封鎖された週末
「オールディフェンスチームの選出基準はおかしい」
多くの選出基準がおかしい中で、特に言われるのがディフェンスチーム。本当に脅威と感じさせる選手と、見た目で効果的に守っている選手は違うなんて事実があります。昨シーズンの発表時に特に挙がったのがジュルー・ホリデーの名前がなかったこと。選手たちから脅威に感じられ続けたキラーディフェンダーです。
ディフェンスの評価は難しいものがあります。表面的には守れていても、オフェンスからしたら脅威ではない選手がいたり、逆に対人しての怖さはなくても、どこでも塞いでしまうディフェンダーがいたり。
最近だと「良いビッグマンはペリメーターまで守れる」ので、リバウンドやブロック数が少なくなるなんて事案もあります。ゴール下選任なんて怖くないぜ!
ホリデーのディフェンスは常に高い評価を受けており、今になって急激にレベルアップしたわけではありません。それでも「さらに脅威になった」と感じさせるほどのディフェンス力を発揮していたのは驚きでした。ペリカンズがチームとして守らないから目立ったのかもしれませんが、そんなネガティブな要素は全て吹き飛ばすようなパフォーマンスをしています。
◎被アテンプトが多い
ペリカンズのディフェンスはレーティング111.8で21位と下位に沈みますが、110あたりは団子状態なのでリーグ平均くらいだと思って問題ありません。チームで最も出場時間の長いホリデーのディフェンスは効いていても、ペリカンズは平均に届かないってことでもあります。オンコート時のレーティングを見てみると
〇レーティング
チーム 111.8
ホリデー 109.5
フェイバーズ 107.9
ホリデーは1人でレーティングを2も下げてしまっています。ただし、フェイバーズもコートにいると一気にディフェンスの良いチームにレベルアップしているわけです。新シーズンはフェイバーズはいないけどアダムスがいるので、そこは期待・・・あぁホリデーがいなかったね。ブレッドソーがいるか。
プレーとしてホリデーの貢献度が高いのは間違いないのですが、スタッツだけみると、目覚ましいほどの多大な貢献をしているとも思えませんね。これがリムプロテクターの方が重要だとされる理由でもあります。
一方で個人ディフェンスでは、当然のように圧倒しています。
DIFF △5.0
被FGアテンプト 13.1本
被FG% 40.7%
チーム平均が0.5なのに、ホリデーに守られてしまうと△5.0っていうのは驚異。しかも被FG41%と圧倒的にシュートを落とさせています。これにスティールも加わるのだから、ホリデーにマークされたら得点が決まる可能性は40%を大きく下回るでしょう。
しかし、現代は「優れたディフェンダーは剥がしてしまえ」が基本です。どんなにディフェンス力があってもスクリーン使って「さようなら」をしようぜ。
ところが、ホリデーの被アテンプト13.1本はガードとしてはリーグで2番目に多い本数になっていて、1位と3位をみると違和感だらけに変わります。
〇被FG
ハーデン 14.4本 45.3%
ホリデー 13.1本 40.7%
マカラム 13.0本 44.2%
ハーデンとマカラム。つまりディフェンスの苦手な選手が「被アテンプト数が多い」のが通例。ホリデーと対峙したらシュートを打ちたくないはずなのに、みんながホリデー相手に勝負していることになるのでした。なお、ペリカンズがハイテンポなのとカウンター速攻を食らっている事情も大きいです。4位はロンゾだし。
スクリーンで剥がされないディフェンス
これがホリデーの武器になっています。みんなから嫌われているはずなのに、ずっとそばにいるんだ。これが可能になっているのは、もちろんフットワークですが、
・スクリーンに対してアンダーでかわしても間に合ってしまうスピードと、
・スクリーンに引っかかっても後ろから追いかけてしまうスピード
の両面での速さが関与しています。前から回り込んでも、後ろから回り込んでも速い。
特に後ろからでも守れてしまうのは驚異です。なんでそんなことが出来るのかはホリデーの特殊な身体にありそうです。
◎ハンドチェック
ホリデーの守り方は比較的コンパクトなスタンスを取り、オフェンスよりも多く足を動かしてコースに入ってしまうアジリティにより、コースを止める能力が高いです。
うん、ここまでだと「日本人が習うディフェンス」っぽいよね。ただホリデーは追いかける時は両足を前後させずに構えることが多いけどね。ドライブに対してコースに入るだけでなく、異常に体の軸が強いのかパワーで押されることがなく、バランスを崩さずにチェイスし続けています。
しかし、それだけでリーグ最高のディフェンダーにはなれない。ホリデーはこうやって足を動かしてスピードで上回り、パワーを止めているのだけど、両手は別の動きを出来てしまいます。変幻自在に動く両手と、そのウイングスパンが最大の脅威です。
つまりコースにはいる動きと、ボールを奪いに行く動きが同時進行で進みます。それが可能なのはスティール狙いの守り方でも抜かれないなわけで、日本人が習わない守り方ですね。どっちかというとスティール狙いだもんな。
どこからでもハンドチェックしてくるが、体幹が全くぶれない
普通はスティール狙ったら体のバランスが崩れるのに、全く崩れないで手だけが出てくるホリデー。後ろから追いかけているときも、チェイスしながら手を出せるのでオフェンスが一瞬止まったらスティールされるか、追い抜かれてしまいます。
また、このハンドチェックの凄いのは「パワーでボールを奪い取ってしまう」ことも多いことです。普通はボールをはたく感じですが、ホリデーの場合は「引っこ抜く」ようにスティールしています。
ということで、前置きが長くなりましたがハイライトを見ましょう。ディフェンスなんて言葉よりもハイライトでしょ。
コースを止めるのが上手い選手、ブロックが上手い選手、スティールが上手い選手などなどいますが、ホリデーは「全てが上手い選手」という特殊キャラ。
その中でも特に異質なのが、これだけ足を動かしているのに手が出まくっていることです。ハンドチェックの能力がホリデーを特殊なディフェンダーにしています。
◎「脅威」であること
【バブル】はこれまでにない特殊な環境であり、普段だと感じ取れない魅力も詰まっていました。その中の1つが8試合に限定された中で下位チームがみせた「プレーオフモード」だった気がします。それも元気な状態で全力投球だから、すさまじかったよね。
ホリデーはそんなことを強く感じさせた選手の1人でした。シーズン開幕直後のマックスパワーでプレーオフみたいに守れるんだから、とにかく信じられないディフェンスをしていたホリデー。
vsジャズ戦。ホリデーの担当は基本がドノバン・ミッチェルでした。いつも通り強固なディフェンスでFG1/5とフリースロー4本に抑え、直接マッチアップでは6点しか取られませんでした。ただし、ドノバン君はロンゾがマッチアップされた時間はチーム16点のうち10点を奪い取って、エースらしい終盤の固め打ちで2点差の勝利に導いています。
ドノバンvsホリデーが繰り広げられている間は、普通の試合にみえました。ホリデーのディフェンスが良いなんてわかり切っているしね。そしてマッチアップから外れた瞬間に決め続けたドノバンってのも通常営業だしね。
むしろ印象的だったのは「ホリデーが他の選手とマッチアップした瞬間」でした。
クラークソンやコンリーがホリデーと対峙してしまうと、激しいハンドチェックによってボールを保持することすらままならず、早々にパスで手放すしかなかったのです。普通ではあり得ないことですが「ボールを持っているのが怖い」ような状態に陥ってしまいました。
ハンドリングスキルだけでみれば、ボールを保持することは出来るはずなのですが、次々にハンドチェックで奪いに来るため、プレッシャーから逃れるために「抜けない選手」はホリデーと対峙することすら出来ませんでした。でも抜かせないじゃん。
ドノバンvsホリデーが普通に見えた理由は、ホリデーの方もそこまで手を出してこなかったからです。前に出すぎたら抜かれることを理解していたからであり、ちょっと言い方を変えれば「ドノバン・ミッチェルが怖いから、半歩下がった」ことになります。
ホリデーと対峙できるオフェンスは、ホリデーの圧力に負けない選手だけ
ひょっとするとホリデーの被アテンプトが多い理由は、ボールすら持てない選手がいるから、結果的にエースキャラが勝負せざる得なかったのかもしれません。とにかく「ボール保持すら許さない」ホリデーは異様でした。さすがにシーズン82試合そんなことやられたら溜まったもんじゃないけどね。
ちなみにレブロンとデローザンはホリデー相手に決めまくっています。単なるハンドリングではない強さがないと正面にすら立てないのでした。リラードは・・・プレーオフでもやられたし苦手にしているんだよね。
冒頭に戻ると、ディフェンスの良い選手は試合をちゃんと見ていれば、見えてくるのでオールディフェンスチームの選出基準のおかしさは、みんな指摘するよね。
しかし、選手たちはそれ以上に「ホリデーの脅威」を感じ、勝負を避けたくなるのかもしれません。見えている以上に怖いんだ。
また「コースに入る」のが良いディフェンスだったとしても、「脅威のディフェンス」はもう2段階くらい上な気がしてくるのもホリデーは教えてくれます。やっぱり
ボールを奪いに来ないディフェンスは「良いディフェンス」でも「怖いディフェンス」ではない
よね。もっとアグレッシブにボールを奪いに行かないと!
そして新シーズンは「ホリデーの脅威」がバックスに加わることになりました。みんなが避けるであろう「ヤニスの脅威」だったのに、もう1つ避けなければいけないポイントが出来てしまったバックス。みんなでフォーブスをいじめるしかないな。
隠れた名ディフェンダー・ハッスルプレーヤーは多い気がします。
陰ながら応援しているとプレータイムもらってドートやOGアヌノビーのようにスポットライトあたると嬉しいです。個人的にはサディウスヤングに注目!
管理人さんが思う隠れ名ディフェンダー・ハッスルプレーヤーベスト20なんかやってもらうと面白いと思います。all defensive teamメンバーを抜いて。
面白い企画かもしれません。ランキングって難しいですが。
開幕なので『裏注目選手』を考えてみましょうか。ハッスルに限らないけど、好み的にハッスル系が増えそうなので。
対人ディフェンダーとして、
201cmくらいあって、PG〜Cまで守れるような
レナード、ポールジャージ、シモンズ、グリーン、イグダーラ、ロバーソンなどの選手と
身長はないけど、フィジカル力があって足が動くホリデー、ベバリー、ブレッドソー、スマート
どっちのほうがチームに与える影響は大きいんですかね?
ウイングの選手が7年近くFMVPをとってる今のNBAにおいて、レブロン、KD、レナードのようなオールラウンダーな選手を抑えるとなると前者の方がプレーオフでは重要になるんですかね。
ベバリーとホリデーがプレーオフでKDについて、1試合はなんとか抑えたもの、最後はサイズの差をどうすることができませんでしたし、ベバリーがレブロンにつくのはフィジカル的にミスマッチすぎましたし。かと言って、レナードやポジョがマレーに1試合通して着くのも厳しかった今年のPOでしたし。
数字的にもリムプロテクターの方が重要ですし、ウイングのディフェンダーはガードも守れるけど逆は出来ない感じですね。
ただ良いウイングディフェンダーもガードにスピード負けする事は多いので適材適所です。あとガードのカバーリンクが重要になってきたので、スマートみたいな選手もいて、やっぱりタイプ別な感じです。
時代的にはオフェンスがウイングよりもガードとセンターで勝負している感じなので、ウイングはディフェンダー揃えたくなってきたのも大きいかと。
リラードとモラントには強かったですねえ
東だとどうでしょうか
ケンバ、トレヤング、シモンズらは上回れるかでチームの相性も決まりそうな気がします
ケンバやトレ・ヤングはイケる気がしますが、シモンズには苦しめられそうですね。まぁシュートないから止めるのは出来るか。
で、バトラーに苦しむのかな
ヤニスとブルロペの鉄壁インサイドにホリデーとクレイグもいるんだから
これでバックスのディフェンスは完璧だ!と言いたいところに
フォーブスとポーティスも来てしまったのでブーデンホルザーも頭を悩ませているところだと思います。
フォーブスはともかくポーティスならイリャソバでいいんじゃ?って感じでした。
穴のないディフェンダーですが、チームディフェンスは穴があったので、そこを変えてくるのかどうか。
スパーズファンとして最後の一言は聞き捨てなりません。フォーブスはプレオフになったらプレイタイムを碌にもらえないだろうからディフェンスの穴にはなりませんよ。
ところでバックスはホリデーを含めメンバーがそこそこ新しくなりましたが、それによってオフェンスはどのように変わると予想されていますか?あるいは変わらない可能性もあるのかな。
オフェンスを変えてくれる選手は少ないですね。3P中心は変わらないと思いますが、ホリデーとブレッドソーのメンタルの差が4Qには強くなりそう。
変えてくれるとしたらフォーブスのシューティング。コーバーよりも長時間使えますし。プレーオフでも出番がありそうだ!
ホリデーに加えクレイグもいるんですから、来期はより強固なディフェンスチームを築き上げるでしょうね。
レイカーズと相性が良さそう。
ただ、バックスは来期も同じ失敗をしそうなんですよね。選手もキッドのお下がりというか、レイカーズやナゲッツ、ヒートはシーズンを通して選手が成長しますが、バックスはなにかあまり選手が成長していないように感じます。あくまでイメージですが。
バックスはフロントがベテラン集めましたからね。ディヴィチェンゾは伸びました。
でもチーム戦術の調整するというか、多様化というか、その辺を伸ばしにいくのかが問題です。レイカーズはプレーオフは初期と違うオフェンスしてたし。
オラディポなんかもそうですが奪いにくるディフェンスっていうのは脅威ですよね
あの頃のオラディポはクラッチスティールを決めまくっていた印象です。ケガはディフェンダーには特に痛い!
話が違ってすみませんが、ネッツのナッシュHC&ダントーニACについて書いて欲しいっす。
バーデンはさすがにネッツはアセットの問題でないでしょうし、、、。
途中まで書いて、ネタが無さ過ぎて辞めた残骸の記事ならあります。開幕してから考えようと。
ドライブ相手にはコースに入り、パワーで推進力を弱め、作った時間でハンドチェック。スクリーンをアンダーでもオーバーでも追い付く上に、アンダーしたときにスクリナーが邪魔するとオフェンスファールをとれるコース取りとパワー。
コース取りとパワーとハンドチェック、全てが連動してるのが恐ろしいですね。
ハチマキ姿がDF時に映えてすごく好きだったのですが、改めて解説されてその脅威がよくわかりました。
ホリデーとADがいて守れなかったペリカンズは何だったのかと考えてしまいます。ホリデーの凄さがチームで堅固にするバックスで生きるのかは興味深いテーマです
めちゃおもしろかったです。
なんにせよ来年のバックス楽しみです。
ヤニス、ホリデーのガッチガチ守備からのヤニスの個人技ズドーンで勝ち!
あれ。。。
個別でディフェンダー特集希望です!
管理人さん的alldteamとか、、、もうしてたらすいません。
昨シーズンはしてないです。もう開幕だしなー。
DPOYヤニスは納得ですし!
プレーオフの印象に全て負けるんですよね。今ならKCPとグラントの評価が激高!
ホリデー、誰を出すかとかは抜きにしてMIAに欲しかったなあ。
似たようなディフェンスのスペシャリストとしてエイブリーブラッドリーを獲得しましたが、彼やモーハークレスの獲得でMIAのディフェンスがどう変化するか、管理人さんの考察をお聞きしたいです。
えっと、、、今まで通りに守れる+ブラッドリーのスティールくらいで、、、開幕後に!
この質と量を両立しつつファールトラブルにならないのもホリデーのすごい所ですよね。
個人的にファール数もディフェンダーの評価要素に入るべきだと思っていて、よくファールアウトするべバリーよりホリデーがAll-Dに相応しかったんじゃないかなぁと。
そうですね。ファールなしで守れるのは素晴らしい。
一方でベバリーみたいにゴール下で身体を張りまくったり、ラウリーみたいにヘルプが上手い選手もいるので、ファールが多いからダメかというと、それも難しい。
ファールなしで守れる選手は凄いですが、ファールなしで守れてない選手もいるので、難しい。
パワーとフットワークの正確さとボールを奪い取る巧みさ。バランス良き良き。ですが、「キャラ付けとしては弱い」が授賞出来ない要素ですよねぇ〜。マーベルヒーローみたいな「彼といえばこの特徴が凄い」と、バスケをそんなに知らない人でも分かる見栄え?特徴??がないと授賞系はムズいのが世の常。でも実際はミニレナードなホリデー。こわっw
長男と末っ子はその辺、強くない印象で、ジュルーだけがバランス良く攻守共に優秀なのは何故なんでしょうねー。知ってる方、いましたら教えて下さいm(_ _)m
長男はディフェンスが良いのですが、サイズがあってより大きな選手を守れる代わりに、スピードが足りない。
三男は逆にサイズがなさすぎて、スピードは十分。フットワークとしては次男クラスのディフェンダーになる可能性はありますが、フィジカルなところで苦戦しすぎていますね。
3兄弟の体格が異なるのが珍しい気がします。
いずれにしてもNBAで最も活躍している3兄弟なのは間違いなく、普通はこのレベルにすらなれないですからね。