったと思います。