SCタウンズ

〇カール・アンソニー・タウンズ
得点 24.8点
3P 38.7%
リバウンド 10.6
アシスト   4.5

今シーズンも個人としては圧倒的なスタッツを残したタウンズ。毎シーズン変わらず勝てないウルブズだけど、勝てないチームのエースとしては異常なスタッツを残しています。しかもタウンズの場合は「タウンズさえいればオフェンスはエリートチーム」になるから更に悩ましい。

〇オフェンスレーティング
オンコート 114.6
オフコート 102.6

なんとレーディング差は10もあり、タウンズがいない時間こそが最大の問題であることがわかります。終わってみれば欠場したのは22試合なので、強く批判するほどには休んでいませんでした。

平均33.8分プレーしているタウンズの得失点差は+0.2なので、ディフェンスの悪さは何も救えていませんが、かといってこれで19勝31敗という成績はちょっとかわいそう。残りの14.2分で△5.7点なのが大きく響いています。

必要なのはマルカネンでもベバリーでもなく、タウンズと同時起用してもOKで、ディフェンス力の高いPFだと思いますが、ここまでそんな動きもなかったよ。ディアンジェロとビーズリーがちゃんと試合に出ればオフェンスはどうにでもなりそうなんだけなー。

さて、今回の話はウルブズの事はどうでもいいや。前回のポイントセンターにおいて「ちょっと違う」と感じさせたタウンズですが、アシスト数は4.5本とアデバヨに次ぐ本数を稼いでおり、ポイントセンターの仲間入りをさせてあげても良さそうです。

でも、なーんか違う。なんでだろうと考えていった時に、タウンズは「ポイントガード」にはなれないのは当然なんだけど、なんとなく「シューティングガード」のように見えてきたのでした。だからイメージとしては「アシストの多いシューティングガード」の感じかな。でも、そもそも「シューティングガード」が死語なので

「他にPGが必要なタイプのハンドラー」

こんなイメージのセンターになっています。ルビオとディアンジェロの2人を並べたのは失敗だったけど、タウンズには必ず本職PGが欲しいよね。ジャマール・マレーというわけにはいかないでしょ。

◎ガードのようなセンター

タウンズは戦術の中心であり、全てはタウンズを経由していき、いるだけでシューター並みの囮にもなります。セルフィッシュなプレーをすることはなく、しっかりとチームメイトにパスを供給するし、コンビプレーも行います。

ただ、どうしても「チームメイトにプレーを促す」ようには見えない。

タウンズがボールを持つことが多いのは、あくまでもスコアリングエースだから。その意味では「アシストの多いSG」のようにしか見えません。それは同時に「センターだけど、ガードのように見える」ということでもあります。

いくつかのスタッツを「センターの選手での順位」をつけてみてみましょう。

〇3Pアテンプト 6.3本(1位)
〇ミドルアテンプト2.0本(11位)

まず3Pアテンプトの多さが際立ちます。ただ、これだけだと単にシュートの上手いセンターなのですが、その一方でミドルが少ないのも特徴です。これだけ多くの3Pを打つならば、ミドルも多くて良さげ。

エンビードは5.6本もミドルを打っており、エースタイプのセンターはディフェンスとの駆け引きの点も含めて、ミドルレンジは必須になります。それを打たずに得点を重ねているのはタウンズの特徴であり、「3Pとドライブ」で成立させているガードエースみたいに見えるわけです。

〇ドライブ 5.6回(1位)

ガードみたいだから当然ドライブも多いわけだ。スピードがないセンターは3Pフェイクは出来ても、ドライブで決めきるのは難しいことが多いのに、タウンズはしっかりとゴール下まで飛び込める。『中間距離のシュートを打たずに点を重ねるエースセンター』ってのは、ゴール下専任以外ではレアキャラです。

ピック&ロール ハンドラー 0.6回
オフボールスクリーン 1.4回

また、センターにしては珍しくピック&ロールの「ハンドラー」になることがあります。ボールを持っているタウンズにスクリナーが来るわけだ。多くはディアンジェロあたりのガードだと思いますが、かなり変わった構図です。

そしてオフボールでもタウンズにはスクリナーが用意され、シューターのように打つこともあります。なお、ヨキッチも同じくらい記録しており、MPJとのスクリーン交換は相手ビッグマンを大いに困らすため有効な手段でした。今後はセンターにスクリナーを用意して崩すプレーは流行するかもしれません。

タウンズのプレーは全体的にセンターとは思えない構成をされており、しかし、ちゃんとセンターもします。ただ、どれも基本的には「タウンズに点を取らせるためのプレー」なので、ポイントセンターには見えません。

フィンチが来たことによってポストを起点にするオフェンスはさらに増えてきました。その結果、タウンズも多くのパスを出すようになっています。

〇パス数
サボニス 75.5本
ヨキッチ 74.9本
ブーチェ 53.1本
タウンズ 44.7本
アデバヨ 44.6本

サボニスやヨキッチに比べてパス数はかなり少ないので、オフェンスの統括役としての意味は弱いです。なお、アデバヨも少ないんだよね。それでもアシスト数が多い。

タウンズは10本のパスで1アシストという形なので、サボニスと比較してもアシスト効率の面ではそん色ありません。それだけ「プレーに絡む回数が少ない」という見え方も出来ますが、正しくは

チームメイトと”活発な”パス交換はしていない

コンビプレーを促すサボニスやアデバヨとは違い、自分が決めるか、ワンパスで捌くだけなので【PGというよりはSG】に見えてきます。3Pアテンプトが多く、ドライブも頻繁だからアデバヨとは意味が違って自らのアグレッシブなアタックがメイン。オフェンスの中心として必ずボールに触るけど、パス交換に積極的な感じではない。だから

ポイントセンターではなく、シューティングセンター

なんて呼びたくなるわけです。まぁそんなことを言うまでもなく、パスからチームオフェンスを奏でるタイプじゃないのは明確で、得点力が最大の武器です。

◎センター離れしたプレー

そんなタウンズは「3Pも打つエースセンター」かというと、それも何だかしっくりきません。理由はそのプレーが単なる3Pを打つセンターとは一線を画すほど、スキルフルだからです。普通のセンターには出来ないプレーをしていく。

①オフェンスリバウンドから、コーナーにオフボールムーブして3P

まだタウンズがここまでプレーメイクに参加していなかった頃からやっていた「普通じゃないプレー」は、
オフェンスリバウンドをとってガードに戻すと同時に
コーナーにダッシュして3Pを打つ

でした。単純にシューターとしてみても、ゴール下からコーナーに動いて3Pを決める能力もスゴイですが、これをセンターにやられるとどうにもなりません。

リバウンドの時点で、既にディフェンス側は通常のディフェンス体型ではなくなっており、両コーナーには選手がいなくなります。必ず空いているスペースになるわけですが、しかもタウンズが走ったのを見ても相手のセンターが追いかければ、今度はインサイドががら空きになってしまう危険性が高くなります。

センターじゃなくても、簡単には出来ないプレーなのに、これをセンターにやられるとお手上げ。まぁリバウンド取ったら、そのまま押し込むのが理想なので「押し込めなければパスアウトしてコーナーでもらいなおす」なんてことをしているのがファンキー。

②ステップバック3P

タウンズがガードのように見える理由がコレ。ミドルが少ないのもステップバック3Pを打てる奇抜なセンターだからです。3年位前までは、そんなに打っていなかったのですが、ここ2年ぐらいは多用するようになってきました。あと、これがあるからミドルが減ってきたし、FG%も落ちたよ。オフにハンドリングからのステップバック3Pを練習してくるセンターなんてタウンズだけなんじゃ。

3Pそのものはジャンプしないで打つのでセンターっぽいのですが、その前にハンドリングシェイクしているのも普通のセンターじゃない。シュートモーション以外はセンターではないプレーをしてきます。マークマンもセンターなので、このステップバックについて行けない。

1on1の仕掛けから3Pを打つパターンが多い

これはセンターにはない特徴です。3Pアテンプトがセンターで一番多いタウンズですが、6フィート以上ディフェンダーと離れた「ワイドオープン」は3.2本で、そこまで多くないけど4~6フィートの「オープン」は3.0本でセンターとして最も多く、逆に4フィート以内の「タイト」は0.2本しかありません。

パスアウトからの完全なフリーじゃなくても打てるのが強みだけど、かといって強引に打っていくようなタフショットにもなりません。ここまで「タフショットなし」で打つのは難しいので、センターということを除いてもスゴイ。

そして、この3Pがあるのでドライブも効いています。やっていることは丸っきりガードエースみたいなプレーなんだけど、これをセンターがやるからこそ怖い。タウンズは高さとパワーで押し込むプレーも出来るので安易にマークマンを変えることも出来ないし、極めて万能な点の取り方をします。

そういえばタウンズはハーデンのディフェンスに激よわなんだけど、理由はタウンズくらいのスピードならハーデンは抑えてくるし、高さのミスマッチ利用したポストアップもハーデンは守るの上手いからね。天敵みたいなところがある。

ガードでポストアップできる選手も便利だもんね。そういう選手がいるんだから、センターがステップバック3P上手いのも有効活用しないとさ。

タウンズにはルーキー時代から続く弱点があって「右手でのプレーが多過ぎる」ってことでした。左へのアタックからのフィニッシュは未だに課題が残っているように見えるのですが、それが大した問題にならないのは『3P・ステップバックで引き出してのカウンタードライブ』というプレーを磨いてきたからでした。

弱点を問題にしない長所を持つ

プレーパターンはそんなに多くないけど、3P能力の高さとディフェンスの動きに応じたチョイスが出来るなら非常に止めにくい。3Pさえ決まらなかったら怖くないんだけど、ハンドリングもあるから、センターのディフェンスでは止めに行くのは難しいよね。

だから・・・勝負所はセンターではなくウイングにマークさせると・・・

◎パスアビリティ

タウンズが伸ばしてきた能力のもう1つがアシスト。『ポイントセンター』ではないけど、かなり良いパスを通すようになってきました。どんなパスがあるのかを考えていきましょう。

ポストアップからのパスアウト

まぁこれは普通ですね。センターは誰でもやるべきこと。一方でハイポストから両サイドにワイドに展開するようなパスは少ないです。そもそもハイポストに立つよりも3Pも打てるゾーンで持ちたいしさ。

起点にはなれるんだけど、視野が広いわけではなく、コートを広く使うゲームメイクみたいなことはしないから、必ず他にPGが欲しくなります。

ローポストやエルボーから、カットプレーに合わせるパス

ワイドなパスはだせなくても、ポストに立った方が良い部分も多くて、その代表例がバックドアに合わせるパスであり、ローポストでは逆サイドのエンドラインを抜けてきた選手に、背中向きにパスを出すシーンも増えてきました。ディアンジェロやビーズリーのようなシューターもいるので、ポストアップすると

・タウンズのアタック
・パスアウト3P
・カッティングへのパス

こんなプレーが同時進行で進められるのでメリットが大きいです。シーズン前半のディアンジェロ不在時はルビオとのコンビは良かったけど、パスアウト3Pの確率が悪いし、アンソニー・エドワーズがカットプレーが下手だったりして上手くいかない部分もあったな。また何よりもサボニスやアデバヨと違う点として

カットプレーを促すようなアクションはしていない

こんなこともいえます。前回の記事から続く流れとして見た時に、やっぱり能動的に「チームメイトを動かせるセンター」こそがポイントセンターと位置づけたくなり、タウンズのようなプレーだと、あくまでも「パスの上手いセンター」って感じかな。

ドライブからのアシスト

タウンズはドライブからのパス、つまり「自分が動きながら、合わせてきたチームメイトを見つける」パスも出来ます。ディフェンスカバーがいると感じたらスピードを落とす必要もあり、これをしっかりと出来るセンターは意外と少ないので、総合的にパスが上手いセンターなのは間違いありません。

ただ、ドライブから「キックアウトで3Pを打たせるパス」については上手いイメージがないよ。それはやっぱり『広い視野はもっていない』ということであり、ディフェンス全体の動きまでは把握できていない。ヨキッチが特別なのは「フリーの選手にパス」するんじゃなくて、「次にフリーになる選手にパス」することなんだよね。ディフェンスがどういう風にローテしていくかが見えている。まぁだからといって

タウンズにヨキッチ並みの広い視野と戦術眼を求めるのは酷
(現状でもセンターとしては上質)

ってもんだ。現状でもパス能力は一般のセンターよりもずっと高いよ。ただ「ポイントセンター」というのはなんか違う。もちろん突破力があるので、タウンズが崩してのアシストだったり、ダウンズに引き寄せてのアシストはあるけどね。

3P、ドライブ、パスとなんでも出来るタウンズ。だけど、戦術能力が高いわけでも、視野が広いわけでもないから、チーム全体をオーガナイズするタイプのセンターではない。

それはガードでいえばPGではないけど、アシストの多いエースSGって感じなのでした。万能なセンターというか、万能なバスケット選手なのがタウンズ。

◎クラッチ

ウルブズは良くも悪くもルビオがいて成立していたので、新シーズンはどうなってしまうんだろうね。ハンドラー役は多いから立派にプレーは成立するんだけど、チーム全体を有機的に絡めるPGが足りていない気はします。かつてのバトラー、ウィギンズ、タウンズもそうだったけど、個人で点を取ることも出来るし、全員がパスを出せるけど、だからといって戦術的とはならない。

ディアンジェロの欠場が多過ぎたってのが最大の要因ですが、控えPGもスコアリングタイプのノーウェルか、ディフェンダーのベバリーだからな。アーチディアカノあたりでも欲しかったところ。

とはいえ、優勝を目指すならともかく、まずはプレーオフという中ではオフェンス力はあるだけに、プリンス、ベバリー、オコギーといったディフェンス要員がどこまで伸ばせるか次第。タウンズも伸ばさないといけないのはディフェンス面だけど、最近はオフェンスの負担が大きすぎて、そうもいかないんだよな。

いい加減、そろそろというか2年位前には、その能力を「チームが勝つために」活用するために脱皮して欲しかったです。

タウンズのオフェンス面の課題は「試合終盤に弱い」なのですが、クラッチ3P成功率58%あったりして得点面は悪くない。でも、トータル94分で13ものターンオーバーをしています。大体はパスミスのイメージなのも、ディフェンスプレッシャーが高まった中でミスをしてしまうという「戦術力の低さ」を感じさせます。

緊迫した場面で正しいプレー、強引でも決めきるプレーをしていく経験値が足りない

こんな印象があるよね。リーグ最高クラスに効率的な選手なんだけど、効率性だけでは勝てないことを強く感じさせる選手でもあるのでした。

SCタウンズ” への3件のフィードバック

  1. KATってオフェンスだけみればNo.1センターって言っていいと思うのですが、クラッチタイムの印象が悪いですよね。これほどの選手が、「勝負を決めるシュート」を決めてる印象が薄すぎます。確率は悪くないみたいなので、印象なのでしょうが・・・
    ウルブズが勝てない原因をこれだけハードに頑張る選手だけのせいにするのは酷だと思うので、再評価されて欲しいですが、今年もどうなることやら。やはりセンターに求められるのは守備なのか!!ていうか、管理人さんも言われてますが、KATと並べられるリムを守れる選手を連れてくればよいのに!!ミネソタでは難しいのか・・・

  2. SC=ストレッチ4と何が違うのかなって一瞬思いました。もちろんポルジンギスとはポストアップで仕事が出来る分、全然違うんですけれども。ただチームの主軸になれるシュータータイプのノビツキー、あるいはミドルショットもドライブも上手いKGとは何かがまだ決定的に違うので、そこらへんをフィンチが見定めて伸ばさないとダメだなと思いました。私もよく分かってないですけど。

  3. KATは才能、能力とキャリアが1番乖離してる選手だと思ってます
    他のチームにドラフトされた世界線も見てみたい

    まあバトラーに、やる気がないし練習嫌いとディスられたメンタルもあるとは思いますが

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