プレーオフ バックスvsマジック①

ゲーム1

結果から書くとマジックが勝ちました。両カンファレンスの1位が同時に負けるのは17年ぶりだそうです。

しかし、今回は単なる1位と8位ではなくて、圧倒的な1位と5割に満たない8位なので、ブレイザーズはともかくマジックの方は特にね。

マジックはオフェンス力が足りないチームであり、ディフェンスもインサイド側優先で3P打たせちゃう傾向があるので、バックスに勝てる要素があるとは思えないチームです。

しかし、その一方で相性の良さを持っているチームでもあります。その理由を考えながら1Qから触れていきましょう。

◎シュートの上手いチーム

相性が良い理由その1は、良いシューターがいる事。フォーニエとロスがいるので、空けられたら簡単に決めてきます。特にトランジションディフェンスが良いバックスなので、速攻気味に行った時でも躊躇なく3Pを打って決めないとチャンスを得ることが出来ません。

1Qはそのフォーニエ、、、ではなくまさかのクラークがトランジションの流れから決めました。ウォリアーズなら躊躇いなく打つのでみんな慣れているでしょうが、そういうところで決めるだけのシュート力があるのが大前提。

2つ目の理由は、ハーフコートでは単に良いシューターがいるのではなく、ビッグマンがシュートが上手いこと。スクリナーになった後でアウトサイドで待っていると大体フリーにしてくれます。

マジックにはブセヴィッチがいます。1Qはまさにこの上手さがバックスのディフェンスを大いに困らせました。割と打たないことがあるブセヴィッチですが、この試合は開始から積極的にアタックし、先手を取りました。

〇1Qの3P
クラーク 2/5
ブセヴィッチ 2/2

2人で4本12点ではありますが、ペースの遅いマジックの割にはトランジションで3Pを狙っていたので、ゲームプランだったのだと思います。

相性が良いその2はミドルも躊躇わない事。ゴール下優先で守るバックスなので、ミドルならそこそこ打たせてくれます。序盤は特に打っていたマジック。中盤からはそんなに打たなかったので、プランではなく日常だったのだと思います。

ということで32-22とリードした1Qでした。でも22失点の方が大きかったね。

◎ペイント内の攻防

相性の良い理由3つ目はアーロン・ゴードンがいること。ヤニスと個人で対峙できる選手がいると、余計なカバーが不要になります。ヤニスが自由にボールを持てるとバックスは任せる傾向があるので、そこで止めきれれば勝てます。

が、ケガ人だらけのマジックにはゴードンがいませんでした。ダメじゃん。

1Qはクラークが踏ん張っていたのですが、なーんか変なディフェンスしています。ブセヴィッチがブルックをマークしているようないないような。

これがベンチメンバーになって、相手にヤニスが混じっているとはっきりしてきます。なんとなくゾーンをしているのです。

そもそもNBAには明確なゾーンなんてありませんが、マジックがやっていたのはヤニスに対するカバーに行く選手だけを決めているような感じ。ブルックの確率が悪いって事もあるかもね。

基本的にはヤニスがいる時に明確な形をとりましたが、ブレッドソーがドライブしたときにバーチしか待っていないこともあったので、たぶん1枚余らせるような考え方だったのだと思います。

全員が収縮するわけではないので、完全にマークが外れるわけではなく、ドライブでインサイドに侵入してキックアウトしたがったミドルトンやヤニスのパスは防がれてしまいました。

一方で人数は足りなくなるから、ジョージ・ヒルがインサイドにはあまり侵入せずに、早いテンポで回したら1人は空いてしまい、マービンの3Pに繋がりました。

そんなわけで2人を吹っ飛ばしてダンクしたヤニスなんてシーンはありましたが、カバーは必ず用意してインサイドを塞ぎ、そのうえでアウトサイドも空け過ぎないような守り方が機能したような前半でした。

ゴードンいないけど、ヤニスは止めたいぜ。でもパスアウトはもっと嫌だぜ。みたいな。

2Q7分で51-33と18点差まで広がりました。しかし、ペイント内得点はたったの12点。インサイドに攻め込むことなく得点したマジック。

一方でバックスのペイント内も10点のみ。インサイドに攻め込ませなかったマジック。似たようなペイント内得点だけど、18点差になったのだから、狙いが成功したと言えます。

◎困ったときはジョージ・ヒル

前半のバックスで特に悪かったのがミドルトン。1on1を仕掛けては打ち切れず、FG2/7で3ターンオーバー。そもそもプレーメイカーじゃないだけに、自分で行き切らないとリズムが悪い。

さて、こういう時はブログドンの出番ってのが1年前でした。そしてブログドンがケガで勝てなかったプレーオフみたいな。代わりにジョージ・ヒルがチームを助けまくっていたぜ。

2Q後半になってブーデンフォルツァーはヤニス、マシューズ、ブルックにヒルとカナートンを残しました。その後、ブレッドソーは戻したけどヒルはそのまま。

これでヤニスとヒルの2つの起点にしてリズムを取り戻し始めます。要するにワナが仕掛けられているインサイドまで入り込まず、アウトサイドでボールを動かしながら、ヘルプがこないルートに侵入したり、アウトサイドで打ち切ったり。ヤニスも積極的に3P打っていました。

一気に逆転してもおかしくなかった2Q後半でしたが、マジックは難しいプルアップ3Pをフルツが決め、エニスも3Pで救えば、ヤニスが着地点に足を出してしまいフレグラント(3ショット+ボールポゼッション)。これで得点を伸ばせたマジックが62点まで届き、10点リードで前半がおわりました。

バックスは開始から19分で33点だったけど、最後5分で19点とっていた

◎もう一回見てみよう

続ブセヴィッチのシュート力ってことで始まる後半。しかし、バックスは速攻2本をみせて走る気持ちを全面に出してきます。ヤニスはディフェンスが戻っていても関係ないし。

なんと開始2分経たずに3点差になってマジックがタイムアウト。うん、バックスが勝つペースです。「奇策」っていうと言いすぎですが、前半はディフェンスに面食らったような感じでしたが、慣れたら攻略するし、ハーフタイム挟んだら根本的にトランジションにして解決した。

ところがこのタイムアウト明けのスローインで、ミドルトンがエニスに完全に抜けだされて&ワンを食らいます。スクリーンからインサイドに走ったのを見ているのに、誰もカバーしなかった不思議なシーン。

それでもオフェンスはブレッドソーの突破、ヤニスの合わせ。トランジション気味にもっていったヤニスから遅れてきたミドルトンの3Pにエニスが飛び込んでしまった3ショットをもらい1点差にします。ミドルトンが最後の1本外しちゃったからさ。

ただ、こうなるとマジックはブセヴィッチでなんとかします。ピック&ポップすれば大体フリーになれるしさ。しかもフルツがそのプレーを囮にして見事にシュートもパスも決めたので良い感じ。

そしてまたゲーリー・クラークが3P。フォーニエは全くこないのに、まさかのクラークです。そしてブセヴィッチが加点して再び二桁リードになったマジック。ここは完全にオフェンスで振り切りました。マジか!

さて後半になったので、もう一度ヤニス周囲のディフェンスを見てみましょう。スターターはやっぱりクラークがマークしています。だけど、殆どプレッシャーをかけていません。「ボールを持たせないように守る」なんて気持ちはゼロで、スキにボールを持てるヤニス。

それでいてクラークはヘルプディフェンスにもいきます。ヤニスを捨てていきます。だからゴール下に飛び込むヤニスなんですが、ここには次のヘルプが来ます。基本はブセヴィッチ。

あまり考えられないヤニスを積極的に「空けてしまう」ような守り方。これに混乱してしまっている感じのバックスです。ただ後半になったのできれいにゴール下フリーのヤニスにパスが通るシーンも。

3Q終盤、一旦ベンチに下がったヤニスが再登場し、ステータスをディフェンスに全振りしているようなマジックのベンチ陣が相手になると、バーチが1on1からチャージドロー、イワンドゥがゴール下を後ろからブロックして止めきりました。

マジックが頑張ったし、バックスからすると誤算だった終わり方でした。92-79と再びリードを広げることに成功した3Qのマジック。3Pが1/8と決まらなかったバックスでした。

◎糸口はあったのか

4Qになってもバーチとイワンドゥを中心としたディフェンスに苦しむバックスですが、カナートンとミドルトンが3P決めて少し解決。

一方でノッてきてしまったロスにタフショットを決められます。フォーニエとロスが爆発していないのにリードを得ているマジックって新鮮だった。

ただ、DJオーガスティンはそこまでロスを使わないので、ややバックス優勢で序盤が過ぎていきました。代わりに時間を使ったDJなので、バックスもトランジションに移行できなかった。

5分が過ぎた頃、オーガスティンがボールキープし、逆サイドをスクリーン利用で抜けてゴール下にダイブするロスへパスが通りダンク。

タイムアウトのバックスのオフェンスが終わった後、また同じプレーでロスがレイアップ。タイムアウトはさんで同じプレー連発で食らうってなんだよ。

でも、そのロスは自分のアタックがファール気味に止められてノーコールになると、フランストレーションをぶつけるようにミドルトンにファールしてベンチに下がります。

ロスが下がると今度はフォーニエがこの試合初めての3Pをヒット。ブレッドソーはちゃんと守っていたのに関係なく決めるのがフォーニエとロス。

バックスは前半同様、ヒルとカナートンをいれてヤニスと組ませるユニット。残り4分切っているのに、スターターはヤニスとマシューズしかいない。

ヒル→カナートン→ヒルと繋いで3P。いろいろとあったけど、オフェンスはそこそこ出来ているバックス。ただ守り切れないから、点差が縮まらない。

そして追いつかれそうになると、鉄板のブセヴィッチのピックプレーを使うマジック。さすがにブセヴィッチのポップを追いかけてきたと思ったら、フォーニエを空けちゃって2本目の3P。

残り3分。勝負をかけるタイムアウト明けのバックスオフェンスは、ポストに立つヤニスにボールがはいりカットプレーにパスを出します。しかし、ヤニスを離していたエニスが反応してカット。試合開始から延々と見ているヤニスを空ける形で止めきってしまいました。

ということで反撃の糸口をみつけたようで、攻守にやられてしまったバックスがゲーム1を落としたのでした。

◎ゲーム2へ続く

ブセヴィッチのアウトサイドを除けば、あまり予想していない形でマジックが制したゲーム1でした。こういうことがあるから怖いよね。突然変異みたいな負け方。

マジックからすると狙いが大成功した前半、ただただ全員がファイトして踏ん張った後半という感じです。

ヤニスを中途半端に守るというよくわかんないディフェンスは大いに効果を発揮しました。ただ中途半端だけど、ゴール下に関しては絶対にカバーが来ていたから偉い。

〇ペイント内得点
マジック 38
バックス 42

平均49.3点を奪ってきたバックスのペイント内を42点に抑え・・・うん、終わってみれば抑えたとは言い難いですね。前半19分くらいは10点だったけど、そこからは攻略されました。

しかし、それ以上にペイント内は38点しかとれなかったのに、合計122点も奪ったオフェンスで押し切ることに成功しました。バックスの弱点である3Pディフェンスの穴を存分に使ってきた形です。

〇3P
マジック 16/41
バックス 14/42

平均32本だったマジックは9本多く打っています。バックスは平均くらいの本数ですが、確率はあまりよくなかった。

マジックの3Pで良かったのは、バックスの守り方として警戒されないビッグマンと、予想外のゲーリー・クラークの積極性でした。

〇3P
ブセヴィッチ 5/8
クラーク  4/12

クラークが12本も打ってくるとはね。シーズン平均は2.5本だよ。それでいてクラークはヤニスを守りました。ゴードンよりも良かったんじゃ・・・。

しかも4QはフォーニエとロスでFG6/9です。ブセヴィッチがゲーム全体で活躍し、クラークが前半のリードをもたらし、最後はフォーニエとロスで打ち勝つ。ついでにDJは11アシスト。出木杉君。

さて次はゲーム2です。こんなに上手くはいかないだろうけど、ゾーンディフェンスは効力を発揮し、ベンチのバーチ&イワンドゥは純粋に守り抜く。何よりもブセヴィッチのピック&ポップはバックスには守る気持ちがない。

バックスがアンサーを用意してこなければ、十分に戦うことは出来そうです。あとは毎度のことですが、フォーニエとロスが爆発するのを待ちましょう。

バックスは10分以上プレーしたのが10人と通常営業ですが、ロビンが2分のみのプレーとなり、ブルックしかセンターを起用しませんでした。理由はブセヴィッチのアウトサイドですね。

ヤニスを止めに来られたようでミドルトンの方が止められていたので、コーチ陣は一生懸命分析しているでしょう。もっとミドルトンに打たせていくのか、それとも避ける手段を作るのか。

所詮は1敗に過ぎないのですが、いろいろと仕掛けられたから考えてしまいますね。プレーオフでどうなるかはバックス最大の課題であったので、シーズン中に準備してきたことをどれだけ出せるか。

ちなみにヤニスの3Pは3/7としっかりと結果を出しました。ここじゃなかったってことです。面白いもんだよね。

プレーオフ バックスvsマジック①” への4件のフィードバック

  1. 時々唐突にドリブルしだすゴードンが逆にいないことで、チームの狙いがブーチェビッチを中心に徹底的にできていたのかなと思ったのですがどうでしょうか?

    バックスがこのヤニスを放置する戦術に対してアンサーを2試合以内にしてきそうですが、そしたら今度は個人で対応できるゴードンがハムストリングの怪我から帰ってきて、この闘いをまた複雑しそうなのも楽しみですね。

    1. それは思いましたが、クラークが3P打ちまくった、で終わらせときましょう 笑

      ゴードンはディフェンスは面白いんですが、オフェンスが未知数過ぎるんですよね。ヤニスには完敗します!

  2. 中途半端に空けられたヤニスがスーパーエース化してミドルなりショートレンジなりローポストアタックを沈めまくるっていうのが本来理想なんですけどね。そういうタイプの選手じゃないし、トランジションも3人がかりで止められるしで、アンサーするのはなかなか大変そうです。

    1. まさにブーデンフォルツァー!って感じですね。強いのは確かだけど柔軟性はない。
      ブルックのポストアップやロビンのインサイドファイトを使うかどうか、でも有効かはわからないし。

      ディフェンスの当たりを厳しくするしかないんでしょうね。

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