ウォリアーズvsジャズ

2021/5/10

ドノバン・ミッチェルが随分と長いこと休んでいるジャズ。最後に出場したのが4月16日なので1か月になります。その間のジャズは8勝4敗と悪くはないけど、サンズに抜かれてしまいました。まぁ1位か2位でフィニッシュできるのは間違いないので、気にするほどではありません。

ところがケガ明けのぶっつけ本番になったら怪しくなってきたのが、ファーストラウンドがレイカーズという危険性が出てきたこと。なんの罰ゲームだよ。ってことで「まだウォリアーズなら助かる」ってレベルですが、そもそもウォリアーズみたいなチームとファーストラウンドって嫌なものです。ウォリアーズっていうかカリーがいるチームとやったら、何が起こるかわからないもん。

そしてウォリアーズはカリー中心に切り替えてきたここ1カ月。ルーニー&ドレイモンドでインサイドを塞ぐし、本気モードになってから戦い方も変わってきたぜ。ここ10試合は7勝3敗なので、調子を上げてのプレーオフになります。

◎カリーの進化

オニールに完璧に守られている中での片足3Pを決めて始まるカリーゲーム。オフボールで動くカリー仕様になったのが4月以降ですが、チームオフェンスとして確実に進化していることを感じさせるスタートになっていて、ルーニーのスクリーンを使うカリーに、起点となるドレイモンドから直接パスが出なくても、ウィギンズを経由し、ベイズモアのスクリーンを受けたカリーにパスが出てきました。

明らかにドレイモンド&ルーニーによって生かされていた1カ月前から、ウィギンズとベイズモアも絡んでいるわけです。オニールのディフェンスに手を焼きまくっているカリーなのですが、手を焼いたところで2回、3回と動きなおしてギャップを探していくから関係ない。

これがオンボールプレーだとファーストアタックを止められて困る、で終わるのにオフボールで動いているから何もなかったように繰り返していくだけ。やべー。カリー怖い。そりゃあ得点王にもなるよ。進化したのはカリーではなくチームメイトで、カリーがもっと怖くなった。そんな構図です。

プレーオフの事も考えると、ジャズのディフェンスはオニールがキーマンを潰しに行くわけですが、オニールがカリーってのは苦しいんだよね。理由はスクリナーをかわすなら小さい選手の方がベターだから。こちらも欠席中のコンリーあたりがマークに行くんだろうけど、そうなると今度は単純にオンボールでやられそうだ。手数も多いぜ。

とはいえ、ジャズは鍛えられているチームなので、スクリーンがあっても連動したカバーリングで簡単にはやらせてくれません。そのうえで得意のバックドアも発動しないので、強かったころのように自由自在ってわけではない。それでもドレイモンドがカリーを囮にしたドライブを決めるので、なかなか効果的になりました。

そして1Q終盤はカリーのオンボールタイム。ダブルチーム気味に仕掛けられると簡単にパスを捌いたカリー。そこから爆発こそしないものの、アドバンテージを生かした形で得点し1Qが終わります。

ここも難しいポイントがあって、ジャズはゴベアが出てきますが、スピード対応だったら向いていないじゃん。でもゴベアいないとジャズディフェンスじゃないじゃん。だから、どうしても止めきれない。ということで「ジャズは柔軟性がない」というのはカリー相手のプレーオフになったら、ディフェンス面で懸念が出てきそうなわけです。

◎イングルスとボヤン

一方でウォリアーズにとってもゴベアは嫌な存在。それはオフェンス面でゴベアを使った上のパスがあるとしっかり守っていても守り切れないから。ピック&ロールではハイポストあたりからステップを踏んでも普通のレイアップになるゴベアってこともあり、ここを止めるのに苦労します。

ただ、そこはさすがのディフェンスなので、ゴベア自身にやられまくるわけじゃありません。2人でカバーしては周囲にやられていく。だからハンドラー側を止めたいのですが、止めさせてくれないのがイングルスの上手さであり、離してしまうとカリーばりに3Pを決めてきます。

最近はミッチェルとコンリーがいないので、イングルスがPGやっていますが、これにくわえてボグダノビッチも確実に決めてくるからジャズオフェンスは怖い。っていうか、単純に3P&ビッグマン活用なら別にミッチェルがいなくても、なんならイングルスの方が強力かもしれない。

ウォリアーズからすると明確に「やられているポイント」はわかりにくいけど、シンプルにボールをはたいていき高確率の3Pに繋げてくるジャズオフェンス。ドレイモンドすらも振り回されてしまうので、どうにもならない感じのウォリアーズディフェンス。ただ、ゴベアのパスとかがミスにもなるし、ゴベアに出てくるパスをスティールできれば簡単に速攻になるし。

柔軟性には乏しいんだけど、論理的だし、判断を間違えないからこそ首位にいるジャズオフェンス。そしてワイドオープンを作って堅実に決めてくる3P。

43-42とジャズが1点リードで2Q残り6分になりますが、ここでウォリアーズはトスカーノ・アンダーソンを加えたスモールラインナップになります。トスカーノはカリーの裏抜けにパスを通せば、フェイバーズへのパスをカット。ディフェンスリバウンドに飛び込みまくり、チームのスピードを上げて行きました。ウォリアーズ的にはここだよね。いかにして走る瞬間を作れるか。なお、ここではスティール後に取り返されたりしてリードには出来ず。

それでもスターターが戻ってきてもスピードアップしたまま展開していきます。面白いのはスピードアップした理由の1つが「シュートミスが多かったこと」トランジションに行くけどシュートが外れ、今度はジャズがチャンスとばかりに攻めたらミスになり、再びカウンターだ。ってね。

ジャズがスローダウンしていれば良かったけど、打ち合ったのでリズムはウォリアーズに。スナイダーがアーリータイムアウトで止めましたが、ちょっと怪しい時間帯になっていました。

そんなわけで前半は最後にウォリアーズがちょっと抜け出して54-49で終わります。ロースコアだった理由はカリーの3Pが初めの1本しか決まらず1/5だったことと、クラークソンが0/7と酷かったことでした。2Q終盤に決まらなかったジャズ。普通にイングルスからオフェンスすればよかったのに、クラークソンの個人技でやりすぎです。

◎乱戦のメンタル

前半の3P成功率が低いのは気にするほどのものではなかったのですが、後半になってゴベアがアリウープダンクをミスし、そこからオフェンスリバウンドが繋がりまくるものの、ボグダノビッチ、ニヤング、オニールと悉くワイドオープンを外してしまうジャズ。

ウォリアーズも速攻の2on1でウィギンズがパスカットされちゃう始末。ルーニーのトラベリングもあって、どっちも悪い立ち上がり。そのままウィギンズのレイアップはブロックされ、カリーのミドルと3Pは外れ、ぜーんぜん回復しないウォリアーズに対して、ゴベアのプットバックにボグダノビッチのドライブで同点になります。

でもな。この感じはウォリアーズの流れになってしまうんだよね。必然的にトランジションが増えればカリーも空きやすいじゃん。もちろん、ジャズはそう簡単に油断するチームではないのですが、ウォリアーズだってカリーだけってわけじゃないし。

カリーとフェイバーズのジャンプボールになり、フェイバーズが勝つのだけど、ベイズモアが落ちるポイントを読んでキープすると、フェイダウェイミドルをヒット。乱戦気味になった中、カリーの3Pに遅れたオニールが、スクリーンにきていたマルダーが直前で消えたので止まれず、カリーにぶつかってしまい3ショット。これでウォリアーズが再びリードを得て6点差にします。

そういえばジャズはウィザーズに連敗した珍しいチームでした。ウエストブルックのメチャクチャさに対応できないのが論理的なチームって感じですが、ここでも同じく乱戦気味になるとシュートを決めきれないシーンが目立っています。そして乱戦で得点するのが上手いカリー。

さらにウォリアーズはベイズモアが見事なドライブ&ワンを決めますが、ボグダノビッチも3P&ワンで反撃。どうしても乱戦になると個人技が目立つんだよね。しかし、次のオフェンスはドレイモンドの見事なパス判断で鮮やかにトスカーノが3Pで10点差。

さらにベイズモアも3Pで追撃。なんとなくさ、選手同士の相性云々以上に、ベイズモアとトスカーノはこのバスケに合っている気がするよね。球際の強さを発揮できるメンタルと外すほどに戦えるメンタルが大切。トスカーノなんか平然とゴベアを守っているもんな。ちなみにウォリアーズは背番号が見えにく過ぎなので、トスカーノかマルダーかわからないので、あやふやです。

そして3Q終了間際にジョーダン・プールがハーフコートショットを決め、89-75とウォリアーズのリードは14点に広がって終わります。うーん、乱戦にし過ぎといえばそれまで。普通に戻せなかったジャズオフェンスのコントロール力不足な展開でした。そこはコンリーもミッチェルもいないから、プレーオフになれば、なんとかなるのかもしれないけどさ。

ウォリアーズからすると、ウーブレイのケガでベイズモアをスターターに出来て良かったね。やっぱりメンタルが合っているよ。トスカーノも戻ってきたし、ビッグマン不足を感じさせない形が出来ています。それはつまりトランジションを増やした乱戦って事だ。

◎中途半端とフォレスト

またもアリウープダンクをミスしたゴベアに対して、スクリーン交換からプールの3Pで差を広げるウォリアーズ。ジャズはマット・トーマスも投入してシューティング勝負って感じですが、なんか、それってゴベアを疲弊させているんじゃないか疑惑だし、スピードに対応するビッグマンを起用する柔軟性不足だし。イリャソバはどうした?

そのマット・トーマスがドライブ&ワンを決めますが、点差が開いて落ち着いたからか、ウィギンズがペイント内に詰めてのジャンプシュートで対抗。カリーがいない時間に追い上げたいはずが、全然うまくいかないジャズ。

ところでウォリアーズディフェンスの狙いを考えてみましょう。
ゴベアに合わせられるのは怖いので、最優先でパスコースを塞いでいるのは確かです。一番捨てているのは3Pなのですが、そもそもローテの良いチームなので、そこまで簡単にワイドオープンは作らせません。プルアップは打たせても良いけど、キックアウトはコーナー中心にカバーしている。

こうしてセンターへのパスコースを消しながら3Pにも出て行けば、当然のようにドライブを食らっています。ただ、本日のジャズにはミッチェルがいないので、ドライブが遅い。それでもインサイドまで入られた時に、その選手に対しては打たせているような傾向があります。正確に言えばヘルプが来るんだけど、決してブロックにはいかず、中途半端にしている感じ。これを決められないジャズの選手達。

確かにイングルスとボグダノビッチを除けば、それでミスしそうな空気あるよね。2人が同時に出ている試合序盤は出来なかったけど、ベンチメンバーが増えてくると意図的にやっているようにもみえます。そしてボグダノビッチがドライブしたときはドレイモンドが行ったのでブロック。

たまにクラークソンに3Pを食らうものの、チームとしての連動を消しているようなウォリアーズ。もう余裕が出てきたのでカメラ目線でおどけるカリー。残り6分半で16点リードを持ち、ディフェンスも機能しているのでセーフティーかな。

このまま終わればプレーオフがさらに怖くなるところでしたが、ここでジャズはフォレストがドライブ&ワン。つまり、さっきまでの中途半端対応が成功していたところを攻略された形です。っていうかフォレストって誰だよ。またドラフト外ルーキーかよ。

続いてフォレストがサイドでパスを受けるとドライブからキックアウトでオニールの3Pがヒット。オニールはさらにドライブからスピンムーブを決めます。ドライブ1本決まったところから攻略され始めたウォリアーズディフェンス。

残り3分までイングルスを戻さずフォレストのままでいったスナイダー。珍しいでしょ。これで7点差まで詰めます。

ウォリアーズはカリーが徹底マークされているので、囮にしたドレイモンドのドライブが出ますが、今度は逆にジャズが中途半端対応。っていうかゴベア頼みでシュートミスを誘うと、クラークソンのスピード突破が決まってあれよあれよと点差がなくなっていきます。

そして残り1分50秒。ウィギンズのターンシュートが外れ、ボグダノビッチがリバウンドを抑えると、前にいたクラークソンへ。そのままドライブで突破して&ワン。なんとジャズが土壇場で逆転します。全然そんな空気じゃなかったのに、ハーフコートでスローダウンオフェンスが作れなかったウォリアーズ。あぁデュラントよ。

それでもウィギンズがドライブをねじ込みますが、ジャズもクラークソンで追撃。でも、これがちょっとやりすぎた感。ダブルチームを食らっているのに関係なく3Pを打ってしまうクラークソン。まぁここはミッチェルの出番だから仕方ないのか。

これに対して、ウォリアーズはオニールのディフェンスの逆を取ったカリーにドレイモンドからピッタリのパスがでて3P。この試合初めての気がするコンビプレーが決まり残り13秒で1点リードに。

ラストオフェンスのジャズはやっぱりクラークソン。なんでボグダノビッチじゃないのかわからん。ドライブしたクラークソンですが、ここは全員が収縮したウォリアーズディフェンス。マークのウィギンズが引き離されないまま、ヘルプのルーニーの前にレイアップが外れてしまったのでした。

うーん、ラストプレーは仕方ないと思うけど、その前がね。ジャズにしては淡白すぎたオフェンスにより2ポゼッションで得点できなかったのが痛かった。

◎見応えはあるけど

球際のファイトもあって白熱した展開でしたが、ジャズの敗因としてはミスが目立ったこと。でもそれはウォリアーズが狙いたいトランジションの連続からの正確性を欠くプレーにハメこまれたからです。正確性こそ持ち味みたいなジャズがウォリアーズの術中にハマったって事ですね。

それでも最後にジャズが勝つチャンスがあったわけで、ウォリアーズのリズムで進んだ後半なんだけど、楽に試合を進めることが出来なかった。まぁプレーオフで対戦したら「ジャズが勝って当然」の中でチャレンジするウォリアーズという構図なので、それでいいか。

ウエストは各チームの特徴が大きく異なるので、こうやって自分たちのリズムに引き込めるかどうかは大切です。そして引き込まれた時に対抗できるかも大切です。ここら辺がジャズの不安要素なわけで、プレーオフ直前に確認できた試合でした。

〇カリー
36点
3P3/13

3Pが決まらなかったカリーですが、乱戦の中でファールドローしまくるのはさすが。そして決まらなかったといっても、最後に逆転3Pを決めているのも流石。ってことで、ジャズに限らずプレーオフでカリーとは対戦したくないわ。勝って当然の上位チームだからこそ対戦したくないわ。

ウォリアーズvsジャズ” への3件のフィードバック

  1. 昨シーズンと比べカリー以外が2段階くらいステップアップした気がします(というか正しいハードワーカーになった?)。個の力が弱くともハードなチームディフェンスは相手を困らせることができますね!GSWは今日も連戦vs.サンズですが、MEMはvs.マブス。今日の結果に大注目です。
    ちなみに、MINが中途半端に勝ち始めてドラフト順位が落ちてきそうなので、その点でもGSWは調子いいです

    1. ウォリアーズは結局はスプラッシュの周囲をハードワーカーで固めるって感じがしていますね。
      チームディフェンスは難しいですが、読みがなくても運動量でカバーしている感じがします。

      ウルブズは1位指名権が欲しいならともかく、ロッタリーの確率が平準化されたので、確率的にはそこまで大きく変わらないので、気にしないのだと思います。
      でもな。ウォリアーズに5位指名権とか渡ったら、ちょっとなぁ・・・。

      1. たしかにハードワーカーで固めてカリーの負担を少しでも減らしてますね!そして今日のvsサンズも勝ってしまいました…
        サンズは何がなんでもカリーだけは潰す作戦だったようで、最終局面でもダブル、トリプルチームのような感じでしたね。
        面白くなってきましたよ…

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