マブスのニュー最強コンビ

ドンチッチではありません。

プレーオフでのマブスはクリッパーズとは総合的な差があると感じたのか、トレイ・バークとマルヤノビッチを使った局地戦を挑みました。それはオフェンスで勝負していく意思表示でもあったわけです。

オフになるとジョシュ・リチャードソン、ワス・イワンドゥ、ジェームズ・ジョンソンと次々にディフェンスに期待できる選手を獲得しました。あの戦い方が一時的なものだったことを示すと同時に、ドンチッチを中心にしたチームに必要なのはディフェンス力だと捉えていた感じです。そして生まれたのが、ドンチッチ&ポルジンギスのコンビ・・・ではなく、

ジョシュ・リチャードソン&ドリアン・フィニー・スミスの最強マンマーカーコンビ(仮)

「うぉぉぉーー!これは楽しみなコンビが誕生した」と騒いでいるのは何人いるかわかりませんが。

そういえば1年前はジョシュ・リチャードソン&ベン・シモンズにも同じようなことを書いた気しますが。もったいないことをするシクサーズらしさ爆発のトレードを実行したし、マブスはセス・カリーで手に入れたのだから勝利のトレードでしたね。

まずはJリッチについて書いていきましょう。

◎ザ・チェイサー

2015年ドラフト40位のJリッチですが、高校時代は2つ星とか3つ星くらいの評価だったとか。真面目にNBAを目指したのが遅かったらしいですが、そのぶんNBAにはいってから順調に成長している選手でもあります。

体重91キロとそこまで軽くはないのですが、見た目は細身。スピードに優れているわけではないのですが「軽やかな身のこなし」を持っています。狭いコートに10人がひしめくバスケでは、人と人の間をすり抜けられる身のこなしも重要。Jリッチはオフボールでのチェイス能力が高いのですが、非常に上手くスクリナーをすり抜けていきます。

ボールを持っていない相手に対してオーバー気味なポジションを取りますが、裏を取られることは少なく、パスを奪い取る能力の高さが光ります。パスが通ってもキャッチした瞬間には既に密着して自由を奪い取ってしまうので、常に気の抜けない守り方をします。

ヒート時代は特にこの印象が強かったです。相手エースを担当するというよりも、シュータータイプを担当するイメージ。そして当時のヒートはガードだらけのロスターだったので、必ずしもガードを担当していたわけではなかったです。

シクサーズに来ると、なんせシモンズとのガードコンビなので、完全にガードのマークマンに。オンボールに対しても素晴らしいディフェンスをするJリッチはシモンズとともに素晴らしいDIFFでシクサーズディフェンスを強烈にしました。

そもそもビッグマンを集めてインサイドが固いのに、それ以上に堅かったガードコンビ。チームディフェンスが整っていたとは思えないシクサーズでしたが、個人のハイパフォーマンスだけで十分にスーパーでした。

シクサーズはバトラーが置き土産にJリッチを置いていってくれたのだから、シモンズとのコンビで戦えば常にディフェンスに優れたチームを作れたと思います。なんで崩してしまったかといえば、ビッグマンを集め過ぎたところに問題があるので、非常にもったいなかった。まぁサイブルがいるからJリッチを放出した面もあるのでしょうが。

シュートのないシモンズに、シュータータイプを組ませたいのでしょうが、両ウイングを3&Dにして対処する方法もありました。一方でJリッチはフリースロー80%を超えるものの、3Pを打ちまくるのが好きではなく、ミドルを選択することも多いので、3P至上主義のロケッツからモーレイが来たからには致し方なかったのかもしれません。

プレイヤー・オブ・ザ・ウィークにも選ばれており、立派に活躍していたと思うけどね。タイミングって難しい。選手の組み合わせも難しい。

いずれにしてもマブスはオフェンスでの貢献も期待できるスーパーディフェンダーを獲得しました。主にスピード系統相手に奮闘してくれることが期待されます。なお、リラードにはボコられました。あれはエンビードが悪いんだけど。

ドンチッチとガードコンビを組むことになりそうですが、JリッチはPGタイプではないので攻守でポジションを入れ替えることも出来ます。
ディフェンスはJリッチがガード
オフェンスはドンチッチがガード

おそらく他のガードも同時起用してポジションはスライドされるでしょうが、攻守に主役が違うのはプレーシェア的にも悪くありません。またドンチッチがディフェンスリバウンドをとった瞬間に、Jリッチは速攻に走っていそうなので、カウンターも増えそう。リバウンドとアシストが増えるドンチッチのトリプルダブルはさらに増えるでしょう。

マブスに、そしてドンチッチにフィットしそうなJリッチ

ということで楽しみな補強になりました。シクサーズがペースダウンしすぎて目立たなかったトランジションゲームでのJリッチのランニングも見せてくれそうです。

そしてJリッチの加入により、マブスのディフェンスは各チームのエースにとって悪夢になりそうです。それはもう1人のスーパーディフェンダーが「タイプの違う守り方」で止めてくるからです。リーグ最強のマンマークコンビになるかもしれない。

◎一歩引いてフィニースミス

Jリッチと同じ93年生まれのフィニースミスは、大学で転校した関係で1年遅れてドラフト外でマブスに加入すると、高い身体能力を見出され、低迷していたマブスのディフェンス担当になりました。

初めて知ったのはレブロンのマークが得意な選手を調べていた時、マブスで1人だけ圧倒的なディフェンススタッツの選手がいることを、たまたま見つけたからでした。データから知ったのですが、そこでハマって映像を見ていると素材型っぽいのに、荒さは少なく、しっかりと守れていて、なかなか面白い選手でした。

ハードなチェイスとプレッシャーによってオフェンスの自由を奪うJリッチに対して、フィニースミスは1歩引いてオフェンスの動きに対応していくタイプ。

読みの鋭さやタイトなマークで追い込むわけではないので、スティールは0.6と少なめ。その分、相手の動きにしっかりとついていき、常にブロックに飛べる体制をキープしておいて、長い手足を使ったシュートチェックで決めさせないのが持ち味

DIFFは△2.8で、特に3Pとゴール下で威力を発揮するのは、そこが「止めるポイント」としてわかりやすいからなのでしょう。アグレッシブなJリッチに比べると、安定感のある守り方です。そのため、マブスの試合を観ていても目立たない日もあるよ。ガンガン仕掛けてくる相手だと良さが際立ちます。

昨シーズンはデローザンやイングラム相手の成績が良かったですが、こういうドライブ&シューティングタイプにとっては非常に嫌らしい相手でしょう。抜ききれないし、シュートチェックは嫌らしいし。

オフェンス面では2年目まで30%を下回っていた3Pシュートが、昨シーズンは37.6%と劇的に改善しました。アテンプト4.3本のうち3.4本が「ワイドオープン」になっていて、ドフリーでしっかり決められるようになったので、コーナー担当として起用しやすくなりました。

3Pの半分以上がコーナーから打っており、典型的な3&Dとしてプレーしています。ハンドラー寄りでスピード突破もしているJリッチとオフェンスでも役割が被りません。同時起用がしやすいコンビになりそうです。

フィニースミスの方がPF寄りのマークも担当できるため、Jリッチをガードにしてもウイングにしてもいけそうです。ドンチッチもPF担当になれるので、この3人の組み合わせはラインナップの柔軟性も生み出せます。

ドンチッチのオフェンス力+強力なディフェンダーコンビ

こんな組み合わせが使えるようになったのは大きなメリットがありそうです。そしてポルジンギスがユニコーンブロックでリムプロテクトしてくれれば、マブスのディフェンスは大きな武器になっていきそうなのでした。

◎ウエストのライバル対応

クリッパーズとのプレーオフはマブス側からすると「レナードとポール・ジョージを止めきるのはムリ」と諦めた上で勝てる方法を模索したように見えました。それは悪くない事ですが、10回に3回勝てれば(シリーズを制せれば)良い方です。

しかし、Jリッチの加入で一気にディフェンスで真正面からぶつかって勝てる要素を見出せそうです。もちろん、ドンチッチとポルジンギスがオフェンスで活躍するのが大前提ではありますが、相手エースを抑え込める選手が一気に増えました。

レブロン&AD → DFS&JJ
レナード&PG13 → Jリッチ&DFS
マレー&ヨキッチ → Jリッチ&JJ
ドノバン・ミッチェル → Jリッチ
ハーデン&ウォール → Jリッチ&DFS
リラード&マカラム → Jリッチ&DFS

他にもハーダウェイjrやイワンドゥがいるので、組み合わせは色々。ディフェンスでファイトするチームスタイルは、ドンチッチ関係なく戦えるスタイルなのでエースの負荷も落とせるでしょう。

「マブスで怖いのはドンチッチ」ではなく「Jリッチとフィニースミスのディフェンス」になるかもしれません。果たして最強マンマークコンビは生まれるのか。マブスの脅威は一気に高まってきそうです。

マブスのニュー最強コンビ” への10件のフィードバック

  1. リッチとセスのトレードはwin-winでお互いメリットがあったと思うのですがどうでしょう。リッチは残り一年の契約ですし、シクサーズとしても安く残り三年を残すセスを獲得できたのは大きいと思うのですが。
    モーリーもリッチを出す選択は簡単ではなかったでしょうし、やはりタイミングは難しいですね、、

    1. シクサーズが損したかどうかは別にして、マブスはセス・カリーでディフェンス勝負できるチームになったので、Winで良いかと。

      シクサーズはセスよりもブロンソンの方が良かったと思います。ダニー・グリーンとファーガソンを加え、ミルトンもいるわけでして。
      あと、このトレードをしなかった場合、シモンズ⇒ハーデンのトレード可能性も残せましたね。
      そういうタイミングは難しいですね。

  2. MAVSは今回の記事のフィニースミスもそうですがクレバーやパウエルといった数年前から地道に育てていた無名のロールプレイヤー達がドンチッチというフランチャイズビルダー獲得のタイミングにピッタリと嵌りましたね。

    ドンチッチがいればワイドオープンの機会を大量に作ってくれるのでそこそこのシューティングと高いディフェンス力を持った選手を集めるのは理に適っていると思います。
    後はKPがPOの時期に万全の状態でプレイできるかですかね。
    多分これが一番難易度高いですが。。。

    1. 地味な選手たちですけど、バッチリとドンチッチ待ちでした。一握りのスターを手に入れることが出来るかはスカウト能力以上に運なので、そこを期待するのではなく、周囲を育成できる方が大切。ってのは、ウエストのローカルフランチャイズは知ってますね。ダラスはローカルか微妙ですが。

  3. ルーキーのジョシュ・グリーンも運動能力が高くて腕の長い3&Dですよ。キャッチ&スリーも安定してますし、ドライブもシャープで、ゴール下でも当たり負けしないフィジカルがある。トランジションでもよく走る。ウィングをDFS、リッチ、グリーンでローテしていけば、ディフェンスは落ちませんし、オフェンスも多様性がある気がします。

    1. ハーダウェイもいるし、どこまで出番を貰えるか分かりませんが、良さげなウイングが充実していたドラフトでした。あとは誰がほんとうに良い選手なのかの戦い。

      ルーキーは始まってから考えたいです。

  4. 今オフに最大の課題であったウィングのディフェンスを補強したのはとても良い動きだったと思います。あとマブスに必要なのは、①セカンドハンドラーと②ドンチッチがいない時のスコアリング能力を備えた選手かなと思っていますが、これが厄介。まずドンチッチと並べる以上平均以上のディフェンス力が無いといけないですし、②のスコアリング能力は、チームでのパス回しの中で作られたノーマークのシュートを決める力ではなく、去年よく見られた、ドンチッチがコートにいない状況でディフェンスが強めの相手だとパスがうまくまわせなくなってオフェンスが機能しなくなって点が全く取れない時間帯を打開してくれるような能力なんですよね。ポルはドンチッチが最初から欠場していると、そこそこやるのですが、一緒だと何故かコート上にドンチッチがいなくても積極的にいけない(いかない?)感じがします。やはり独力でオフェンスを完結できる能力を持った選手があと一人欲しい(オフェンス能力だけならルーウィルみたいなタイプ?)です。となると、結局①と②の2つを同時に満たすことの出来るプレーヤーでディフェンス力も有るってなると、オールスタークラスになってしまうんですよね。①と②を2人で分業となると優秀なロールプレーヤー2人でも良いのですが、それでは西を勝ち抜くのは厳しいような気も。もちろんヤニスが来てくれたら万々歳ですが、DALは本当にFA人気が無いので…。whynotさん的には誰か現実味のあるターゲットいますかね?

    1. デロン・ライトなんかは、ちょうど良い人材でしたが、カーライルの場合はハンドラーはかなり個人で出来ないと辛いんですよね。
      その意味では突破はスタークラスのバークをルー的に使いたいのでしょう。他にはローズとかがターゲットかな。

      カンパッソ取られちゃったので、トリアーあたりで何とか凌ぎたいです。アイザイア・トーマスは、、、

  5. Jリッチの左手が驚異ですね。右利きなのにディフェンスで両手ともスティール・ブロック出来るってすげーです。左手のスムーズさがカッコイイ

    タイプ違いのディフェンス2〜3枚を揃えるは相手も嫌だし、自チームも多様性もてたり、ファウルトラブルリスクに備えられるし(確保するのが大変やけどね)

    1. マブスはうまく揃えてきましたが、自前で安いサラリーのファニー・スミスと、ドンチッチが安い間にリッチとハーダウェイ、JJって感じなので、2年後にドンチッチがスーパーマックスになった後は揃えられないメンバーです。

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