デローザン、ブーチェビッチ、ラビーン、ロンゾ
オフの主役になったブルズ。指名権を失っており、有望株が多かった今年のドラフトをスキップしたことは大きなマイナスでしたが、そんなマイナスを忘れさせるほどの大型補強に打って出ました。サイン&トレードを駆使しているのも特徴で、キャップスペースが十分ではない中で、手元にいた実力者たちを放出していきました。
【加入】
デローザン
ロンゾ
カルーソ
【放出】
サトランスキー
テンプル
サディアス・ヤング
アミヌ
25年1巡目指名権
既に21年と23年を放出しているので指名権が一気に減ってきました。そこまでしてでも勝負するというか、あれっそもそもスパーズに1巡目を渡す必要ってあったのかな?
さて、このトレードにはマイナスもあるので、その点から触れてみましょう。実のところブルズで重要なのはヤングとテンプルでした。
ラビーン、ホワイト、マルカネン、ウェンデルカーターと揃えても上手くいかない中で、チームを機能させたのはベテランの2人。特にヤングが起点となることでオフェンスはスムーズに移行していきました。ディフェンス面は経験不足&ディフェンス力不足のチームをテンプルがリスク管理しながら助けてくれました。
それがブーチェビッチ獲得から雰囲気は変わっており、特にタイスもいたのでヤングの意味は小さくなっています。だからヤングを手放すことはわかるにはわかる。インサイドのプレーメイカーがいるんだから、ヤングは不要。
しかし、ヤングほど便利で、ディフェンス力の高い選手はそうそういません。ここまでのブルズで明らかなのは
インサイドのディフェンス力が大幅に低下
これです。タイスもFAで出ていったけど、何も補充していません。唯一、ロンゾの存在はリバウンドを助けてくれるのでプラスがありますが、全体像としてはテンプルの離脱も含めてディフェンス力はかなり下がったとみましょう。
〇ディフェンスレーティング 111.5
〇ディフェンスリバウンド率 76.7%
ブルズのディフェンスはクリス・ダンがいなくなって大きく下がり、それでも平均レベルでしたが、支えているのはリバウンドの強さで、これがリーグNo1でした。びっくりだぜ。
〇ディフェンスリバウンド率
ブーチェビッチ 29%
WCJ 22%
タイス 17%
タイスとの同時起用もあった中でブーチェビッチがかなりリバウンドを抑えてくました。ラビーンは4.4リバウンドと稼いでいるものの、リバウンド上位の選手はマルカネンがいなくなる前提だとブーチェビッチしか残っていません。
ロンゾは大量のリバウンドを稼ぐチャンスだし、稼いでからの速攻は見ものです。だからリバウンド問題って諸刃の剣なところがあって
インサイドのリバウンド力が大幅に低下した
ロンゾがカバーすれば速攻も増える
これがウエストブルックなら完全に後者を期待できますが、ロンゾはどこまでやれるんだろうか。いずれにしても高いサラリーを払うだけの価値をロンゾが示すチャンスはあります。なお、デローザンもリバウンドは多い。なんせ4ガードシステムだったから。
リバウンド力は低下するでしょうが、現時点ではリーグNo1なので、中位程度に沈むくらいかもしれません。その代わり11.5点しかなかった速攻の得点が増えればOKって感じです。かなりチームスタイルが変わることになるわけだ。
〇ロンゾ
14.6点
4.8リバウンド
5.7アシスト
正直、サラリーほどの活躍をしていないロンゾですが、それはペリカンズのチーム事情もあって、キャリア最低のリバウンド数と2番目に低いアシスト数になりました。1番少なかったのはレブロンと一緒だったときね。
15点、7リバウンド、8アシストくらいを期待しても良さそうだし、それが出来ればサラリー相当の選手になれそう。特にリバウンドを頑張れば、それは必然的にアシスト数増にもつながるよっていう話でした。
〇セカンドチャンス失点 11.6(3位)
〇ペイント内失点 48.9(20位)
しかし、インサイドディフェンスについては解決どころか悪化が想定されます。セカンドチャンスでの失点は少ないのに、ペイント内では失点しまくっているチームなので、どうやってカバーするのか。パトリック・ウィリアムスにどれだけの負担を強いるのか。
ヤニスやエンビードを止めるタイプがおらず、サボニスならブーチェビッチでなんとかしそうだけど、デュラントも・・・あれは誰も止められないか。いずれにしても元々アウトサイドのスターは止めにくいラインナップだったけど、インサイドも止められる気がしない。ロンゾはディフェンスの良い選手だけどエースキラーって感じでもないし。
今回のトレードはスター選手を手に入れ、わかりやすく「インサイドとディフェンス」が削られたことになります。この構図でひっくり返すには相当なオフェンス力を発揮しないといけません。
とはいえ「プレーオフにも進めなかったチーム」なので、チーム力は向上するでしょ。そこはさすがにブレないと思うんだ。ウィザーズな匂いがするだけで。
◎サイン&トレード
今回のFAで面白いのは「サイン&トレードだからロンゾとデローザンが獲得できた」ってことであり、逆に「マルカネンを残すのは難しい」ということです。同じサラリーを提示すればよかったんだけど、それだとサラリーオーバーじゃん。誰かを出すしかなかった。
「スーパーではないけど、スター選手を4人集めた」のも面白い話で、この中で序列をつけるならブーチェビッチ、ラビーン、デローザン、ロンゾの順かな。ラビーンは来シーズンで契約が切れるので、以降は上がってしまいそうですが、ブーチェビッチが安いのがありがたい。
〇サラリー
ブーチェビッチ 24M
ラビーン 19.5M
デローザン 26M前後
ロンゾ 20M前後
ブーチェビッチは再来年に2M下がるのでなお美味しい。コスパが良すぎる選手です。一方でラビーンは上がることが想定されるので、来シーズンは90M前後だけど、再来年は100Mに近づきます。パトリック・ウィリアムスとホワイトがルーキースケールで残ってくれることが大事で、周囲は安い選手を探すことになりそうです。
他に契約が残るのがトロイ・ブラウンのみ。カルーソを加えても8人。マルカネンが出ていく時に良い交換条件(安い選手)を出してもらわないといけません。
マルカネンで噂されているのはサンダー、スパーズ、ウルブズです。でもスパーズならデローザンとの交換でアミヌが戻ってきたりして。この中でウルブズの場合はキャップスペースがないのでサイン&トレード前提になります。でもあっちも安い選手は欲しいんだよね。
もしも同じく制限付きFAのバンダービルドがブルズに来るならいろんなことが解決します。だからウルブズが最適なんだけど、お互いに選手の奪い合いみたいになりそう。なお、両チームは仲良し。
一方でサンダーならばトレードの必要がありません。ただし、安いガードをいっぱい保持しているので、一番おいしい交換相手な気がします。スパーズは両チームの中間くらいだけど、選手がいない。
ってことで、マルカネンが決まっていないのはサイン&トレードで揉めているからかも。ブルズにとっては「マルカネンは残さないけど、非常に重要なトレード」になりそうです。
ぶっちゃけロンゾかデローザンの片方でよくて、マルカネンを残留させる方がチームバランスは良いし、サトランスキーを残してホワイトを出した方が勝てそうなんだけど、それはNGなんだよね。
◎ドノバン
よろしければ、来年のブルズの戦い方を考えてくれるとても嬉しいです。
まだ何もわかりませんが、なんせHCビリー・ドノバンですので、基本は個人技アタックです。かつては「ウエストブルックがいるから・・・」と思われていましたが、いなくなってからの方が個人技アタックの雰囲気は強まり、アシスト数は減りました。
ワイドに広がってハンドラーにボールを持たせてのアタックから始まるオフェンス
この点でタイプが違いすぎるセンターのブーチェビッチを補強してからもブルズは上手くいきませんでした。タイスも並べてしまったのが奇策過ぎてワラエナイのですが、今回のFAではロンゾとデローザンを加えてインサイドが減ったので、むしろサンダーっぽくなっていくでしょう。
自分では仕掛けないロンゾはパスの供給役としてオフェンスにハマりそうですし、ミドルレンジマスターにしてスパーズのプレーメイカーだったデローザンはオフェンスの中心としてハマるはずです。
ラビーン+デローザン+ホワイトの突破力を生かしたオフェンス
同じ空気は1年前からありますが、より強まってくるはず。特にデローザンはパスを上手く出してくれるので、今までになかったオプションが加わります。ロンゾはホワイトよりも3Pが上手いこともあって、パスアウトからのフィニッシュ精度向上も期待できそうです。
ただヤングやテンプルが重要だったように「オフボールのポジショニング」で効果を発揮する選手は足りません。これからミニマムラインで探すのは、そういうカットプレーやハードワークに優れた選手になりそうです。ただ、他のチームから遅れているね。仕方ないけどさ。
〇3P
アテンプト 34.0本
成功率 37.0%
〇2P
アテンプト 54.6本
成功率 54.2%
〇FT
アテンプト 17.5本
成功率 79.1%
ブルズは3Pも2Pも成功率は悪くないのですが、比較的3Pアテンプトが少なめでした。しかし、それ以上にフリースローアテンプトがリーグ最下位と、3Pもなければフリースローもゲットできないチームとなっており、これがオフェンス面で中途半端になっていました。
一方で19-20シーズンのサンダーでドノバンはフリースローアテンプトがリーグ5位と、よりインサイドアタックを重視し、その代わりに3Pアテンプトの少ないチームでした。これはキックアウトパスが出てこないことも関係していますが、いずれにしてもよりアグレッシブにアタックすることを望むはずです。
ただミドルはOKなタイプのHCなので、デローザンの能力は問題なく、ビッグマンが減った分だけラビーンのドライブに期待するのではないでしょうか。ラビーンはフィニッシュ能力を高めており、パスも出せるので、自分への注意が減ることでよりドライブを増やしてくれる気がします。
ドライブ数とフリースロー増に期待
全体的にオフェンス面は良いことが多いので向上が期待できます。スターを並べるのもドノバン的にはやりやすい。これで向上しなかったら、やっぱりテンプルやヤングが必要だったって事になってしまい、連携の難しさを感じることに。
ただし、問題はブーチェビッチです。ドノバンスタイルは必ずハードワーカーが必要になるし、ドライブに合わせてインサイドでフィニッシュできる人材が必要です。ヤングはまさにこれだったし、ギャフォードも当時から活躍していました。
逆にウェンデル・カーターは苦しんでいて、ブーチェビッチは個人能力でフォローはしていたものの、やはり身体能力系のセンターに求められる仕事はこなしきれません。
〇ブーチェビッチ
2P 51.3%
3P 39.9%
昨シーズンは3Pが40%となりシュートの上手さを発揮しましたが、一方で2Pの成功率はセンターにしてはかなり低く、それでいてブルズがポイントセンター系統を活用できない事もあって、ストレッチ5くらいの感覚です。実際にはポストアップもするし、いろいろ技があるのですが、有機的に連動しているとは言い難い状態でした。
・・・もう3ヶ月以上前だから記憶が薄いけどね・・・
これが当時はヤングと一緒になると更に厳しかったので、今回の動きで明確なワンビッグになったのはプラスかもしれません。スペースのあるインサイドでパスもフィニッシュもやりやすくなるはずです。その分だけディフェンスはきついですがオフェンスで取り返しましょう。
ぶーちぇとの絡み方がオフェンスのキーポイント
凄まじく使えるセンターなので、ピック&ロールよし、ハイポスト良し、ポストアップよし、パスアウト良し、シューターよし、インサイドのショートレンジ良し、ハードワークもするよ。このセンターが上手く絡めなかったブルズの昨シーズンは問題でしたが、メンバーが変わらなくてもシーズン前のトレーニングキャンプから作っていけば劇的に改善したかもしれません。
補強よりもブーチェビッチの機能性アップ
それが大事だし、これはなんとかなるでしょ。ちょっとマルカネンタイプが欲しくなるんだけどね。そこはパトリック・ウィリアムスの成長に期待という事で。
〇パトリック・ウィリアムス
9.2点
FG48.3%
3P39.1%
4.6リバウンド
うーん、これがねぇ。シーズン終盤になって「ものすごく伸びそう」な空気を出し始めたんだよね。ディフェンスが慣れてきて余裕が生まれ、それとともにオフェンスでも強気にアタックするシーンが増えてきた気がします。だからブーチェビッチの連携同様にブルズは何もしなくてもパトリック・ウィリアムス分だけ伸びる雰囲気だったんだ。
そしてワンビッグになることは、さらにドライブするチャンスが生まれます。マッチアップ相手のスピードが落ちることが増え、インサイドにスペースもある。ディフェンスの苦労は大いに高まるから、劇的にスタッツ改善はしないでしょうが、本数は少ないけど3Pも決めていたし、期待できる要素が多い。
ある意味でトレードの被害者的に「思ったよりもスタッツが伸びない」でしょうが、怖さはかなり増しそう。
パトリック・ウィリアムス分は確実にチーム力アップ
これもあるので、実はブルズって補強なしでもオフェンスの改善はありそうだったんだ。マジでディフェンスを頑張ってください。
◎トランジション
とにかく期待されるのはロンゾとデローザンのディフェンスリバウンドから一気に速攻やトランジションが増えることです。肉を切らせて骨を断つをしましょう。
〇速攻
ラビーン 3.4点
ホワイト 1.8点
ブーチェ 1.7点
テンプル 1.5点
ラビーンに次ぐのがホワイトとブーチェビッチなのが厳しかったのですが、これからは走ればパスが出てきます。ラビーンの得点はさらに増えるんじゃないでしょうか。ある意味でラビーンはリバウンドの負担を減らし、走ることが大事です。
ただデローザンは自分で行くのが少なく、ロンゾは2.4点あります。2人は少し違いもあるので、周囲に走るタイプのロールプレイヤーを揃えるのも大事です。マッキーニーがウェイブされたし、そういうミニマムサラリーの選手は連れてきやすいぜ。
その一方でホワイトはどうなってしまうのでしょうか?
割と個人で行きたがる選手なので、ラビーンの控えとしては使えますが、PGの控えはカルーソになりそうです。ホワイトはラビーンやデローザンの交代要員となり、よりアタッキング能力を求められるのかな。集中しやすい仕事だけど、他のスターと比較されるからつらいな。カルーソさえこなければまだ・・・。
一番、やりやすいのはトランジションだと思うので、ここで結果を残したいホワイト。1年目にはこんな3年目が待っているとは想像もつかなかっただろうけど、試練だな。
◎まぁそんな感じだ
まだ何も見ていないので、よくわかりません。全体像としてインサイドの弱体化とディフェンダー減でディフェンス力は低下が想定されます。もうどうしようもない。
代わりにカウンターアタックが増えるのがロンゾメリットで、ハーフコートはデローザンのアタッキングがプラスされることになります。
ここにワンビッグによるインサイドスペース増は、ドノバンらしいドライビングアタックからの展開がしやすくなり、総じて良い効果が出てきそう。まだ控えセンターがマズすぎるので、最優先課題になりそうですが、ディフェンス力重視で。
ということで、さすがにこれで勝率5割は届かないとマズすぎる。だけど、その先に進んでプレーオフに勝つとなるとディフェンスの負担が苦しいし、イーストの場合はトップチームがパワーと高さ押しだったりするので、バックスやシクサーズにあたったら勝てる未来が見えません。うーん。
でも、まずはプレーオフに返り咲くこと。次のステップは次に考えよう。大事なのはラビーンの契約延長を成功させることです。
多様な形でオフェンス力は増す、弱体化するインサイドとディフェンスをどうしていくのか
ハードワーカー、走力のあるウイング、守れるセンター。こんなところをベンチに補充していきましょう。まずは素晴らしい2日間でした。
別に弱くなったとは思わないんですが、見た目程に強くなった風に思えないんですよね。ロンゾは値段相応とはとても思えないし、デローザンがいくらアシスト出来るといってもラビーンと組み合わせるってのはあんまりいい風に思えない。こういっちゃあれですが低いレベルのスター寄せ集め感。
その中で単なる+じゃなくて掛け算になり得るのがロンゾかなーって思います。だからロンゾ次第な匂い
噂はあるみたいですけどバーチまで取れたら150点ですかね。欲を言えばフェイバース…は指名権ヤクザのところか…。
センターにトニブラを追加、ドラフトでも2巡目でドスンムを取れてしまったので、ベンチも充実してきました(PFを除く)。
それでもやっぱりウィングディフェンダー・エースキラーが足りなくて、パトリックへの期待にも流石に限界がありますよね。
安く契約できそうなニアングがぴったりだなぁと思ってたらPHIに取られてしまったんですが、ほかにオススメの選手はいますか?トリアン・プリンスとか?
まだカルテットが機能するかもわかんないし、様子見してから補強ですかね。ホワイトもいるし、そしてマルカネンのトレード次第で
バブル・スパーズの鬼のトランジションオフェンスで、デローザンが予想外の活躍を見せていた記憶があるので、またそれが見れるのだとしたら楽しみです。
短期間ですね。上手くプレーシェアしないと走れないので、豪華戦力を分散すればいけそうな気もします
このカルテットはプレイエリアもそれぞれの特性も被らないですし、理想的なスペーシングができますよね。DRは全く心配してません。リバウンドはブチェも真面目だし、ロンゾもクソ真面目な選手なのでオフェンスで一歩引いてDFとリバウンドとトランジションに集中するだろうし、デローザンもよく取るし。
DFは…これからの補強とロンゾ、パトリックを上手く組み合わせてしのぎましょう…ブルズはまだミッドレベルが残っているので、
ウーブレ、ジョシュハート、スタンリージョンソン、イリャソバ、ミルサップ、RHJ、ビヨンボ、ジョーダンベル、ボンガ、マイクスコット辺りを…
みんなリバウンドとれそうなのはプラスで、それがスペース含めて期待はもてる部分でした。でも守れそうにはないし、どうなるのか
前の記事でリクエストした者です。
早速ありがとうございます。
「でも、まずはプレーオフに返り咲くこと。次のステップは次に考えよう」
うまくいかないかもしれませんが、まともに失敗できるようになったのが嬉しいです。
いつも、途中でフロントが方針を変えてきたのでステップという概念が無いと感じてましたので。。
バトラー、ウェイド、ロンドから迷走しまくり、勝てそうになったらタンクして、それで現状なので遂に思い切りましたね。