ゲーム1、ゲーム3(半分寝てた)、ゲーム4を見ているシリーズ。雑感スタイルにて書いていきましょう。
「マブスが勝つ予想なんてない」みたいな怒りの発言をしていたドンチッチですが、優勝候補クリッパーズにとってはレナードとポール・ジョージ、そしてルーはいるものの、ハレルはゲーム1で復帰したところで、べバリーは不完全だと思ったら欠場になってしまいました。ファーストラウンドは難関になっているのです。
ファイナルで勝つには逆算的にコンディショニングするのも大切なので、ある意味で負荷をあげすぎたくないファーストラウンドにはちょうど良いコンディショニングですが、そんな不完全で楽に勝たせてくれる相手はウエストにはいません。
同じように1年前は逆の立場でウォリアーズに立ちはだかったのがスター不在のクリッパーズなのだから、このカンファレンスに楽な相手なんていないんだ。
一方でマブスから見れば勝つチャンスはあるし、そこにはドンチッチという最終兵器が更なるステップアップしてくれる期待もあったシリーズです。
「普通にやったら勝てない」とは思いますが、ドンチッチの存在は
「普通にやって、普通以上の成果を出す」可能性を秘めています。要するにペイサーズはやり方を変えないといけなかったけど、
マブスは同じやり方でもスーパースターのドンチッチがいるから違うんだ!
ってことです。それはレブロンだって、レナードだって、リラードだって同じです。(ハーデンは?)
そこにドノバン・ミッチェルやジャマール・マレーも名乗りを上げた今回のプレーオフなので、若手の躍進があって非常に面白い流れになっています。ドノバン君はルーキーだった2年前にもやっているんだけど、その時はエースやってた若手は1人だけだったからさ。テイタムは活躍しているけど、スイープだったこともあってスーパーエースな圧倒はしていないのでセカンドラウンド以降にもっと結果を残そう。そしてエンビードはこのレベルには来れなかったぜ。
◎ドンチッチじゃない部分
ゲーム4では逆転3Pを決めたドンチッチ。これがゲーム3でケガした選手のプレーなのだから、メンタルお化けの重要性を感じるシリーズでもあります。一方でゲーム4を欠場してしまったポルジンギスは形無し。良いプレーをしていても「ポルジンギスはいなくても勝てる」になるんだから怖い怖い。
さて、ドンチッチの凄さは感じつつも、マブスはエースが欠けている時間でも戦えるというのが、このシリーズの特徴です。ゲーム2も、ゲーム4もドンチッチ抜きでやれちゃうんだ!
自分たちのやり方に自信を持っているし、なんだったらドンチッチはちょっとボールを持ちすぎなくらい。毎試合のようにトリプルダブルしていますが、それだけボールを持っているのは、必ずしもプラスには働いていません。
ハーデン、ドノバン・ミッチェルなんかも同じですが、特定の選手がボールを持つチームに対して、その選手がボールを持たないと相手ディフェンスが困惑しているのもプレーオフの特徴です。ゲームプランで「ドンチッチにどう対応するか」を徹底したのに、ドンチッチがプレーしていないからアレっ?ってなるよね。戦術的な読み合いが大切なんだけど、読みすぎて肩透かし。
マブスとしてはセス・カリーとトレイ・バークの両ハンドラーが、違和感なく戦えていることが、シリーズを面白くしているし、クリッパーズは「抑揚のない戦い方」になってしまい、ちょっとダラダラしているようにも見えています。
〇オフェンスレーティング
チーム 117
ドンチッチ 111.6
ポルジンギス 114.3
カリー 131.6
バーク 122.1
これがこのシリーズの真実。マブスの事情を置いとくと、クリッパーズのディフェンスが全く効いていないってことになります。パスワークと3Pに見事に崩されているわけです。そこには
「個人を守る強い意識」がエース不在の時に機能していない
こんな事情があると思っています。カリーやバークを徹底して潰しに行くことが出来ていません。ドンチッチ相手にはやるのに。特にファーストラウンドってこともあって、気持ちがはいっていないのかもね。
個人任せなクリッパーズですが、ディフェンスについては色んなことを考えたゲームプランを立てているにも関わらず、マブスの戦略にタジタジ。バークのスピード、カリーのシュート力、そしてマルヤノビッチの高さと局地戦を巧みに活用して得点を奪い、ドリアン・フィニースミスとクリバーがオールラウンドにドンチッチを支えているのが印象的でした。ハーダウェイは個人技よりかな。
いずれにしてもカーライルの戦略がクリッパーズを上回っているシリーズになっています。選手起用の妙がオフェンスを止めない感じです。
◎ズバッツ、ハレル、モリス
クリッパーズ側から見ると、この守れない状況を引き出しているのは、べバリーの離脱とコンディション不良・ゲーム勘のないハレルの存在。ディフェンスは評価しにくいけど、オフェンスではあの見事な合わせプレーがなく、足を止めているハレルなので、苦しすぎました。
〇ディフェンスレーティング
チーム 117
ズバッツ 104
モリス 108
ハレル 135
ジャマイカル 144
結果としてディフェンスを比較するとこうなります。1つずつ触れていきましょう。まずはモリスのレーティングが良いことから。
モリスはゲーム1でドンチッチ担当として良いディフェンスをしました。そのため主としてドンチッチをマークするわけですが、前述の通り「ドンチッチをどうするか」というチームの考え方も含めて、焦点を絞れたディフェンスが出来ています。個人+チームで良い結果が出ているイメージ。
次にズバッツが出ていると、当然ですがインサイドを塞ぐ意識が高くなります。ドンチッチのパスからセンターがドフリーになる案件も多いので、ちょっとイメージは良くないですが、ズバッツがコートにいるとディフェンスリバウンド率84%と圧倒的なスタッツに。
もちろん、これはレナードやポール・ジョージもいるからですが、スモールラインナップよりも安定したディフェンスが出来ています。加えてクリバーが3P1/16と外しまくっているので、ズバッツを引き出すことが出来ていません。クリバーが決めていればズバッツの数字はこんなに良くはないはずです。
いずれにしても、ここまではインサイドを固めておいた方がお得なのですが、ズバッツがいないと固められていないクリッパーズの事情が見えてきます。本来はハレルで機動力もあるインサイドになるはずが、なっていないから苦しい。
そのハレルは18分の出場で1.8リバウンドと散々な出来。主としてマルヤノビッチをぶつけてくるカーライルの戦略に押し込まれている部分もありますが、そもそも高さで負けるのはスタンダードであり、機動力で振り切りたいのですが、ケガ明けで動きが悪いです。逆にマルヤノビッチは良く走っている。
マブスがここまで互角に戦えているのは、地味にインサイドでイニシアチブをとられていないことが大きいのでした。
〇オフェンスリバウンド
クリッパーズ 9.0
マブス 7.8
シーズンでマブスに3連勝しているクリッパーズですが、オフェンスリバウンドが平均15.3もありました。ズバッツ中心に頑張っているものの、シーズンで5.5本も奪っていたハレルが機能していません。
オフェンスが決まらず、カウンターでの失点もあり、全般的にハレルの非常に苦しんでいます。
ならばコンディション不良のハレルは辞めて、ジャマイカルとパターソンでスモールラインナップをすればよいのですが、ジャマイカルのレーティングは144とハレル以上に悪くなっています。
ところがジャマイカル自身はマッチアップしたクリバーに1点も取られていません。でも、その間にチームは失点しまくりました。ちなみにジャマイカル自身はリバウンドもとっている。要は強気にドライブしてくるマブスの面々が相手なら、リムプロテクターは欲しいってことでした。
基本的にはハレルの不調が響いているわけですが、その代役がスモールラインナップになってしまうクリッパーズのディフェンスは大いに苦しんでいます。シーズンではイニシアチブをとれていたゴール下の攻防で優位に立てないのが誤算だったのでした。
〇ペイント内失点
シーズン(VSマブス)36.0
プレーオフ 47.5
これがシーズン中との大きな違い。マブスの3Pが38%と決まっているのが大きく見える中で、インサイドを塞ぎ切れていないのでした。
◎エースじゃないのか
ナゲッツvsジャズではドノバン・ミッチェルの存在がナゲッツを狂わし、最終的には「ミッチェルにやられる方がマシ」になりました。
セルティックスvsシクサーズではエンビートが序盤から活躍するほどに、セルティックスは予定通り後半に逆転する流れが作られました。
ロケッツvsサンダーもハーデンが自分で行かないほど、ロケッツのオフェンスは機能しています。
ドンチッチがいない時間のマブスも含めて、止められないエースがいるチームほど、そのエースを止めようとディフェンスが仕掛けるほどに失敗する傾向があります。よく「チーム全体で攻めた方が良い」と言いますが、実際にはこれらの問題はオフェンスではなくディフェンス側の守り方次第であることが多いです。
クリッパーズは面白いほどにエースムーブのチームで、レナードとポール・ジョージ、そしてルーがガツガツ個人で仕掛けてきます。しかし、本当に怖いのはそこを止めに行ったときにズバッツなんかがフィニッシュしてくる形なのはクリッパーズも同じです。ちゃんとパスを出す仕組みもあるしね。
不調と評判のポール・ジョージですが、意外とスタッツを見ると1人だけではありません。
〇カワイ・レナード
33点 FG50%
3P27%
〇ポール・ジョージ
15.3点 FG29%
3P22%
〇ルー・ウィリアムス
20.8点 FG56%
3P42%
ルーさん、とんでもないスタッツだな。
2人で15.5本も3Pを打っているエース2人が共に3P30%を下回っているクリッパーズ。しかし、この2人を除くとチームで44%も決めています。つまりはレナードとポール・ジョージが自分で打つよりも、パスを出して打たせた方が良い。
ポール・ジョージ単体で見ていると「自分で行くのに決まらない」と不満も出そうですが、基本的にはそもそも自分で打ち切るのは、メリットが小さいわけです。そのうえで不調なポール・ジョージと見た方が面白そう。
レナードのショートレンジは流石ですが、決めてもなかなか勝ち切れていないわけで、オフェンスが成功している割には勢いが出ていない空気もあります。
ところでマブスディフェンスは謎。ポルジンギスの有無で大きく変わるので、捉えにくい面もありますが、「こんなにカバーが悪いチームだったっけ?」と思うことが度々あります。もっと、ローテが早いイメージなんだ。
ひょっとすると、カーライルも個人同士の勝負に持っていきたいのかもしれません。そして勝負どころではしっかりとカバーを・・・したらモリスが3P決めたのがゲーム4でしたとさ。
◎ステップアップ・ドンチッチ
そんなわけで30点、10リバウンド、10アシストみたいなモンスタースタッツのドンチッチに困っているようで、実はそこは守りやすいと許容しているんじゃないか疑惑です。
しかしながら、許容していたら、さらにステップアップしてしまったようなゲーム4の後半でもありました。だからこそドンチッチ!それでこそドンチッチ!みたいな。
終盤にはレナードに担当させましたが、簡単にスイッチさせてきたマブス。そうなってくると止めるためにスモールラインナップにせざるを得ないクリッパーズですが、上記の通り、本来は機動力勝負で出てくるハレルが使えないからリムプロテクターがいなくなって、守り切れない。
それでいてレジー・ジャクソンをドンチッチは狙い撃ちにしました。ルーもいるけどレジーでした。このチョイスも面白かった。結果的にヘルプにレナードが構えることになるしね。
ということで、ドンチッチと共にクリッパーズがディフェンスをどうするのかは注目です。もともとオフェンスは個人技に頼っていて、選手の名前ほどに「ものすごい」わけではないので、守り切れないと簡単ではないぜ。
そして考えすぎると失敗するのはナゲッツが示したことでもあったぜ。
ゆっくり書きたかったけど、もう明日にはゲーム5だから、この辺で切り上げます。いやー、ファーストラウンドはキツイ!面白いけどキツイ!ドラマが満載なウエスト!
お疲れさまです。
バブルのプレーオフは試合間隔が短すぎて試合追うのも大変ですね。
シクサーズの今後とか、ヨキッチのハイピックに対するディフェンスとか色々コメントしたかったのですが、なかなかそこまで手が回らないです。
カーライルは局地戦って言葉がぴったりだと思います。
前のプレーオフで良かったときは、エリスとカルデロンのコンビでノーディフェンスでしたし、優勝したときも元オールスターだらけだったとはいえ、ステータス極振りしている選手が多かったですし。フロントも意図して集めているのではとも思ってしまいます。
カーライルはこういうやりくりに長けてる印象ですが、逆にクリッパーズみたいな潤沢な戦力与えられたらどうなるのか興味あります。
意外と上手くいかなそう…
落ち着いたらでいいので管理人さんのHC評も聞いてみたいです。
今のチームにあったHCかどうかって、すごく大事ですよね。
去年は名将扱いされていた、ドックへの批判を見て色々思いました。