ジャズvsグリズリーズ

2021/3/26

デッドラインで補強したチームの試合をいろいろ見ていったものの、注目株が出ているチームがなかったので、関係ないカードに落ち着きました。言い換えればシーズン前のプランが機能しているチームって事でもあります。

◎似ていない

バランチューナスとゴベアーをセンターに置く両チームは似ているようで似ていない。どちらもビッグマンに合わせるシステムが確立されているけど、ワンステップシュートが中心のゴベアーへはダンクが出来る範囲へのパスを出すのが基本。それに比べてペイント内のシュートレンジを打つのがグリズリーズ。

そしてドライブから始めて合わせを作り上げるのがグリズリーズだけど、3Pを基本にドライブしてもキックアウトが中心のジャズ。だからこそゴベアーはゴール下専任になっている。

ショットクロックがなくなったところで、ドノバンの片足ジャンプの3Pが決まれば、コンリーも続き、試合序盤に抜け出したのはジャズ。この3Pにディフェンスが広がったら、すかさずゴベアーにパスが出てゴール下ダンク。ボグダノビッチも上手く合わせてイージーなゴール下。ってことで3Pのジャズがスペースを作れて行くのに対して、ドライブから始まるグリズリーズは堅実なので爆発しない。

開始5分くらいで8点差、9点差になってから、ずっと「あと1本」なのに、グリズリーズオフェンスは絶対に崩壊しないから、どうしても二桁点差になりません。ジャズからすると、ずっと気持ち悪い展開。スナイダーもそう思っているのか、自分たちの流れは悪くないのにクラークの3Pが決まったところでタイムアウト。

残り1分半、イングルスの3Pで再び9点差にするも、ダンクに行ったゴベアーをグリズリーズの誰かが後ろからブロック。全員の寄せが早くて誰が触ったのかわからん。やっぱり二桁にはならないぜ、、、と思ったら、オフェンスリバウンドを繋いでニヤングの3Pが決まります。

ずっと粘っていたグリズリーズでしたが、セカンドチャンスまでは防ぎきれない。これで崩壊したようにオフェンスミス連発になってしまい、14点差に広がって1Qが終わりました。

両チームが似ているのはバランチューナスとゴベアーに代表されるセカンドチャンスです。これがジャズ側には出てきたけど、グリズリーズは封じ込まれたのが大きかった気がする1Q。そこで差をつけられないならディフェンスからの速攻で頑張るしかないね。

◎トラブルオフェンス

そんな感じの2Q序盤はバランチューナスがゴベアーを抑えてくれるのでダンクが生まれず、でもバランチューナスもゴベアーに止められるぜ。クラークソンやコンリーの3Pが続けた外れると、リバウンドから速攻に持って行ってタイアス&ウィンスローで点差を縮めます。

バランチューナスがオフェンスリバウンドまで頑張ったことで、グリズリーズの方が良さげになっていくのですが、3Pが決まらない。ここで1本決まれば一気に追い上げられそうなのにね。しかもグレイソン・アレンはクラークソンの3Pに遅れてタックル。何してんだ。

1Qはジャズが二桁点差にするのに苦しんでいた印象ですが、2Qはグリズリーズが一桁点差にするのに苦しんでいる印象です。何回か1桁になるんだけど、そのたびに自分たちのミスがあって二桁に戻されている。

そしてドノバンのミドルと3Pで残り6分には逆に17点差に広がってしまいました。自分たちのリズムで始められた2Qだったのに、決めきれないとこうなってしまう。タイラー・ジェンキンスは何度もタイムアウトをコールしているんだけど、どうしてもオフェンスが改善しないね。

そのタイムアウトの後も、ドノバンに速攻を作られるし、ミドルも決められるしでディフェンス面も止められない。なんだけど、突如としてアレンとベインで3P連発です。まぁドノバンにはステップバック3P決められるし、フェイバーズのプットバックで20点差に広がっちゃうんだけどさ。

うーん、ちょっとどうにもならなかったグリズリーズオフェンス。3Pが決まったのも「ディフェンスを崩しきれないから3P打つしかない」ってことかもしれません。バランチューナスがコートに入れば、セカンドチャンスも含めて踏ん張れるんだけど、ベンチに下がると本日はティルマンがいないこともあって苦しい。なんでジェンはバイアウトされたんだろ。

シューターとエースが足りない(どっちもJJJの仕事)なのは前から分かっていたけど、ジャズが相手になったことで他にも足りない感じが出てきてしまいました。ブルックス、ウィンスロー、ベインなんかが仕事しているんだけどね。ドノバンのエースっぷりに押し込まれてしまったのかも。

最後はモーラントが3Pを決めた事もあって前半は16点差で終わります。モーラントは、もちろんグリズリーズの中心ですが、基本はプレーメーカーなので、周囲が決めてくれないとさ。勝負所なら自分で得点するけど、それがベースではないからね。

◎モーラント

ボグダノビッチの3Pで再び20点差になる後半ですが、モーラントがガンガン行く事でオフェンスの改善を図ります。コンリーとゴベアーをひきつけてバランチューナスにアシストは、この試合初めてかも。

モーラントはオフェンスリバウンドも奪い取り、普段以上にチームを引っ張ろうとします。マークがコンリーなので、確かにインサイドにいるのは有効。速攻でトラベリングしちゃうミスもあったけど、バランチューナスと共にインサイドファイトでオフェンスを繋いでいきました。

すると周囲も決め始めます。モーラントが絡まなくても、ブルックスが見事なフェイダウェイでゴベアーのブロックの上からミドルを決め、アレンはドライブ、カイルは3Pで続きました。それぞれチームオフェンスではあるけど、ハンドラー個人のフィニッシュなので「合わせに拘り過ぎるな」という修正をしてきたのかも。

逆にジャズはコンリーとゴベアーの合わせでパスミスが出てしまいます。キックアウトを受けたオニールがシュートを打たないのを読まれてウィンスローにチャージングするし。

そして遂にモーラント→クラークの合わせのアリウープがでて、しかも&ワン。その次はモーラントが加速してファールドローってことで、グリズリーズが10点差まで縮めます。

エースの奮闘から始まったけど、オフェンスの流れとしては1つひとつを修正し、その結果としてチームでやりたいこと復活してきた感じです。こういうことが出来るのはモーラントの良さだよね。単にアシストしているのではなく、ディフェンスやオフェンスリバウンドでも頑張れるし、自分で行く形で成功しても、そこに拘らずにチームメイトを使う形に戻せる冷静さ。

そしてモーラントはフェイバーズに真正面からコンタクトしてゴール下を決めきれば、ゴベアー相手になっても同じように高さ勝負のレイアップに挑み、滞空時間の長さを生かして落ち際に左手ゴール下を決めます。ジャズのディフェンスの長所に真っ向勝負だぜ!

残り1分、イングルスの3Pで13点差に戻すジャズですが、モーラントがドライブで抜け出してからバックビハインドでバランチューナスにアシスト。同じようなパスからウィンスローの3Pは外れるも、バランチューナスがオフェンスリバウンドでファールを貰い、88ー79と9点差で3Qが終わります。

〇3Qのモーラント
10点
3アシスト
2オフェンスリバウンド

数字にすると、そこまでじゃなんだけどね。そこはPGらしさっていうか、モーラントが自分のプレーでチーム全体を修正したような形でした。ザイオンみたいなモンスタースタッツじゃないのに凄みがあるっていうね。

またグリズリーズディフェンスはコンリー&ドノバンをFG1/10に抑えました。ドライブに対して手を出すってのもありますが、どっちかっていうと「パスをさせない」ことで気持ちよくプレーさせなかったような。

◎エース勝負

だってイングルスがドライブからキレイにゴベアにパスを通されるとダンクだもんね。バランチューナスはパスコース塞げよ。次のオフェンスはクラークソンのドライブに出ていかなかったバランチューナスによってゴベアーへのパスが出ませんでした。修正しているから、本当にそんな狙いっぽい。

ならばクラークソンに託すコンリー。そりゃそうだな。自分で行くならクラークソンのお仕事。プルアップ3Pにドライブでのファールドロー。4Q開始2分半で点差が17点に広がってしまいます。

なんせモーラントがいないとオフェンスが決まらないんだもん。仕方がないから3Qフル出場のモーラントを戻します。戻ってきたら2分で9点差になります。モーラントが素晴らしかったわけじゃないんだけど、トランジションに持ち込みまくりました。セットしたくないんだろうな。

グリズリーズはドノバンに対して素晴らしいディフェンスをしていて、初めはブルックスがボールを持たせないように付きまとい、スイッチさせられてもモーラントやカイルが抜かれないことを優先しながらタフショットにさせていきました。ただドノバンに向かっていった分、クラークソンが楽になり、スピードで振り切ってのレイアップが決まり、10点差前後をうろうろします。

このレイアップの時にクラークソンの肘があごにヒットしていたクラークがロッカーに下がります。ゴベアーにはバランチューナスがいいんだけど、ドノバンを止めるならクラークが良かったんだよね。

残り3分半、タイムアウト明けのジャズはドノバンがドライブからファールドロー。バランチューナスのヘルプが中途半端になったところでした。さらにドノバンの3Pで突き放しに行きます。さっきまで死んでいたのにね。

しかし、グリズリーズはここにきてアレンとブルックスの連続3Pで6点差にします。両手を叩いて鼓舞するモーラント。なんだかイケそうな雰囲気。

が、またドノバンが3Pでアンサー。なんだけどモーラントがまたも正面から滞空時間の長さでゴベアーの高さに挑み、ファールを受けつつ、落ち際のシュートで&ワン。エースのやりあいだぜ。残り1分半6点差。

タイムアウトのジャズは、ドノバンがまたもドライブで抜け出しレイアップ。モーラントもドライブで切り込むもシュートは決まらず。それでもオフェンスリバウンド勝負でファールドロー。どっちも引かないぜ。

観客を煽るドノバン。ドライブでディフェンスを3枚寄せたところでオニールにキックアウトしますが3Pが決まらず。モーラントはボールも貰えないのですが、バランチューナスがオフェンスリバウンドをもぎとりブルックスの3Pが決まったので、残り30秒で3点差に縮めます。

いやー、見事なまくりを見せたぜグリズリーズ。20点離れたのに、ちゃんと終了間際にはワンポゼッションまで追い上げるもんな。何度もタイムアウトを使って細かい修正を繰り返して崩壊させなかったのが印象的です。

ここで決めれば勝ちのジャズは、もちろんドノバンの個人技勝負。ブルックス相手にドライブを仕掛けも、流れながらのシュートは決まらず。しかし、ディフェンスも崩れていたのでリバウンドを取り切れずゴベアーのところに落ちてしまい、腕を振り回したカイルのファールがコールされ・・・なかったので、グリズリーズボールに。マジで。

残り13.3秒で3点差。3点差だとモーラントじゃないんだよね。ブルックスがブロックに来たゴベアーの上からハイアーチ3Pを打ちますが、リングに嫌われます。リバウンドはモーラントとコンリーが競ってジャンプボールに。

ジャンプボールに勝って3Pを打つ体勢のグリズリーズ。ところが、このジャンプボールをまさかのコンリーが制します。ってことで3Pラインの内側にボールがきてしまいゲームオーバー。

◎柔軟さ

エースの打ち合いとなった終盤ですが、どっちのエースもラストプレーでミスってしまうっていうね。

ジャズは具体的に悪かったことはないのですが、もう少し柔軟さを持てないんですかね。ローテも決まっているから「次に何をしてくるのか」がわかっていて、グリズリーズもそれに合わせたゲームプランをすればよかったという後半でした。そりゃあ細かい策は通用するよ。

例えば、モーラントが活躍している時間帯はオニ君の使い時だったと思います。ディフェンダーを1枚加えてオフェンスは他の選手で調整するような柔軟さが欲しい。単にそれをしていないだけでなく、シーズンを通してローテを変えるトライアルをしていません。

ジャズが勝っているのは、みんなが健康に過ごせているからなんだけど、健康だから柔軟にしなくていいっていうのも微妙だね。

それに比べると、柔軟さしかないようなグリズリーズ。いつも違うローテで戦っているイメージだしな。これがタイラー・ジェンキンスを支えているんだろうけど、バックスと全く違うのも面白いね。

いい試合ではあったけど、戦力差がある中でグリズリーズの方が工夫があったなあ。強い方が不安になってしまう典型的な例だった気がします。デッドラインで刺激がなかったのは充実している証拠ですが、だからこそもう少し自発的に柔軟性を発揮して欲しいのでした。

ジャズvsグリズリーズ” への5件のフィードバック

  1. MEMは西でこの面子で何故この位置にいられるんだろうと不思議なんですが、試合中の修正がいいんですかね。ただこれより上に行こうとすると途端に難しそうなのも西ではありますが。

    1. 良い選手になるように育てていき、どこかでスターとトレードするのが勝てるようになる条件ですね。
      ブセビッチ狙っても良かったかもしれませんが、まだ指名権を捨てるほどではないかな。
      よいHCがいると、トレードバリューの高い選手が増えるので、モーラント頼みにしないこともトレードのためには大切だと思います。

      このままだとJJJの契約は安く出来そうですし。

  2. 久々のユタ戦ありがとうございます。
    相手に関係無く、同じことをやり続けるユタですので、次の登場はプレーオフかなと思っておりました。笑
    本当にいつも9人以外では、オニぐらいしかまともに起用されていないので、ファンとしては、せっかく取ったイリヤソバをプレーオフまでに、相手のローテを見ながら試しておいて欲しいところです。
    あと恐らくコンリーは今シーズンが最後だと思うで、どうにかドラモンドがロスに来ないで欲しいです。。

    1. ドラモンド着ちゃいましたが、コンリーも再契約前向きみたいですね。

      ドノバン君が欠場の試合でTWEETしまくるのが面白いです。

  3. やはりこのゲームも勝ち切ることは出来ず・・・
    でも、みんな頑張っているからなーーー
    まぁジャズが強かったですね。3Pで広げてゴール下ダンクっていうので、点差広げられて、先手を取られすぎて、最後までとらえきれず・・・
    オフェンスがうまくいかいときに点を取れるエース(ディロンブルックスは非常に頑張ってる!!)とビックマンをカバーできるディフェンダーが足りませんね、JJJですね。
    まぁ大崩れせず、最後までPO争いできればいいかなー

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