ブレイザーズvsサンズ

2021/3/11

オールスターでプレーしなかったブッカーだけど後半の開幕に間に合いました。確か例年だとプレーしちゃいけなかった気がするけど。前半戦最後にグッと順位を上げたサンズはリーグ首位も狙える位置。とはいえブレイザーズとのゲーム差も小さく、大事な試合です。

ダンクチャンプはサイモンズ。昨シーズンのデリック・ジョーンズと2人のチャンプがいるけど、ダンカーなチームではないブレイザーズ。マカラムとヌルキッチ、そしてザック・コリンズとスターター3人がいないとは思えない勝率。昨シーズンはヌルキッチいないだけで苦労しまくったのにね。

◎リードしているけど劣勢

ジャンプボールの流れから走ったエイトンのアリウープダンクで始まったサンズはブッカーの3Pで続くと、ドライブ・ポストアップ・カッティングと様々なパターンを駆使してインサイドを攻略に行くサンズ。よくもまぁ3P時代に、この形で攻略できるよねって話です。

一方でブレイザーズはリラードのディープ3Pも決まればコビントンも3P。外れたシュートはカンターのオフェンスリバウンド押し込み。超現代的な「ディープ3Pとゴール下」で構築していきます。

かなり対照的でありつつも、サンズのようなペイント攻略を優先するのも流行系になり始めたので、戦術的に優れているのがどちらかではなく、完成度が高いのはどちらか、という戦いっぽくなっていきます。

互角で進む序盤でキーになっているのは、カンターがオフェンスリバウンドでの強さを発揮できるかというブレイザーズと、ピックアップの悪いディフェンスを見越してトランジションを仕掛けるサンズという構図です。普段のサンズはここまで走らないよね。ってことで、内容は対照的だけど起点は「ブレイザーズのオフェンスの終わり方」です。シュートが決まればいうことなし、外れた時にカンターがとれるかどうかで、とれずにサンズがキープしたらカウンターです。

1Qだけで4つのオフェンスリバウンドを奪ったカンターに加えて、カーメロの3P、リラードのリバースレイアップと続いていったのでブレイザーズリードなのですが、それでも3点程度のリードなので「こんなに頑張れているのに互角」という結果はサンズ優勢に見えます。

カンターがベンチに下がった残り3分。しかし、ここでもカーメロとリトルがオフェンスリバウンドをキープしていきます。なお、リトルをセンターっぽく使っているのは面白い判断です。ウイングとしてはスキル不足だけど、センターにも負けないフィジカルがある。ディフェンス面でも運動量が多いからインサイドへのパスを許さなかったブレイザーズ。

それでもサンズはクラウダーとペインの3Pでワンポゼッション差から離されません。最後にスティールから速攻に行ったコビントンがレイアップミスしたことも手伝って33-30と3点差で1Qが終ります。

〇オフェンスリバウンド
ブレイザーズ 7
サンズ 0

〇FG
ブレイザーズ 48%
サンズ 56%

セカンドチャンスが大きく違ったのに3点差ってのはアンフェアだ。どこかでサンズが3本くらい守ったら簡単に逆転しそうなのでした。どうみても劣勢なサンズが3点しかビハインドがないのだから、それはむしろ優勢だよね。

◎リラードとブリッジス

サイモンズのフローター、リトルの3Pでリードを広げたブレイザーズでしたが、カーメロがオフェンスファールをコールされ、さらに3Pを打つとノーファールのコールにクレームしてテクニカル。またも点差が縮まってしまいます。サイモンズの3Pはリングの内側をくるっとまわってはじき出されるし、エクストラパスを出そうとしたコビントンの先にいたのは、ユニフォームと同じ色のパーカーを着ているモンティ・ウィリアムスだったし。

これでずっと接戦だったのですが、サイモンズが3Pをヒットすると、続いてトレントもヒット。一気に10点差に突き放すことに成功します。逆に言えばサンズはサンズで接戦にはしているけど「あと1本決まれば」というオフェンスはことごとく失敗してしまいました。

クリス・ポールが3Pで反撃するもカーメロも3Pで対抗。さらにサイモンズが3Pで追撃。リラードをベンチに座らせたままでも3Pオフェンスで優位に立っていきました。特にサイモンズが別人みたい。ダンクチャンプの称号が自信をもたらしてくれたかのようです。

ところがリラードが戻ってきたらサイモンズの3Pが外れ、カウンターでブッカー→ブリッジスの速攻。リラードのパスを読んだネイダーのスティールからブッカーのファールドローと1Qのようなトランジションで流れを取り戻しに行きます。

基本的にリラードに対してはピック&ロールがあればダブルチームにいくなど対策徹底しているサンズなので、リラードがコートにいる方が狙いが実現しやすい面もありそう。もちろんフリーの選手にパスを出されて3P決められるシーンもあるのですが、ボールが止まるから振り回されることが少ないよ。それでいてフリーになる選手は3Pが多いからロングリバウンドから走ることも徹底さ。

ハーフコートオフェンスで3Pを決めたブリッジスは、さらに速攻に走ってリラードのファールをもらいながらのレイアップ。これで2点差に縮めます。リラードのマーク担当のブリッジスですが、攻守の切り替えでは明らかにリラードよりも早く動き出しており、これがカウンターに繋がっています。狙われていたのはリラードだったのか。

前半は60-60で同点。2Q残り4分40秒でリラードがコートに戻ってきた時には11点リードだったのですが、そこから16-5のランでした。1Qに取りまくっていたオフェンスリバウンドがなくなった瞬間に一気!というのは事実でしたが、そこにはリラードのマークに立ったブリッジスのランニングが重要だった形なのでした。

◎三度

リラードのドライブにカンターのオフェンスリバウンドもあって後半も先手はブレイザーズ。エイトンはカンターへの対応を修正しないといけなかったのに、問答無用にやられているね。「気持ちで押し切るぜ」なゴリゴリ君タイプに弱いエイトン。

でもリラードのパスはブリッジスがカットして、またもカウンター発動。最後はエイトンがプットバックで対抗します。ブレイザーズもカウンター対策を修正することが出来ていません。そしてエイトンは続けてオフェンスリバウンドを押し込み、やっぱり接戦が続くよ。そして「決まれば逆転!」のシュートは外してしまうブッカーってのも変わらない。

リラードに対するブリッジスがポイントでしたが、リラードのオフェンスそのものは止められていないけど、カウンターでブリッジスが取り返している構図は、ブッカーvsコビントンにもあって、3Pとドライブで得点したコビントンが13点まで積み上げます。この時点でブッカーは15点なので、ここのマッチアップも互角。まぁブッカーはコビントンを守っているわけじゃないのですが。

コビントンの得点によってリードを保っていたブレイザーズは、リラードがvsエイトンになったら狙いすましたステップバック3Pを決め、再び9点リードに広げます。シュートが決まればカウンターはないぜ。

リラードがディープ3Pを決めると、ブッカーはミドルで返し、トレントが3Pを決めるとクリス・ポールがミドルを返す展開が続く中、違いを作ったのはベンチから出てきたリトル。オフェンスでロングリバウンドを抑えたことでカウンターの機会を減らします。さらに自身もドライブ&ワン。そしてリラードの速攻に後ろから追いつきダンク。

サンズはハーフコートオフェンスで取り返すので、点差そのものは開きませんが、ここまで機動力ではサンズが明確に上回っていたのに、リトル投入からはむしろブレイザーズの方が運動量で上回ってすらいます。動かないカーメロとかリラードとかいるのにね。「スキルの足りないウイングはセンターにしろ」はホーネッツのブリッジスなんかもやっているし有効だよね。

ところが、この展開に戸惑ったのか、カーメロのシュートがことごとく外れてしまいます。それに対してジャンプシュートを沈めていくブッカー。カーメロ相手のプルアップ3Pもヒットして3Q終盤に近付くにつれて点差は縮まっていき、最後はリラードのレイアップが外れて4点差で終わるのでした。

ということで3Q連続でブレイザーズがリードを奪っては、終盤になってサンズが追いついていくのでした。それぞれ内容が異なるのは面白いところですが、サンズからすると後は4Qでまくるだけです。でも、クラッチタイムはデイム・タイム。面白い展開になってきたね。

◎クラッチ勝負の前に

サリッチのフック、ネイダーの3Pで1点差にしたサンズ。さぁあと1本で逆転だ。これまで散々外してきた「逆転シュート」ですが、ここではファーストチャンスでペインが3Pを決め、遂に逆転に成功します。4Qになって先手はサンズに動いたよ。

さらにサイモンズのドリブルを奪ったブリッジスの速攻(サイモンズのファール)と流れは完全にサンズへ。前半は3Pを決めまくっていたサイモンズはレイアップもミスしているし、ってことで残り8分40秒で早々にリラードが戻ってきます。前半休んでいたんだから働け、ってことか。

でも、こんな時にプルアップ3Pを決めちゃうクリス・ポール。続けてカーメロから狙いすましたファールドローしてフリースローで7点リードにします。トレントが3Pを返すも、クリス・ポールのキックアウトからクラウダーも3P。主導権は渡さない。

クリス・ポールがベンチに下がってもブッカーがポストアップからのゴール下で続き、さらにプルアップ3Pで10点リードに。クラッチタイムに持ち込ませないで試合をクローズできるのか。

サンズは勝負強く得点しているのは事実ですが、勝負所でディフェンス力を上げているのも特徴です。やられまくっているエイトンは起用せず、サリッチ、クラウダーにインサイドを任せると同時に、スイッチしてもリラードにプレッシャーをかけられる選手を起用しています。

これに対して、やっぱりリラードばかりになってしまうブレイザーズ。それが守りやすくしているのは前半からの流れなので、打開点を見つけられません。リラードが絡まなかったプレーでは、デリック・ジョーンズのバックドアカットも決まっているので、マカラムが恋しい。

残り2分半、リラードがドライブ&ワンを決めて10点差。カンターを下げてカーメロを投入し、機動力と3P勝負に切り替えます。

時間を使うブッカー。サリッチの3Pが外れるもクラウダーがティップしてマイボールにするとクリス・ポールも時間を使います。一方で早く攻めたいブレイザーズはハーフラインを突破したところでリラードが3P。でも決まるんだこれが。

しかし、今日はどうもトレントがイマイチ。パスが回ってきたところでコーナーでフリーになっていたカーメロにパスをせず、自分で打つもののミス。

結局、時間を使ったオフェンスを展開するサンズに対して、じらされるようにオフェンスを急ぐしかなかったことで確率もイマイチ。クラッチ勝負になる前にリードを広げ、堅実な逃げ切り策をうてたサンズが見事に競り勝ったのでした。

ブレイザーズを相手にしたときに理想的な勝ち方だった気もします。4Q序盤にリードを得たのが大きいわけで、ペインの逆転シュートやクラウダーの3Pは重要でした。安定して勝つにはベンチの構成はとっても大切と認識させるような展開にして、試合のクローズもオフェンスは時間を使って、ディフェンスの強度を上げるところまで完璧でしたとさ。

終わってみればエイトンは22分40秒の起用で、クラウダーとサリッチの方が長くなりました。柔軟に切り替えた采配が光り、カンターのオフェンスリバウンドは6で止めました。エイトンはもう少し頑張れよ。ブリッジスとペインがFG80%なんて確率だし、チームで59%です。堅実なシュートチョイスが目立ったわけですが、同時にバランスアタックでもありました。

一方でブレイザーズも前半はベンチメンバーの活躍が目立っており、そこを強化できているのが良かったわけですが、後半はベンチで差をつけられてしまいました。マカラムがいないので仕方がないのですが、いないからこそ強化に繋がっている面もあるので、苦しい時期をプラスに変えられるといいですね。

ブレイザーズvsサンズ” への2件のフィードバック

  1. なかなか見応えのあるゲームでした。
    最近のサンズは、こんな感じのゲームが多いような気がします。
    前半、僅差で負けて、中盤は五分、後半ひっくり返すみたいな。
    ブレイザーズ、強いです。
    これにマッカラム、ヌルキッチ、コリンズと戻って来るとは。
    ダークホースとなりそうです。
    ブッカーには、ジョーンズ、コビントン、トレントとDのいい選手を付けて来ましたが、苦労しながらも、何だかんだで点を取る姿に成長を感じます。
    クリスポールと二人、高確率でミドルのジャンパーを決めてくれるのは、サンズの大きな武器です。
    4Qは、エイトンを使わず、サリッチを使った采配は素晴らしかったと思います。
    サリッチのあの、粘り強いポストプレー。
    エイトンに真似して欲しいものです。
    ドラモンドを取るような話も出ていますが、流石にバイアウトはないでしょう⁉︎
    チームもかなり熟成して来ているので、ベンチとかもあまりいじって欲しくないのですが、如何でしょうか?

    1. 補強したいのはわかりますが、今のバランスは難しいですよね。
      エイトンとサリッチを考えると、ドラモンドが欲しいってのはわからなくはないものの、ドラモンドも戦術が強いチームでプレーした経験に乏しいので、どうなるのかわからないですね。

      ウイングディフェンダーは充実しているので、レブロンやレナード対策はあるものの、ADやヨキッチ対策を考えるとプレーオフに向けて動こうかどうしようか、迷いどころなのは事実だと思います。ドラモンドはサラリーが高いものの、今シーズン限りなのでダメなら簡単に見限れますし。

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