ウォール&ビールが越えるべき壁

シーズン前のウォールとビールはやる気に満ち溢れ、強気な発言を繰り返しました。昨季の49勝は彼らにとって自身にもなり優勝を現実的な目標と考え始めたわけです。管理人もそこに期待しセルティックスを上回るイースト2位予想にしましたが、実際には5割前後にいる体たらく。

ウォール&ビールよ、それで良いのか?



サンダーの低迷は期待はずれだけど、チーム再構築に失敗しているだけです。しかし、ウィザーズに関しては昨季のメンバーそのままにシーズンを迎えており、中心選手はゴータット33歳以外は若く充実している時期です。

ウォール 27歳
ビール 24歳
ポーター 24歳
ウーブレイ 22歳

まだまだ伸びる時期の中心選手達

昨季のチームの問題点はベンチの弱さでした。スターターは良いけどベンチがダメダメ。ウーブレイがディフェンスを頑張るくらいで他はもう全く。

今季はウォールが11試合、モリスが8試合欠場しているので、代役となるベンチの影響が大きかったのでしょうか。



◉ベンチの底上げ

昨季はシーズン通して試合に出ていたのはウーブレイくらいでした。補強したボグダノビッチは活躍しましたがペイサーズへ。不安な開幕となりましたが、穴を埋める選手も現れました。

◯ケリー・ウーブレイ
28分 11.2点 FG40.9% 3P36.4%

◯マイク・スコット
19分 9.3点 FG57.2% 3P42.4%

特に目立つのはこの2人。スコットはウィザーズで最もFG%が高い選手です。成長株だったウーブレイはともかく、スコットが台頭した事で単にベンチの層が厚くなっただけでなく、ビール、ポーター、ウーブレイ、スコットとサイズがあってどのポジションでも守る選手が増えました。
1.2ブロックを記録するウォールとサイズがあるサトランスキーも含めて、大きなスモールラインナップが採用できるようになり、戦略の幅が広がりました。



◯トーマス・サトランスキー
17分 5.4点 FG48.8% 3P40.0%

◯ティム・フレイジャー
17分 3.7点 FG41% 3.6アシスト

ウォールの欠場時も2人の控えPGが穴を埋めました。まぁ大きすぎるので簡単には埋まりませんが、ウォールっぽいフレイジャーと全く違うサトランスキーです。

スタッツの通りサトランスキーはシューティング能力が高いので復帰後も重用されそうです。

シュートが決まらないミークスとジェイソン・スミスの大問題はありますが、昨季を考えればかなり強くなったベンチメンバーです。

細かく言えば問題点はあるものの、不満といえない十分な活躍をしているベンチメンバーでした。優勝を狙うには微妙ですが、ロールプレイヤーはしっかりと揃いました。

そんなわけで「やっぱりベンチが弱いチームだからなぁ」とは言わせないわけです。しっかりと層が厚くなり、スモールラインナップ合わせも出来るチームになりました。

戦力的には充実したはずなのに勝ててない。それが今季のウィザーズです。

なお、昨年にセンターの控え、ゆくゆくはスターターとして高額契約したマヒンミは昨季に輪をかけてダメ。ジェイソン・スミスもダメなのでセンターは悩ましいです。



◉落ちたオフェンス

昨季からのチームスタッツの変化を見てみます。

◯レーティング
オフェンス 108.5 → 105.3
ディフェンス 106.9 → 103.4

◯ペース 99.7 → 99.1

とにかくオフェンスがダメ。ディフェンスは向上していますが、オフェンスが悪すぎてハイスコアゲームで勝てなくなりました。そもそも攻守のバランスで戦っていた2年前までが不安定だったので、スコット・ブルックスHC就任でオフェンスに舵を切って成功したにも関わらず、2年前に逆戻りしているのでHCも頭が痛いでしょう。

ディフェンスに力をいれてオフェンスにパワーが残らなくなったのだとしたら、優勝を目指すためには必要な過程かもしれません。今のディフェンスをしながらオフェンス力を昨季の水準まで上げなければ優勝はムリです。



◉決まらないシュート

8フィート未満 57.8% → 57.7%
8〜16フィート 42.8% → 43.0%
16〜24フィート 44.2% → 39.8%
24フィート以上 37.5% → 36.1%

わかりやすく距離が離れるほどにシュートが決まりません。
そもそもウィザーズを定義すると『ウォールの突破力とシューター達のシュートを活かす』チームです。なんかサンダーと似ていますが、用意されたシューターが決められないのでオフェンス効率が上がりません。

◯オープン3P
アテンプト 20.6 → 21.9
確率 38.3% → 37.4%

微差です。どうやらちゃんとフリーでは打てている模様。そしてそれなりに決まっています。この微差にオフェンス力低下の答えを求めるのは難しくなります。

◯3P
チーム 37.2% → 35.8%
ビール 40.4% → 35.4%
ポーター 43.4% → 44.8%
ウォール 32.7% → 31.1%
モリス 36.2% → 37.3%
ウーブレイ 28.7% → 36.4%

アテンプトの多いビールが決まらない事は大きな違いです。相変わらず決まらないウォールもいますが、ウーブレイとスコットも出てきてシューターは増えました。

何とも言えない感じです。ビールだけに責任を押し付けられるのか。とはいえトップスコアラーなのも事実です。必要な仕事。



◯ブラッドリー・ビール
勝ち試合 23.0点 FG49.1% 3P34.2%
負け試合 24.6点 FG41.3% 3P36.3%

負け試合の方が得点も多く3Pも決まっていますが、とにかくFG%が悪くなります。そしてアテンプトが増えるのですが、特に3Pは4.9→8.1と負け試合ほど多く外から狙います。

確率は悪くないのでビールの選択が、というよりもビールに頼ってしまう傾向があります。ウォール欠場時の負け試合で打ちまくった故の数字ではありますが、厳しい時ほど個人頼みの傾向が強くなります。

ベンチの層も厚くなり、決められる選手も増えたけれども厳しい時ほどエース頼みになっている。しかもエースは調子が良くない。
そこに問題があります。

ビールはシューター系ですがクレイ・トンプソンのように苦しくても3Pを放ってしまうわけでも、CJマカラムのようにタフショットでも決めてしまうタイプではありません。
シュート力がありながらドライブも決められるバランス型です。
フィニッシュがし易い状況でボールを渡さないといけないのですが、アイソレーション気味にする事も多くなっていて、ビールには相応しい活かされ方ではない気がしています。



◉連携力を欠く

◯ウォールのアシスト 10.5 → 8.5
◯ウォールのパスからの3P確率 40.2%→33.7%

もう1つの問題はウォールのアシスト不足です。過去3年間二桁アシストしていたウォールが今季はアシスト数を伸ばせません。
しかもその理由がビールへのパスにあります。

◯ビールへのアシスト 3.1→ 2.3
◯ウォールtoビールの3P 40.8% → 29.9%

ウォールのパスが悪いのか、
ビールが決められないのが悪いのか。

まぁそれはどっちでも良いわけです。
大切なのはウォール&ビールがこのチームの核だという事実。ここが機能していないのが最大の問題点です。



◯アイソレーション
チーム 8.6 → 8.4
ウォール 4.2 → 5.2
ビール 1.7 → 2.7

チームとしては減ったのに増えたエース2人。ウォールは得点率も良いのですが、ビールはEFG38%と効率も悪いです。

◯オフスクリーン
チーム 8.7 → 8.5
ビール 4.7 → 3.8

今季もウォーリアーズに次いで得意技のオフスクリーンは健在でしたが、その代表格であるビールは減っています。ウォール不在の影響もありますが、確率の良くないビールのアイソレーションの影響は大きいです。



つまり今のウィザーズは

ウォールとビールの個人への依存度を高めているが、2人の連携が機能していない。

そんな状態です。

まぁでも、ここで考えるわけです。
シーズン前にウォールもビールも力強く優勝すると言い切っているわけです。No. 1になると言っているわけです。

この2人がより強く出てくる状態を否定するのは少し違うのではないかと。

ウィザーズの魂はウォール&ビールです。
2人のエースに試合を託す。結果として負けている。ただそれだけです。



◉試合を託す。

今季のウィザーズは
5割以上のチームに対して9勝7敗
5割未満のチームに対して7勝7敗
弱いチームから白星を稼げていません。

ライバルのラプターズは
5割以上のチームに対して7勝7敗
5割未満のチームに対して13勝1敗

つまり両チームの差は取りこぼした白星の差でしかありません。ラプターズは落とさなすぎですが。

◯4Qの得点とFG%
ウォール 4.5 37.7%
ビール 6.0 34.1%

試合終盤を託される身としては、なんとも情けなくなる2人。チームが勝てないというよりも、エースが勝ち切れない要因を作り上げています。



チームとしての底上げに成功したものの相手を打ちのめす事が出来ていないウィザーズ。
その理由は試合を決めるべき存在であるウォールとビールが決める事が出来ていないからです。

今のNBAで勝つには戦術的な充実やベンチも含めた層の厚さが必要になりますが、チームの強さが何かと言われれば、中心選手の個の能力です。

ウォール&ビールの連携が機能していない

ウォール&ビールが試合を決める活躍をしていない

それがウィザーズの問題です。



◉ウォール&ビールが直面している課題

今季の開幕直後は4Qだけ観ておけば良いような試合をしていたウィザーズ。最後の場面でウォールのブロックショットが飛び出したりと1ランク上の選手になろうとする期待感に溢れていました。

しかし次第にむしろ毎試合終盤までもつれさせるような試合が目立ち始めました。リードしても追いつかれ、リードされても追いつく。次第にウォール&ビールの決定力では勝てなくなり始めました。

・試合のターニングポイントを見定めて一気に決めてしまうラッシュ力

・試合の最後を自分のものにしてしまうクラッチ力

個別に観察していけば強いはずのウィザーズが安定して勝てていないのはエース2人が勝利に繋げる決定力を安定して発揮できていない点にあります。しかしそれはウィザーズが優勝するためには絶対に必要な能力でもあります。

これを書きながら観ているのはコービーの永久欠番セレモニーが行われるレイカーズの試合。試合を決めてしまうコービー。
冒頭に書いた昨季のサンダーはレーティング差がマイナスなのにウエストブルックの力で12も勝ち越しました。

レブロン&コーバーで4Qに圧倒的な自信を持つキャブス
アーヴィング中心に高いクラッチ力のセルティックス
ラウリー&デローザンのラプターズ

イーストトップ争いをする力はあるウィザーズ。しかし、この決定力への自信が他のチームより不足しています。



見方を変えればチームが苦労しているのはウォール&ビールが『勝利』のために必要な要素を見つける修業期間とも言えます。

単に良いプレーをして得点を取り、失点を減らすのではなく、試合のどの場面でどんなプレーをするべきなのか。そしてチームメイトと意識を共有させチームとして勝てる強さを身につけられるのか。

シーズン毎に好不調が変わっているウィザーズには足りていない要素でもあります。このまま低空飛行を続けるのか。それともエリートチームとしてのプライドと、勝てるガードとしての道を見つけるのか。

ウォール&ビールが直面している課題は避けては通れない巨大な壁でもあります。



個人的にはウォールの事は高く評価していて昨季の活躍からクリス・ポールクラスだと考えていました。しかし、今季の活躍度では比較できないレベルですし、セルティックスの好調さからアーヴィングにも肉薄されています。

このままチームが低空飛行を続けるならば、来期以降も簡単には逆転できない大きな差が生まれてしまいます。

シーズン後半に向けて2人の逆襲が始まることを期待しています。

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