プレーオフ②ホークスvsシクサーズ

ゲーム4

ダニー・グリーンを欠くシクサーズ。ディフェンス力低下が懸念されるわけですが、逆にそろそろホークスのオフェンス力不足が顕在化してきました。ニックスとのシリーズでは表に出てこず、しかしシクサーズが相手になってからは、少しずつバレてきてしまった感じです。

マクミランの問題らしさですが、それを補ってきたヤングとコリンズのイマジネーションと豪華メンバーによる個人技。でも相手がシクサーズになったら、ボグダノビッチに任せきるのが正しいのかどうか。かなりボグダノビッチの出来に左右される雰囲気になってきました。

◎攻略しない

エンビードにはミドルを打たせ、シモンズのドライブには手を出さず、ディフェンス面でのガマンが効いている序盤。さらにエンビードとセスがゴール下へのパスをミスしてくれるのも助かっています。まぁヤングがコルクマズにカットプレー食らうから、守り切れているわけじゃないけど。

オフェンスはヤングのドライブからカペラへのアリウープ2本、それにボグダノビッチの3P2本でリードしたのはホークス。全部ヤングのアシストからなので、ヤングからの形は上手くいくけど、ヤングからしか上手くいかない。

面白いもので、本当にヤングのパスからしか決められないホークス。しかもコリンズがフローターとダンクをミスするから簡単に追いつかれます。ヤングもフリースローを2本ともミス。見方によっては、お互いがお互いのミスに助けられているので、実は白熱した内容ほどにディフェンスは機能しておらず、若さでミスが多いホークスって感じ。

それとお互いに自分たちの強みでは勝負できるけど、相手の弱みを突けない。そうなるとゴール下でエンビードが構えている分だけシクサーズディフェンスの方が優位になっていく感じです。

なんて書いていたら、得点が止まったホークス。カペラがエンビード相手にシュートミス連発したのだから、それは個人の問題なんだけど、一方でもっとピック&ロールでエンビードを引き出しておいてからのオフェンスにすればいいのに、普通に普通のオフェンスをしていくようなホークス

それでもボグダノビッチにしろ、ガリナリにしろ、個人で何とかする能力があるから、これを繰り返してしまうよね。実際にゲーム1はこれで勝っているしね。

ってことで、ホークスオフェンスはそんなに悪くないのだけど、プレーオフシリーズになると、段々と対処の仕方がわかってくるので、シクサーズ的には何だかんだと守れるよ。それもチームオフェンスを読んでいるというよりも、そんなにパターンがないから普通に守っていればOKなだけ。「慣れた」で済むレベル。

もっとシクサーズディフェンスを攻略していく攻め方だと、チームとしていろいろと対処しなければいけないけど、あくまでもホークスはホークスのオフェンスを繰り返すだけなので、シクサーズも自分たちの守り方をしていれば良い。

なお、それは立場を逆にしても同じ。だからホークスにも勝つチャンスは十分にあるわけですが、マジで経験の差。あとインサイドでパスを回すシモンズが要る分だけシクサーズの方がオフェンスパターンが生まれていく。ヤングの個人技がもっと決まればいいんだけど。

◎ディフェンスの差

セカンドユニットではホークスが上回るから互角なのが両チームの関係性なのですが、それがゲーム2で早々にミルトンによって崩したのが大きかった。マキシーの単独アタックばかりだった姿は出てこず、チームでボールを回すので空気だったヒルやハワードもワンタッチでの絡みが増えてきました。それでいてディフェンス優先のラインナップにできるから、ゲーム1とは全然違うな。

ヤングがいないから面白みに欠けるホークスオフェンスが得点を伸ばせず、10点差。ハーターをスターターに回したことも裏目に出ているマクミラン。

シクサーズとしてはボグダノビッチvsトバイアス、ガリナリvsミルトンと多少のミスマッチが生まれても特に問題なく守れるのが大きく、それでいてハワードは狙われないっていうラッキー。ところがヤングが戻ってくると連続でハワードのところから失点します。実際にはハワードはヤングに対して出てこないから、ノーヘルプで決めていくヤングと、ポジションミスしたらゴール下にパスを通されているんだけど。

5点差になったところで、エンビードが戻るもカペラのリバウンドなどで更に追い上げられるのですが、シクサーズとしてもルーとヤングを並べているホークスなので、特に頑張らなくてもミスマッチで押し込むシモンズ。そしてヤングの狙いすぎのプレーに反応しなかったエンビードのディフェンスが効いて、再び点差が開いていきます。

シクサーズはとにかく一回エンビードのポストに入れておけば、ダブルチームが発生するので、そこからボールムーブしての3Pと、エンビードじゃなくてシモンズに入れるとドライブパスアウトでシュートチャンスが作れます。ホークスもダブルチームするくらいなのでディフェンスローテはあるのですが、どうしてもヤングがインサイドにローテするのを避けるため、コリンズがペイントに残ってワイドオープンが出てしまう。

マクミランになってからヤングのディフェンスが目立たなくなり、それは「ヤングを隠した」って感じですが、ダブルチームの仕掛けからのローテが機能していないのはシリーズ通じての悩みです。ゲーム2のボグダノビッチで失敗したから、ヤングが積極的にダブルチーム役になっていますが、これもまた最後に問題が起きるっていうね。
結局は両チームの差はディフェンス力の差で、それはエンビードという目立つ部分ではなく、スイッチ可能なシモンズやサイブルなんかが関係している感じで、ガードのディフェンス力の差が響いています。まぁセスがいるんだから、ホークスだってミスマッチは発生するはずなんだけど・・・

気が付いたら18点差。とにかく点が取れないホークス。ヤングの個人技には手を焼くけど、それが決まり続けることもないと見切っているシクサーズ。ブッカーやドノバン・ミッチェルだと決め続けるんだけどね。PGするヤングにそれを求めるのはちょっと違うし。

そんなわけでゲーム4なわけですが、かなり絶望的なゲーム4です。未だに何も「攻略」していないホークス。させていないシクサーズ。時々、凄い個人技が決まることはあるけど、それはシクサーズがマンマークで対応しきっているって事でもあります。

考え方によっては、ヤング以外の誰かが個人技で突破すればOKってことでもあるけどね。残念ながらアービングもデュラントもいない。コリンズは個人技を決めきれないし、ハーターもそこそこ。レディッシュとハンターは試合に出れない。ペイサーズで分厚い戦力を機能させたマクミランですがプレーオフでは個人に託すオフェンスが物足りなかったわけです。ホークスでも似たような状況になっているよ。

前半は62-49と13点差。今日はヤングとコリンズが悪いことで更に酷くなっています。それじゃあマックスは出せないぜコリンズ

◎安全策が

ヤングに対してボグダノビッチがスクリーンに行き、パスを受けるプレーコールを多発するホークス。これでボグダノビッチが3Pを決めるから何とも言えないけど、同じことをコリンズでやってトバイアスを狙うとか、ハーターでやってコルクマズを狙うとか、少なくともこっちの方が効果的に見えるのですが、SGが大切なマクミランらしさなのかな。

ちょっと追い上げられそうにないオフェンスを繰り返しているホークスなのですが、シクサーズの方が3P連打で助けてくれます。こっちも何がしたいオフェンスなのかわからん。ただ、セスだけは好調をキープし、ヤングを押し込んでのミドルをヒット。スーパー個人技だから、何してんのかはわからん。

点差が一けたになったところで、やっとエンビードのポストアップからのパスアウトでコルクマズが3Pをヒット。続いてトバイアスがフェイダウェイで再び10点差。これでリードを奪い取れるオフェンスってわけではないですが、途端に安定したよね。この安定に対してはオフェンスで取り返すしかないホークス。

とはいえ、そこまで決まりまくるわけではないし、エンビードがファール狙いのプレーで自滅することもあり、かといってヤングの3Pは決まらないので、10点差前後で推移していくと、エンビードのミスからホークスが速攻。コリンズがダンクに行ったところをシモンズがフレグラント1で止め、フリースロー後のオフェンスもボグダノビッチのシュートが外れたのをコリンズがプットバックで5点差にします。

さらにオフェンスリバウンドに参加したエンビードがカペラに押されて倒れこんでいる間にトランジションからガリナリの3Pで2点差。エンビードがファールドロー狙いの3Pに失敗し、同点のチャンスを得るも、ハーターのレイアップは決まらず。

怪しいフロッピングをコールしてもらえず追い付かれるというシクサーズ。勝っているチームがそれをするのは何なのか。

ところがトランジションに行ったヤングも油断して後ろからサイブルにスティールされ頭を抱えると、そのサイブルの3Pで再び突き放すシクサーズ。やっとヤングがディープ3Pで返したところで2点差となって3Qが終わります。

うーん、まさかホークスが追いつくとは思わなかったよ。エンビードのポストから展開すれば安全策と思われたけど、そのエンビードから崩れるっていうね。シクサーズあるあるか。ホークスはとにかくこういうチャンスを待つって事かな。でも、そこでヤングが完全な油断でスティールされたのは問題でした。

◎逆転

4Q開始直後にボグダノビッチの3Pで逆転するホークス。勝ちたければセカンドユニットでリードしておきたいけど、ハワードにダンクで返されます。それをルーがミドルで再逆転。ミルトンもドライブにジャンプシュート&ワンで戻して、シーソーゲーム。

シクサーズが守り切って24秒オーバーというところでゴール下でハワードがコリンズの顔面にエルボーをヒット。流れの中のようでいて、完全にエルボーを振り回していたけどフレグラントにはならず。しかし、このやり直しのオフェンスでルーが3Pを決めたので大きな1本に・・・ミルトンがあっさりと3Pで返します。

するとここからホークスはワイドオープンをつくっても決まらなくなり、トバイアスのゴール下はコリンズがブロック。お互いの得点が止まり、残り8分でシクサーズ4点リードでヤングは帰ってきて、エンビードは30秒後に戻ってきます。

前半同様にルーとヤングが並んでいるので、ミスマッチの使いどころなのですが、そんなことはしないシクサーズはエンビードのタフショットに、トバイアスのターンオーバー。ヤングとボグダノビッチがドライブを決めて同点になります。

更にホークスはピック&ロールで出てこないエンビードのディフェンス相手にヤングが3Pを狙うも、これは決まらず。ただ、その後でドライブで少しエンビードを引き出してのアリウープを通し、遂にリードを奪い取ります。

ここから再びガマンの展開。お互いにシュートが決まらず、得点が動かないまま、シモンズのフリースローが決まったくらいです。エンビードが決まらず、ターンオーバーになるシクサーズとカウンターのワイドオープンも外れるホークス。

実はホークスもエンビード狙いのピック&ロールをしておけば鉄板なのですが、シモンズが意地でも追いかけることでプレッシャーをかけ、さらにヤングのプルアップ3Pが決まらないので、その選択をし難くなっています。

点が取れないシクサーズでしたが、リバウンド争いのファールでボーナススローを貰ってつなぐと、コルクマズのロング3Pで4点リードに。苦しいホークスでしたが、コリンズが自分のリバウンドで繋ぐと最後はコーナーから3Pを決めて残り1分半で1点差。

エンビードのポストシュートが外れ、ヤングのフローターで再び逆転したホークス。ボールムーブからのコルクマズの3Pが外れるとヤングはカウンターアタックでぶち抜いてのレイアップ。ここにトバイアスとエンビードがブロックに飛び込んでファール。残り50秒で3点リードに。

タイムアウトのシクサーズはエンビードに渡して周囲をセスが動くプレーコール。うーん、シモンズを下げればいいのにね。エンビードがファールドローで1点差。ホークスはリバウンドのためにガリナリをいれていたくらいなのに。

コルクマズとのアイソを選んだヤングですが、時間を使ったら突如としてトバイアスにダブルチームを仕掛けられます。パスを回してコーナーからコリンズがトバイアス相手のドライブを仕掛けゴール下のカペラにパスを出すも、これをキャッチできず。パスが強すぎたし、自分で打てよ。ダブルチームを仕掛けたトバイアスに守られてどうする。残り17秒残してシクサーズボールに。

シクサーズはトバイアスのアタックからエンビードへ。これがイージーレイアップになるもエンビードがミス。残り8.2秒でホークスにポゼッションが移ります。でもゲーム1はフルコートプレスでシクサーズ優位だったからな。

しかし、あっさりとバックコートに走ったヤングへ。残り6.6秒3点差。ノータイムアウトです。

シモンズを下げているシクサーズはオフボールスクリーンを使ってセスに打たせるも、そこに最後まで手を出したコリンズによってダブルクラッチ気味となり、リングの根元にあたってホークスが逆転勝ちしたのでした。

◎弱い方が負ける

うーん、そんなシリーズです。どちらもあまり相手ディフェンスを攻略しておらず、そこまで効果的なオフェンスにならない中で、より外した方が苦しくなっていきました。正直、特にホークスはヤングのプルアップ3Pを活用するパターンが多くある気がするのですが、リラードなら打ち続ける所を嫌がっているようにも見えます。

〇エンビード
17点
FG4/20
21リバウンド

とはいえ、今日はこれに尽きます。さすがにFG20%は酷すぎ。外しまくったエンビードにより、シクサーズが負けた試合でした。最後までエンビードだったし。ゴール下は2本しか打っておらず、少しでも外から打たせるディフェンスが勝りました。特にハイポスト近辺と3Pは8本中1本しか決まっておらず、ローポストに立たせることを徹底しなかったことが悔やまれます。

39%決まった3Pに対して、ホークスは30%とアウトサイドではシクサーズの方が確率良く決めていただけに、ハイポストでボールムーブしない形を増やしてしまったことは大きな問題でした。それくらいシクサーズの方もノールールのオフェンスなので、勝てるチャンスを逃してしまいました。

なお、シモンズのフリースローが1/5だったのも効いています。あと1アシストでトリプルダブルでしたが、もっと点を取りに行って良かったんじゃないのかな。

〇ヤング
25点
FG8/26
18アシスト

〇コリンズ
14点
FG6/15
12リバウンド

ホークスが決めた(ヤングを除く)29のFGのうち、18がヤングのアシストでした。もうヤングばかりになってしまうというか、そうしないとオフェンスにならないホークス。でも主役2人の確率は非常に悪く、これで勝ち切ったのもラッキー

〇ボグダノビッチ
22点
FG9/24
0アシスト

ならばセカンドガードが決めたかというと、こちらもミスショットのオンパレード。しかもアシストもなく、どうにもこうにも形になり切らないオフェンスでした。これならヤングがディープ3P打ちまくっても効率的には変わらない。

なかなか難しい試合でしたが、一応はホークスが守り勝ったということで。オフェンスはヤングに何とかしてもらうって感じですが、それで成立しているんだからOKなのか。

なにはともあれ2勝2敗。ホークスが勝てる匂いがしなかった前2試合から、見事にガマンの末に手に入れた勝利でした。チャンスを外してしまうのは若さにみえるけど、粘り強く戦えているのは若くない。五分に戻ってシクサーズの乱調を誘えるのかどうか。

プレーオフ②ホークスvsシクサーズ” への2件のフィードバック

  1. 契約云々を考えるとATLは今年と来年が攻め時なのは確かだけど、2回戦をPHI相手に2-2にしているだけで今シーズンは既に合格点に達した気がします。若手のウイング二人とも怪我してこれならokかなと。
    シクサーズに勝とうものなら…ファイナルも見えてきますね、楽しみです。イーストの怪我人を考えるとホークスがファイナルに進出できる可能性も出てきた気がします。
    個で見たらドンチッチがまだ上だけど、意外とヤングの方がキャリアを通して結果を残すようになるならこれまた面白い展開ですね。

    1. カリーじゃないけど、個の力が上の選手が結果を残せるわけでもなく、ヤングの方が周囲をうまく使ってますね。
      勝ち負けは別にしても、成り上がる時は一瞬なので、このチャンスをものにして欲しいともと思っています

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