ブルズvsサンズ

2021/2/26

オールスターに誰が選ばれるかなんて毎シーズン揉めるし、大都市のチームばかりが優遇されるのなんて今に始まった事じゃないさ。だけどクリス・ポールが選ばれてブッカーが選ばれないってのは意味わからん。あれでサンズにとって最重要選手がクリス・ポールみたいになっているじゃん。どこからどうみてもブッカーなのにね。

ウエストの2位争いをしているサンズは、ケガ人も戻ってきたし、調子よく過ごせています。レイカーズが不調の内に、順位を上げておきタフスケジュールが加速する後半戦に備えたいところ。プレーインに巻き込まれないくらいの勝率にして終盤戦に向かえば、プレーオフでも優位じゃん。

そのプレーオフに進むためには5割あれば十分という異常なイースト。この試合に勝てばブルズは5割に到達します。開幕から苦しんだけど、ヤング&テンプルが主力になってからは好調で、マルカネンいなくても関係ないじゃん。デッドラインが近づいてきてヤングのトレード話が注目されていますが、プレーオフに進める勢いなのに手放す意味ってあるのか? むしろオフにRFAとなるマルカネンを処理しておかないといけません。

そういう意味ではブルズは「サディアス・ヤングを手放して、有望株や指名権を手に入れる」という未来への投資もあれば、「マルカネンを手放して、堅実なベテランを補強する」という後半戦に向けての戦力強化を目指す道もあります。デッドラインに向けて今を取るか、未来を取るか、GMは選択を迫られているかもしれません。

◎崩されたサンズ

ブッカーの鮮やかなドライブ連発に、エイトンのミドルで先行するサンズ。それ以上にディフェンスの強みを生かし、ブルズにほとんど何もさせず10-4となってブルズがタイムアウト。その後もエイトンとクリス・ポールがミドルを決めれば、ブリッジスがオフボールカットでレイアップ&ワンとオフェンスは崩れません。

しかし、ブルズはパトリック・ウィリアムスがドライブダンク。パトリックは素晴らしかったけど、クラウダーがらしくないルーズなマークで簡単にドライブを許してしまいました。ここからテンプルがオフボールムーブからの3P、ラビーンのドライブと効いていたディフェンスが崩れていきました。

サンズのディフェンスは個人個人がしっかりと守ることが基盤にあり、そのうえで出来るだけセンターはリムプロテクターにするためにインサイドに置き、引き出されたらウイングがカバーに入る形になっています。これにブルズは攻めあぐなる面もあるのですが、ピック&ロールからラビーンが3Pを打つプレーが有効で、これが決まるとマークのズレが作られていきました。こういうハンドラー相手にはスクリーンを交わすのが上手いブリッジスが対応することが多いんですけど、交代してベンチに下がっていたね。

加えてサディアス・ヤングが登場すると、ローポストアタックが決まります。ワンビッグの時間帯だと、そもそもミスマッチなのでねじ込みに行くヤング。開始5分で4点に抑えていたディフェンスは、3Pとポストアップから失点してしまい結局1Qは26-26の同点で終わりました。

個人が頑張るのが基盤にあるから、個人のマッチアップ勝負に持ち込まれて失点した形です。これって修正するのは「みんな頑張れ!」っていう根性論になるような気が・・・。

◎好循環のブルズ

2Q序盤のブルズはラビーンもホワイトもベンチ。サトランスキーとアーチディアカノを並べて組み立てます。でも、本当のプレーメイカーはサディアス・ヤング。マジで最近の貢献度が半端ないね。ただ、この形が増えたことで個人のレーティングは悪くなったけど。

1Qのこともあって、ヤングに過剰反応していたサンズディフェンスがダブルチームに来るので、ポストからパスを通していくヤング。同時にヤングにボールが入ったら、周囲は動き回っていくので、上手く回り始めているよね。そしてパスを出す先がなければ自分でドライブして点を取ります。

このユニットに手ごたえを感じているからか、4分以上これで戦い、次の交代もヤング→ヴェンデル・カーターです。ラビーンとホワイトを休ませるビリー・ドノバン。勝てていることがプレーに自信を生み、それがローテを楽にし、さらに勝てるようになっていくような好循環だよね。

まぁ3年前も連勝街道まっしぐら!になったら、GMが負けるように仕組んでいったのがブルズなので、これをキープするのも難しいけどね。

ブルズディフェンスはとりあえずインサイドを優先して塞ぐような形なので、クリス・ポールのミドルには困らされたものの、安定したサンズってこともあり、ずっと接戦で就ていきました。そして残り5分になって、やっとホワイトを戻す余裕の采配。

そのホワイトがペインを抜いてレイアップを決めると、バレンタインはハイポストからのフローターで残り4分で逆転します。続いて戻ってきたラビーンは、ホワイトがターンオーバーしかかったところでルーズボールが流れてきて、落暉ナーフリーになると、しっかりと3Pをヒット。そしてホワイトがドライブレイアップで、あっという間に6点リードになります。

負けていても慌てることなくベンチメンバーで繋いでおき、主力が戻った途端に一気に逆転する。強豪のような落ち着き払った見事な試合運びのブルズ。らしくないことこの上ないですが、ベンチのレーティングが優れているのが大きな強みです。

そして驚くほどにサンズディフェンスが対応できないオフェンスを展開していきます。ホワイトのパスを受けに行くラビーンが方向を変えてバックドアカットすると、インサイドには誰もいなくてイージーレイアップ。スイッチさせてからクリス・ポールを押し込んでイージーなゴール下のヤング。そしてポストアップのヤングがドライブからキックアウトでホワイトの3P。

何がスゴイかというと、カーターとヤングの2人を起用しているのに、フロアを広く保てていること。特にラビーンのバックドアカットは、チームとして見事だったぜ。テンプルとヤングがコートにいると強い理由は、何でもない時のポジショニングだったりもします。

ということでオフェンスで圧倒した2Qのブルズ。休養十分で元気いっぱいのホワイトが躍動し、トドメはラビーンのプルアップ3Pで58-46と12点リードで折り返します。

◎苦しくてもサンズ

後半開始直後もドライブダンクに行ったホワイト(ファール)、エイトンへのパスをカーターが回り込んでカットし、そのまま速攻に持ち込んでラビーンのレイアップとリズムのあるブルズ。ラビーンのタフ3Pになったオフェンスでも、テンプル→ホワイト→カーター→ホワイト→ラビーンとパス交換していくのでリズムは失われないよね。

サンズが苦しくなっているのは、ブッカーのところからしか突破できていないこと。そしてブッカーがシュートに行けば連続で&ワンを奪うのですが、得意のインサイド合わせにしてもカーターのディフェンスに阻まれることが多く、ブッカー自身もテンプルのディフェンスには苦労しまくり。パスアウトからブリッジスの3Pは決まるから、全てがダメなわけじゃないけど、ストロングポイントは潰されています。

でも、そんなことで止まっていたらオールスターじゃないぜ。ブッカーは自分で行って決めきることで繋いでいきます。見事なドライブで追い上げていくぜ。今のブッカーがスゴイのはディフェンスが優れていても、ドライブする手段を見つけてしまうこと。3Pに頼らなくてもいいんだ。

カーターもベンチに下がったし、これで行けるかと思ったらブルズはコーネットがコーナーから連続3P。3本目はトップから決めて立て続けの3本で12点差に広げてしまいます。これが勝っているチームの怖いところだよね。チームのやり方に自信があるから無謀な突破は減ってシンプルなパスが出てくる。それだからベンチから出てくる選手が次々に活躍していく。

でも、それはサンズも同じか。この苦しい状況にもかかわらず、ブッカー以外をベンチメンバーにします。安心と信頼のベンチメンバー。カム・ジョンソンの3Pに、カミンスキーのドライブが決まると、ファールっぽいけどヤングを囲んでスティールして速攻。この速攻はブルズにいったんは止められるも、後ろから走りこんできたネイダーが抜け出してドフリーのダンクで7点差にします。ついでにヤングへのファールコールがなかったことにビリー・ドノバンがクレームしてテクニカルで6点差。

タイムアウトのブルズは、しっかりと守ったものの、ショットクロックがなくなって打ったカミンスキーの弾道の低いディープ3Pがリングを転々と跳ねてから決まるアンラッキー。それでもブッカーのドライブをパトリックが止めると、今度はヤングのオフェンスリバウンドからショットクロックギリギリで打ったテンプルのタフミドルが決まって、81-74となって3Qが終ります。

一芸しかない上に弱点も多いコーネットやカミンスキーが活躍する世界線っていうのは、かなりの脅威なのですが、その一芸をしっかりと使ったうえで、弱い部分はチームでカバーできる。それが両チームが好調な理由なのでしょう。まぁ意図的にカバーしているのはサンズの方で、ブルズはそういう気の利いた選手を起用することでカバーしている感じなんだけどね。

◎エイトン!!!

ブルズは3Qラストプレーのディフェンスでホワイトが足をひねってしまいました。必然的に2Q序盤のようなラインアップで4Qにはいります。前半に休ませたのに後半にケガしちゃうとかアンラッキー。

さすがに慣れてきたのか、インサイドをぶ厚くしてブルズの勢いを止め始めたサンズ。ブルズっていうかヤングを止める感じだね。ホワイトがいないから、インサイドのプレーメイカーを止めておけば攻撃力が大きく落ちるぜ。これで早々にワンポゼッション差になります。

ただ、やっぱりブッカーのいないサンズもオフェンスに困ります。ネイダーやムーアが機能しているからペインのプレータイムが減ったのかもしれませんが、クリス・ポールだけだと突破力不足だね。ってことで、アーチディアカノに3P1つ食らっただけで、追い上げムードが停滞するよ。

お互いに停滞気味ってことで、残り8分でエース達が戻ってきます。ロッカーに下がっていたホワイトも無事に戻ってきたよ。ただカーターじゃなくコーネットにしていたことで違いが出てしまいます。

ここで本日いいとこなしだったエイトンがハイポストからブリッジスへ絶妙なパスを通すと、クリス・ポールのパスを受けてターンシュート。ホワイトのドライブはブロックし、ラビーンの3Pに立ちはだかって24秒オーバーに。そしてエイトンのディフェンスリバウンドから、クリス・ポール→ブッカーと繋いで最後はカム・ジョンソンが決めてサンズが逆転します。エイトンはさらにミドルもヒット。

ラビーンからスティールしたブリッジス。そこからブッカーが速攻に持ち込むとホワイトに衝突されバランスを崩しながらレイアップに行きます。どうみてもファールだったのに、ノーコールの上でトラベリング。なんかホワイトとラビーンにはとっても優しいホームコートアドバンテージだな。そしてこの判定の後でラビーンが3Pを決めたので流れが大きく変わりそうなレフリーコールになりました。

でも、関係なかったサンズ。クリス・ポールのミドル、ブリッジスの3Pで突き放しに行きます。エイトンが連続得点したことで、ブルズディフェンスは的を絞れなくなり、あっちでもこっちでも点を取られてしまう。そしてブッカーに引き付けられてエイトンがドフリーのダンクさ。

エイトンが再びホワイトをブロックし、そのトランジションからカム・ジョンソンが3Pで残り3分で9点リードのサンズ。その後、フリーの3Pを打たずにドライブしてターンオーバーするクリス・ポールのオトボケプレーはあったけど、守っては24秒オーバーに追い込み、攻めてはクリス・ポール&エイトンのピック&ロールでダンクに。そしてホワイトのパスをチームでスティールして、速攻からブッカーがファールドロー。

ってことで、最後は熟練度の差が出まくったね。どちらも勢いがあって好循環が生まれていますが、サンズの方はこういうチームを目指して戦術を構築し、作り上げられているから熟練度が高く、ブルズの方は気の利いた選手を起用することで成立させてきた感じなので、何かが止まるとバランスが悪くなったよ。

〇サディアス・ヤング
13点 FG6/11
10リバウンド 5アシスト

〇うち、後半
3点 FG1/4
5リバウンド 3アシスト

それが何かっていえば、前半にFG5/7だったヤングを止めにいったこと。代わりに後半だけで4つのオフェンスリバウンドを取られましたが、インサイドのキーマンを止めたことでブルズのプレーを制限することに成功しました。

あとブルズは後半にカーターを10分しか起用しなかったのも間違いだったかな。2人並べておけば、こんなことにはならなかったと思います。インサイドでのプレーメイクの重要性を感じているようで、感じていないような采配になってしまいました。

〇4Qのエイトン
8点 FG4/4
3ブロック

逆に試合を決めたのはエイトンの攻守にわたる活躍でした。どっちにしてもインサイドってことだ。15点を奪ったカミンスキーを引っ張りすぎることなく、サンズにとって重要なディフェンス面での貢献と、合わせのインサイドを強く打ち出して、ブルズの良さを消しつつ、自分たちの強みを発揮できたぜ。前半とは逆の展開だ。

〇ターンオーバー
サンズ 7
ブルズ 17

両チームの決定的な差はここでした。負けている展開でも崩れなかったサンズと4Qだけで8つのターンオーバーになったブルズ。サンズがリズムを掴んだ瞬間に一気に持って行かれたよ。まぁサンズも7つのうち6つが4Qなんだけどね。突然クリス・ポールが3つもターンオーバーしたからさ。

ブルズは良い感じになってきましたが、まだまだ最後の一押しが出来るチームにはなっていません。それをトレードで埋めに行くのか、ラビーンとホワイトの成長に託すのか。あるいは時間をかけて成熟させるために未来を選ぶのか。デッドラインに向けて、どう動くのかな。

ブルズvsサンズ” への4件のフィードバック

  1. エイトンはあの4Qの活躍を継続出来ればブッカーやクリスポール同様のオールスター(に準ずる)選手になれるのかなぁなんて思っています。
    この「継続性の無さ」とでも言うんですかね?彼の場合はメンタル的な部分から来ているようにも見えますが管理人さん的にはどう思われますか?

    1. エイトンは相手を叩きのめすようなタイプじゃないですからね。ただ、この試合でいうと「いいとこなし」とは書いたものの、エイトンが悪かったかと言えば、そういうわけではなく、センターとの連携を消されていただけです。

      ちゃんと最後に仕事を出来たのであれば、問題ないかと。オールスタークラスにしたいなら、ヨキッチやADみたいな働かせ方しないといけないので、ムリがありすぎでして。

  2. 自分もエイトンの最大の弱点はメンタルだと思います。
    下手にミドルシュートが上手いもんだから、ポストでもらっても、リングから離れていくシュート、ターンアラウンドを選んでしまう。
    カラダのぶつけ合いを嫌うんですね。
    いい選手なら、ジャブ踏んで、攻めるでしょう。
    リバウンド取っても、Put Backより、パス相手を探してしまう。
    Unselfish過ぎると思います。
    スリーを打つようになったのは、数少ない成長ポイントですが、アーチが低いので、確率が悪い。
    ショートが多い。
    これは、技術的な問題なので、すぐに解決出来るはず。
    インサイドの技術では、ピボットを駆使してのUp & Underのような粘り系のプレーが、ほとんどありません。
    ヨキッチよりもタイプ的にはエンビードのようなセンターになって欲しいです。
    ドミネイトンなる言葉が、エイトンが活躍した翌日には踊りますが、安定して続けられればと願わずにはいられません。
    このままケガ人が出なければ、プレーオフは出れるでしょう。
    ただ、エイトンの存在感、ルーキーのスミスの所を伸ばして行かないと、LAの2チーム、JAZZ辺りには勝てないでしょう。
    それでも、まだチームに伸び代があるのですから、可能性はありますね。

    1. エイトンはゴール下で逃げるのが最大の問題で、そこはもうプレースタイルだし、直らない気がするんですよね。
      代わりにパス能力を磨くとか、ミドルの確率が上がるとかを期待したほうがよいような。

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